経済数学入門 — 初歩から一歩ずつ — 確認問題 解答 練習 1 次を計算して下さい. (1) log4 8 = (2) log5 1 = log5 50 = 0 1 1 = log10 (3) log10 √10000 = log10 √10 4 1 4 10 2 log2 8 log2 4 = log2 23 log2 22 = 3 2 = log10 10−2 = −2 (4) (log2 3+log4 9)(log3 4−log9 2) = log2 3 log3 4−log9 2 log2 3+log3 4 log4 9− log4 9 log9 2 = log2 4 − log9 3 + log3 9 − log4 2 = 2 − 21 + 2 − 12 = 3 練習 2 ある企業の生産量 Q を生産する時の費用関数が下記の C(q) で表 されている. C(q) = q 3 − 2q 2 + 2q + 8 (1) 固定費用を求めて下さい.F C = 8 (2) 可変費用を求めて下さい.V C = q 3 − 2q 2 + 2q 3 2 (3) 平均費用を求めて下さい.AC = q −2q q+2q+8 = q 2 − 2q + 2 + (4) 平均可変費用を求めて下さい.AV C = q 3 −2q 2 +2q q 8 q = q 2 − 2q + 2 (5) 限界費用を求めて下さい. MC = dC = 3q 2 − 4q + 2 dq (6) 限界費用と平均可変費用が等しくなる生産量を求めて下さい. M C = AV C ⇐⇒ 3q 2 − 4q + 2 = q 2 − 2q + 2 ⇐⇒ 2q 2 − 2q = 0 ⇐⇒ 2q(q − 1) = 0 ⇐⇒ q = 0, 1 (7) 限界費用と平均費用が等しくなる生産量を求めて下さい. 8 ⇐⇒ 2q 3 − 2q 2 − 8 = 0 q ⇐⇒ 2(q 3 − q 2 − 4) = 0 ⇐⇒ 2(q − 2)(q 2 − q + 2) = 0 ⇐⇒ q = 2 M C = AC ⇐⇒ 3q 2 − 4q + 2 = q 2 − 2q + 2 + 1 因数分解は以下の組み立て除法から行われる. 2 1 −1 0 −4 2 2 4 1 1 2 0 また,2 次式 q 2 − q + 2 の判別式は D = 1 − 4 · 1 · 2 = −7 < 0 なのでこれ 以外に解はない. (8) 限界費用が最低になる生産量を求めて下さい. d2 M C =6>0 dq 2 dM C = 6q − 4, dq 限界費用関数の 2 階微分係数は正であるので,限界費用曲線は下に凸であ る.よって,M C 0 = 0 となる q = 2/3 において限界費用が最低になる. (9) 限界費用曲線,平均費用曲線,平均可変費用曲線を同じ座標平面に 描いて下さい. 費用 MC AC 6 AV C 2 1 0 q 1 2 (10) 費用曲線の変曲点を求めて下さい.その点と (8) で求めた生産量は どのような関係にあるか述べて下さい. d2 C 2 0 2 0 = M C = (3q − 4q + 2) = 6q − 4 = 0 ⇐⇒ q = dq 2 3 費用曲線の変曲点の x 座標は,(8) で求めた限界費用が最低になる生産量と 等しくなる. 2 練習 3 包絡線定理の費用関数の設定で復習をします.能力が k である生産 設備を用いて産出量 q を生産するための短期費用関数が与えられています. µ ³ q ´4 ¶ k2 C(q, k) = 1 + 1+ 2 k 長期において生産設備を調節することが可能です.そのとき,短期費用 C(q, k) を最小にする k を選ぶことになります. (1) C(q, k) を最小にする k の 1 階の条件を求めて下さい. µ µ ¶ ³ q ´4 ¶ k 2 ∂C q4 q4 + (q, k) = k 1 + · (−4) 5 = k 1 − 4 ∂k k 2 k k よって,次式が 1 階の条件である. 1− q4 =0 k4 (1) (2) その 2 階の条件が満たされていることを確かめて下さい. µ ¶ ∂ 2C q4 q4 3q 4 (q, k) = 1 − + k 4 · = 1 + >0 ∂k 2 k4 k5 k4 よって,最小化の 2 階の条件が満たされている. (3) C(q, k) を最小にする生産設備は k ∗ = q であることを示してくだ さい. 上の 2 問から C(q, k) を最小にする生産設備は 1 階の条件 (1) を満たして いなければならない.