2014年2月19日 3限(13:20

2013 年度 制御工学 I 学年末試験 (模範解答)
1
2014 年 2 月 19 日
河合康典
2013 年度 制御工学 I 学年末試験 (模範解答)
2014 年 2 月 19 日 3 限 (13:20-14:40)
注意:途中計算を省かないこと。
[問題 1] (配点 20 点 (各 10 点))*学生の到達目標 (4)
微分方程式
が導かれる。よって,伝達関数は次にようになる。
Kp
s2 + Kv s + Kp
¨ = u(t)
θ(t)
で記述される回転体に対して
Kv = 4 を代入すると伝達関数は次のようになる。
˙
u(t) = Kp (r(t) − θ(t)) − Kv θ(t)
s2
Kv ≥ 0, Kp ≥ 0
なるフィードバック制御系を構成したとする (図 1-1)。
ここで,θ(t),u(t),r(t) は,それぞれ回転体の角度,入
力トルク,および角度の目標値信号である。また,Kp ,
Kv は角度偏差と角速度のフィードバックゲインである。
このとき,下記の問いに答えよ。
(1) Kv = 4 のとき,ステップ応答が振動的でなくなる
ときの Kp の範囲を求めよ。
(2) Kp = 4,Kv = 4 とした場合と比較し,ステップ
応答の速度を 2 倍の速さにしたい。Kp ,Kv をど
のように選べばよいか。
r +
Kp
−
+
u
−
(1-4)
Kp
+ 4s + Kp
(1-5)
よって,
2ζωn = 4, ωn2 = Kp
(1-6)
の関係から,
ζ=
2
≥ 1 ⇒ ωn ≤ 2
ωn
(1-7)
のとき振動しない。よって,
Kp ≤ 4
(1-8)
となる。
.
θ
__
1
s
__
1
s
(2) Kp = 4,Kv = 4 を代入すると伝達関数は次のよ
うになる。
θ
4
s2 + 4s + 4
Kv
(1-9)
よって,
図 1-1: フィードバック制御系
2ζωn = 4, ωn2 = 4
[解答]
(1-10)
の関係が成立する。ωn = 2 から
(1) 問題の式から u(t) を消去し,r(t) と θ(t) のみの関
数にして,目標値から出力への伝達関数を求める。
¨
θ(t)
=
˙
Kp (r(t) − θ(t)) − Kv θ(t)
(1-1)
ζ=
θ(s)s2
=
Kp (r(s) − θ(s)) − Kv θ(s)s
(s2 + Kv s + Kp )θ(s)
=
Kp r(s)
(1-2)
Kp = ωn2 = 42 = 16
Kv = 2ζωn = 2 × 1 × 4 = 8
Kp
r(s)
s2 + Kv s + Kp
(1-3)
(1-12)
となる。よって,
となり,
=
(1-11)
となる。ζ はそのままで,ωn のみ 2 倍にするので
ζ = 1, ωn = 4
(1-1) 式をラプラス変換する。
θ(s)
4
=1
2ωn
となる。
(1-13)
2013 年度 制御工学 I 学年末試験 (模範解答)
[問題 2] (配点 20 点)*学生の到達目標 (4)
次の伝達関数をもつ系のステップ応答を計算せよ。
s+4
(s + 1)(s + 2)
[解答]
係数がすべて正である。
ステップ応答 y(s) は,
1
s+4
=
s
s(s + 1)(s + 2)
(2-1)
で与えられ,部分分数展開を用いる変形する。
s+4
a
b
c
= +
+
s(s + 1)(s + 2)
s
s+1 s+2
(2-2)
とおく。
次にラウス表を作成する。
s4
s3
s2
s1
0
(右辺) =
=
=
=
a
b
c
+
+
s
s+1 s+2
a(s + 1)(s + 2) + bs(s + 2) + cs(s + 1)
s(s + 1)(s + 2)
2
a(s + 3s + 2) + b(s2 + 2s) + c(s2 + s)
s(s + 1)(s + 2)
2
(a + b + c)s + (3a + 2b + c)s + 2a
s(s + 1)(s + 2)
(2-3)
分子を比較すると
s + 4 = (a + b + c)s2 + (3a + 2b + c)s + 2a (2-4)
となる。恒等式であるので
⎧
⎪
⎨ a+b+c= 0
3a + 2b + c = 1
⎪
⎩
2a = 4
であることから,a = 2 である。
b + c = −2
2b + c = −5
上記から b = −3,c = 1 である。よって,
=
y(s)
[問題 3] (配点 20 点)*学生の到達目標 (5)
伝達関数の分母多項式が以下で与えられるとき,シス
テムが安定か否か ラウスの安定判別法 により求めよ。
s4 + 2s3 + 8s2 + 10s + 3
[解答]
y(s) = G(s)
2
2
3
1
−
+
s s+1 s+2
(2-5)
となる。ステップ応答は
y(t) = L−1 [y(s)] = 2 − 3e−t + e−2t
(2-6)
となる。
(補足) 留数定理を用いる場合は次のように行う。
a = lim sy(s) = lim
s→0
s→0
s+4
=2
(s + 1)(s + 2)
(2-7)
s+4
= −3 (2-8)
s→−1 s(s + 2)
b = lim (s + 1)y(s) = lim
s→−1
c = lim (s + 2)y(s) = lim
s→−2
s→−2
s+4
=1
s(s + 1)
(2-9)
1
2
8
10
16−10
=3
2
30−6
=8
3
24−0
=3
8
6−0
2
3
0
=3
0
s
