LTE-Advanced製造テスト ソリューション:

ソリューション:
LTE-Advanced製造テスト
LTE-Advanced
キャリア・アグレゲーションの
製造テスト要件の理解
Application Note
概要
3GPPリリース10規 格 で 導 入 さ れ たキ
ャリア・アグレゲーション
(以下CA)は、
LTE-Advancedの重要な新機能です。
CAとは、複数のLTEキャリアを1つの
大きなチャネル帯域幅に結合して、デー
タ・レートとスループットを向上させる手
法です。スペクトラムの割り当てが制限
または分断されている場合に、プロバイ
ダはCAを利用してネットワーク上で増
え続けるデータの需要に対応できます。
LTE-Advancedの目標は、従来のLTE
リリースとの下位互換性を維持すること
です。このため、LTE-Advanced CA
は、3GPPリリース8で最初に定義され
たキャリアに基づいています。これによ
り、既存のLTEデバイスも引き続き正
常に動作可能で、新しいデバイスはCA
を利用して高いデータ・スループットに
対応できます。
リリース8で 定 義 さ れ て い るLTEキャ
リアは、コンポーネント・キャリア
(以下
CC)と呼ばれています。CCは、3GPP
で定義された任意のLTE帯域幅(1.4/3/
5/10/15/20 MHz)を使用でき、最大5
本のCCを結合して理論的には100 MHz
まで帯域幅を拡張できます。
現在のLTE-FDDプロバイダのほとんど
は最大帯域幅のチャネルに対応するスペ
クトラムを確保していないため、5 MHz
または10 MHzの帯域幅をCAに使用す
ると見られています。
周波数分割デュプレックス
(FDD)に基
づくLTE-Advancedシステムの場合、
アップリンクに結合されるCCの数は、
ダウンリンクに結合されるCCの数以下
である必要があります。キャリアの帯域
幅は一致していなくてもかまわないの
で、例えば、5 MHzと10 MHzのキャリ
アを結合できます。多くのプロバイダは
このようなシナリオを採用すると思われ
ます。
時分割デュプレックス
(TDD)に基づく
システムの場合、ダウンリンクとアップ
リンクが同じチャネルを共有します。リ
リース10の定義では、TDDシステムで
結合されるCCの数と各CCの帯域幅が、
アップリンクとダウンリンクで一致する
必要がありました。3GPPリリース11で
はこの定義が変更され、アップリンクと
ダウンリンクで各周波数のバンド構成が
異なるTDDもサポートされています。
図1. CAの簡略図。複数のLTEキャリアを単一チャネル帯域幅に結合して広帯域化し、
データ・レートとスループットの向上によってスペクトラム使用効率を最適化します。
リリース10のLTE-Advancedで は、2
チップセットによっては、1個のレシー
LTE-Advancedネットワークは、ダウン
つのタイプのCAが定義されています。
バのみでこの機能に対応できるものも
リンクのみでも、ダウンリンクとアップ
バンド内CAとバンド間CAです。バンド
あります。一方、バンド間CAの場合は、
リンクの両方でも、CAをサポートでき
内CAの場合、結合されたCCは同一の
異なる周波数バンドのCCを使用するた
ます。一般にインターネットではダウン
LTE周波数バンド内のチャネルを占有し
め( 図3)
、2個 のレシーバ が 必 要 で す。
リンクのパケット・データ・トラフィックが
ます。占有されるチャネルは連続(隣接)
このタイプのCAはコストが高くなりま
多いので、導入初期はダウンリンクのみ
にCAを実装します。
の場合も不連続の場合もあり、CCが3
すが、プロバイダは異なる周波数バンド
本以上の場合は連続チャネルと不連続チ
のスペクトラム・ブロックを使用すること
ャネルの両方が混在することもありま
が多いため、バンド間CAの実装が多く
す(図2)。
なる見込みです。
LTEダウンリンクのバンド内CA
チャネル1
チャネル2
チャネル3
1つの3GPP周波数バンド
図2. 連続チャネルと不連続チャネルを結合したバンド内CA
LTEダウンリンクのバンド間CA
バンドX
チャネル1
バンドY
チャネル2