よって, k ∗ = q が成り立つ. (4) よって,長期費用関数 C(q) は下になる. C(q) = 1 + q 2 この長期費用関数を短期費用関数 C(q, k) から導いてください. 最適な設備 k ∗ = q を費用関数 C(q, k) に代入すると Ã µ ¶4 ! 2 q q 1+ = 1 + q2 C(q, k ∗ ) = C(q, q) = 1 + 2 q となる. 3 (5) この長期費用関数 C(q) と生産設備が 1 の短期費用関数 C(q, 1) 及 び生産設備が 2 の短期費用関数 C(q, 2) のグラフを同じ座標平面に描いて 前者が包絡線になっていることを図示してください. 短期費用関数 C(q, 1) 及び C(q, 2) は次式で表される. 3 q4 C(q, 1) = + 2 2 q4 C(q, 2) = 3 + 8 これらと C(q) の交点は 3 14 + = 2 = C(1) 2 2 24 C(2, 2) = 3 + = 5 = C(2) 8 C(1, 1) = である.長期費用関数 C(q) と短期費用関数 C(q, 1) 及び C(q, 2) を微分し て交点での微分係数を比較する. C 0 (q) = (1 + q 2 )0 = 2q µ ¶0 3 q4 0 C (q, 1) = + = 2q 3 2 2 µ ¶0 q4 q3 0 C (q, 2) = 3 + = 8 2 0 0 C (1) = C (1, 1) = 2 C 0 (2) = C 0 (2, 2) = 4 長期費用関数 C(q) と短期費用関数 C(q, 1) 及び C(q, 2) を同じ座標平面に 描写すると下記になる. 練習 4 消費量 x に対して下の効用関数 u が与えられているとします.次 の問いに答えて下さい. u(x) = 1 − e−x (x ≥ 0) (1) 限界効用関数を求めて下さい.限界効用は正であることを示してく ださい. 合成関数の微分を用いると次式になる. u0 (x) = (1 − e−x )0 = −(−1) · e−x = e−x > 0 (2) 限界効用逓減の法則が成り立っていることを示してください. 4 費用 C(q, 1) C(q) 5 C(q, 2) 2 1 0 q 1 2 効用 u(x) = 1 − e−x x 0 下のように限界効用の微分係数が負なので限界効用逓減の法則が成り立っ ている. ¡ ¢0 u00 (x) = e−x = (−1) · e−x = −e−x < 0 (3) 効用関数 u のグラフを描いてください. 練習 5 2 財を消費する消費者の選択を考えます.x 財の消費量 x と y 財 の消費量 y に対して下の効用関数 u が与えられているとします.さらに, x 財の価格が px と y 財の価格が py であり,この消費者の所得は m である とします.次の問いに答えて下さい. u(x, y) = 2 − e−x − e−y (x ≥ 0, y ≥ 0) (1) この消費者の効用最大化問題をラグランジュ関数で表現してください. 5 ラグランジュ乗数を λ そしてラグランジュ関数を L とすると次式になる. L = 2 − e−x − e−y + λ(m − px x − py y) (2) この消費者の最適な x 財と y 財の消費量を求めて下さい.対数を用 いる時は自然対数の底 e を用いて下さい. ラグランジュ乗数定理より下記の 3 つの方程式を解く. ∂L = e−x − λpx = 0 ∂x ∂L = e−y − λpy = 0 ∂y ∂L = m − px x − py y = 0 λ 上の 2 式から λ について解くと λ= e−x e−y py = ⇐⇒ e−y = e−x px py px となる.最後の式の対数を取ると, py −x py e ⇐⇒ log e−y = log + log e−x px px py py − x ⇐⇒ y = x − log ⇐⇒ −y = log px px log e−y = log となる.最後の式をラグランジュ乗数の最後の条件式にに代入すると ¶ µ py m − px x − py x − log =0 px となる.この方程式を x について解くと, m + py log ppxy py (px + py )x = m + py log ⇐⇒ x = px px + py よって,y は, y= m − px log ppxy px + py となる.よって,答えは下記になる. x= m + py log ppxy px + py , y= 6 m − px log ppxy px + py
© Copyright 2024 ExpyDoc