平成26年度事業計画書

平成26(2014)年度
事
業
計
画
書
自
平成26(2014)年 4月 1日
至
平成27(2015)年 3月31日
公益財団法人
日 本 盲 導 犬 協 会
1.盲導犬育成事業
昨年度に引き続き、訓練・育成事業の共通項目として、①安定した盲導犬訓練育成シス
テムの体制整備(盲導犬の成功率の向上)、②盲導犬貸与8年後のハッピーリタイアメント
を保証する品質管理の充実、③繁殖医療研究の強化、この3つの主テーマを軸に、繁殖~
PW~医療・ケンネル業務~候補犬訓練~共同訓練~フォローアップ(FU)~ユーザーサ
ポートの一連したプロセスの改善活動を推進する。
訓練育成システムを見直し、
「繁殖計画=良質な子犬数の確保」
「パピー育成」
「訓練育成
技術の向上(スキルマップ活用)」
「共同訓練計画の精度改善(マッチング含む)」
「FUによ
る早期問題解決」に向けたシステムと医療、ケンネル、ボランティアコミュニケーション
等を改善する。
(1)視覚障がい者に対する歩行指導及び盲導犬貸与
本年度の盲導犬育成目標を 45 頭とし、視覚障がい者へ盲導犬を貸与する。
(2)盲導犬の認定
①当協会の正規の使用者証である「認定証」②海外からの旅行者に3ヵ月を限度とす
る「期間限定認定証」の発行を実施し、適正に盲導犬を認定する。
(3)犬の飼育及び訓練
①候補犬の訓練
本年度新たに候補犬 110 頭を訓練する。共同訓練に供するまでに、TP(Task
Performance)1、TP2、TPQ の3段階のテストを行い、盲導犬として認定できる
レベルになったQ犬を 50 頭以上作出する。
なお、前期からの訓練犬を含め、キャリアチェンジ犬は 70 頭前後となり、その
適正判断・飼育先選定等の効率的な業務運営改善を普及推進部と連携して図る。
②繁殖
計画的な繁殖・出産により、子犬を安定確保する。また、繁殖犬(特に雌)の増
強に取組む。
元気な子犬の出産と発育、安全で安心な産前産後をはかるために、繁殖犬の飼育
指導、改善を引き続き継続する。将来的には、凍結精液・受精卵移植等による出
産、育種学に基づく交配の実用化等を目指し調査研究の取組みを強化する。
③パピーウォーキング委託
110 頭の子犬をパピーウォーカー(PW)に委託する。
パピー飼育研修住宅の導入と富士ハーネスの幼犬社会化施設を整備し、パピー教
育の充実を図る。
④島根あさひ盲導犬パピープログラム
法務省所管のPFI事業である島根あさひ社会復帰促進センターにおける受刑者
教育としての盲導犬パピープログラムは6年目となる。受刑者によるパピー犬の育
成は、昨年度と同じく6頭を実施する。
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⑤引退犬飼育
本年度内に予定される盲導犬の引退は 20 頭前後である。富士ハーネス引退犬棟及
び引退犬飼育ボランティアと連携し、80 頭前後の引退犬を飼育する。
⑥犬舎管理
昨年度に引き続き、犬舎業務の質の向上と効率化を図る。獣医師の指導に基づき、
予防医療、公衆衛生学を基本とし、発病件数の軽減をすすめる。
さらに、訓練理論の知識や、拠点間でのスタッフ交流・研修機会を増やし、作業
の質の向上並びに均一化に取り組む。
⑦医療管理
犬舎における医療→協会獣医師による1次医療→大学獣医科病院における2次医
療体制を更に強化し、新たに緊急医療体制つくりに着手する。医療会議等で情報
共有を迅速に図り、ケンネル担当者と協同で予防医療を実施し、1次医療受診件
数を減少させる。
(4)盲導犬ユーザーに対するフォローアップ(FU)
①定期FU、②問題解決FU、③その他に分類されるFUのうち、共同訓練直後~1
年以内の定期FUの充実をはかる。盲導犬ユーザーの犬使用技術および管理意識を
より定着させ、問題の発生を未然に防ぎ安全確保を強化させる。
盲導犬の貸与を受けて1年以内の盲導犬ユーザーを対象に、盲導犬新ユニット出発
式を各訓練センターで実施し、同時にFUを宿泊型で実施する。
盲導犬ユーザーの盲導犬歩行状況等情報に基づき、安全性確保のために各訓練セン
ターあるいは現地での問題解決FUを行う。
(5)盲導犬訓練技術の向上
盲導犬訓練士、盲導犬歩行指導員の基礎訓練・共同訓練技術の向上をはかるため、
