生物物理化学 タンパク質をコードする遺伝子(135~) 本PPT資料の作成には福岡大学機能生物研究室のホームページを参考にした。 http://133.100.212.50/~bc1/Biochem/index2.htm 1 DNA(デオキシリボ核酸)の化学的特徴 シャルガフ則とDNAのX線回折像をもとに,DNAの構造が予測され た(Watson & Crick、1953年)。 2 WatsonとCrickによるDNA(デオキシリ ボ核酸)の二重らせん構造の解明 DNAの構造:4種類の塩基 O NH2 N N NH N N H N H N NH2 N アデニン:A グアニン:G O NH2 NH N H チミン:T N O N H シトシン:C 4 O DNA(デオキシリボ核酸)の構造 アデニンとチミンの相補的結合 N N H N HN H N アデニン グアニン H O HN N O N H アデニンとチミンの水素結合 チミン 6 グアニンとシトシンの相補的水素結合 HN N N H グアニン グアニン N N O H H H O N N H HN シトシン シトシンとグアニンの水素結合 7 DNA(デオキシリボ核酸)の構造(135ページ) ヌクレオチドの構造式 塩基 Base 糖 OH HO P 5' O CH2 O O 塩基 H 4' H H 1' H 3' OH H 2' ヌクレイチド:塩基、デオキ シリボース(糖)、リン酸 ヌクレオシド:塩基が糖の1位 の炭素と結合したもの 8 DNAの構造:1本鎖DNA 5’末端 HO P O NH 2 5' N CH 2 N N 4' H O 1' H 3' O P N H CH 2 N N 4' H H 3' O P HO 1' H O O P 2' NH H O CH 2 O N O HO H 4' H 2' H H O 3' O NH 2 1' H H H NH O OH O 4' H O 2' O O N H H O N N O O NH 2 H2 C O 1' H H 3' 2' O H P OH 3’末端 小さな分子が集まって巨大分子に アデニル酸 2重らせん構造 1本鎖 10 DNAの主溝と副溝 副溝 主溝 11 主溝および副溝 (major and minor groove) 主溝 主溝 DNA鎖 H N H N N N N O HN CH3 N DNA鎖 H DNA鎖 O N N O 副溝 AT H N N H N GC 12 DNA鎖 N N H O H 副溝 N DNAの安定性 ATとGCの比率が2本鎖の安 定性を決める。 N N H N HN H N O HN N O N H HN N N H N N H H O N O H N H HN 13 DNAの構造 B-DNA細く長い A-DNA:太く短い Z-DNA:伸びて細い 14 DNAの構造(145ページ) A-DNA:太く短い B-DNA細く長い Z-DNA:伸びて細い 15 2本鎖DNA 配列に含まれるGC含量や塩濃度その他 の条件によって様々な構造をとる。構造は分類されて いるが、以下のA型、B型、Z型の3種類が主な分類で ある(C型はB型-グループに入る)。 2本鎖DNAの主な構造 らせんの 構造型 立体化学 A-DNA B-DNA C-DNA Z-DNA 右巻 右巻 右巻 左巻 らせん対称性 ピッチ長 (Å) 1回転あたりの塩基対の数 28.2 33.8 31 45 11 10 9.33 12 溝の幅(Å) 副溝 主溝 溝の深さ(Å) 副溝 主溝 11 5.7 4.8 2.7 2.8 7.5 7.9 9 2.7 11.7 10.5 16 13.5 8.5 7.5 染色体の構造 DNAの折りたたみ(146ページ) 17 細胞分裂とDNAの複製(149ページ~) 18 DNAの複製:細胞の周期 19 複製の開始点(複製起点 replication origin) 複製はDNAのどこから開始されるのか? 細菌の複製起点は、特有の短い繰り返し配列からなる約240塩基 対の領域で,普通,1ヶ所ある。酵母では、自律複製配列 (autonomously replicating sequence, ARS)と呼ばれる共通配列 がある。 AATTTCGTCAAAAAATGCT………ATTTAAGTATTG………TG AAAAGCAAGCA……CTAAACATAAAATCT……… [酵母の複製起点(ARS)] AとTに富む。