NO1 基礎事項の復習(単振動、速度に比例する抵抗力) バネの単振動の復習 自然長からの伸びがxのとき、 運動方程式 m d 2x dt 2 kx 単振動の微分方程式 d 2x dt 2 2 x k m ただし、 変位 x(t)の一般解 A:振幅 x(t ) 速度 v(t)の一般解 δ:位相として、 A cos( t ) dx dt v(t ) (1) A sin( t ) (1') または、A,Bを定数として、 x(t ) A cos t B sin t 周期 T 特殊解 ・・ 2 2 m k v(t ) (2) A sin t B cos t (2') 質量mとバネ係数kのみで決まる。 初期条件で決める。t=0で x(0)=x0,v(0)=v0のとき、 t=0を一般解(2)、(2')に代入して、 (2)より x(0) A x 0 (2')より v(0) B v0 B この A,B を(1')に代入すると、t=0で x(0)=x0,v(0)=v0 を取る解は x(t ) x 0 cos t v0 sin t ただし、 - NO1- 1 - k m v0 (例題1)バネ定数k= 100(N/m)のバネをなめらかな水平面上に置き、一端を壁に固定し、 他端に質量m= 2.0(kg)の物体をつけて振動させた。 m= 2.0(kg)、k= 100(N/m)の場合、変位がxの時のバネの力は (1) 力 F=- 100 x : 運動方程式 2.0 : 単振動の方程式 角振動数 d 2x dt 2 d 2x dt 2 : 50 : この数字がω2 100 x 100 x 2 5 50 x 2 (2) この一般解は、(a)、(b)どちらの形で書いても良い。 (a) 振幅をA,初期位相をδとすると、 x(t ) 周期は A cos(5 2 t 2 T 2 (b) A,Bを定数として、 x(t ) ) 1 A cos 5 2 t B sin 5 2 t 2 5 5 2 ωに数値を入れること! 速度の一般解 v(t)は、前問の変位 x(t)の一般解を微分して、 (3) (a) (b) 5 2 A sin(5 2 t v (t ) ) v (t ) 5 2 A sin 5 2 t 5 2 B cos 5 2 t はじめに 10(cm)だけ伸ばした状態で、静かに手を離したとき、 (4) (ⅰ) 初期条件は x0= 0.10(m) ・・(a) v0= 0(m/s) ・・(b) (ⅱ) 一般解(2)、(3)の(b)にt=0を代入して、x(0)、v(0)を求める。 cos 0=1,sin 0=0に注意して、 x(0)= Acos 0+ Bsin 0= A v ( 0) (ⅲ) ・・(a)’ 5 2 A sin 0 5 2 B cos 0 5 2 B 初期条件のx0、v0 (b)' が一般解でt=0と置いた x(0)、v(0)と等しいので、 (a)=(a)’ (b)=(b)’ A= 0.10 (ⅳ) 5 2B 0 t秒後の変位はこの A,B を(2)(b)に代入して、 x(t ) 0.10 cos 5 2t - NO1- 2 - B 0 ( 5) x (t ) 0.10 cos 5 2t これは、振幅 0.10(m)、周期 の cos グラフは以下のようになる。 2 5 関数なので、 グラフの書き方の注意 ○ 振幅A(最大値)、周期(1 周するまでの時間)の目盛りを入れる ○ 関数形(sin か cos か)を確認する x(t) 振幅 A= 0.1(m) t(s) 2 5 周期 特殊解の求め方 ① 題意より初期条件x0、v0 を読み取る。 ② 一般解 x(t)= Asin ωt+ Bcos ωt ・・(*) v(t)= A ω cos ωt- B ω sin ωt にt=0を代入し、 x(0)= Asin 0 + Bcos 0 = B v(0)= A ω cos 0 - B ω sin 0 = A ω ③ ①=②より、 x(0)= B =x0 v(0)= A ω=v0 定数A,Bが、初期位置x0 ④ このA,Bを一般解 ∴ A=v0/ω と初速度v0 で求められる。 (*)に代入し、 x(t)=x0 cos ωt+v0/ω・sin ωt 定数A,Bが初期条件x0 とv0 で書け、特殊解が求められる。 - NO1- 3 - (問)バネ定数k= 200(N/m)、質量m= 2.0(kg)とする。自然長からの変位がxの時、運 動方程式を書き、角振動数、一般解、振動の周期Tを求め、以下の場合の特殊解を求めよ。 力 F=- 200 x : 運動方程式 2.0 : 単振動の方程式 角振動数 d 2x dt 2 200 x d 2x dt 2 : この数字がω2 200 x 2 100 x 100 10 : よって、一般解はA,Bを定数として、 x(t ) 周期は T A cos 10 t B sin 10 t 2 2 1 10 /5 変位の一般解 x(t)を微分して、速度 v(t)の一般解を求めると、 v(t ) dx dt 10 A sin 10 t 10 B cos 10 t (1)はじめに自然長の位置に置き、伸ばす方向に速度 10m/s を与えたとき 初期条件 x0=0, v0= 10 となる。 一般解 x(t)= Acos ωt+ Bsin ωt ・・① v(t)= A ω sin ωt- B ω cos ωt ・・② 但し、ω=10 にt=0を代入し、(a)の場合と同様にして、 x(0)= Acos 0+ Bsin 0= A ・・①’ v(0)=Aω sin 0- B ω cos 0= B ω ①’=x0=0より、 A=0 ②’=v0= 10 B ω= 10 ∴ この A,B の値とω=10 x(t ) 10 sin 10 t 10 ・・②’ B = 10/ω 但し、ω=10 但し、ω=10 を①式に代入して、 sin 10 t この変位 x(t)は、振幅1、周期π/5 の sin 関数なので、グラフは下図のようになる。 - NO1- 4 - x(t) 振幅 A 1 1 t(s) 5 -1 (2) 周期 はじめに 20(cm)縮めて静かに手を離したとき、 初期条件 x0=- 0.10, v0=0 となる。 縮んだときは 変位はマイナス 一般解 x(t)= Acos ωt+ Bsin ωt ・・① v(t)=- A ω sin ωt- B ω cos ωt ・・② 但し、ω=10 にt=0を代入し、(1)の場合と同様にして、 x(0)= Acos 0+ Bsin 0= A =x0=- 0.10 ∴ A =- 0.10 v(0)=-Aω sin 0+ B ω cos 0 = B ω=v0=0 ∴ B =0 この A,B の値とω= 10 を①式に代入して、 x (t ) 0.10 cos 10 t 特殊解 振幅 0.1(m) 5 周期 5 - NO1- 5 - π/5 (3) はじめに 10cm 縮めた状態から、速度 10m/s で更に縮めたとき 初期条件 x0=- 0.10, v0=- 10 となる。 縮んだときは 縮む向きの速度はマイナス 変位はマイナス 伸ばす向きのときはプラス 一般解 x(t)= Acos ωt+ Bsin ωt ・・① v(t)=- A ω sin ωt+ B ω cos ωt ・・② 但し、ω=10 にt=0を代入し、初期条件と等しいとして、 x(0)= Acos 0+ Bsin 0= A =- 0.10 A=- 0.10 ∴ v(0)=-Aω sin 0+ B ω cos 0 = B ω=- 10 B =- 10/ω ∴ これにω=10を代入すると、 B=-1 この A, B の値 を①式に代入して、 x(t ) 0.10 cos 10 t sin 10 t 特殊解 (例題2)単振り子 (1)糸が鉛直となる角度がθの時、物体に働く力は 右図のように、 重力mg(鉛直下向き)と 張力 T(糸に沿って中心向き) (2) 張力Tは中心方向、 重力mgを接線方向と中心方向に分解する。 