技術評価、スキルマップの活用による計画的OJT、集合研修を行う。
盲導犬歩行指導員養成は、プログラムに沿って計画的に実施する。
盲導犬歩行に関する新たな技術、実務的な研究を行い、研究発表大会を開催する。
(6)各種研修会への参加
協会内教育や各種研修会等への参加、自己研さんや自主研究を奨励する。
2.盲導犬歩行指導員等養成事業
(1) 付設盲導犬訓練士学校による盲導犬訓練士の養成
① 盲導犬訓練専修科 5 名に対して、訓練士養成カリキュラムに基づき養成する。
② 専修科は、准盲導犬訓練士として候補犬の訓練とともにユーザーへの理解を深める
実習を中心として盲導犬訓練士として必要な知識・経験を構築する為、昨年度に続
き、各センターの現場(主に仙台、富士宮)にて実践教育プログラムを計画する。
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なお、専修科に在学中に、連合会主催の盲導犬訓練士資格試験の受験に必要な要件
を満たし、受験を推薦できる訓練技術レベルに達するように指導する。
(2) 盲導犬歩行指導員の養成
盲導犬訓練士有資格者(歩行指導員研修生)に対して、連合会主催の盲導犬歩行指
導員資格試験の受験を推薦できる指導技術レベルに達するように計画的に指導す
る。
3.調査研究事業
(1)盲導犬の人工繁殖・育種技術の導入研究の継続
①盲導犬の人工妊娠技術(受精卵移植等)を調査検討し、将来の実用化を検証する。
②協会犬の家系図を作成し、疾病及び適性との関連を調査、交配の基礎データを得る。
③血統情報に基づく繁殖犬の選抜方法を早急に確立する。また犬種共通疾患調査を強化
する。
(2)その他研究協力
大学研究者が行う「盲導犬の早期合否予測に関する研究」「母イヌの養育行動と仔
イヌの成長後の気質」「犬の脳波と盲導犬成功率(稟性)との関連性」等の研究に
協力する。
これらの研究成果を試験的に導入し、実績評価並びに効果検証に取組む。研究の重
要性を鑑み、将来的にガイドドック研究所設置に役立てる。
4.ユーザーサポート事業
(1)盲導犬歩行についての理解促進と更生相談
視覚障がい者への盲導犬歩行についての理解促進をはかり、視覚障がい者の移動に
関する更生相談及び以下の説明会等を実施する。なお、新たな取り組みとして、盲
導犬希望者に対する“事前訓練”を訓練部と共同で実施する。
盲導犬体験歩行会(日帰り)
45回
盲導犬説明会(1泊2日)
33回
盲導犬取得事前訓練
10名
(2)ユーザーコミュニケーション
盲導犬ユーザーの盲導犬歩行状況や生活状況の把握および情報管理を行う。盲導犬の
定期健康診断、歩行状況定期報告などを分析し、課題の早期発見につとめ、訓練部に
有用な情報を提供する。特に代替え時期のユーザーに対してきめの細かい相談に応ず
る。
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(3)視覚障がい者在宅生活訓練(白杖歩行訓練等)
4 センターで400コマ以内の在宅訓練を実施する。
(4)更生相談
盲導犬希望者、盲導犬ユーザー、短期リハ希望者、歩行訓練希望者、その他の当事
者の相談に応じる。
(5)短期リハビリテーション
仙台訓練センター及び神奈川、島根センターにて9回開催する。
(6)視覚障がい児キャンプ(短期社会適応訓練)
仙台訓練センターで開催する。将来の盲導犬ユーザーを育て、視覚障がい児のQO
Lの向上に貢献する。
(7)各種研修会への参加
①各種学会等への研究発表を促進し、職員を派遣する。
②各種研修会、講習会への参加を進め、参加職員の報告を共有することで職員の質の
向上をはかる。
(8)講師派遣
センター近県の関係団体の要望に応じ講師派遣を行う。
(9)パートナーズを年 4 回発行する
5.普及啓発事業
視覚障がいと盲導犬について、多くの市民に正しい理解を得ることを目的とした普及啓発
活動を推進し、視覚障がい者が盲導犬と共に行きたい時に行きたい場所に行くことができる
快適な社会を目指す。
また、支援者への感謝とコミュニケーションを大切にし、「 Heart to Heart 」の精神で
普及啓発活動を愚直に取り組む。
(1)センター内啓発活動
各訓練センターでは、多くの市民・団体の方々に盲導犬デモンストレーションや、盲
導犬ユーザーの講話を提供する。視覚障がい者の介添方法などの学習で、視覚障がい
