27Q-am150 tau タンパク質微小管結合ドメインのフィラメント形成に対する Cyanidin(Cy) と Methylene Blue(MB) の阻害作用の差異について ◯杉野 恵津子 1 ,服部 正幹 1 ,箕浦 克彦 1 ,尹 康子 1 ,澄田 美保 2 ,谷口 泰造 2 , 1 1 2 友尾 幸司 1 , 石田 寿昌( 大阪薬大, 行動医科学研究所) 【目的】微小管結合タンパク質の一種である tau タンパク質は、異常にリン酸化 されると微小管結合能を失い、自己凝集を起こし、PHF (paired helical filament) と呼ばれる特異な神経原線維を形成し、アルツハイマー型認知症 (AD) の原因の 一つとして認められている。この PHF 形成に大きく関与する tau 分子中の微小管 結合部位 MBD (microtubule binding domain) は、相同性の高いアミノ酸配列が 4 回繰り返した特徴ある配列 (R1∼R4) を有し、なかでも R2 と R3 は凝集能が高 く PHF 形成への寄与が大きいことが、これまでの研究から明らかにされている。 本研究では、Cy と MB を用い、MBD に対する重合阻害機構の解明に取り組み、 AD の予防への貢献を目的とした。 【方法】R1234 からなる 4RMBD 及び R2 が欠損した 3RMBD(R134)を His タ グ融合タンパク質とした大腸菌を用いた系により大量発現させ、種々のクロマト グラフィーを用いて高純度試料を得た。ペプチド(R2、R3)は化学合成したもの を用いた。これらの試料に対する Cy 及び MB の凝集阻害作用の測定は、ThS 蛍 光測定、CD 測定を用いた。また、フィラメント形成の様子を電子顕微鏡により観 察した。更に、Cy においては動的光散乱法による粒度分布測定(DLS)も行った。 【結果・考察】Cy、MB 共に 4RMBD 及び 3RMBD に対して凝集抑制効果を示し た。一方、R2 と R3 に対しては Cy と MB では凝集抑制効果に異なる知見が得ら れた。これらのことから、tau タンパク質に対して凝集抑制作用を有するものの、 化学的構造の違いによってその作用に差異が存在することを明らかにした。現在、 DLS による MBD の自己重合の特徴、並びに、Cy によるその抑制効果の程度につ いて詳細に解析中である。
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