関数論演習 第 16 回 2014 年 7 月 1 日 担当:中島 16 Taylor 展開, Laurent 展開 2 例題 16.1. f (z) = 例題 16.2. z+1 (z−1)2 z eiz z の孤立特異点とその種類を求めよ. の孤立特異点とその種類を求めよ. 例題 16.3. 例題 16.1,16.2 の関数に対して, 孤立特異点における留数をそれぞれ求めよ. 問 16.1. 次の関数の孤立特異点とその種類を求めよ. 1 − cos z z4 z (iii) f (z) = z e −1 (i) eiz z2 + 1 1 (iv) f (z) = n z −1 f (z) = (ii) f (z) = 問 16.2. 問 16.1 の関数に対して, 孤立特異点における留数をそれぞれ求めよ. レポート A 16.1. 次の関数の孤立特異点とそれぞれの極における留数の値を求めよ. ただし n は自然 数, p(z) = an z n + · · · + a0 とする. ( )n 1 (i) f (z) = z + (ii) z f (z) = ez p ( ) 1 z (iii) f (z) = レポート A 16.2. P (z), Q(z) は実数係数の多項式とする. R(z) = 1 exp n z +1 ( 1 zn ) P (z) に対して点 α が 1 位の極で Q(z) あるとき点 α も R(z) の 1 位の極であることを示し, Res (R, α) = Res (R, α) となることを示せ. レポート A 16.3. c0 = c1 = 1, cn = cn−1 + cn−2 (n ≥ 2) で定義される数列をフィボナッチ数列とい う. 級数 f (z) = ∑ cn z n n≥0 を考える. (i) n ≥ 0 で 0 ≤ cn ≤ 2n であることを示し, 収束半径 R は 1 2 以上であることを示せ. (ii) |z| < R で f (z) = 1 + zf (z) + z 2 f (z) を満たすことを示せ. (iii) |z| < R で Laurent 展開せよ. ( レポート B 16.1. α(定数) とする. f (z) = exp 1 Jn (α) = π ∫ α 2 ( )) 1 z− の点 z = 0 の周りでの Laurent 展開は z π cos(nθ − α sin θ)dθ 0 とおいた時, f (z) = ∞ ∑ Jn (α)z n −∞ と書けることを示せ. (Jn (α) を n 次の Bessel 関数と呼ぶ.) レポート提出期限: 2014 年 7 月 8 日 (火) 授業開始時まで 提出: 授業開始時に提出 16 Taylor 展開, Laurent 展開 2 前回 Laurent 展開について解説した. • 孤立特異点: f が点 a ∈ C の近傍で, 点 a を除いた点で 1 価の正則関数であるとき, a を孤 立特異点という. 例: f (z) = 1 z における点 0. f (z) = 1 z + 1 z−2 における 0, 2. f (z) = exp( z1 ) における 0. • 分類: a が f の孤立特異点であるとする. このとき a の周りで Laurent 展開する. f (z) = −1 ∑ cn (z − a)n + n=−∞ ∑ cn (z − a)n . n≥0 後半は点 a を含めた領域で正則である. よって前半部が f の点 a での特異性をひきおこす. これを主要部とよぶ. – 除去可能な特異点: cn = 0 (n ≤ −1) であるとき点 a は除去可能な特異点と呼ぶ. 特に c0 = limz→a f (z) であるので f (a) = c0 と定義することで点 a を含めた領域で正則に なる. 例: f (z) = sin z z に対して z = 0 は除去可能特異点. – 極: ある m < 0 に対して cm ̸= 0, かつ ck = 0 (k < m) であるとき点 a を m 位の極と いう. 例: f (z) = 1 z2 では z = 0 が 2 位の極. – cm ̸= 0 となる m < 0 が無限個存在するとき, a を真性特異点とよぶ. 例: f (z) = exp( z1 ) において点 0 は真性特異点. • f が孤立特異点 a を持つとする. a の周りでの Laurent 展開 f (z) = ∞ ∑ an (z − a)n n=−∞ に対して a−1 を f (z) の点 a での留数 (Residue) といい, Res (a), Res (f, a) とかく. 除去可 能な特異点の時は Res(a) = 0 と定義する. 例題 16.1. f (z) = eiz z は点 0 で定義できないので z = 0 が特異点. 特に z = 0 の周りでの Laurent 展 開は ∑ f (z) = n≥−1 in+1 n z (n + 1)! である. よって一位の極. z+1 例題 16.2. 特異点は z = 0, 1 の時. z = 0 のとき |z| < 1 で (z−1) 2 は正則であるので f (z) = ∑ 1 n a z と展開できる . よって z = 0 は一位の極 . n≥0 n z ∑ 1 n また |z − 1| < 1 では z+1 n≥0 bn (z − 1) と展開できる. よって z = 1 z は正則なので f (z) = (z−1)2 は二位の極. 例題 16.3. 例題??の特異点 z = 0 では z −1 の係数は eiz の Taylor 展開の初項である. Res (f?? , 0) = 1. 例題??の特異点 z = 0. z −1 の係数は g(z) = −1 z = 1. (z − 1) の係数は h(z) = h′ (1) = Res (f?? , 1) = −1. z+1 z z+1 (z−1)2 つまり の Taylor 展開の初項. つまり Res (f??,0 ) = 1. の z = 1 の周りでの Taylor 展開の (z − 1) の係数. よって 問 16.1. (i) z = 0. 2 位の極. (ii) z = 1. 1 位の極. z = −1. 1 位の極. (iii) z = 0. 除去可能特異点. z = 2nπi n ∈ Z\{0}. 1 位の極. 2πi (iv) ζ = e n としたとき z = ζ k . (k = 0, · · · n) 1 位の極. 問 16.2. (i) Res(f, 0) = 0 i (ii) Res(f, i) = − 2e . Res(f, −i) = ie 2. (iii) Res(f, 0) = 0. Res(f, 2nπi) = 2nπi ∏ ∏n−1 1 −k(n−1) (iv) Res(f, ζ k ) = j̸=k (ζ k −ζ j) = ζ j=1 1 (1−ζ j ) = ζ −k(n−1) . n
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