表 よ り,ラウス数列がすべて正である。 よって ,
安定である。
2013 年度 制御工学 I 学年末試験 (模範解答)
[問題 4] (配点 10 点)*学生の到達目標 (5)
伝達関数の分母多項式が以下で与えられるとき,シ
ステムが安定となる K(> 0) の範囲を フルビッツの安
定判別法 により求めよ。
s3 + (K − 1)s2 + s + (5 − K)
係数がすべて正である条件より K −1 > 0,5−K > 0
である。
ときの y(t) の定常値を計算せよ。
(3) 定常位置偏差が 0 となるための K(s) を 1 つ挙げよ。
K −1 5−K
r
小行列式は
=
H2
=
=
H3
=
(1) d(t) = 0 として,目標値 r(t) に対する定常位置偏
差を求めよ。
(2) r(t) = 0 として,ステップ外乱 d(t) = 1 を加えた
次に,フルビッツの行列を作る。
⎛
⎞
K−1 5−K
0
⎜
⎟
H=⎝
1
1
0
⎠
H1
[問題 5] (配点 25 点 ((1),(2):各 10 点, (3):5 点))*学生の
到達目標 (6)
図 5-1 のフィードバック制御系において
1
P (s) =
, K(s) = 8
(s + 1)(s + 2)
とする。以下の問いに答えよ。
[解答]
0
3
K −1
K −1 5−K
1
1
=
(K − 1)(5 − K) − (5 − K)2
=
(5 − K)(K − 1 − (5 − K))
=
(5 − K)(2K − 6)
d
+
K(s)
−
P(s)
+
y
図 5-1: フィードバック制御系
K − 1 − (5 − K) = 2K − 6
K −1 5−K
0
1
1
0
0
K−1 5−K [解答]
(1) d(t) = 0 として目標値 r(t) に対する定常位置偏差
を求める。偏差 e(s) を
e(s) = r(s) − y(s)
(5-1)
とし,偏差 e(s) と y(s) の関係
となる。これより H1 ∼ H3 がすべて正であるためには,
K − 1 > 0, 5 − K > 0,
y(s) = P (s)K(s)e(s)
(5-2)
から,目標値 r(s) から偏差 e(s) までの伝達関数
2K − 6 > 0, (5 − K)(2K − 6) > 0
(4-1)
である。よって,係数がすべて正である条件と合わせて
3<K <5
+
(4-2)
である。
ただし,H2 の条件 2K − 6 > 0 と係数がすべて正で
ある条件 K − 1 > 0,5 − K > 0 から求めてもよい。
Ger (s) は以下のように求まる。
e(s)
=
r(s) − P (s)K(s)e(s)
(1 + P (s)K(s))e(s)
e(s)
r(s)
=
r(s)
=
1
(5-3)
1 + P (s)K(s)
よって,伝達関数 Ger (s) は次のようになる。
Ger (s)
=
1
=
1 + P (s)K(s)
1+
=
(s + 1)(s + 2)
(s + 1)(s + 2) + 8
1
8
(s+1)(s+2)
(5-4)
定常位置偏差 es1 は,最終値の定理を用いること
により次式となる。
es1
=
=
=
lim Ger (s)r(s) = lim s · Ger (s)r(s)
t→∞
s→0
(s + 1)(s + 2)
1
lim s ·
·
s→0
(s + 1)(s + 2) + 8 s
2
= 0.2
2+8
(5-5)
2013 年度 制御工学 I 学年末試験 (模範解答)
(2) r(t) = 0 として,ステップ外乱 d(t) = 1 を加えたと
きの y(t) の定常値を求める。ステップ外乱 d(t) = 1
から出力 y(t) までの伝達関数 Gyd は
u(s) = −K(s)y(s)
y(s) = P (s)(d(s) + u(s))
4
[問題 6] (配点 5 点)*学生の到達目標 (6)
図 6-1 に示すフィードバック制御系において,d(s) か
ら y(s) への伝達関数を求めよ。
r
(5-6)
+
−
K(s)
P(s)
d
+
y
+
の関係から以下のように求まる。
y(s)
=
P (s)d(s) − P (s)K(s)y(s)
(1 + P (s)K(s))y(s)
=
y(s)
=
P (s)d(s)
P (s)
· d(s) (5-7)
1 + P (s)K(s)
よって,外乱 d(t) から出力 y(t) までの伝達関数
Gyd (s) は,次のように求められる。
Gyd (s)
=
P (s)
1 + P (s)K(s)
=
1
(s+1)(s+2)
8
+ (s+1)(s+2)
1
1
=
(s + 1)(s + 2) + 8
よって,ステップ外乱 d(t) = 1 に対する定常値は,
次式となる。
lim Gyd (s)d(s)
r = 0 として,(s) を省いて書くと,関係式は
y = d + P K(−y)
=
=
lim s · Gyd (s)d(s)
s→0
lim s ·
s→0
0.1
(6-1)
(1 + P K)y
=
d
y
=
1
d
1 + PK
1
1
·
(s + 1)(s + 2) + 8 s
(5-9)
となる。
1
など積分器を 1 つ以上持っていればよい。
s
(6-2)
となる。よって,d(s) から y(s) への伝達関数は
G=
となる。
=
(3)
[解答]
となる。展開すると
(5-8)
t→∞
図 6-1: フィードバック制御系
y
1
=
d
1 + PK
(6-3)