微分方程式 期末試験 (2014 年 8 月 5 日) 1 枚目 学籍番号 氏名 点数 最高点 93 点 平均点 62.225 点 1 n を自然数とする. (n + 1) 個の関数 1, e x , e2x , e3x , . . . , enx は 1 次独立であることを n についての数学的帰納 法で示しなさい (20 点). 解答例 (I) n = 1 のときに成り立つことを示す. すなわち, 1, e x が 1 次独立であることを示す. C1 + C2 e x = 0 が 恒等的1 に成り立つと仮定する. すべての x についてこの式が成立するので, x = 0 とすれば C1 + C2 = 0, x = 1 と すれば C1 + C2 e = 0 が成り立つ. 2 式を引き算すると,(e − 1)C2 = 0 となり,e − 1 , 0 であるから C2 = 0 を得る. また, C1 + C2 = 0 より C1 = 0 である. 以上により, C1 = C2 = 0 となるので 1, e x は 1 次独立である. (II) n = k のときに成り立つと仮定する. すなわち, 1, e x , e2x , . . . , ekx は 1 次独立であると仮定する. そして n = k + 1 のときを考える. C0 + C1 e x + C2 e2x + · · · + Ck+1 e(k+1)x = 0 ➀ とおく(これは恒等的に等しい,という意味である). 両辺を x で微分すると, C1 e x +2C2 e2x +· · ·+(k+1)Ck+1 e(k+1)x = 0 となる. 両辺を e x で割ると, C1 + 2C2 e x + · · · + (k + 1)Ck+1 ekx = 0 となる. 帰納法の仮定から, 1, e x , . . . , ekx は 1 次独 立なので, C1 = 2C2 = · · · = (k + 1)Ck+1 = 0, すなわち,C1 = C2 = · · · = Ck+1 = 0 を得る. これを ➀ に代入すれば, C0 = 0 が成り立つ. よって, C0 = C1 = C2 = · · · = Ck+1 = 0 が 1 次独立である. したがって, n = k + 1 のときも 1 次 独立であることが示された. (I), (II) より,すべての自然数 n に対して, 1, e x , e2x , e3x , . . . , enx は 1 次独立であると結論付けられる2 . 2 次の微分方程式の一般解を求めよ. (各 10 点) (1) y00 − 5y0 + 4y = 0 (2) y00 + 2y0 + y = 0 (3) y00 − 2y0 + 5y = 0 (4) y0000 + 6y000 + 14y00 + 16y0 + 8y = 0 解答例 (1) 補助方程式 0 = t2 − 5t + 4 = (t − 1)(t − 4) は異なる 2 つの実数解 t = 1, 4 をもつので, 一般解は y = C1 e x + C2 e4x (C1 , C2 は任意の定数). (2) 補助方程式 0 = t2 + 2t + 1 = (t + 1)2 の解は t = −1 (重解) であるから, 一般解は y = (C1 + C2 x)e−x (C1 , C2 は任 意の定数) である. (3) 補助方程式 0 = t2 − 2t + 5 を解くと, t = 1 ± 2i となるので,一般解は y = e x (C1 cos 2x + C2 sin 2x) (C1 , C2 は 任意の定数) である. (4) 与えられた微分方程式は (D + 2)2 (D2 + 2D + 2)y = 0 と表される. (D + 2)2 と D2 + 2D + 2 は互いに素(共通因数を持たない)なので, (D + 2)2 y の一般解 y = (C1 + C2 x)e−2x と (D2 + 2D + 2)y = 0 の一般解 y = C3 e−x cos x + C4 e−x sin x を重ね合わせればよい. すなわち, 求める一般解は, y = (C1 + C2 x)e−2x + C3 e−x cos x + C4 e−x sin x (C1 , C2 , C3 , C4 は任意の定数) である. 1 2 すなわち, すべての x について等式が成立する,ということである. この問題は誰も正しく解いてくれませんでした…. d D = dx とする. このとき,次の問いに答えよ.(25 点) オイラーの公式を書きなさい. 1 (2) cos 3x を計算せよ. 2 D00 + 2D +2 0 (3) y + 2y + 2y = cos 3x の一般解を求めよ. 解答例 (1) eiθ = cos θ + i sin θ (θ ∈ R) 1 1 1 (2) まずオイラーの公式から 2 e3ix = 2 cos 3x + i 2 sin 3x D + 2D + 2 D + 2D + 2 D + 2D + 2 一方, 3 (1) D2 · · · ➀ が成り立つ. 