赤で示す配列が必須で、下線部はその作用を増強す る。 20 DNAの複製:DNAポリメラーゼ 21 DNAの複製(DNAポリメラーゼ) 22 DNAの複製:DNA複製の機構 [DNAポリメラーゼの特徴のまとめ] •鎖の合成の開始はできない •DNAを鋳型として要求 •DNA親鎖を3'→5'方向に読み取り、 相補的なdNTPを娘鎖の3'末端に結 合(5'→3'方向に延長) •鎖の延長にプライマーを要求 •3'→5'DNA分解活性をもつ 23 DNAの複製(国立遺伝学研究所) http://www.nig.ac.jp/museum/dataroom/index.html 24 DNA複製の流れ テロメア 線状染色体の末端をテ ロメア(teromere)という。 テロメアは固有の塩基配 列が何度も繰り返した構 造をしている。たとえばヒ トではTTAGGG,テ トラ ヒメナではTTGGGGが 1000回以上繰り返して いる。また,この鎖の末 端は12~16塩基ほど突 テロメアは細胞の寿命を決める時計 出している。テロメアには テロメアがある長さまで短くなると、 TRF1やTRF2と いった, 細胞はそれ以上細胞分裂ができな 特有のタンパク質複合 体が結合してT-loop構 くなる。テロメアは細胞の寿命を決 める時計の役目を果たしている。ヒ 造をとり,突出した末端 を安定化している。 トの寿命もこれと関連していること が示唆されている。 33 4本鎖DNA 真核細胞の染色体末端はテロメアと呼ばれる。特別な構造をしており、ヒト の場合TTAGGGの繰り返しからなっている。しかも、末端のG-豊富配列は1 本鎖の部分が長く突出した構造をしている。最近、オリゴヌクレオチドを用い て、このようなG-豊富配列は4本鎖を形成することがわかり、テロメア配列は 生体内でも4本鎖を形成しているのではないかと考えられるようになった。こ のような特殊な場所以外でも、遺伝子中のG-豊富配列で4本鎖*が形成され ており、何らかの重要な役割を果たしていると予想されている 染色体 テロメ ア セン ト ロ メ ア 四角部分は四個の Gの相互作用を示 している。 5' 3' テ ロ メ ア 末端 (AATCCC)n 5' TTAGGGTTAGGG(TTAGGG)m 3' G- 豊富配列突起 G-4本鎖の模式図 4個のGでK+と相互 作用することで4本 鎖が安定化される。 34 折り畳み型の4本鎖 テロメアの末端突起部分は この様に分子内で折れ曲が って4本鎖を形成している と考えられている。 テロメア問題 線状DNAの複製のたび にテロメアは短くなる leading鎖上のDNAポ リメラーゼは合成を終 了すると離れてしまう が、その時、lagging鎖 の方の染色体末端の テロメア領域の一部は まだ複製に 手がつい ていない。従って、複 製のたびにlagging鎖 の5'端は短くなっていく。 また、leading鎖の5'端 のRNAプライマーも後 で分解される ので、こ ちらも短くなる。 35 PCR(Polymerase Chain Reaction) p159 1985年、Mullisによって考案された画期的なDNA増幅法であ る。1988年、耐熱性のDNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラー ゼ)が導入され、実用化された。 PCR法は次の3つの段階からなり,このサイクルを(1)~(3)を 20回ほど繰り返すことにより、短時間にかつ簡便にDNA断片を 百万倍以上に増幅できる。 (1) 2本鎖DNAの熱変性->1本鎖へ解離 (2) 2つのプライマーのアニーリング (3) DNAポリメラーゼによるDNA鎖の延長 36 PCR法について 増幅するDNAの範囲 は,設計したプライ マーの配列に依存す る。下の例ではプライ マーAとBで挟まれた 範囲だけが増幅され る。<PCRサイクル2> で初めて目的のDNA 断片が1組生成し (二重丸),以後は、n サイクルで、2n-n- 1組になる。 n=10→1,013組, n= 20→1,048,555組
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