30P2-am071 Tau タンパク質の自己重合における Ile308 と Tyr310 が形成する CH-π 相互作用の 重要性 ◯曾川 甲子郎 1 ,奥田 良平 1 ,箕浦 克彦 1 ,尹 康子 1 ,友尾 幸司 1 ,石田 寿昌 1 ( 1 大阪薬大) 【目的】 微小管の重合促進と安定化に寄与しているTauタンパク質は、異常にリン酸化され ると、微小管結合能を失い、PHF(paired helical filament)と呼ばれる特異な線 維束を形成する事が知られている。このPHF形成には、Tauタンパク質中の相同性 の高い31ࠥ32残基のアミノ酸が3回あるいは4回(R1ࠥR4)繰り返す特徴的な 配列である微小管結合部位(MBD:microtubule binding domain) が大きく関与して いる事が示唆されている。特にR3 のN末端に存在するVQIVYK配列、及び、この配列 に存在するTyrosine残基とIsoleucine残基の重要性が本研究室の実験により考え られている。本研究では、PHF形成においてTyrosine残基の役割、特にTyrosine側 鎖の配向に及ぼす隣接する疎水性アミノ酸残基とのCH-π相互作用がもたらす影 響について調べた。 【方法・結果】 R3 リピートのVQIVYK配列におけるFull length Tau、3R,4RMBD変換体を作成し、大 腸菌より発現させ、種々のクロマトグラフィーを用いて高純度試料を得た。この 試料を用いて、ポリアニオンであるヘパリンにより凝集を促進させ、その凝集過 程について、時間経過的に蛍光分析を行い、また電子顕微鏡によりフィラメント 観察を行った。これまでに、Full length Tau、3R,4RMBDの自己重合においてIle308 とTyr310 の重要性が明らかとなり側鎖間に形成されるCH-π相互作用が不可欠で ある事が示唆される。現在、更なる変換体を作成しTauタンパク質の自己重合に及 ぼす影響について検討している。
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