微積分のまとめ

微積分のまとめ
1 1変数の微分・積分
1.1 微分
1. 微分の定義
df (x)
f (x + ∆x) − f (x)
= lim
,
∆x→0
dx
∆x
(
)
d
′
f (x), f (x) と書くこともある。
dx
(1)
2. 積の微分
f (x + ∆x)g(x + ∆x) − f (x)g(x)
d
(f (x)g(x)) = lim
∆x→0
dx
∆x
1
{(f (x + ∆x)g(x + ∆x) − f (x)g(x + ∆x)) +(f (x)g(x + ∆x) − f (x)g(x))}
= lim
∆x→0 ∆x
{
}
(f (x + ∆x) − f (x))
(g(x + ∆x) − g(x))
= lim
g(x + ∆x) + f (x)
∆x→0
∆x
∆x
df (x)
dg(x)
=
g(x) + f (x)
(2)
dx
dx
d
df (x)
特にf (x) = g(x) とおくと、 f (x)2 = 2
f (x)
(3)
dx
dx
3. 関数の関数の微分(合成関数の微分)
d
f (g(x + ∆x)) − f (g(x))
(f (g(x))) = lim
∆x→0
dx
∆x
df (g) dg(x)
f (g(x + ∆x)) − f (g(x)) (g(x + ∆x) − g(x)
=
= lim
∆x→0
g(x + ∆x) − g(x)
∆x
dg
dx
(4)
(5)
4. 種々の関数の微分
(a)巾関数
d 0
1−1
x = lim
=0
∆x→0 ∆x
dx
(x + ∆x) − x
d
x = lim
=1
∆x→0
dx
∆x
d 2
d
d
x = x x + x x = x + x = 2x
dx
dx
dx
d 3
d
d
x = x2 x + x x2 = x2 + 2x2 = 3x2
dx
dx
dx
d n
これを繰り返して
x = nxn−1 (n ≥ 0)
dx
1
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
d
dx
(
1
x
x
)
=
d
1=0
dx
(11)
左辺は
d
dx
( )
1
d 1
1
x
=x
+
x
dx x x
(12)
とも書けるので
1
d 1
=− 2
dx x
x
d 1
1 d 1
2
=2
=− 3
2
dx x
x dx x
x
d 1
これを繰り返して
= −nxn+1 ((10) で n が負の場合に対応)
n
dx x
(13)
(14)
(15)
(b)三角関数とその微分
i. 弧度法
x rad
sin x
x
cos x
1
この角度を x rad と言う。たとえば、180◦ = π rad。普通、数学や物理では rad
はいちいち書かない(弧度法を使うのが常識なので)。
ii. 微小な角の三角関数 |x| ≪ 1 のとき、図から明らかなように
cos x ≃ 1
(16)
sin x ≃ x
(17)
cos(x + y) = cos x cos y − sin x sin y
(18)
sin(x + y) = sin x cos y + cos x sin y
(19)
iii. 加法定理
図を描いてみれば明らか。
これらを利用して、次の公式が得られる。
2
iv. 三角関数の微分
d
cos(x + ∆x) − cos x
cos x = lim
∆x→0
dx
∆x
cos x cos ∆x − sin x sin ∆x − cos x
= lim
∆x→0
∆x
cos x − sin x∆x − cos x
= lim
= − sin x
∆x→0
∆x
d
sin(x + ∆x) − sin x
sin x = lim
∆x→0
dx
∆x
sin x cos ∆x + cos x sin ∆x − sin x
= lim
∆x→0
∆x
sin x + cos x∆x − sin x
= lim
= cos x
∆x→0
∆x
(20)
(21)
(c)指数関数とその微分
次の関係を満たす関数を考える
df (x)
= f (x),
dx
f (0) = 1
(22)
(23)
つまり変化率が自分自身に比例する関数である。*1 ただし、ここでは、比例定数を 1 と
し、x = 0 での値を 1 とする。
この関数がどんな関数かを微分の定義に従って求めてみよう。x を 0 から微少量 ∆x
ずつ一歩一歩増やしていくとき、f (x) がどのように変わっていくかを見てみる。
f (x + ∆x) ≃ f (x) + ∆x
df (x)
= f (x) + ∆xf ′ (x)
dx
(24)
とみなせるから*2 、たとえば
f (∆x) ≃ f (0) + ∆xf ′ (0) = f (0) + ∆xf (0) = 1 + ∆x
f (2∆x) ≃ f (∆x) + ∆xf ′ (∆x) = f (∆x)(1 + ∆x) = (1 + ∆x)2
f (3∆x) ≃ f (2∆x) + ∆xf ′ (2∆x) = f (2∆x)(1 + ∆x) = (1 + ∆x)3
(25)
これを繰り返すと
f (n∆x) ≃ (1 + ∆x)n
*1
(26)
このような現象は自然科学の様々な場面で現れる。放射性元素の崩壊、生物の増殖や突然変異、空気抵抗のある質
点の速度など。
*2 この関係式は ∆x → 0 の極限で厳密に正しい
3
n∆x = x とおくと
(
x )n
f (x) = 1 +
=
n
((
1
1+
t
)t )x
(t =
n
とおいた)
x
(27)
この関係式は ∆ → 0 の極限で厳密に正しい。今 x を有限の値とすると、n → ∞ で
なくてはならず、t → ∞ でなくてはならないのでそのことをあからさまに書くと
((
f (x) = lim
t→∞
1
1+
t
)t )x
(
)t
1
e = lim 1 +
t→∞
t
(28)
(29)
とおくと、この値はネピア数(あるいは自然対数の底)と呼ばれ、有限の値 (≃
