2013年度の活動トピックス

2014 年 6 月 13 日
-戦略的環境次世代健康科学研究基盤センター
トピックス-
1.カーボンブラックナノ粒子が次世代の免疫系(梅澤雅和・小
川修平ら)および脳に及ぼす影響(小野田淳人・菅又昌雄ら)
健康影響を及ぼす大気汚染物質 PM2.5 が社会問題となっていま
すが、当センターではその中でもとくに微小なナノ粒子の健康影
響に注目しています。梅澤らは、ナノ粒子の妊娠期曝露が次世代
免疫系に及ぼす影響 (Shimizu et al. J Toxicol Sci, in press) を明ら
梅澤
部会長:鍜冶先生(薬学部)
かにするとともに、微小粒子の健康リスクについて
広く解説するためのアウトリーチ活動を精力的に行
っています。一連の研究成果が認められ、日本薬学
小野田
(薬学研究科)
会 環境・衛生部会 部会賞・金原賞を受賞しました
(梅澤)
。また、梅澤・小野田・菅又らはナノ粒子の
次世代中枢神経系に及ぼす影響を検証し、脳血管周
囲マクロファージならびに隣接するアストロサイト
に対して顕著な影響が及ぶことを明らかにしました
(Onoda et al. PLoS One 2014)。この研究成果は、国際
学会 Nanotoxicology 2014 にて Best Poster Award を受賞しました(小野田)。
2.アレルギー炎症におけるマスト細胞と好塩基球の役割(久保允人ら)
マウスのマスト細胞または好塩基球を選択的に除去できるシス
テム(Mas-TRECK、Bas-TRECK)などの遺伝子改変マウスを用い
て、ダニ抗原などに含まれるシステインプロテアーゼが気道炎症
を引き起こすメカニズムを検証しました。その結果、システイン
プロテアーゼで誘発される肺ナチュラルヘルパー(NH)細胞の活
性化が、好塩基球から産生される IL-4 によって制御されることを
明らかにしました。
これは、
ダニアレルゲンで誘導される喘息が、
好塩基球と自然リンパ球(ILC)とのクロストークにより制御さ
れることを示した新規の知見です。
(Immunity 2014, in press)
3.肝 Kupffer 細胞でのシリカナノ粒子による IL-1β産生機構の解明(小島周二ら)
LPS 活性化肝クッパー(KUP5)細胞を用いて、粒径の異
なるシリカナノ粒子(SNP-30, 70 及び 300)による IL-1産
生を Purinergic signalinng の観点から検討しました。この結
果、3種の SNPs のうち、SNP30 曝露により顕著な IL-1
産生がみられ、本ナノ粒子による KUP5 細胞からの IL-1
産生に ATP-P2X7・P2Y6 受容体シグナリングの関与が明ら
かになりました。
武田(センター長)