DTM 講座「コード進行について」 1.ディグリーネーム

DTM 講座「コード進行について」
ソフトメディア研究会
0.前回の復習(ダイアトニックコード)
前回の最後にダイアトニックコードというものを学びました。ダイアトニックコードはスケールのそれぞれのの音をトライアドに変え
たものです。下の図は C メジャースケールに合わせて、トライアドを並べているので、C メジャースケールのダイアトニックコードと
いうことになります。
C メジャースケールのダイアトニックコード
1.ディグリーネーム
ディグリーネームというのはスケールのアルファベット(C とか E とか)あっても、番号を振ることによって
ダイアトニックコードそれぞれの性質を一般化することが可能になる番号のことを言います。
C メジャースケールのダイアトニックコードのディグリーネーム
上図では C メジャースケールのダイアトニックコードをディグリーネームで表現しています。このとき、メ
ジャースケールのアルファベットが変わったとしてもディグリーネームが変わることはありません。ディグ
リーネームはあるダイアトニックコードのコードそれぞれの性質を表すものなので、スケールのアルファ
ベットが変わってもコードの性質は変わらないということです。それでは、次にマイナースケールの場合を
見てみましょう。
A マイナースケールのダイアトニックコードのディグリーネーム
上の図では A マイナースケールのダイアトニックコードをディグリーネームで表現しています。
2 つのダイアトニックコードのディグリーネームを見ましたが、このままだと(特にマイナー)分かりにくい
ので、さらに簡略化していきます。
簡略化した C メジャースケールのダイアトニックコードのディグリーネーム
簡略化した A マイナースケールのダイアトニックコードのディグリーネーム
このように、ディグリーネームを数字だけにすると、次のスリーコードと代理コード、コード進行の説明で
分かりやすくなります。そのためこの後の「2.スリーコードと代理コード」「3.TSD」ではこの 6 つのコー
ドを用いて説明していきます。
2.スリーコードと代理コード
6 つのダイアトニックコードの中でもスリーコードと代理コードに分けられます。スリーコードは 6 つのダ
イアトニックコードの中でもよく使われるコードでこの後、コード進行を考えていく中でも、主軸となる
コードになります。代理コードはスリーコード以外のコードで、スリーコードと入れ替えて使うことが出来
ます。
–
スリーコード
スリーコードとはダイアトニックコードのディグリーネーム「 I 」「 IV 」「 V 」のコードを指します。
↑C メジャースケールのスリーコード
↑A マイナースケールのスリーコード
–
代理コード
代理コードはスリーコード以外のダイアトニックコードになります。スリーコードと入れ替えて使うことが
出来ます。スリーコードだけを使うのではなくて、代理コードを曲中に織り交ぜることによって曲に深みが
増します。上のスリーコードだけでは物足りないときに代理コードを使ってみましょう。
↑C メジャースケールの代理コード
↑A マイナースケールの代理コード
スリーコード
I
IV
V
代理コード
III,VI
II
III
スリーコードに対応する代理コード
3.トニック・サブドミナント・ドミナント
コード進行というのはそもそも、安定しているコードから不安定なコードに向かって展開していき、安定し
たコードで終わるというのが一般的になります。つまり不安定なコードの状態では安定しているコードに向
かいたくなるという性質があるということです。そして先ほどのスリーコードにはそれぞれ安定している響
きのコードか、不安定な響きをしているコードかという性質と名前が決まっています。
–
トニック (T)
トニックは安定している響きのコードになります。スリーコードでいうと、「 I 」に当たるコードです。ト
ニックは曲の始めや曲の終わりなどに使うと曲が安定します。
–
サブドミナント (S)
サブドミナントは少し不安定な響きをしているコードになります。トニックや次に説明するドミナントに向か
いたくなる性質を持っています。スリーコードでいうと、「 IV 」に当たるコードです。
–
ドミナント (D)
ドミナントは不安定な響きを持つコードになります。トニックやサブドミナントの後に使われ、ドミナントの
後はトニックに戻りたくなる性質を持ちます。
これらをまとめると、トニック・サブドミナント・ドミナントは次のような動きが出来ます。
–
1. T→D→T (ドミナントからトニックに戻る)
–
2. T→S→T (サブドミナントからトニックに落ち着く)
–
3. T→S→D→T (サブドミナントからドミナントに展開しトニックに戻る)
この 3 つから TSD を組み合わせることによって曲のフレーズを作ることが出来ます。
また先程説明した代理コードを TSD に当てはめることが出来ます。それをまとめた表が次のようになります。
安定
少し不安定
不安定
TSD
トニック
サブドミナント
ドミナント
コード
I,III,VI
IV,II
V,III
TSD とコードの対応表
コード進行の例
それでは、トニック・サブドミナント・ドミナントを組み合わせた曲のコードの例をあげてみます
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カノン進行
クラシックで有名なカノンという曲にも使われているコード進行です
I - V - VI - III - IV - I - IV – V
これを TSD で表してみましょう
T–D–T–T–S-T–S-D
C メジャーコードに直してみるとこのようになります
C – G – Am – Em – F – C – F – G
このコード進行を分析してみると、初めの T-D-T、中盤の T-S-T、最後の T-S-D というように上手く
基本的な動きを組み合わせて作られています。
–
王道進行
こちらはポップスなどでよく使われるコード進行です
IV – V – III – VI
また TSD で表してみましょう
S-D-T–T
C メジャーコードで書くとこういうようになります
F – G – Em – Am
このコード進行は始め S から始まってますが、その後 D-T というように不安定な状態から安定に向
かっていき、解決していきます。
他にもコード進行はたくさんあります、自分でコード進行を考えて、作ってみるのが一番作曲の技術が上が
りやすいと思います