3GPP周波数バンドX
3GPP周波数バンドY
図3. 異なる周波数バンドのチャネルを結合したバンド間CA
2
問題
CAの導入によって新しい種類のテスト
が必要になるわけではありませんが、
LTEユーザ機器(UE)メーカの課題は、
テストが複雑になり時間がかかること
です。他の携帯電話デバイスと同様に、
CA対応のUEの製造テスト・プロセスに
は、校正と検証の2つの段階があります。
以下のように、さまざまなテスト・スト
ラテジーが考えられます。
ただし、このような利点は自動的に得
られるわけではありません。チップセッ
ト・メーカが自社のチップセットにnon-
signaling testシーケンスを実装し、こ
の機能を実現するためのドライバやソフ
トウェアを提供する必要があります。テ
スト機器側は、高度なシーケンス機能と
シングル収集測定機能を備え、かつ、セ
ルラ・フォーマットと無線機能(この例で
はLTE-Advanced CA)をサポートする
必要があります。
バンド内CAデバイスの校正手順は、従
来のLTEデバイスを指定された周波数
で校正する手順と基本的に同じです。
ただし、CAデバイスは結合された帯域
幅をサポートしているため、この影響
テスト・エグゼクティブ
を考慮した追加手順が必要になります。
例えば、デバイスが複数のCCを送信し
ているときのパワー・アンプのバックオ
フの検証が必要になる可能性がありま
す。バンド内CAデバイスを検証するた
めに、複数のキャリアを使用してテスト
non-signalingテスタ
を行うメーカもあれば、簡単に単一キャ
リアでテストを行った後、一部の基準サ
ンプルを複数のキャリアで最終確認する
メーカもあるでしょう。
バンド間CAの場合は、各送信/受信経
路を個別に校正する必要があります。
RF信号の受信/
送信
チップセットの
制御、結果の
読み取り
したがって、デュアルバンド・デバイス
では、校正が2回必要です。このため、
実質的な校正時間が2倍になり、製造コ
ストが上昇します。さらに、校正後は、
各送信/受信経路の動作を検証する必
要があります。バンド間CAの検証テス
トには、採用されているチップセットの
機能と、メーカのテスト方針に応じて、
シーケンシャル・テストまたはパラレル・
テストの手法を選択します。
図4. non-signaling testのセットアップ
最近の携帯電話の製造では、校正と検
証 の 両 方 でシーケンス・ベースのnonsignaling testが主流になっています
(図4)。シーケンス手法の導入により、
校正のテスト時間が大幅に短縮されまし
た。シーケンス検証テストではテスト時
間を短縮でき、高価な無線シグナリング・
テスト機器も必要ありません。
3
テスト要件
LTE-Advanced CAデバイスのメーカ
は、ターゲット・チップセットとテスト機
器の両方の機能を考慮して、CAの適切
なテスト方針を選択する必要がありま
す。テスト実行にはシーケンシャルとパ
ラレルの2つの方法があります。
シーケンシャルCAテストの場合、デバイ
スのチップセットに必要なのは、各CC、
レシーバ、トランシーバ
(バンド内、バン
ド間、アップリンク/ダウンリンク)を切
り替える機能だけで、それ以外の特別
なテスト・モードは不要です。シーケンシ
ャル・テストでは、標準のLTEデバイス
のテストと同じ手法で、経路を一度に1
本ずつテストします。パラレルCAテス
トの場合は、ターゲット・デバイスとテス
ト機器の両方が、複数のCC、レシーバ、
トランシーバを同時に使用する構成とテ
ストをサポートする必要があります。パ
ラレル・テストの方がテスト時間を大幅
に短縮できることは明らかですが、テ
ストが非常に複雑になりコストも大幅に
上昇します。
バンド間CAのテストの場合は、シーケ
ンシャル法にさまざまな利点がありま
す。第1に、実装が比較的容易です。タ
ーゲット・チップセットのテスト・モード
で、一度に1本のトランシーバ経路のテ
ストをサポートするだけで十分だからで
す(図5)。チップセットのコマンド1つで
対象のトランシーバ経路をアクティブに
できるので、チップセットに新しいコマ
ンドを追加すれば既存のLTEデバイス向
