経済成長と生産関数

マクロ経済分析
第 2 回 講義ノート
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経済成長
2
2.0
今回のアウトライン
A. マクロ経済学で重要な率の概念に親しむ
B. 生産関数を理解し、具体的な演算ができる
2.1
経済成長とは
A. 産業革命後の急激な経済成長とその多様性
B. GDP を一人あたりで見る (テキ
スト p.54)
C. 成長率と対数:なぜ率で見るのか?
t 時点の GDP 成長率 =
GDPt − GDPt−1
GDPt−1
(2.1)
D. 平均的な率がわかると、成長経路が描ける
t 時点の GDP = (1 + 成長率 g)t × 0 時点の GDP
(2.2)
E. 人口成長率を使っての計算:初期時点の人口 L0 、人口成長率 (年率) n
1. 1 年目の人口 L1 は?
2. 2 年目の人口 L2 は?
3. 100 年目の人口 L100 は?
4. t 年目の人口 Lt は?
F. 数字を与えてみよう:初期時点の人口 L0 = 10、人口成長率 (年率) 0.1
1. 1 年目の人口 L1 は?
2. 2 年目の人口 L2 は?
3. 10 年目の人口 L10 は?
Ver. 1.0
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4. グラフにプロットしてみよう
G. 対数:倍数の世界を和の世界に変換
1. 自然対数:ネイピア数 e = 2.71828 · · · を底とするのが一般
ln X = loge X
(2.3)
2. 対数は掛け算を和、割り算を差、乗数を積に変える
ln (X × Y ) = ln X + ln Y
X
ln
= ln X − ln Y
Y
ln X a = a ln X
(2.4)
(2.5)
(2.6)
H. 対数を使って人口成長率を表現すると
}
{
ln (1 + n)t × L0 =
(2.7)
I. 対数の世界で成長率一定のグラフを書くと直線になる (テキ
スト p.60)
1. 米国の成長率は対数目盛で見れば直線 (テキ
スト p.61)
2. 実は、成長率 n が 0 に近ければ以下の近似が可能
ln(1 + n) ≈ n
Ver. 1.0
(2.8)
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J. たとえば、L0 と L10 がわかった場合、平均成長率を次のように求められる
K. 次に、一人あたりの GDP の成長率が g 、人口成長率が n とすると、GDP の成
長率は、次のように表現できる
{
}
ln (1 + n)t L0 × (1 + g)t Y0 =
(2.9)
L. 成長率はすべての国でほぼ一定か?
1. 成長の「収束 (convergence)」という考え方:高度経済成長が起き、その後
安定化 (テキ
スト p.64)
2. ただし、低所得国で低成長もある (テキ
スト p.66)
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2.2
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生産関数
A. 生産は経済活動の基盤であり、モデルの基礎
1. 生産関数は労働と資本、技術水準で決まると想定する
2. コブ=ダグラス型生産関数:扱いやすい関数であることも重要
Y = AK β L1−β
(2.10)
B. コブダグラス型の利点:規模に関して収穫一定 (Constant Returns to Scale)
1. 労働と資本を二倍にすると・
・
・
Y = A(2K)β (2L)1−β
(2.11)
2. 規模に関して収穫逓減 [増](Decreasing[Increasing] Returns to Scale)
C. コブダグラス型の利点:生産資源が労働と資本に完全に配分
Y = AK β L1−β = wL + rK
(2.12)
D. これを理解するために必要な限界生産物という考え方
1. 一単位の生産資源投入によってもたらされる生産の増分
2. 資本の限界生産物 (MPK:Marginal Product of Capital) は以下の通り
MP K =
Ver. 1.0
)
∂Y
∂ (
=
AK β L1−β =
∂K
∂K
(2.13)
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3. 労働の限界生産物 (MPL:Marginal Product of Labor) は以下の通り
MP L =
)
∂Y
∂ (
=
AK β L1−β =
∂L
∂L
(2.14)
E. 市場の賃金や利子率がそれぞれ w, r の時、企業はどう考えるか
F. もし、w = M P L, r = M P L ならばどうなるか
wL + rK = M P L · L + M P K · K
Ver. 1.0
(2.15)
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G. コブダグラス型の利点:一人あたり生産の議論に帰着
1. 資本装備率 k =
K
による表現
L
Y = AK β L1−β
(2.16)
2. 資本にかかる乗数 β が限界生産物逓減を表現
3. ただし、資本装備率では十分ではない (テキ
スト p.106)
H. コブダグラス型の利点:技術水準の考慮
1. 全要素生産性 (TFP:Total Factor Productivity) という指標
Y = AK β L1−β
(2.17)
2. TFP の違いによる生産性の相違も大きい (テキ
スト p.113)
I. TFP は非常に広範な技術を考慮している
1. 人的資本、技術、社会制度、非効率、経済ショックとの相違
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2.3
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以下の作業をしなさい
A. 内閣府のホームページから、実質 GDP(年度・連鎖方式)、民間企業資本ストッ
ク (現系列・取付・年度末 1-3 月)、就業者数(年度)を 1994 年から 2012 年ま
で取りなさい
1. 資本装備率、労働分配率がどうなっているかを計算しなさい
2. 可能であれば、コブ・ダグラス型生産関数を使って回帰分析しなさい、な
お、全てのデータを自然対数に変換して、定数項を用いながら、実質 GDP
を資本ストックと、労働で回帰すれば良い
B. コブ=ダグラス型生産関数を前提として、以下のことを検討しなさい
Y = AK β L1−β
(2.18)
1. β = 0.5, K = 1, K = 2, L = 1 の時の総生産と MPK をエクセルなどで求め
なさい
2. β = 0.5, K = 1, K = 4, L = 1 の時の総生産と MPK をエクセルなどで求
め、1 のケースと比較しなさい
3. β = 0.3, K = 1, K = 2, L = 1 の時の総生産と MPK をエクセルなどで求
め、1 のケースと比較しなさい
4. 「コブ=ダグラス型生産関数の両辺を労働量 L で割ると MPK が求まる」、
この命題の真偽を確認しなさい
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