北九州 ハ イ ク de ス カ イ 子ど も の 部

東京都江戸川区 鈴木萌様 歳 北九州ハイクdeスカイ 子どもの部
J
[ AL賞 ]
夏休み気づけば明日から学校だ
[ 北九州空港賞 ]
雲の上台風の目はどこにある
石川一歩選
歳 8
神様のおいかりなのか稲妻は
歳 11
暑い日に蝉が鳴くと二倍暑い
9
6
神奈川県川崎市 小山美月様 歳 ︵選者講評︶
周りの山が高く、深い渓谷を蛇行しながら流れる川の上空では、時として句のような現象が見られることが多くあります。
﹁龍形の雲が通って
﹁作者の空から眺めた地球の神秘であり、幽玄の世界であったに違いありません。
その上空を過ぎれば飛行機は眩しい青い空の下を飛んでいます。
自然と季語と宇宙の三者が一体となって十七音節の中で反復される詩情の不思議を改めて思いました。
龍形の雲が通って夏の空
千葉県千葉市 黒部碧威︵あおい︶様 歳 ︵選者講評︶
帰るよとママがごきげん・一連の言葉は幅広い解釈は成り立つものの、盆休みの僅かな期間であっても、
お母さんが主婦業から開放される時間です。同時にお母さんがお祖父ちゃんやおばあちゃんに子供達の成長を見てもらえる
又とない機会でもあるのです。家族の皆さんの豊かな時間の一こまを見る思いがしました。
帰るよとママがごきげん盆やすみ
︵選者講評︶
日本は世界中の人が羨む四季に恵まれた国です。
そんな素晴らしい国でありながら、夏の間は三十数度の灼熱地獄の下で蝉などの昆虫と生活することを
余儀なくされています。蝉の声が心象的にも暑苦しさに拍車をかける言葉して、下五の
﹁二倍暑い﹂
には誰もが納得します。
京都江戸川区 鈴木伝寿︵のぶひさ︶様 歳
︵選者講評︶
俳句は心象を物に託すものです。そういう意味で人によって構成される社会に対して叱責を頂いているようで
心が痛くなってきます。作品は過去でもなく未来でもなく、今、世界の各地で紛争が起きている人間社会への叱責のような
余剰をまとっています。﹁神様のおいかり﹂は、﹁お怒り﹂
です。心が痛くなってくるではありませんか。
東京都世田谷区 山根康太郎様 ︵選者講評︶
台風時に飛行した作品ですが、作者の緊張感と同時に好奇心が並行して伝わってきます。
この句を読んで気象庁に
﹁台風の目﹂
の件について問い合わせてみました。台風の大小によって目の位置は異なっていて、
正しくは気象衛星﹁ひまわり﹂からでなければ、テレビのような渦状の画面を見ることは難しいということでした。
俳句は﹁今の目の辺りにしていることを詠む﹂ということで ﹁台風の目﹂
に照準をあてた作者の感性には感じ入りました。
北九州市八幡東区 吉本佳祐様 ︵選者講評︶
楽しかったことを凝縮したすばらしい詩情の展開を思いました。
本来、俳句が読み手に手渡しできるのは言葉だけですから、読む人は平明な表現につられて、
言葉の飛躍をそのままに受け入れてしまうような不思議な句です。感覚はもともと読み手の側にあるものですから、
誰もが詩情が器一杯に満たされた 作品として納得します。
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