遠心力とコリオリ力の導出 平成 26 年 7 月 22 日 質点が角速度ωで回転する物体の上で運動している状況を考えよう(図1)。この質点 の位置を、地上に固定した座標系(地 上 座 標 系 )と、回転体に固定した座標系(回 転 座 標 系 )の二通りの座標系で表そう。地上座標系で表した質点の位置を r で表し、回 転座標系で表した質点の位置を r ’と表すことにする。 r’ r 0 図1:地上座標系と回転座標系で見た質点の位置。 この質点を地上から見た時の速度は、 「回転座標系で観測した速度」に、 「回転座標系が 回転することによる回転速度」を加えたものになることは、直感的にも明らかだろう。 このことを式で表せば、次の式のようになる。 dr dr' = +ω × r dt dt € (1) ここで左辺は地上系における時間微分であり、右辺第一項は回転座標系における時間微 分であることに注意してほしい。このことをきちんと区別するために、次のような微分 演算子を定義しよう。 dr " dr % =$ ' dt # dt & f € (2) dr' " dr % =$ ' dt # dt & r € (3) 式(3)の右辺の操作は、「地上座標系での位置 r を回転座標系での位置 r’に直してか ら時間微分する」という意味である。これらの演算子を用いて、式(1)を、 " dr % " dr % $ ' = $ ' + ω × r (4) # dt & f # dt & r と書き直す。式(4)は、地上座標系で見た位置 r に、演算子 € "d% "d% $ ' = $ ' + ω × (5) # dt & f # dt & r を作用させたものと見なすこともできる。 € さて、式(4)は地上座標系で観測した速度であるから、同じく地上座標系で観測した "d% ' を両辺に作用させてみよう。すると、 # dt & f 加速度を求めるために、 $ " d 2r % " d % *" dr % $ 2 ' =$ ' € ,$ ' + ω × r / # dt & f # dt & f +# dt & r . (6) となる。式(6)の右辺は、 € " d % *" dr % $ ' ,$ ' + ω × r / # dt & f +# dt & r . *" dr % " d % *" dr % = $ ' ,$ ' + ω × r / + ω × ,$ ' + ω × r / # dt & r +# dt & r . +# dt & r . " d 2r % 0" dω % " dr % 3 " dr % = $ 2 ' + 1$ ' × r + ω × $ ' 4 + ω × $ ' + ω × (ω × r) # dt & r 5 # dt & r # dt & r 2# dt & r " d 2r % " dω % " dr % = $ 2 ' +$ ' × r + 2ω × $ ' + ω × (ω × r) # dt & r # dt & r # dt & r € (7) となる。ここで、ベクトル積の微分の公式、 d dA dB (8) ×B+A × (A × B) = dt dt dt € を用いた注1。式(7)の結果を式(6)に代入し、両辺に質量 m をかけて式を整理す ると、 " d 2r % " d 2r % " dω % " dr % m$ 2 ' = m$ 2 ' − m$ ' × r − 2mω × $ ' − mω × (ω × r) # dt & r # dt & r # dt & r # dt & f (9) となる。式(9)の左辺は、回転座標系(つまり非慣性系)で物体を観測した時に、質 € 点に働いていると見なされる力を意味する。その内訳は右辺の4つの項であり、右辺第 一項は地上座標系で物体に働いている外力、残りは全て見かけの力である。ここで、右 辺第二項は、もし回転座標系(回転体)の回転角速度が一定であれば0になることに注 意しよう。右辺第三項と第四項がそれぞれコリオリ力、遠心力に相当する。 (注1)証明は簡単なので省略。ベクトル A、B を成分で表示し、両辺をそれぞれ計 算してみるとよい。
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