けに開発したテスト・プランをそのまま
利用できます。あとは各レシーバ経路
に対して同じテスト・シーケンスを繰り
返すだけです。このようなシーケンシャ
ル・テストには、複雑で高価なテスト機
器は必要ありません。ただし、テストす
るトランシーバ経路が1本増えれば、テ
スト時間もその分だけ長くなります。ダ
ウンリンクのみのCAの場合、デバイス
はダイバーシティまたはMIMO機能用に
別のレシーバを内蔵している可能性があ
ります。この2本目のレシーバ経路は検
証済みの場合が多く、新たなCAテスト
を追加する必要はほとんどありません。
バンド内CAの場合は、CCをシーケンシ
ャルでもパラレルでもテストできます。
ターゲット・チップセットがサポートする
バンド内CAがダウンリンクのみの場合
は、ベクトル信号発生器(VSG)さえあ
ればテストを実行できます。バンド内
CAのシーケンシャル・テストでは、ター
ゲット・チップセットがCCを一度に1本
ずつオンにできる機能を備える必要が
あります。テスト・セットアップに必要な
のは、ターゲット帯域幅で単一のLTEキ
ャリアに対応できるVSGとベクトル・シ
グナル・アナライザ
(VSA)です。VSGと
VSAをシーケンシャルに切り替えて、各
CCをテストします。
バンド内CAのパラレル・テストは高速で
すが、チップセットがテスト・モードを備
える必要があり、さらに、高機能のテ
スト機器も必要です。ターゲット・チップ
セットには、すべてのレシーバまたはト
ランシーバを同時にアクティブにできる
機能が必要です。テスト機器としては、
すべてのCCを生成できる変調帯域幅を
備えたVSGが必要です。また、すべて
のCCを捕捉できる帯域幅と、各CCの復
調/解析機能を備えたVSAも必要です。
テスト・フロー
Tx/Rx 1テスト
Tx/Rx 2テスト
テスト完了
テスト機器
2つのバンドのバンド間CAを
サポートするUE=2本のRx/Tx経路
Tx/Rx 1
Tx/Rx 2
図5. シーケンシャル法によるバンド間CAのテストは実装が比較的容易です。ターゲット・
チップセットのテスト・モードで一度に1本のトランシーバ経路のテストだけをサポートすれば
よいからです。
4
テスト時間は、レシーバ経路の検証に
テスト・フロー
用いられる測定手法によって大きく異
なります。現在では、ほとんどのチッ
プセットで何らかのシングルエンド・ビッ
ト・エラー・レート
(BER)
テストが行われ
ています。これは、テスト機器からダウ
Tx/Rx 1テスト
Tx/Rx 2テスト
ンリンクに既知のデータ・パターンを送信
し、ターゲット・デバイスの受信経路の
エラー・レートを測定するものです。こ
のようなテストでは、信頼できる測定結
テスト完了
果を得るために、比較的多くのデータ・
パケットを捕捉する必要があります。
2つのバンドのバンド間CAを
サポートするUE=2本のRx/Tx経路
デバイスの検証テストでは、シングルエ
ンドBER測定にほとんどの時間を費や
してしまうことがあります。さらに、
テスト対象のレシーバ経路が1つ増える
テスト機器
Tx/Rx 1
たびにテスト時間が倍になる可能性があ
ります。最近は、レシーバの性能評価
に、極めて高速な測定手法を用いるよ
うになってきました。代表的な手法は、
ダウンリンクの送信キャリア
(CW)を用
いてターゲット・デバイス
(チップセット)
テスト機器
Tx/Rx 2
が 一 種 のS/N比 測 定 を 行 う も の で す。
この測定はきわめて短時間で実行でき
るため、レシーバ・テストにかかる時間
が短縮され、シーケンシャル・テスト手法
の利点が大きくなります。
図6. パラレル法によるバンド間CAのテストはより複雑ですが、テスト時間を大幅に短縮できます。
1つのデバイスと同じ時間で複数のデバイスをテストできるからです。
パラレル法によるバンド間CAのテスト
は、これよりはるかに複雑です。ターゲ
ット・チップセットのテスト・モードには、
デバイスのすべてのトランシーバ経路を
同時にアクティブにする機能が必要です
(図6)。パラレルにテストするトランシ
ーバ経路ごとにテスト機器を用意する必
要があるため、この手法はより複雑で
高価になります。一方、パラレル・テス
