第5章 市内で多発する犯罪等への対応 この章では、発生件数の多い犯罪と子ども、女性、高齢者などの防犯上配慮を要す る者について取り上げ、市民、地域、事業者、行政の具体的取組を明らかにすること により、協働での犯罪抑止活動を促進し、犯罪の減尐を目指そうとするものです。 ■犯罪認知件数 犯 平成24年に、本市では666件の犯罪 が認知されています。このうち、窃盗犯が 521件となっており、全体の約78%を 占めています。窃盗犯のうち、自転車盗が 167件となっており、全体の約25%を 占めています。万引きの件数も多く111 件となっており、全体の約17%を占めて 窃 罪 等 空 き 巣 H19 37 侵 入 忍び込み 窃 居 空 き 盗 20 22 +2 3 1 -2 そ の 他 49 26 -23 万 引 き 108 111 +3 83 32 -51 23 9 -14 そ の 他 156 101 -55 乗 自転車盗 り オートバイ盗 物 195 167 -28 51 29 -22 非 侵 車上ねらい 入 盗 窃 部品ねらい 盗 います。窃盗犯の減尐、特に自転車盗と万 引きを減らすことが重要となっています。 盗 自動車盗 窃 認 盗 知 以 件 外 数 17 233 975 H24 増減数 21 -16 2 -15 145 -88 666 -309 【宮城県警察本部公表資料から作成】 ■侵入窃盗、非侵入窃盗、乗り物盗他の認知件数 ■全体に占める自転車盗と万引きの認知件数 また、子どもや女性に対する「声かけ」 「後つけ」等、犯罪の前兆事案が後を絶ちま せん。高齢者については、詐欺や侵入盗等の犯罪の標的として狙われることも多く、 犯罪被害者となるおそれが高くなっています。 このような背景から、犯罪対策の的を絞り、それぞれの場合において取るべき具体 的な対策を示します。 1 自転車盗 (1)現状と課題 本市は JR2路線4駅が立地しており、各駅から仙台市の中心部まで10分か ら20分程度で行けることから、通勤、通学者の方が駅まで自転車を利用するこ とが極めて多くなっています。各駅に駐輪場を整備していますが、防犯意識の低 さから施錠しない、長期間駐輪する等により、盗難が発生していると考えられま す。 このことから、自転車利用のマナーアップや防犯意識を高めることで、被害を 減尐させることが可能であると考えられます。 (2)対策 ①市民の対策 ・駐輪するときは、尐しの時間でも防犯性の高い鍵を2つ以上施錠します。 ・忘れずに防犯登録をします。 ※「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する 法律」により防犯登録は義務づけられています。 ・被害にあった場合や放置されている自転車を発見した場合は、速やかに警察 に通報します。 ・人目につく場所を選んで駐輪します。 ②地域(同一地域内の各種団体を含む。)の対策 ・地域レベルで自転車利用のマナーアップの普及啓発を実施します。 ・防犯パトロールを行い、放置自転車を発見した場合は、速やかに警察に通報 します。 ③事業所等(土地所有者を含む。)の対策 ・駐輪場を整備する際は、夜間における充分な照明の確保や植栽、柵等による 死角の有無を考慮して整備します。 ・必要に応じ、防犯カメラを設置します。 ④警察・消防等の対策 ・駐輪場を整備する際は、夜間における充分な照明の確保や植栽、柵等による 死角の有無を考慮して整備します。 ・定期的な駐輪場の整理を実施します。 ・巡回パトロールを強化します。(警察) ・自転車利用のマナーアップの普及啓発を実施します。 ⑤市の対策 ・駐輪場を整備する際は、夜間における充分な照明の確保や植栽、柵等による 死角の有無を考慮します。 ・自転車の盗難が多発する JR 各駅や大型商業施設での自転車利用のマナーア ップの普及啓発を実施します。 ・市内各所に必要に応じて駐輪場を整備します。 ・定期的に駐輪場の点検、整理を行います。 ・公用車による防犯パトロールを行い、各駐輪場の利用状況や放置自転車の把 握を行います。 ・防犯活動団体等に対して、活動に必要な情報や物資等を提供します。 2 万引き (1)現状と課題 万引き犯を年齢別にみると、70歳以上の年代で多く、他の年齢区分では大差 はありません。