1 1 1 1 e3ix = e3ix = eeix = (−7 + 6i)(−7 − 6i)(cos 3x + i sin 3x) 2 + 2D + 2 (3i) + 6i + 2 −7 + 6i −7 − 6i i 1 (−7 cos 3x + 6 sin 3x) + (−7 sin 3x − 6 cos 3x) · · · ➁ = 85 85 である. ➀ と ➁ の実部を比較すると, D2 1 1 cos 3x = (−7 cos 3x + 6 sin 3x) + 2D + 2 85 を得る. (3) y00 + 2y0 + 2 = 0 の補助方程式 t2 + 2t + 2 = 0 の解は t = −1 ± i であるから, y00 + 2y0 + 2 = 0 の一般解は, y = C1 e−x cos x + C2 e−x sin x (C1 , C2 は任意の定数). (2) より, 求める一般解は, y = C1 e−x cos x + C2 e−x sin x + 1 (−7 cos 3x + 6 sin 3x) 85 (C1 , C2 は任意の定数). 微分方程式 期末試験 (2014 年 8 月 5 日) 2 枚目 学籍番号 D = dtd とする. このとき, 以下の問いに答えよ.(15 点) 2 [2t2 − t] を計算せよ. (1) D−4 1 (2) [−t2 ] を計算せよ. D−1 dx 2 dt = 2x + y + 2t − t (3) x = x(t), y = y(t) に関する連立微分方程式 dy = 2x + 3y + e2t dt 解きなさい. 解答例 (1) 逆演算子の展開により, 氏名 4 を初期条件 x(0) = − 21 , y(0) = 0 のもとで 2 2 1 1 1 1 1 [2t2 − t] = − · [2t2 − t] = − (1 + D + D2 + D3 + · · · )[2t2 − t] 1 D−4 4 1 − 4D 2 4 16 64 1 1 1 1 = − {2t2 − t + (4t − 1) + ·4+ · 0 + · · · } = −t2 . 2 4 16 64 (2) 逆演算子の展開により, 1 1 [−t2 ] = − [−t2 ] = −(1 + D + D2 + D3 + · · · )[−t2 ] = −(−t2 − 2t − 2 + 0 + · · · ) = t2 + 2t + 2. D−1 1−D (3) 与えられた微分方程式は, 2 (D − 2)x − y = 2t − t ➀ −2x + (D − 3)y = e2t ➁ と表される. ➀ × 2 + ➁ × (D − 2) より, (D2 − 5D + 4)y = 2(2t2 − t). (1), (2) の結果から,この方程式の特殊解は 2 1 1 · D−4 (2t2 − t) = D−1 (−t2 ) = t2 + 2t + 2. また, (D2 − 5D + 4)y = 0 の一般解は, y = C1 et + C2 e4t (C1 , C2 は任意の y = D−1 定数) である. よって, (D2 − 5D + 4)y = 2(2t2 − t) の一般解は y = C1 et + C2 e4t + t2 + 2t + 2. これを ➁ に代入して x に ついて解けば, x = −C1 et + C22 e4t − 12 e2t − 32 t2 − 2t − 2 となる. 初期条件 x(0) = − 21 , y(0) = 0 から, −C1 + C22 − 12 − 2 = − 12 , C1 + C2 + 2 = 0 を得る. これらを解くと, C1 = −2, C2 = 0 となるので, 求める解は, 1 2t 3 2 t x = 2e − 2 e − 2 t − 2t − 2 y = −2et + t2 + 2t + 2 である. 4 (1) の別解 部分積分を 2 回繰り返して, } )0 { −4t ∫ ∫ ( ∫ ( 4t ) 1 −4t e 2 e 2 4t −4t 2 4t 2 2 4t [2t − t] = 2e e (2t − t)dt = 2e − e (2t − t) − − (4t − 1)dt (2t − t)dt = 2e − D−4 4 4 4 ∫ ∫ ( −4t )0 1 2 e4t 1 2 e4t e −4t = − (2t − t) + e (4t − 1)dt = − (2t − t) + − (4t − 1)dt 2 2 2 2 4 { −4t } ∫ ( −4t ) ∫ t e4t e e t 1 e4t 2 2 = −t + + − (4t − 1) − − · 4dt = −t + − (4t − 1) + e−4t dt 2 2 4 4 2 8 2 ( ) 1 e4t e4t 2 = −t + + − = −t2 . 8 2 4 4 (2) の別解 部分積分を 2 回繰り返して, { } ∫ ∫ ∫ ∫ 1 −t 0 2 t −t 2 −t 2 t −t 2 t 2 t e−t tdt e (−t )dt = e (e ) t dt = e e t − e · 2tdt = t − 2e [−t ] = e D−1 ( ) ∫ ∫ −t 0 2 t −t −t 2 t = t + 2e (e ) tdt = t + 2e e t − e dt = t2 + 2t + 2.
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