トの利点は、複数のトランシーバを内蔵
したバンド間CAデバイスを、1個しかト
ランシーバを内蔵していないデバイスと
同じ時間でテストできることです。チッ
プセット内の無線システムの個数は増加
する一方なので、テスト時間を短縮する
必要性から、パラレル手法の採用が進
む可能性もあります。
5
ソリューション
Agilent E6640A EXM無 線 テスト・セ
ットは、LTE-Advancedを含むさまざ
ま な 方 式 の 携 帯 電 話 や 無 線LANデ バ
イスの高スループット校正およびnon-
signalingベースの検証テスト用に設計
されています。EXMは、最大4つのテ
スト・セットを1台のコンパクトなシャー
シに統合することにより、CAテスト要
件に対応しています
(図7)。各テスト・
セット
(TRX)には、VSG、VSA、RF入
出力(RFIO)のすべてが含まれ、周波数
は最高6 GHz、帯域幅は最大160 MHz
図7. EXMは、最大4つのテスト・セットを1台のコンパクトなシャーシに装備することにより、
LTE-Advanced CAテスト要件に対応しています。
までサポートされています。
EXMテスト・セットはAgilent EXT製造
テスト・セットと互換性があります。同
じコマンド構造を採用し、EXTで実行
可能な広範囲の測定を基準に作成され
ています。さらに、EXMではより高速
な測定が可能で、任意波形/解析/捕
捉用の大容量メモリを備え、シーケンス・
ステップ数が追加され、シーケンス機能
も拡張されています。高性能のクワッ
ド・コア・コントローラにより、最大4つ
のTRXをEXMに装備した場合でも最大
限の性能が得られます。
EXMの各TRXには、固有のRFIOセク
ションが4ポートあり、CA対応のLTE-
Advancedデバイスのテストが容易にな
ります
(図8)。2個の全2重RFIOポート
を全2重デバイスに直接接続して、ダウ
図8. EXMの各TRXには、固有の4ポートのRFIOセクションがあります。これは2個の全2重
ポートと2個の半2重ポートで構成されていて、半2重ポートはユーザ設定が可能です。
ンリンクとアップリンクの同時テストを
実現できます。2個の半2重ポートはユ
ーザ設定が可能で、入力または出力に
設定できます。内蔵のVSG/VSAは4個
のポートのどれにでも接続を切り替え
られるので、複数のアンテナ・ポートを
持つ複数のデバイスを外部スイッチを使
わずに接続できます。RF接続とトリガ
接続用のBNCコネクタはすべて堅牢なN
型コネクタなので、製造現場の厳しい条
件にも耐えられます。
6
バンド内CAのテスト方法
ダウンリンクのバンド内CAテスト用
に、EXMは160 MHzのVSG任 意 波 形
帯域幅をサポートしています。Agilent
N7625B Signal Studioソフトウェア
を使用すれば、最大5本のCCからなる
LTE-Advanced波形を作成できます。
帯 域 幅 が160 MHzよ り 広 い の は
3400 MHzより上のバンドだけなので、
EXMは1つの任意波形でほぼすべての
LTE CAバ ン ド を カ バ ー で き ま す。
160 MHzの帯域幅によって、EXMは、
最大5本の20 MHzキャリアの連続/不
連続のバンド内CAをサポートしてい
VSAでアップリンクのバンド内CAテス
トを行うために、EXMは最大160 MHz
のRF解析帯域幅もサポートしています
(図9)。これにより、リリース10規格に
1つのTRXを装備したEXMテスト・セッ
トは、2台のLTE-Advancedデバイスに
対応するデバイスから送信されるすべ
ートするデバイス、または、ダウンリン
てのバンド内CA信号を、1台のレシーバ・
クとアップリンクのバンド内CAを同時
モジュールで捕捉できます。
今後のファームウェア・アップデートによ
り、1回 の 捕 捉( 最 大160 MHz帯 域 幅 )
で個々のCCを解析できるようになる予
定です。上記のアップデートがリリース
されるまでは、CCは個別に捕捉され、
全部まとめて解析されます。
同時に接続できます。接続できるのは、
ダウンリンクのみのバンド内CAをサポ