2.71828...) の無理数になる事が知られている。
従って f (x) = ex となる。これを (e を底とする) 指数関数という。分野や問題によっ
ては一般の底の指数関数 ax や 10 を底とする指数関数 10x も使う事があるが、通常、
物理では指数関数と言えば e を底とする指数関数を指す。
指数関数の微分は定義により
dex
= ex
dx
(30)
であり、何回微分しても形は変わらない。
なお、数学的には e を底とする指数関数が一番扱いやすいので、もっぱらこれを用い、
単に指数関数といえばこれを指す。
(d)対数関数とその微分
ef (x) = x を満たす f (x) を x の自然対数と呼び、f (x) = ln x と書く。物理では指数
関数の場合と同様もっぱらこれを使う。
def (x)
df (x)
= ef (x)
=1
dx
dx
(31)
従って
df (x)
1
1
= f (x) =
dx
x
e
(32)
従って
d ln x
1
=
dx
x
である。
4
(33)
(e)一般の底の指数関数・対数関数
一般に ax (a > 0) を a を底とする指数関数と呼ぶ。10 進法では、a = 10 ととると、
10x がちょうど1の後に 0 を x 個つけた数を表す(x + 1 が桁数)ので便利である。
数値の表現などにはこの表記がよく使われる。a = eln a なので
ax = e(ln a)x
(34)
dax
de(ln a)x
=
= (ln a)e(ln a)x = (ln a)ax
dx
dx
(35)
一般の底の指数関数の微分
a を底とする指数関数の逆関数を a を底とする対数関数と呼び loga x と書く。す
なわち、x = ay のとき y = loga x である。10 を底とする対数は常用対数という。
1 + log10 x の整数部が 10 進法での桁数を表す。
y = loga x とおくと
x = ay = e(ln a)y = e(ln a) loga x
(36)
ln x = (ln a) loga x
(37)
ln x
ln a
(38)
loga x =
一般の底の対数関数の微分
d loga x
1 1
1
=
=
dx
x ln a
x ln a
(39)
(f)指数関数と三角関数の関係
上と同じように考えると
df (x)
= if (x),
dx
f (0) = 1 (i は虚数単位)
(40)
を満たす関数は
f (x) = eix
(41)
f (x) = cos x + i sin x
(42)
であるはずだが、
も (40) を満たすことは、3角関数の微分の公式を使えばすぐ分かる。従って
eix = cos x + i sin x
(43)
であることがわかる。これをオイラーの公式という。特に、x = π ととると
eiπ = −1
である。
5
(44)
1.2 積分
1. 積分の定義
区間 [a, b] で関数 f (x) が定義されているとき、区間 [a, b] を N 個の微小区間に分割し、和
(
)
b−a
f (xi )∆x
∆x =
N
i=1
N
∑
(45)
を考える。分割を無限に細かくした極限を f (x) のこの区間での定積分と呼び
∫
b
f (x)dx = lim
N →∞
a
N
∑
f (xi )∆x
(46)
i=1
と表す。
特に
∫
F (x, a) =
x
f (x)dx
(47)
a
と書くと
d
F (x, a) = lim
∆x→0
dx
∫ x+∆x
f (x)dx
f (x) x
dx
f (x)∆x
= lim
=
= f (x)
∆x→0
∆x
∆x
∆x
∫ x+∆x
x
(48)
なので、a の値によらず、F (x, a) を微分すれば f (x) になる。
一般に、微分すると
f (x) になる関数を f (x) の原始関数(不定積分) と呼び、上限・下限
∫
を明記せずに
f (x)dx と書く。上の F (x, a) は f (x) の原始関数の一つである。F (x) が
f (x) の原始関数であるとき、F (x) + C(C は任意の定数) も f (x) の原始関数なので、普
通、原始関数は ... + C という形に書き表す。C を積分定数と呼ぶ。
f (x) の原始関数の一つを F (x) と書くと、定積分は
∫ b
b
f (x)dx = F (b) − F (a) これを F (x)|a と書く
(49)
a
と書ける。積分定数は差し引き消えてしまうことに注意。
2. 原始関数の例
微分の公式を逆に使えば色々な関係が得られる。(10) より
∫
xn dx =
その他
∫
sin xdx = − cos x + C,
xn+1
+ C (n ̸= −1)
n+1
∫
(50)
∫
cos xdx = sin x + C,
6
∫
x
x
e dx = e + C,
1
dx = ln x + C
x
(51)
3. 積分変数の変換 x = g(u) と書くと
∫
∫
b
β
f (x)dx =
a
f (g(u))
α
dg
du, g(α) = a, g(β) = b
du
(52)
例
∫
b
∫
√
b
√ du2
u2
du (x = u2 とおいた)
√
du
a
√
√b
∫ b
2 2
= √ 2u2 du = u3 √ = (a3/2 − b3/2 )
3
3
a
a
√
xdx =
a
(53)
(54)
4. 部分積分
d
df (x)
dg(x)
(f (x)g(x)) =
g(x) + f (x)
dx
dx
dx
(55)
の両辺を積分すると
b ∫
f (x)g(x) =
b
a
df (x)
g(x)dx +
dx
∫
b
dg(x)
dx
dx
(56)
b ∫ b
df (x)
dg(x)
g(x)dx = f (x)g(x) −
dx
f (x)
dx
dx
a
a
(57)
a
∫
b
a
7
f (x)
a