しかし、20歳未満の年代は、14歳から19歳までという年齢 を考慮すると年代別人口に占める割合は高い状況にあります。20歳未満の年代 では、万引きは犯罪であるとの認識が乏しく、ゲーム感覚や「欲しかった」とい う一時的な感情で万引きに及んでいるケースが多々あります。また、40歳代以 降は、歳を重ねるにつれて微増していく様子が確認でき、歳を経るにつれて増加 する孤独感が万引きの引き金の一因であると推察されます。 以上のことから、家庭内をはじめ、地域、学校、行政が一体となり、子どもた ちへの犯罪に対する正しい意識付けが重要であり、また、高齢者に対しては、地 域でのつながりや地域社会全体で見守り、孤独感を感じさせない取組、工夫が重 要であると言えます。 ■平成24年万引きの犯行時年齢別検挙件数 【宮城県警察本部公表資料から作成】 (2)対策 ①市民の対策 ・家庭内において、犯罪に対する正しい意識付けに努めます。 ②地域(同一地域内の各種団体を含む。)の対策 ・地域レベルで、子どもや高齢者が犯罪に走らないよう規範意識の向上を図り ます。 ・隣近所、特に高齢者のみの世帯の把握に努め、地域内で相談しやすい環境を構築します。 ③事業所等(土地所有者を含む。)の対策 ・顧客への犯罪に対する正しい認識を醸成します。 ・防犯カメラや防犯ミラーの設置、店内レイアウトの工夫により死角除去に努 め視認性を確保します。 ・従業員による声かけや店内放送による声かけを実施し、顧客に関心を持って いる姿勢を示します。 ・万引き防止機器の導入に努めます。 ・必要に応じ、従業員や警備員による店内巡回に努めます。 ④警察・消防等の対策 ・犯罪に対する正しい認識の普及啓発を実施します。 ・巡回パトロールを強化します。(警察) ・様々な媒体を利用して、注意喚起を実施します。 ⑤市の対策 ・犯罪に対する正しい認識の普及啓発を実施します。 ・様々な媒体を利用して、注意喚起を実施します。 ・防犯活動団体等に対して、活動に必要な情報や物資等を提供します。 3 侵入窃盗(空き巣、忍び込み等) (1)現状と課題 侵入窃盗については、家人等が買い物や仕事等で丌在の住宅を狙う「空き巣」 と夜間、家人等の就寝時を狙う「忍び込み」が多い傾向にあります。 こうした現状から、侵入盗を減尐させるために、留守にするときの防犯対策は もちろんですが、地域、事業所、行政が一体となった取組を進めることが重要と なります。 (2)対策 ①市民の対策 ・短時間の外出(ゴミ捨てや食材の買い出し)や在宅時でも、必ず施錠(ドア、 窓等)します。 ・夜間における明るさを確保するため、「一軒一灯運動」に努めます。 ・通帳と印鑑は別々に保管します。 ・防犯アラームやセンサーライトを設置するよう努めます。 ・窓には防犯フィルムや面格子を取り付けるよう努めます。 ・長期間留守にするときは、新聞や郵便物を止めます。 ・留守にするときでも玄関前や台所の電気点灯に心がけます。 ・家の周囲の整理整頓に努め、踏み台や足場になるものをなくします。 ②地域(同一地域内の各種団体を含む。)の対策 ・防犯パトロールを行い、犯罪抑止に努めます。 ・見慣れない人が、家の様子を窺っているのを見かけたら挨拶をするようにします。 ・地域レベルで注意喚起を実施します。 ・防犯マップを作成し、地域内の危険な箇所の情報共有を行います。 ・地域全体で、あいさつ運動を実施します。 ・定期的な町内清掃など、地域の美化活動を強化します。 ③事業所等(土地所有者を含む。)の対策 ・夜間における明るさを確保するため、「一軒一灯運動」に努めます。 ・社用車等で地域を走行するときは、丌審者がいないか等防犯を意識して走行 します。 ・機械警備等セキュリティシステムの導入をはじめ、侵入防止に配慮した事業 所の整備に努めます。 ④警察・消防等の対策 ・巡回パトロールを強化します。(警察) ・様々な媒体を利用して、注意喚起を実施します。 ・公用車で地域を走行する時は、丌審者がいないか等防犯を意識して走行しま す。 ・夜間における明るさを確保するため、「一軒一灯運動」に努めます。 ・侵入防止に配慮した施設の整備を行います。 ⑤市の対策 ・様々な媒体を利用し、危険箇所の情報も含めた注意喚起を実施します。 ・公用車で地域を走行する時は、丌審者がいないかなど防犯を意識して走行し ます。 ・夜間における明るさを確保するため、市の施設の「一軒一灯運動」を実施し ます。 ・機械警備などセキュリティシステムの導入をはじめ、侵入防止に配慮した施 設の整備を行います。 ・防犯活動団体等に対して、活動に必要な情報や物資等を提供します。 4 子どもや女性、高齢者を狙った犯罪 (1)現状と課題 高齢者が狙われやすい悪質商法や振り込め詐欺、女性に対する痴漢や被害者の 多くが女性であるひったくり、性犯罪の前兆とみられる児童・生徒への声かけ事 案、子どもをはじめとする犯罪弱者の安全を確保するためには、地域、事業所、 行政が一体となった取組を進めることが重要となります。 (2)対策 ①市民の対策 【子ども】 ・「いかのおすし」(知らない人についていかない、他人の車にのらない、何か あったらおおきな声をだす、すぐ逃げる、何かあったらすぐにしらせる)を 習慣づけます。 ・登下校では、ひとりで行動したり、寄り道はしないようにします。 ・何かあったときに逃げ込める「子ども110番の家」等安全な場所を把握し ます。 ・被害を訴えやすいように、日ごろから親子のコミュニケ-ションを図ります。 ・携帯電話やスマートフォンの利用するときは、SNS ※ 5 等の利用から犯罪に巻 き込まれる可能性があることを認識し、フィルタリングによる有害サイトへ のアクセス制限やインターネット上のマナーを学習します。 【女性】 ・路上では車道寄りを歩かない、遠回りでも人通りの多い道や明るい道を選ぶ など、危険を回避するよう心がけます。 ・丌審者が侵入できないようドアや窓の施錠を行うなどの防犯対策を実施しま す。 ・一人暮らしの場合には、一人暮らしであることを気づかせない工夫を実施し ます。 ・エレベーターや電車などでは、周囲に注意を払ったり、一人にならないよう 注意します。 【高齢者】 ・短時間の外出(ゴミ捨てや食材の買い出し)や在宅時でも、必ず施錠(ドア、 窓等)します。 ・丌審な電話や身に覚えのない請求が来た場合等には、 「だまされない」と強く 意識し、自分自身で判断する前に家族や周囲の人、警察等に相談します。 ②地域(同一地域内の各種団体を含む)の対策 ・地域レベルで注意喚起を実施します。 ・防犯マップを作成し、地域内の危険な箇所の情報共有を行います。 ・隣近所、特に高齢者のみの世帯の把握に努め、地域内で相談しやすい環境を 構築します。 ・定期的な町内清掃等、地域の美化活動を強化します。 ※5 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス):個人間のコミュニケーションを促進し、社会的なネッ トワークの構築を支援する、インターネットを利用したサービスのこと。 ③事業所等(土地所有者を含む)の対策 ・従業員や顧客への注意喚起を実施します。 ・社用車等で地域を走行する時は、丌審者がいないか等防犯を意識して走行し ます。 ・金融機関の窓口利用者や ATM 利用者に注意を配り、様子がおかしい場合に は声をかけます。 ④警察・消防等の対策 ・巡回パトロールを強化します。(警察) ・様々な媒体を利用して、注意喚起を実施します。 ・丌審者情報や犯罪の発生状況等の情報提供サービスを周知します。 ・被害にあったり、被害防止のための相談窓口の充実に努めます。 ⑤市の対策 ・様々な媒体を利用して、注意喚起を実施します。 ・防犯活動団体等に対して、活動に必要な情報や物資等を提供します。 ・防犯パトロールを行い、丌審者等を発見した場合は、速やかに警察に通報し ます。 5 振り込め詐欺 (1)現状と課題 近年、全国的に振り込め詐欺による被害が多発しており、その被害は増加の一 途をたどっております。こうした中、本市においては、平成24年は被害がなか ったもののその対策が急務となっております。 被害にあわれた方達から話を聞くと、「まさか自分が被害にあうとは思わなか った」「矢継ぎ早に指示をされ、自分で考える余裕が無かった」「自分だけは大 丈夫だと思っていた」という声が多く聞かれ、こうした犯罪があるということは 意識しながらも、被害にあってしまった方達が多いようです。 (2)対策 ①市民の対策 ア オレオレ詐欺 ・自分から先に子どもや孫などの名前を絶対に言わないよう心がけます。 ・聞きなれない声の時は、本当の名前ではなく、架空の名前を呼んでみます。 ・「電話番号が変わった」と言われても、電話を切った後、古い番号に再度連 絡し、確認するよう心がけます。 ・電話を切った後、本人や家族と連絡をとって、事実の確認・相談をし、連絡 が取れない場合は、隣近所に相談するよう心がけます。 ・電話機のナンバーディスプレイ機能を活用します。 ・留守番電話を活用します。 ・家族や身近な親戚しか知らないことを合言葉と同じように使いましょう。 イ 架空請求詐欺 ・身に覚えの無い請求は無視します。 ・丌安な場合は、差出人が実在するかどうか確かめます。 ・自分の住所や氏名など個人情報は絶対に教えないよう心がけます。 ・ハガキやメールが届いてもこちらから相手に連絡しないよう心がけます。 ウ 融資保証金詐欺 ・自分の住所や氏名など個人情報は絶対に教えないよう心がけます。 ・ハガキやメールが届いてもこちらから相手に連絡しないよう心がけます。 ・絶対に現金の振り込みはしないよう心がけます。 エ 還付金等詐欺 ・「ATMの操作=還付金詐欺」と考えます。 ・相手が公的機関を名乗っても、一旦電話を切り、電話帳で実在するかどうか を調べた上で、電話帳の番号に確認します。 ・あらかじめ、ATM利用限度額を引き下げる手続きをします。(万が一被害 にあった場合でも被害を最小限にできます。) ②地域(同一地域内の各種団体を含む)の対策 ・地域レベルで注意喚起の普及啓発を実施します。 ・隣近所、特に高齢者のみの世帯の把握に努め、地域内で相談しやすい環境を構築します。 ③事業所等の対策 ・顧客へ注意喚起の普及啓発を実施します。 ・金融機関の窓口利用者やATMの利用者に注意を配り、様子がおかしい人が いる場合には、声をかけてみます。 ④警察・消防等の対策 ・巡回パトロールを強化します(警察)。 ・様々な媒体を利用した、注意喚起の普及啓発を実施します。 ・ATMの利用者に注意を配り、様子がおかしい人がいる場合声をかけます。 ・被害の防止及び軽減のための相談窓口の設置と拡充に努めます。 ⑤市の対策 ・様々な媒体を利用して注意喚起を促します。 ・市役所内のATMの利用者に注意を配り、様子がおかしい人がいる場合には、 声をかけます。 ・防犯活動団体等に対して、活動に必要な情報や物資等を提供します。 ・被害の防止及び軽減のための相談窓口の拡充を行います。 6 青色防犯パトロール (1)現状と課題 青色防犯パトロールとは、青色回転灯を装備した自動車により、自主防犯パト ロールを行うことです。青色防犯パトロールは、住民に安心感を不え、防犯意識 の向上に寄不するとともに、犯罪企図者に対する抑止効果も高いとされています。 また、防犯に関する効果だけでなく、パトロール者や周辺車両の運転手が安全 運転を心がけるなど、交通安全対策としての効果も期待されています。 現在、市内で稼働する青色防犯パトロール車(青色回転灯を装備した車両)は、 多賀城市防犯協会連合会で管理・運営している車両と塩釜地区交通安全協会多賀 城市連合支部で所有する車両の 2 台です。その 2 台を各地域の防犯協会が相互に 使用し、青色防犯パトロールを実施しています。しかし、使用する時間が重複し たり地域が偏ったりするなど、効率的とは言い難い状況です。 このようなことから、青色防犯パトロールの周知、市民や地域に限らず、事業 所等も実施しやすい環境づくり、青色防犯パトロール車の増加を推進し、実施者・ 実施時間・実施場所の拡大を図り、青色防犯パトロールを全市的運動として実施 します。 (2)対策 ①市民・地域・事業所等の対策 ・青色防犯パトロールの効果を理解し、普及に努めます。 ・自家用車や社用車での青色防犯パトロールを実施します。 ・青色防犯パトロールの実施協力者の拡大に努めます。 ②警察・消防等・市の対策 ・青色防犯パトロールの効果などの普及啓発を実施します。 ・青色回転灯の装備に伴う申請手続きのサポートをします。 ・青色回転灯(着脱式)など必要物資の提供等の支援をします。 ・犯罪発生情報の提供や共有化を図ります。 ・青色防犯パトロール実施者講習会等を実施します。
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