にサポートするデバイスのどちらかです
(図10)。RFIO 2が1台目のデバイスの
メインLTEアンテナ・ポートに、RF4 I/O
が同じデバイスのGPS入力アンテナ・ポ
ートに接続されます。RFIO 1が2台目
のデバイスのメインLTEアンテナ・ポート
に、RF3 I/OがGPS入力アンテナ・ポー
トに接続されます。この構成では、受
信専用経路(この例ではGPSレシーバ経
ます。
路)を備えた2台のデバイスのシーケンシ
ャル・ピンポン・テストが可能です。
LTEアップリンクのバンド内CA(20 MHz帯域幅)
チャネル1
チャネル2
チャネル3
チャネル4
チャネル5
E6640Aの最大160 MHzの捕捉帯域幅
図9. EXMは、最大5本の連続/不連続LTEキャリアのCAテストをサポートしています。
UE1
ダウンリンク
任意波形信号源帯域幅(最大160 MHz)
メインTx/Rx
チャネル1
チャネル2
チャネル3
チャネル4
チャネル5
GPS
アップリンク
UE2
解析/捕捉帯域幅(最大160 MHz)
チャネル1
チャネル2
チャネル3
チャネル4
チャネル5
メインTx/Rx
GPS
図10. EXMの各TRXには、固有の4ポートのRFIOセクションがあります。これは、2個の全2重ポートと2個の半2重ポートで構成されていて、
半2重ポートはユーザ設定が可能です。
7
このテスト構成では、VSGで作成した
図10のテスト構成を拡張してEXMに4
この場合も、TRXのRFIOスイッチング
ダウンリンクのバンド内CA信号を各デ
台のTRXをフル装備すれば、アップリン
によりテストが制御され、1台目のデバ
バイスのメインLTE入力に供給し、デバ
ク/ダウンリンクのバンド内CAをサポー
イスのメインLTEアンテナ経路とGPSレ
イスから送信されるアップリンクのバン
トするLTE-Advancedデバイスを8台接
シーバ経路のシーケンシャル・テストが
ド内CA信号をVSAで捕捉します(デバ
続して、そのうち4台のデバイスをシー
終了した後、2台目のデバイスに切り替
イスがアップリンクのバンド内CAをサ
ケンシャル・テスト法でパラレルにテスト
わります。製造テスト・フローが開始さ
できます(図11)。
GPS経路テスト用のGPS波形も作成し
このテスト構成では、各TRXのRFIO機
ます。1台のデバイスのテスト中に、2
能を使用して、メインLTEアンテナ・ポ
台目のデバイスがTRXに接続されます。
ートと、
1デバイスあたり1本の受信経路
テストはTRXのRFIOスイッチングによ
(この例では
GPSレシーバ経路)をテスト
り制御され、1台目のデバイスのメイン
します。1台目のデバイスのテスト中に
LTEアンテナ経路とGPSレシーバ経路の
2台目のデバイスが同じTRXに接続され
シーケンシャル・テストが終了した後、2
ます。4つのTRXでこのテストをパラレ
台目のデバイスに切り替わります。こ
れると、2台目のデバイスの接続は1台
ポートする場合)。VSGで、デバイスの
のセットアップで製造テスト・フローが開
目のデバイスのテスト時間内に終了しま
す。この構成では、非常に高密度のテ
ストが可能なので、最小のスペースで高
スループットを実現できます。
ルに実行します。
始されると、2台目のデバイスの接続は
1台目のデバイスのテスト時間内に終了
します。
図11. 4台のTRXを装備したEXMに8台のLTE-Advancedデバイスを接続して、そのうち4台のアップリンク/ダウンリンクCA機能を
シーケンシャル・テスト法でパラレルにテストできます。
8
バンド間CAのテスト方法
1つのTRXで、ダウンリンクのみのバンド
間CAをサポートする2台のデバイスをシ
ーケンシャルにテストできます(図12)。
EXMの内部RFIOスイッチング機能によ
り、このシナリオ用に複雑な外部フィク
スチャを使用する必要がなくなります。
このセットアップではピンポン・テストが
可能で、1台目のデバイスのテスト時間
内に2台目をロードできます。
テスト手順では(図13)、最初にRFIO 2
を使用して1台目のデバイスをアップリ
ンク/ダウンリンクでテストします。テ
ストの終了後、VSG出力が2つ目のバン
ド/チャネルに切り替えられ、RF4 I/O