者が社会参加しやすい社会を醸成していく。
①富士ハーネス
個人・団体の見学者を受入れ、盲導犬デモンストレーションやふれあいを通じて盲
導犬と視覚障がいへの理解を促進する。
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②その他のセンター
定期的な見学会を実施。盲導犬ユーザーの講話や、盲導犬体験歩行をすることで、
盲導犬と視覚障がいに対する理解促進をはかる。また、学校・団体からの依頼に対
し見学会を行い福祉教育の一翼を担う。
(2)センター外啓発活動
多くの市民が集うさまざまな場所へ盲導犬の受入れ促進、盲導犬と視覚障がいへの理
解につなげるため積極的に訪問する。盲導犬体験歩行やふれあい活動を実施し、多く
の情報を発信する。
①小中学校キャラバン
全国の小中学校への訪問活動を積極的に実施。次世代を担う児童・生徒達に盲導犬と
視覚障がいの正しい情報・知識を提供する。
②受入れセミナー
小売店・飲食店・宿泊・交通事業者向けに実施し、視覚障がい者を取り巻く社会環境
整備と受入れが当たり前となる地域づくりを目指し、理解を深める。
③ふれあい広場
大型商業施設の協力を得て、盲導犬とのふれあい活動や盲導犬デモンストレーション
を実施し、多くの方々への理解を促進する。
④団体での啓発活動
盲導犬ユーザー・ボランティアと街頭に立ち、啓発活動を展開する。通行する方々へ
メッセージを発信し、盲導犬事業への理解に努める。
⑤首長訪問
盲導犬ユーザー在住地域の首長訪問を行い、住みやすい街造りの協力を依頼する。
また、報道機関の協力を得て、多くの市民に情報発信する。
⑥その他
第22回盲導犬育成チャリティゴルフ大会を開催
開催日 9月2日(火)
会場 厚木国際カントリー倶楽部
(3)広報
①協会活動の広報
ACジャパンCMと連動した集中的な広報活動を行い、盲導犬への理解を浸透させ
る。
②会報誌(盲導犬くらぶ)の発行・発送
年4回の発行・発送、訓練現場の情報をより深く伝えていく。
③刊行物の企画・管理
あらたにPR資料写真を撮影しアーカイブ化を進める
メディア掲載や活動報告をとりまとめた冊子を作成する
④ホームページ運営・電子コンテンツ管理の充実
現在のIT環境に即したHPを構築するため、リニューアルを行う。
ツイッターに続き、あらたにブログを開設、より身近な情報を提供していく。
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⑤情報管理
内外の情報管理を徹底し、危機管理広報の体制強化を図る。
⑥国際盲導犬連盟セミナー開催へ向けた準備
国際盲導犬連盟セミナーHPの運営・参加申し込みの管理を行う。
6.関係団体協力事業
(1)日本盲導犬協会ユーザーの会、ボランティア委員会との協力・連携を深め、協会事業
の発展と事業の質を向上させる。
(2)全国盲導犬施設連合会、全日本盲導犬使用者の会、アジア・ガイドドッグ・ブリーデ
ィング・ネットワーク(AGBN)、日本身体障害者補助犬学会と協力・連携し、盲
導犬育成の一層の充実と発展をはかる。
(3)日本盲人社会福祉施設協議会、日本動物病院福祉協会、視覚障害リハビリテーション
協会、県市社会福祉協議会、介助犬育成団体、聴導犬育成団体等と協力し、福祉事業
としての一層の充実と発展をはかる。IGDF繁殖ワークショップに引き続き
(4)国際盲導犬連盟への協力
2014年5月開催の国際盲導犬連盟セミナーおよび繁殖ワークショップをホスト
団体として開催する。
7.その他
(1) ACジャパンの支援による盲導犬啓発CMの実施
(2) 人材育成
①自由研究・調査、自己啓発、QC サークル活動を積極的に応援する。
②調査・研究・QC 活動を発表する研究発表大会を開催する。協会内発表を経て、学
会等へ積極的に発表する。
(3) 東日本大震災支援
同行援護従事者研修会を実施し、視覚障がい支援団体、支援者と連携を強化する。
日本盲人福祉委員会に設けられた視覚障害者災害支援体制検討委員会に協力する。
被災地域にある仙台訓練センターを中心に、必要な支援、実態の調査、調査結果に
基づく更生相談、リハビリテーション支援を行う。
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