当初注意したように、 「部分点」などという採点法はとらない。 第一回目であるから、2の十分条件に関する記載不足のみ、部分点を与えた。今後は1点も貰え ないと考えよ。 有機化学Ⅰ演習(重原)平常テスト①(2014.04.17) 1 次の用語の英訳と、相当する具体例を示せ。 (1)立体異性体【具体例は、「A の構造式」と「B の構造式」の関係、のように、A・B 二種を示すこと】 Stereoisomer(s) H CH3 C=C CH3 C=C と CH3 H CH3 H など (ほかに、光学異性体の対とか) H trans-but-2-ene cis-but-2-ene[cis-trans 異性] (2)置換反応【具体例は、反応式で示せ】 Substitution (reaction) CH3-Cl + KI → CH3-I + KCl (3)脱離反応【具体例は、反応式で示せ】 Elimination (reaction) H-CH2-CH2-I 2 + KOH → KI + HOH + CH2=CH2 次の小問に答えよ。 【注意】説明問題は、必須部分(必要条件)はもちろん、十分に(十分条件)説明されていなければならない。下記 (1),(2)のように、黒字部分:必要条件 と 十分条件:赤字部分 の両方を記述すること。 (1)「電子親和力」を英訳し、その意味を説明せよ Electron Affinity: 原子が 1 電子を(価電子軌道に)捕獲するときに放出されるエネルギー。 「エネルギー放出(発熱 的)」の場合を、正の数値の kcal/mol(または kJ/mol)で表現する。 (2)「(第一)イオン化ポテンシャル」を英訳し、その意味を説明せよ (First) Ionization Potential: 原子の最外殻の 1 電子を奪い取る(無限遠にまで引き離す)のに要するエネルギー [したがって吸熱的]を正の数値の kcal/mol(または kJ/mol)で表現する。 (3)水素のイオン化ポテンシャル=1314 kJ/mol、電子親和力=75 kJ/mol であるとき、「H*(水素原子),H+, H−」を、不等号を用いて安定な順に並べよ。 エネルギー差 3 H+ << H* < 1314 75 H− kJ/mol 「<<」は、単に「<」でもかまわない 双極子モーメントμは D(debye,デバイ)という単位であらわされ、μ=q×r×[1010(D/esu・Å)]である。た だし、q=[静電単位(esu:electrostatic unit)で表した電荷]であり、+1 または−1 の単電荷は q=4.80×10−10esu である。+1 と−1 の単電荷が正確に1Å(この1は整数であり、無限桁制度の 1.00・・・・を意味する)だけ離れ ている双極子のμは次のようになる。 μ=(4.80×10−10esu)××[1010(D/esu・Å)]=4.80D クロロメタン H3C-Cl の双極子モーメントは、ほぼ C-Cl 間の分極による(H-C 間の分極は無視できる)と考 えよう。クロロメタンの C-Cl 間距離=1.78Å、μ=1.87D というデータがあるとき、電子雲の偏りによる C-Cl 間のイオン結合性は何%程度と見積もられるか計算せよ。 まず、計算問題においては、正確に立式すること。計算機は与えられているのだから、立式がしっかりしていれ ば容易に正解にたどり着くはず。 (考え方) +/−の単電荷対(100%解離したイオンの対と考えてよい)が 1Å離れて位置する → 4.80D なのであるから、 1.78Å離れた双極子のμ=1.87D が、「1Å当たりだとどうなるか?」を計算すると 1.87/1.78(=1.05056…D)。 したがってこの双極子のイオン結合性は、(1.87/1.78)/4.80=0.218867≒0.219。 Ans. 約 21.9% 【注意】コマギレの部分計算を行ってはならない。たとえば、1.87÷1.78=1.050561・・・≒1.1 としてしまい、 1.1÷4.8=0.229166・・・≒0.23、Ans. 23%、などは間違い。立式は上に示した通り(1.87÷1.78)÷4.80 であり、 乗除のみで成り立っている式であるから、一番小さい数値の有効桁(ここでは 3 桁)が採用され、答えは 0.218867 ≒0.219、Ans.21.9%である。また立式中、4.80 を 4.8 と表示していた人がいたが、有効数字を理解していない 証拠。 諸君らは「工学部」に所属しているのであるから、有効数字∼誤差∼統計、は当たり前に理解せねばならない。
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