ポートを介して同デバイスの2本目の受
信経路に送信されます。この間に2台目
のデバイスがTRXのRFIO 1およびRF3
I/Oポートに接続され、1台目のデバイ
スのテスト時間内に2台目をロードでき
ます。1台目のデバイスのテストが終了
すると、VSGの出力は最初のバンド/
チャネル に 戻 り、VSA/VSGの 経 路 が
RFIO 1に切り替えられます。テストが
終了すると、VSGの出力が2つ目のバン
ド/チャネルに切り替えられ、RF3 I/O
ポートを介して2本目の受信経路に送信
されます。2台目のデバイスのテスト中
図12. バンド間CAテストの場合、1つのTRXに2台のデバイスを接続してシーケンシャルに
テストでき、複雑な外部フィクスチャを使用する必要がなくなります。
にさらに別のデバイスを接続して、同
じ手順を繰り返すことができます。
UE 1
バンド1チャネル1
UE 2
バンド2チャネル2
バンド1チャネル1
バンド2チャネル2
ダウンリンク
ダウンリンク
ダウンリンク
ダウンリンク
E6640A RFIO 2
E6640A RF4 I/O
E6640A RFIO 1
E6640A RF3 I/O
バンド1
チャネル1
バンド2
チャネル2
TRXのRFIO 2
からRF4 I/Oに
切り替え
バンド1
チャネル1
バンド2
チャネル2
TRXのRF4 I/O
からRFIO 1に
TRXのRFIO 1
からRF3 I/Oに
切り替え
切り替え
アップリンク
アップリンク
E6640A RFIO 2
E6640A RFIO 1
バンド1
チャネル1
バンド1
チャネル1
図13. このセットアップでは、バンド間CAのピンポン・テストを実行できます。
9
1台のデバイスがアップリンク/ダウンリ
EXMを 使 え ば、バンド間CAをサポー
両 方 のTRXのRFIO 2ポートをRFIO 1
ンクのバンド間CAをサポートする場合、
トするLTE-Advancedデバイスのパラ
ポートに切り替えて、同じテストを2台
目のデバイス
(UE 2)で実行できます。
1つのTRXのRFIO 1ポートとRFIO 2ポ
レル・テストが可能になります。2つの
ートを使用してシーケンシャルにテスト
TRXを使用すれば、1台のデバイスの2
このピンポン構成では、1台目のデバイ
できます
(図14)。1つ目のバンド/チャ
つのバンドのアップリンク/ダウンリン
スのテスト時間内に2台目をロードでき
ネルをRFIO 2でテストし た 後、VSG/
クをパラレルにテストできます(図15)。
ます。GPSレシーバなどの受信専用経
路を、半2重ポートを使用して接続する
VSAをRFIO 1に切り替えて2つ目のバ
各TRXの各VSGが異なるダウンリンク
ンド/チャネルをテストします。デバイ
信号を作成し、各VSAがデバイスのアッ
こともできます。VSG用のシーケンシャ
スが受信専用経路をサポートする場合
プリンク・トランスミッタを解析します。
ル・スイッチング・プランを使用すれば、
は、テスト・セットのRF3 I/Oポートまた
こ の 例 で は、UE 1が 各TRXのRFIO 2
図15のように2本の受信専用経路を接続
してテストできます。
はRF4 I/Oポートを 使 用 し て、VSG出
ポートに接続され、各TRXが各周波数
力をデバイスのアンテナ・ポートに送信
バンドのダウンリンクとアップリンクを
できます。この例では、RF3 I/Oポート
同時にテストします。
がデバイスのGPSアンテナ・ポートに接
続されています。
バンド1チャネル1
バンド2チャネル2
ダウンリンク
ダウンリンク
E6640A RFIO 2
E6640A RFIO 1
バンド1
チャネル1
TRXの
RFIO 2から
RFIO 1に
バンド間CAを
サポートする
UE
バンド2
チャネル2
Tx/Rx 1
切り替え
Tx/Rx 2
アップリンク
アップリンク
E6640A RFIO 2
E6640A RFIO 1
バンド1
チャネル1
バンド2
チャネル2
GPS
図14. 1台のTRXで、アップリンク/ダウンリンクの両方のバンド間CAをサポートするデバイスをシーケンシャルにテストできます。
Tx/Rx 1
