カチオン性イリジウム/Me-BIPAM 触媒を用いる 直接不斉ヒドロアリール

第 26 回万有仙台シンポジウム Poster 発表要旨
カチオン性イリジウム/Me-BIPAM 触媒を用いる
直接不斉ヒドロアリール化反応
Cationic Ir/Me-BIPAM-Catalyzed Asymmetric Direct Hydroarylation
白井智彦 1、山本靖典 2
(北大院総合化学 1、北大院工 2)
遷移金属触媒を用いた CH 結合の活性化を経由する CC 結合形成反応は、経済性や環境調和性
に優れた究極的な高原子効率プロセスであり、炭素骨格を有する化合物の強力な合成手法である。
特に、C(sp2)H 結合の開裂を伴う不飽和結合のエナンチオ選択的なヒドロアリール化反応は、複雑
な不斉炭素骨格を短ステップで構築可能であるため、魅力的な変換法である。しかし、これらの不
斉反応に関して高い選択性を達成した報告例は僅かしかない。
今回我々は、カチオン性イリジウム/Me-BIPAM 錯体が C(sp2)H 結合の開裂を伴う-ケトアミド
の分子内不斉ヒドロアリール化反応を高収率かつ高エナンチオ選択的に触媒することを見出した
[1]
。本反応は高い官能基許容性を示し、3 位に様々な置換基を有する光学活性オキシインドール誘
導体を与える。また、重水添加実験、Hammett Plot、重水素標識実験等のメカニズム解析実験によ
り得られた結果から、本反応の律速段階はアリールイリジウム中間体へのカルボニルの挿入反応で
ある可能性が高いことが示唆された[2]。
更に、分子間反応への展開を検討した結果、カチオン性イリジウム/S-Me-BIPAM 錯体が C(sp2)H
結合の開裂を伴う 2-ノルボルネンの分子間不斉ヒドロアリール化反応を高エナンチオ選択的に触
媒し、exo 付加体を与えることを見出した[3]。
<参考文献>
[1] T. Shirai, H. Ito, Y. Yamamoto Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 2658.
[2] T. Shirai, Y. Yamamoto Submitted.
[3] T. Shirai, Y. Yamamoto Under Preparation.
発表者紹介
氏名
白井
智彦(しらい
ともひこ)
所属
北海道大学大学院
学年
D3
研究室
有機変換化学研究室(山本
総合化学院
靖典
研究室)
研究室紹介写真