学習院大学の中間試験

解析学総論、中間試験 実施日11月26日 水曜日3限 澤野
問題 1. BC 1 (R) で,C 1 -級の関数 f : R → R 全体で f, f ′ が有界なもの全体を表すことにする.
2
この線形空間にノルム ∥f ∥BC 1 = sup |f | + sup |f ′ | を与える.f (x) = e−x のノルムを計算せよ.
問題 2.
1 1 1
(−1)n−1
− + − ··· +
+ · · · の値を求めよ.
2 5 8
3n − 1
問題 3. 正値可測関数 f : R → [0, ∞) につき,次の (A), (B), (C) は同値であることを示せ.
(A) f は可積分である.
∫ ∞
xh − sin(xh)
(B) sup
f (x)
dx < ∞
x3 h3
h>0 0
√
∫
f (x)(1 + |x|)
(C)
dx dy < ∞
1 + |x| + y 2
R2
)
∫ ∞ (∫ ∞ −y
e sin y
dy dx を求めよ.
問題 4. 積分
y
0
x
∫ 1
問題 5. lim
nxn sin x dx を求めよ.
n→∞
0
問題 6. 1 < p < ∞, 1 < q < ∞ が関係式
1 1
+ = 1 を満たしているとする.
p q
(1) b > 0 を固定する.x ≥ 0 を変数とする f (x) =
1 p 1 q
x + b − bx の最小値とそのときの x の
p
q
値を求めよ.
(2) t, a, b > 0 とするとき,不等式
tp p t−q q
a +
b ≥ ab を示せ.また,等号成立条件を調べよ.
p
q
(3) (X, B, µ) を測度空間とする.
(∫
∫
)1/p (∫
|f (x)g(x)| dµ(x) ≤
X
)1/q
|g(x)|q dµ(x)
|f (x)|p dµ(x)
X
X
を示せ.
問題 7. 1 < p < ∞, (X, B, µ) を測度空間とする.可測関数 f, g : X → C が 0 < I, J < ∞
(∫
)1/p
を満たしているとする.ただし,I = ∥f ∥Lp (µ) =
|f (x)|p dµ(x)
, J = ∥g∥Lp (µ) =
X
(∫
)1/p
|g(x)|p dµ(x)
とおいた.
X
)p
( )p
( )p
(
I
A
J
B
A+B
≤
+
を示せ.
(1) 0 以上の実数 A, B ≥ 0 について,
I +J
I +J I
I +J J
(2) (1) で特に A = |f (x)|, B = |g(x)| として積分することにより,
(∫
)1/p (∫
)1/p
p
p
|f (x) + g(x)| dµ(x)
≤
(|f (x)| + |g(x)|) dµ(x)
≤ ∥f ∥Lp (µ) + ∥g∥Lp (µ)
X
X
を示せ.
1
問題は以上.
【注意】問題6,7は重要な問題なので,これら2問に限り事後レポートを認め
る.ただし,12月10日の答案返却日の前にそれを提出すること.提出したレポートは該当す
る問題の失点を最大全てまで埋め合わせられる.
2
√
′
−x2
問題 1. sup |f | = 1 である.f (x) = −2xe
√
2
∥f ∥BC1 = 1 +
となる.
e
′
より,sup |f | =
2
でこれらを足し合わせて
e
∫ 1
∫ 1
1
x
=
x3n−2 dx であるから,求める無限級数を
dx と表せる.この積
3+1
3n − 1 √ 0
x
0
log 2
3
分を計算して,
π−
となる.
9
3
問題 2.
問題 3.
1. (A) を仮定すると,0 ≤
∫
1
t − sin t
≤ であるから,
t3
6
∞
sup
h>0
f (x)
0
xh − sin(xh)
1
dx ≤
3
3
x h
6
∫
∞
f (x) dx < ∞
0
となる.
2. (B) を仮定すると,ファトゥの補題から,
∫
∫ ∞
∫ ∞
xm−1 − sin(xm−1 )
xh − sin(xh)
1 ∞
f (x) dx =
lim f (x)
≤
sup
f (x)
dx < ∞
3 m−3
m→∞
6 0
x
x3 h3
h>0 0
0
となるから,f は可積分である.
3. (C) の積分式は f ≥ 0 であるから,フビニの定理を用いて
√
√
∫
∫
f (x)(1 + |x|)
f (x)(1 + |x|)
1
√
dx dy =
dx
1 + |x| + y 2
π R
1 + |x|
R2
と書きなおせる.ここで,
1+
√
√
√
|x| ≤ 2 1 + |x| ≤ 2 + 2 |x|
であるから,(C) と (A) が同値になる.
問題 4. まず,
∫
0
∞
(∫
∞
x
e−y | sin y|
dy
y
)
∫
∞
(∫
dx =
∫0 ∞
=
∫
0
≤
∞
0
y
e−y | sin y|
dx
y
)
dy
e−y | sin y| dy
e−y dy = 1 < ∞
0
であるから,フビニの定理を使える状況にある.したがって,
)
)
∫ ∞ (∫ ∞ −y
∫ ∞ (∫ y −y
∫ ∞
e sin y
1
e sin y
dy dx =
dx dy =
e−y sin y dy = < ∞
y
y
2
0
x
0
0
0
となる.
3
∫
∫
1
√
√
n
問題 5. 変数変換により lim
nx sin x dx = lim
y sin n y dy であるが,0 ≤ y ≤ 1 の
n→∞ 0
n→∞ 0
√
√
とき,0 ≤ n y sin n y ≤ 1 だから,ルベーグの収束定理が使えて,
1
n
∫
1
n
lim
n→∞
∫
1
nx sin x dx = lim
0
n→∞
√
√
n
y sin n y dy =
0
が得られる.
4
∫
1
√
√
lim n y sin n y dy =
0 n→∞
∫
1
sin 1 dy = sin 1
0