バンド間CAを
サポートする
UE 1
Tx/Rx 2
GPS
図15. EXMで2つのTRXを使用してパラレル・
テストを行えば、1台のデバイスの2つのバンドの
アップリンク/ダウンリンクを短時間でテスト
できます。
Tx/Rx 1
バンド間CAを
サポートする
UE 2
Tx/Rx 2
GPS
10
ダウンリンクのバンド間CAをサポート
するデバイスのパラレル・テストでは、
4つのTRXを装備したフル構成のEXM
は、2つのバンド間CAをサポートする2
TRXからのダウンリンク信号を正確に同
台のデバイスをパラレルにテストできま
期する必要があります。この要件はリ
す。また、テスト中にさらに2台のデバ
リース10によるもので、規格はすべて
イスを接続できます(図16)。図15と同
のCCに対して単一のアップリンク・タイ
じ構成を使用すれば、2つのTRXの各ト
ミング・アドバンス値を指定しています。
ランシーバが対応する各バンドの各チャ
つまり、伝搬遅延のばらつきを防ぐた
ネルで1台のデバイスをテストできます。
めには、各キャリアの基地局トランシー
テスト中にもう1台のデバイスを接続で
バは同じ場所になければいけません。
きます。
ネットワークの物理的レイアウトに関す
るこの要件によって、ダウンリンク信号
を発生するテスト機器の同期が必要にな
っています。
4つのTRXを使用すれば、2台のデバイ
スをパラレルにテストできます。また、
各デバイスのCAでサポートされる2つの
バンドをパラレルにテストできます。こ
EXMは、2つのTRXを正確に同期でき
の場合も、TRXのRFIOを使用して、各
ます。同期は内部的に行われるので、
デバイスの受信専用経路を最大2本まで
外部接続は不要です。ダウンリンク間の
接続できます。この例では、RF I/Oポ
確度は約30 ns(代表値)で、上記の同期
ートの1つを各デバイスのGPS受信経路
要件を十分に満たします。
のテストに使用しています。
図16. 4つのTRXをフル装備したEXMで、2台のバンド間CAデバイスをパラレルにテストでき、テスト中に別の2台のデバイスを接続できます。
11
11
まとめ
世界的なスペクトラムの逼迫により、多
くのLTE-Advancedプロバイダがバン
ド間CAの採用に向かっています。しか
し、この機能により、UEのコストは上
昇しバッテリ寿命は短くなります。広
いスペクトラム・ブロックを確保してい
るLTE-TDDプロバイダは帯域幅の広い
(最大20 MHz)バンド内CAを選択する
可能性があります。短期的には、ほと
んどの実装がダウンリンクのみになる見
込みです。ダウンリンクのみの実装はよ
り簡単で、ユーザのパケット・データの
使用パターンにも適合するからです。
CAを使えば、プロバイダは使用可能な
スペクトラム・ブロックを結合してLTE-
Advancedのスループットと効率の向上
を実現できます。しかし、UEの製造プ
ロセスでは校正と検証の手間が増加し
ます。当初は、多くのメーカがシーケン
シャル法でCAのテストを行うと見られ
ます。この方法では、ターゲット・デバ
イスの複雑なテスト・モードも、テスト
機器の高度な機能も必要ないからです。
このような新しいテストの課題を効率的
に高いコストパフォーマンスで解決する
ために、Agilent E6640A EXM無線テ
スト・セットは、テスト機器を追加しなく
てもシーケンシャルとパラレルの両方の
CAテスト・プロセスに対応できるよう
になっています。EXMは、1台のパッ
ケージに最大4つのテスト・セットを装
備できるので、高密度なテストを実現で
きます。各テスト・セットは柔軟な4ポ
ートのRFIOセクションを備えているの
で、複雑で高価な外部スイッチングは不
要です。
EXMは1台 のコンパクトなパッケージ
に4つのテスト・セットを収容できるの
で、テスト・フットプリントを縮小できま
す。また、内蔵コントローラ、タイミン
無線デザインとテストを
加速するパワー
Agilentは無線テスト分野のリーダーと
して、高性能の無線デバイス/セル・サ
イトのデザイン/テストに焦点を定め、
現在と将来の規格向けに最適なアプリケ
ーション専用プラットフォームを提供し
ていきます。さらに、適確な研究開発
