カチオン性イリジウム/Me-BIPAM 触媒を用いる α

カチオン性イリジウム/Me-BIPAM 触媒を用いる
α-ケトアミドの分子内直接不斉ヒドロアリール化反応
Cationic Ir/Me-BIPAM-Catalyzed Asymmetric Intramolecular Direct
Hydroarylation of α-Keto Amides
白井智彦 1、伊藤肇 2,3、山本靖典 2,3
(北大院総化 1、北大院工 2、北大院工フロンティア化学セ 3)
3 位に不斉四級炭素を有する光学活性 3-ヒドロキシ-2-オキシインドール類は様々な天然物や生
理活性物質中に多く存在する有用な骨格であり、多くの触媒的不斉合成法が開発されている。特
に、イサチンへのアリールボロン酸の不斉付加反応は光学活性 3-ヒドロキシ-2-オキシインドール
を得るための最も簡便な合成プロセスである。我々は、linked-BINOL 骨格から成る新規二座ホス
ホロアミダイト配位子(Me-BIPAM)を開発し、ルテニウム/Me-BIPAM 触媒系がイサチンへのアリー
ルボロン酸の不斉付加反応を高エナンチオ選択的に触媒し、光学活性 3-ヒドロキシ-2-オキシイン
ドールを与えることを報告している 1)。一方で、近年、遷移金属触媒を用いた CH 結合の官能基
化は強力な合成手法として注目されており、多様な変換反応が開発されている。その中で、CH
結合の活性化を経由するカルボニル基へのエナンチオ選択的な付加反応は、有機金属試薬を使用
しないため環境負荷の少ない魅力的な変換法であるが、その報告例は少ない 2)。
我々は、CH 結合のケトン類への分子内直接不斉付加反応を利用した光学活性オキシインドー
ル誘導体の合成について検討を行い、カチオン性イリジウム/Me-BIPAM 錯体がα-ケトアミドの分
子内直接不斉ヒドロアリール化反応を高収率、高エナンチオ選択的に触媒し、3-ヒドロキシ-2-オ
キシインドール誘導体を与えることを見出した 3)。本反応は高い置換基許容性を示し、様々な置
換基を有する芳香族ケトアミドに適用可能である。更に本触媒系は脂肪族ケトアミドの分子内付
加反応に対しても高い活性を示し、高エナンチオ選択的に生成物を与える。
<参考文献>
1)Yamamoto, Y.; Yohda, M.; Shirai, T.; Ito, H.; Miyaura, N. Chem. Asian J. 2012, 7, 2446.
2)Tsuchikawa, K.; Hashimoto, Y.; Endo, K.; Shibata, T. Adv. Synth. Catal, 2009, 351, 2850.
3)Shirai, T; Ito, H.; Yamamoto, Y. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 2658.
発表者紹介
氏名
白井
智彦(しらい ともひこ)
所属
北海道大学大学院総合化学院
分子化学コース
学年
D2
研究室
有機変換化学研究室
E-mail
[email protected]
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