接線方向:θが増える方が正なので、 FT = -mgsinθ ・・① = T - mgcosθ 中心方向 FN ・・② (3)振り子が鉛直と角度θをなす時、接線方向と中心方向の運動方程式は、 <接線方向> <中心方向> - NO1- 6 - おもりの移動距離をsとすると、 おもりの速度をvとすると、 sは半径 おもりは速度vで半径 、中心角θの扇形の弧なので、 s= するので、円運動の中心方向の加速度aは、 よって速度は v の円軌道上を運動 質量m、速度v、半径 ds dt d( ) dt 運動方程式は、 d m dt d dt m dv dt d dt F a と①より、 d2 m dt 2 を使い v2 運動方程式は、中心方向の力F N m mg sin v2 ②より、 T mg cos ・・③ ・・④ 振り子の釣合の位置は鉛直方向(θ=0)であり、接線方向の力 F T =-mgsinθが 振り子を釣合の位置Oに戻すように働き、振り子に左右の往復運動(単振動)をさせる。 復元力 - mg sin θ ≒- mg θ mg (θが小さいとき) O(釣合の位置) 振り子の振幅が小さいとき、つまりθ≪1のとき、③式の右辺で sin θ≒θと近似して、 m d2 dt 2 d2 dt 2 mg g ・・⑤ これは単振動の方程式であり、一般解は振幅 A、初期位相をδとすると、 (t ) A cos( t ), ・・⑥ g ただし 角振動数ωは で与えられる。 周期 T は、 T 2 2 g 振動の周期は振り子の長さと重力加速度により、おもりの質量mには無関係となる。 - NO1- 7 - (問題1)LC回路の電気振動 (1) 時刻tでのコンデンサの電荷をQ,回路に流れる電流をIとして、キルヒホッフの 法則を立てると、 コンデンサーの両端の電圧はV=Q/C、 コイルの誘導起電力は Q C L dI dt -LdI/dtなので、 0 ・・① (2)Δt秒間にコンデンサの電荷がΔQだけ減ることで、回路に図の向きに電流Iが流れ るので、 dQ dt I ・・② マイナス符号が付くことに注意 ②を①に代入すると、 Q C L L d dt dQ dt d 2Q dt 2 Q C L d 2Q dt 2 0 1 Q C よって、両辺をLで割ると、 d 2Q dt 2 1 Q LC 単振動の方程式が得られる。 (3)電荷Qの一般解は、振幅A,初期位相δとして、 Q(t)=A cos(ωt+δ) ただし、 1 LC 1 LC または、A,Bを定数として、 Q(t)= Acos ωt+ Bsin ωt ・・③ (4)t=0でスイッチを閉じたので、Q(0)=Q0、 (a) I(0)=0である。 一般解③を②に代入すると、電流I(t)の一般解が得られ、 I dQ dt A sin t B cos t ・・④ ③、④式にt=0を代入し、初期条件と等しいと置くと、 Q(0)=A=Q0 - NO1- 8 - I(0)=-Bω=0 ∴ B=0 これを③、④式に代入して、 1 LC Q(t)=Q0 cos ωt I(t)=Q 0ω sin ωt 周期 T (b) 2 2 ただし、 1 LC LC で振動する。 Q-tグラフ、 I-tグラフ Q(t)=Q0 cos ωt I(t)=Q0ω sin ωt (c)電流は周期的に向きを変えながら流れ続け、コンデンサーの充電・放電を繰り返す。 電流と電荷は位相が 90 °ずれており、電荷が極値を取るときは電流は0,電流が極値を 取るときは電荷が0となる。 この時、コンデンサーの電荷の最大値及び、電流の最大値は変化せず、減衰しないので、 電力の消費はなく、回路のエネルギーは保存される。 実際、コンデンサーに蓄えられる静電エネルギー= Q02 cos 2 2C Q2 2C 1 LI2 2 コイルに蓄えられる磁場のエネルギー= 1 L Q02 2 よって、この回路の全エネルギーは、 E ここで、 E Q2 2C 1 LC 1 LI2 2 1 LC Q02 cos 2 2C t 1 L Q02 2 2 を使うと、 Q02 1 1 cos 2 t L Q02 sin 2 2C 2 LC 2 Q0 Q02 2 2 cos t sin t 2C 2C t つまり、エネルギーが保存される。 - NO1- 9 - = 一定 sin 2 t t 2 sin 2 t
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