とフィールド・サポート、進化し続ける高
度な無線技術を理解するための資料を
提供し、お客様の製品開発を支援して
いきます。
Agilentのテスト/測定製品の詳細につ
いては、以下のWebサイトを参照して
ください。
www.agilent.co.jp/find/powerofwireless
グ基準、内蔵電源を共有することによ
り、設備コストを節約できます。さらに
EXMは、Agilent Xシリーズ アナライ
ザおよび無線テスト・セット向けに開発
された業界標準の測定手法に基づいて、
最高レベルのスループットを実現でき
ます。
関連アプリケーション
• Long Term Evolution - LTE
• LTE機器の検証/統合/プロトコル/
コンフォーマンス
• LTE製造テスト機器
さらに、業界はより高速に測定できる
• TD-LTEデザイン/テスト機器
レシーバ・テスト指標に移行することで、
• LTE-Advanced(LTE-A)
レシーバのテスト時間を短縮し、ダウン
リンクCAのサポートに必要な追加テス
トを軽減しようとしています。携帯電
関連Agilent製品
話はますます複雑になり、テスト時間の
• Agilent EXM無線テスト・セット:
短縮に対する要求もより厳しくなるで
www.agilent.co.jp/find/exm
しょう。その要求により、市場はより
高速で複雑なパラレル・テストの採用へ
www.youtube.com でAgilent
と向かう可能性もあります。
wireless test setを検索の上、ご覧
ください。
• Agilent N7625B Signal Studioソフ
トウェア:
www.agilent.co.jp/find/signalstudio
その他の情報
LTE-Advancedアプリケーション/製
品情報:
www.agilent.co.jp/find/lteadvanced
12
www.agilent.co.jp
www.agilent.co.jp/find/powerofwireless
myAgilent
myAgilent
http://www.agilent.co.jp/find/myAgilent
お客様がお求めの情報はアジレントがお届けします。myAgilent
に登録すれば、ご使用製品の管理に必要な様々な情報を即座に
手に入れることができます。
www.lxistandard.org
LXIは、Webへのアクセスを可能にするイーサネット・ベースの
テスト・システム用インタフェースです。Agilentは、LXIコンソ
ーシアムの設立メンバです。
Agilent Assurance Plans
www.agilent.com/find/AssurancePlans
Five years of protection and no budgetary surprises to ensure your
instruments are operating to specifications and you can continually rely on
accurate measurements.
www.agilent.co.jp/quality
Agilent Electronic Measurement Group
DEKRA Certified ISO 9001:2008
Quality Management System
契約販売店
www.agilent.co.jp/find/channelpartners
アジレント契約販売店からもご購入頂けます。お気軽にお問い
合わせください。
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本社〒 192-8510 東京都八王子市高倉町 9-1
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© Agilent Technologies, Inc. 2014
Published in Japan, March 5, 2014
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