114 農業情報提供のための AR インタフェースの開発

農業情報提供のための AR インタフェースの開発
○石丸俊介・岡安崇史・吉永
崇 1)・有田大作 1)
井上英二・平井康丸・光岡宗司
(九州大院生資環・ 1) 公益財団法人九州先端科学技術研究所)
に紐付けされた画像データを登録順に並べ,登録
【目的】
生産者が自ら,自身の農産物や生産者に関する
日時とともに表示させた。
情報を正確且つタイムリーに消費者まで伝達し得
一方,Agri-eye システム内には,これらの情報
るシステムやサービスを構築することは,結果的
の表示方法や利用者のアクセスログを参照する機
に農産物の安心,生産者の利益・意欲向上に役立
能を追加した。これにより,生産者は自らの情報
つと考える。一方,農産物情報の認知度や利用率
を随時編集可能となり,時期に応じた出荷情報,
の改善には,QR コードではなく,AR(Augmented
生産履歴を容易に開示できるようにした。
Reality,拡張現実)のようなより直感的なインタ
図 1 に作成した AR インタフェースの概要を示
フェースの導入が重要と思われる。本研究では,
す。AR インタフェースは,junaio を起動させた
所属研究室で開発中の情報化農業支援システム
スマートフォンを AR マーカにかざすだけで直ち
“Agri-eye”から自動生成される生産者および農
に起動され,同端末の画面上に図 2 に示されるよ
産物情報を AR 表示できる新たなインタフェース
うな情報を直接表示されることができる。これま
の開発を試みた。
での QR コードによる情報表示と異なり,利用者
【材料および方法】
の操作性は大幅に改善されていることがわかる。
AR として表示させる情報は,Agri-eye データベ
また,今回のインタフェースには,閲覧者の動向
ースから直接取得され,自動生成される html 形式
を生産者が認知できるように,閲覧者が AR 表示
の情報である。一方,AR インタフェースは,導
したアクセス情報をログとして記録できるように
入が簡単で種々の開発ツールが提供されている
した。
“metaio”(metaio 社)を採用した。これにより,
今後の展望として,閲覧者に対してより視認性,
AR イ ン タ フ ェ ー ス は , AR 開 発 言 語 AREL
利便性の高いコンテンツを提供するため,表示項
(Augmented Reality Experience Language) や
目の充実,表示手法の改善などを行う予定である。
PHP などの複数の言語を用いて比較的簡単に記
述可能である。また,AR インタフェースの表示
には,同社の“junaio”を用いた。作成した AR イ
ンタフェースは Agri-eye サーバにアップロード
した。AR マーカ画像は,生産者が普段から利用
しているロゴ画像を用いた。スマートフォンに導
入された junaio でロゴ画像(AR マーカ)を参照
することにより,生産者や農産物に関する情報コ
ンテンツが Agri-eye サーバ上で自動生成され,直
図1
作成プログラム概要図
ちに AR 表示される仕組みとなっている。
【結果および考察】
AR インタフェースを利用することにより,
Agri-eye 内の農業情報を QR コードではなく,任
意の AR マーカ画像(ロゴマーク)から取得・表
示できるようにした。表示項目は,
「各農産物の生
産履歴および生産時の画像を表示するスライドシ
ョー」,「農産物の一覧」,「生産者情報」,「他サイ
トや SNS へのリンク情報」とした。スライドショ
ーは,生産者自らが作業中に登録した農作業履歴
図2
AR 表示画面
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