2014 生命物理化学 問題解説6章

生命物理化学
問題解説
6章
6-6 Kc = [Hg (g)] (M)/ 1 (M), KP = PHg (g) (bar)/ 1 (bar) である.mmHg から bar への
換算は 0.002 mmHg = 0.002 mmHg x (1 atm / 760 mmHg) x (1.013 bar / 1 atm).
6-8 KP = PCO2, mmHg から bar への変換は問 6-6 の通り.ファントホッフの式 6-18
を利用する.
6-12 平衡定数と標準ギブズエネルギー変化は 6-14 式で関係づけられる.
6-16 平衡定数はΔrHo, ΔrSo をパラメター(助変数)として温度と関係づけられ
る(式 6-19).
o
o
o
Δ r H o = Δ f H [MgO (s)] + Δ f H [CO 2 (g)] - Δ f H [MgCO 3 (s)]
o
o
o
Δ r S o = S [MgO (s)] + S [CO 2 (g)] - S [MgCO 3 (s)]
6−22 ルシャトリエの原理を当てはめる.この反応それ自体はギブズエネルギ
ー変化が正であって,光エネルギーによって生成された ATP と NADPH の分
解と共役しなければ進行しない.(e) 実際には植物の光合成に関わる酵素がな
ければこの反応は進行しないが,触媒は平衡の位置には影響しない.(f) ファ
ントホッフの式を適用する.(g) より強い日射は,共役に必要な ATP などの
高エネルギー化合物の供給を豊富にすることによって,光合成反応のこの部
分の平衡に影響を与える.
6-26 6-20 式と 6-21 式を用いる.
6-27 6-24 式あるいは 6-32 式を用いる.タンパク質を P とする.
[Ca2+]0 = [Ca2+] + [P-Ca2+]
[P]0 = [P] + [P-Ca2+]
6-24 式は
Y
1
Y
[P ⋅ Ca 2+ ]
ここで,
=
−
Y
=
[Ca 2 + ] K d K d
[P]0
問題の表に与えられているのは「すべての Ca2+」= [Ca2+]0 と「タンパク質に
結合した Ca2+」= [P-Ca2+] である.また,[P]0 = 96 µM である.したがって,Y
の各値は計算できる.また,[Ca2+] = [Ca2+]0 − [P-Ca2+] である.
6-29 この反応の平衡定数は次のように定義される.
K=
[2-oxoglutarate] [ Ala ] = 1.11 [Glu ] [ pyruvate]
反応のギブズエネルギー変化は Δ r G = Δ r G o + RT lnQ (6-9 式)であり,
また Δ r G o = −RT ln K である.反応比 Q は問題に与えられている値からする
と,
[2-oxoglutarate] [ Ala ] = (1.6 ×10 ) × (6.25 ×10 ) = 1.01×10 4
Q=
[Glu ] [ pyruvate]
(3.0 ×10−5 ) × (3.3×10−4 )
−2
−3
(
)
Δ r G = Δ r G o + RT lnQ = −RT ln K + RT ln 1.01 × 10 4 = −260 + 23000
= 22700 J mol−1
ΔrG > 0 なので,反応は自発的に逆行する.
6-30 310 K における反応と 271.5 K における同じ反応については,よい近似で
ΔrHo´とΔrSo´は変化しないと考えられる.すると,310 K での反応について
Δ r G o ´ 310 K = Δ r H o ´−(310 K)Δ r S o ´= −30.5 × 10 3 J mol−1
ΔrHo´= −20.1 x103 J mol-1 から,ΔrSo´=33.5 J K-1 mol-1 が求まる.271.5 K での反
応については,
Δ r G o ´ 271.5 K = Δ r H o ´−(271.5 K)Δ r S o ´
ΔrHo´とΔrSo´の値を入れると, Δ r G o ´ 271.5 K = −29.2 kJ mol−1 .低温では ATP の加
水分解から得ることができる仕事に使えるエネルギー量は少し小さくなるが,
エンタルピー項の寄与が大きいので温度による変化は小さい.
6-34 ヘリックス → ランダムコイル の反応について平衡定数は
[ random coil]
K=
[ helix ]
Δ r G o 313 K = −RT ln K 313 K = −8.31 × 313 × ln 0.86 = 392 J mol−1
Δ r G o 333 K = −RT ln K 333 K = −8.31 × 333 × ln 0.35 = 2910 J mol−1
40°C (313 K) と 60°C (333 K) では,ΔrHo とΔrSo は変化しないとみなしてよい.
2 つの温度について, Δ r G o = Δ r H o − T Δ r S o の式はそれぞれ,
o
o
o
−1
Δ r G313 K = Δ r H − 313 × Δ r S = 392 J mol
o
o
o
−1
Δ r G333 K = Δ r H − 333 × Δ r S = 2910 J mol
この連立方程式を解くと, Δ r H o = −39 kJ mol−1 , Δ r S o = −126 J K −1mol−1
6-45 1対1複合体の解離会合平衡について、各成分の初濃度と解離定数が分か
っているときに、飽和率 Y = [PL]/[P]0 を求める問題である。
Kd =
[ P ][ L ] = ([ P ]0 − [ PL ])([ L ]0 − [ PL ])
[ PL ]
[ PL ]
この式は[PL] についての2次方程式である。Kd, [P]0, [L]0 の値を入れて [PL]を
求めると、一方の解は [P]0 より大きくなってしまうので、その解は棄却する。
解 (a) 0.39, (b) 0.96
6-46 6-32 式を用いる.[L] は [Mg2+]未結合,Y は Y = [タンパク質に結合した Mg2+]
/ [タンパク質の全濃度] = ([Mg2+]全 — [Mg2+]未結合) / 98 µM から計算される.プロ
ットを行い,回帰直線を求めると, Y [L] = −0.0059 ⋅Y + 0.0254 (R 2 = 0.997) と
なり,n は 4.3 と計算される.最も近い整数値から結合部位数は 4 であると考
えられる.固有の解離定数は 1.7 x10-4 である.