ヒューマンコンピュータインタラクション特論 第8回 情報理工学専攻 複合情報工学講座 Human-Computer Interaction (HCI) 研究室 小野哲雄 (8-12室) [email protected] 前回(第7回)の講義のまとめ – 人とインタラクションを行う「ハードウェアインタ フェース」の本質的な機能、ユーザの要望・目 的は何か? – “Designing Interactions”の視点から考察 • 入力・操作: 1. 2. • Touch & Activate: Adding Interactivity to Existing Objects Using Active Acoustic Sensing SenSkin: Adapting Skin as a Soft Interface 出力・表示: 1. 2. inFORM: Dynamic Physical Affordances and Constraints PrintScreen: Fabricating Highly Customizable Thin-film Touch-Displays HCIにおける現在の問題:特に「入力」 – 現時点での情報技術の限界: • • 文字認識:崩れた文字は認識できない 機械翻訳:翻訳された文の質が低い – HCIにおける新しいアプローチ: • クラウドソーシング(Crowdsourcing): – • 不特定多数の人の寄与を募り、必要とするサービス、アイデ ア、またはコンテンツを取得するプロセス ヒューマンコンピュテーション(Human Computation): – 人間とコンピュータどちらが欠けても解答することが不可能な 問題に対し、人間の知能と計算機を組み合わせて解く手法 Dr. Luis von Ahnの研究のまとめ: “一石二鳥”手法 – reCAPTCHA: CAPTCHA:ウェブサイトの制限エリアへアクセスを試みる ボットの排除+OCRで認識の難しい文字を課題として紙 の本のデジタル化に活かすシステム 具体例: – – ニューヨーク・タイムズの記事アーカイブの電子化 Googleブックスの書籍電子化 – Duolingo: 無料の言語学習、及びクラウドソーシング翻訳用プラット フォーム 利用者がコースを受講→その結果をウェブサイトやその他 の文書の翻訳に使用 今日の講義のポイント – 「出力」に注目: • • • • 従来の出力デバイス Virtual Reality Augmented Reality 次世代インタフェース – 特徴: • • • 理論的なアプローチがしづらい→正解がみつけづらい 製作(試作)のコストが高い 応用先は多い(特に、エンタテインメント系) 従来の出力デバイス ディスプレイ・スピーカー・プリンタ 3Dテレビ・モニター 3Dプリンタ プロジェクタ ヘッドマウントディスプレイ レーザーカッター Virtual RealityとAugmented Reality – Virtual Reality(人工現実感、仮想現実;VR): • 実際の形はしていないか、形はことなるかもしれな いが、機能としては本質的に同じであるような環境を、 ユーザの感覚を刺激することにより理工学的に作り 出す技術およびその体系 – Augmented Reality(拡張現実;AR): • 人が知覚する現実環境をコンピュータにより拡張す る技術、およびコンピュータにより拡張された現実環 境そのものを指す Cyberith Virtualizer (2014) – Cyberith Virtualizerとは? • • Cyberith GmbH社によって開発された、モーション 検出装置を備えた全方位トレッドミル HMDを装着することにより、豊かなVR体験をするこ とができる Birdy (2014) – Birdyとは? • • HMD(Oculus)などを用いて、鳥のように空を飛ぶ 感覚を再現するVRシステム 体験者は自分の手によりシミュレータを制御すること ができる(sensory-motor coupling) Aireal (2013) – Airealとは? • • ユーザにデバイスを装着させることなしに、効果的な 触感を提示することができる新しい技術 「空気砲」のメカニズムによりユーザに触覚を提示す るため、さまざまな応用可能性を有する セカイカメラ(2009) – セカイカメラ(Sekai Camera)とは? • • スマートフォン上で動作する拡張現実ソフトウェア スマホのカメラにより目の前の景色が画面上に写し 出され、その上にその場所・対象物(建物・看板な ど)関連する「エアタグ」と呼ばれる付加情報(文字・ 画像・音声)が重畳される World Lens (2010) – World Lensとは? • • スマートフォンのカメラから入力された文字を認識し、 その文字を他の言語に翻訳し表示するARアプリ ケーション 翻訳された文字は、現在見ている背景にそのまま表 示される MetaCookie – 「味覚」とは? • 舌で感じた化学信号と、見ためや匂い、触覚、記憶 などが脳内で統合されることで、認識される味(= 「風味」)は決定される – MetaCookie • 味覚の元となる化学信号は変えずに付随情報だけ を変化させることで、味の認識だけを変化させる その他の「出力」系インタフェース – Tabletop (touch-based) Interface • • • • • Reactable intuPaint (Painting Environment) FluidPaint SandCanvas Interactive Tabletop Game – ロボットを用いたインタフェース • • Telexistence Augmented Humans ハードウェアインタフェースと インタフェースの手法 – ハードウェアインタフェース: • • • 入力・操作:キーボード、ポインティングデバイス 出力・表示:プリンタ、ディスプレイ、GUI 音声入出力・ビデオ入力 – インタフェースの手法: • • • • テキスト入力 音声インタフェース コンピュータビジョン 紙・物・場所によるインタラクション (参考:『ヒューマンインタフェース入門』、椎尾、2010) 今日の講義のポイント(再掲) – 「出力」に注目: • • • • 従来の出力デバイス Virtual Reality Augmented Reality 次世代インタフェース – 特徴: • • • 理論的なアプローチがしづらい→正解がみつけづらい 製作(試作)のコストが高い 応用先は多い(特に、エンタテインメント系) VR, AR, AV, MRの分類 • P. Milgramによる連続的なスペクトル: – – – – 人工現実感(Virtual Reality; VR):コンピュータグラ フィックスによって人工的に合成した仮想世界で人間 を包み込む技術 拡張現実感(Augmented Reality; AR):人間が住む実 環境をコンピュータテクノロジーで拡張する技術 拡張仮想感(Augmented Virtuality):CGの現実描写 の限界を補うため実世界映像を持ち込む 複合現実感(Mixed Reality):人工現実感と拡張現実 感を統合する概念 17 次回の講義 – 前回(第7回)、今回(第8回)に提示したような インタフェースをどのようにデザインしていくの か? • • • • ユーザエクスペリエンス(UX) ユーザセンタードデザイン(UCD) 人のインタフェース特性、情報処理モデル、生態学 的モデルなど 実験計画法、質的評価
© Copyright 2025 ExpyDoc