MB = 100 − Q MC = Q 3 ηS ηD + ηS 1

ミクロ経済学入門 第 2 回宿題
提出日時:2014 年 6 月 11 日(水)午後 1 時 00 分(時間厳守)
提出場所:4 号館 5 階小西研究室前に設置した宿題提出ボックス
問題1 ある財を Q 単位消費しているときに社会全体でみた限界便益が
M B = 100 − Q
であり,同じ財を Q 単位生産しているときに社会全体でみた限界費用が
MC =
Q
3
で与えられているとしよう(単位は万円とする).以下の設問に答えなさい.
(1) この財を社会全体で 100 単位生産し消費するとき,消費から得られる総便益の最大値,生産
に要する総(可変)費用の最小値,実現できる社会的余剰の値をそれぞれ求めなさい.
(2) この財の生産量を社会的余剰が最大になるように決めるとすれば,それは何単位になるか,明
らかにしなさい.
(3) この財の生産や消費が,完全競争市場での取引を通じて決まるとしよう.この財の価格を P
万円としたとき,需要関数および供給関数を求めなさい.
(4) 完全競争市場の均衡で決まる,この財の価格と生産量を求めなさい.
(5) 完全競争市場の均衡で実現する,消費者余剰と生産者余剰をそれぞれ求めなさい.
政府がこの財の生産 1 単位あたり 20 万円の物品税を課したとする.
(6) 市場均衡において実現する生産量,消費者価格および生産者価格を求めなさい.
(7) 1 単位あたり 20 万円の物品税のうち何%が消費者に転嫁されるか,明らかにしなさい.
(8) この物品税の課税によって失われる社会的余剰(余剰のロス)を求めなさい.
(9) (4) で求めた「課税前」の市場均衡における価格および数量にもとづいて,需要の価格弾力性
ηD および供給の価格弾力性 ηS を計算しなさい(η はギリシャ文字で,イータとかエータと
読む.なお,弾力性はプラスの値で表示するものとする).
(10) 課された物品税のうち消費者に転嫁される割合は,
ηS
ηD + ηS
に一致することを確認しなさい.
1
問題 2 問題 1 の (10) で確認した事実を一般的に証明しよう.今,1単位あたりの物品税を t 円,
物品税が課される前の市場均衡で実現する価格を P ∗ 円,消費量および生産量を Q∗ 円としよう.ま
た,物品税が課されたことによって消費者価格は P ∗∗ 円に,生産者価格は P ∗∗ − t 円に,そして消
費量および生産量は Q∗∗ に変化したとする(ただし P ∗∗ > t,Q∗∗ < Q∗ であるとする).このと
き,以下の文章の括弧を埋めるのに適した記号,数式,言葉を答えなさい(均衡の変化を図に描い
て,以上の記号がどこに対応しているか考えるとわかりやすいと思う).
まず,課税の前後における消費者価格と需要量の変化に着目すれば,需要の価格弾力性の定義
にしたがって
ηD =
Q∗ − Q∗∗ P ∗
×
P ∗∗ − P ∗ Q∗
(1)
と表せる.これに倣えば,供給の価格弾力性も同様にして
( ア ) P ∗
ηS =
×
( イ ) Q∗
(2)
となる.ここで (1) を書き換えると,
P ∗∗ − P ∗ =
Q∗ − Q∗∗ P ∗
× ∗
ηD
Q
(3)
が得られる.同様に (2) を書き換えると,
P ∗ − P ∗∗ + t =( ウ )
(4)
が得られる.そして,(3) と (4) の左辺,右辺どうしを合計すれば,
t =( エ )× (Q∗ − Q∗∗ ) ×
P∗
Q∗
(5)
となる.
さて,物品税のうち消費者が負担する割合は,
( オ )
t
であるから,(3) と (5) を代入して分母分子を整理すると,それが
ηS
ηD + ηS
に一致することがわかる.したがって,消費者に物品税が転嫁される割合は,ηD が小さいほど,ηS
が大きいほど,大きくなることがわかる.
同様にすれば,物品税のうち生産者が負担する割合は,需要と供給の価格弾力性だけを用いて
( カ )と表すことができる.これを見れば,需要の価格弾力性が( キ )ほど,供給の価格
弾力性が( ク )ほど,生産者は物品税を消費者に転嫁しにくくなり,自分で負担することがわ
かる.
(以上)
2