大学教育学会(名古屋大学)ラウンドテーブル 質疑

大学教育学会(名古屋大学)ラウンドテーブル 質疑
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[全体ディスカッション PART1] ALとISの高度化のための検討
1. ALの失敗マンダラでの事例の属性(大規模講義・プロジェクト系など)は?
2. インターンシップのマンダラでは、学生の学びというよりもインターンシップの枠組みに偏り
があるのでは?事例の記述からそのようになったの?
3. 制度設計の仕組みとして、TAの有無・人数・グループの数やCAP制などの教育制度については
調査において考慮されたの?その点を考慮しないと背景について議論できないのではないか?
ALは幅広い概念であるので、どのようなALについて言及できるのかを明確にするとよいので
はないか?TAを配置できる予算がある大学と、そうでない大学ではどう違うか?例えば単位
の実質化を行う時には、CPA制などの背景にある制度を考慮しないと議論が難しいだろう。
4. 座学の場合は、試験にて評価できる。ALの場合は発表によって評価する活動。今回のマンダ
ラにおける「失敗」の定義は?情意的な失敗の取り扱いで良いのか?(成功と失敗という概念
について)ALではルーブリックなどで評価しますよね?
5. 今回の失敗の報告は、それを実施した人間が「失敗」と思っているかどうか、が一つの基準。
その失敗の取り扱いの限界は、あるかもしれない。「準備不足」というのは重要なキーワード
となっているが、もっと準備した方がよかった、参考資料を用意すべき、学生にもレポートを
求めて、コメントをさせれば良かった、と感じることも日常の中であるが、それは日々の業務
上、孤立した一つの授業でそれをすべて行うのは難しい。他の取組みとの兼ね合い(カリュキュ
ラム)で、実際は動いている(ある授業の内容の準備が展開しているというような)総合的な
関連の中で生じている。今回の内容は我々の実感とあっていて大変面白い。しかし、その先に
進めていくにあたっては、もう一歩違う観点から検討が必要なのかもしれない。
6. 失敗していても、失敗と思わない人も多い(初めてALをするような人がグループで何かしてい
ればALと認識して上手くできていると思っている)。そういう時にこれが失敗だよという分
かりやすい整理されたものがあると分かりやすい。
7. ラーニングコモンズを使ってどうALを展開しようかと思っている。今回のマンダラをぜひ大
学に持ち帰りたい。失敗マンダラを作っていく上で、要素間の相関係数を参照して、ある従属
変数と独立変数を関連を考慮した統計的な検討を行うのですか?マンダラの作り方を教えてほ
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しい。
[全体ディスカッション PART2] 失敗学を大学の教育改革にどのように活用するのか?
I.
客観的な形で取り扱いできる問題と、定義が難しい問題とあるように感じた。しかし、どのよ
うな形で「問題」(それぞれ主観・客観あるが)とされるものの全体を可視化して議論の土俵
とできるところに「強み」があるように今感じている。
II. 教員は「失敗だよね」と感じる。しかし学生は「この授業とって失敗」と思うかどうか?教員
と学生の「失敗像」は一致するのだろうか?授業評価アンケートでも教員の授業に対する自己
評価と学生の評価がズレることはよくある。
III. 教員が問題だと意識する点と学生が問題だと認識する点が異なる。現状学生にも失敗を報告す
るように実践しているが、学生は「自分のことは悪く評価しない」特徴がある。他罰的なコメ
ントが多い印象(アイツが居るせいで、など)。コンフリクトに対する対処の知識を持たない
のではないかと感じている。アサーションなど指導する必要を感じる。
IV. シラバスは学生の立場になって作成する。上記の点がずれるとあまり上手くいかないと感じる。
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V. 解決ではなくとも改善むけての道が見えてくるツールだと思う。このマンダラを各大学で作成
するというのは難しいと思う。GPでみんなで取り組むプロセスがあるから可能であった過程
があるのでは。
VI. 原因・行動・結果の間にあるプロセスの間に考える最中に「そんな問題はない、そんなことは
ありえない」とディスカウントしてしまい、解決にいたらないことがある。ワールドカフェ的
に解決・改善にむけてディスカッションすることが有意義。
VII. 他専攻の人間で構成される短大・大学で、ALについて同様に議論する時は難しい。グループ活
動をしている時に教員は平気で介入していく姿が見受けられた。そこでファシリテーションス
キルを学ぶことをソリューションに4ヶ月に一度6時間研修を実施することを試みている。
VIII.ISの失敗学を伺っていて、関係者の対話が必要だというのは大事な指摘。組織的な対話が必要
で、個別的な努力だけでは打破できない。大学教員にALの重要性を説得できない理由は、AL
は話し合わせるけど、あまり深い議論にならない。学生の満足感が高いがそれで本当に教育成
果が上がっていると言えるのかというところがあるだろう。個別的な講義とALがどのように
結びついているのかということを、大学全体としてのカリュキュラムとしてどのように位置づ
いているのかが問われる。さらにその位置づけを教員も理解していることが効果的なALにな
るためには重要だろう。組織的なソリューションにどのように結びつけていけるかが今回の成
果の次のステップといえるのではないか。(学生から見ても、教員がなんだかグループ学習に
にじり寄って来たという感じで終わるのはどうか)
IX. 大学の改革という研究テーマをしていると成功事例を追いかけていたので、新鮮だった。成功
事例ばかりだと共通性がなかなか見えなくて、失敗事例に共通性が見えやすいという指摘は共
感。共通性の見えやすい失敗事例を見た上で、最終的には成功に昇華させるという考え方はど
うか?
A. 基本はFD。その手法が失敗学だったという発表。基本はFDとしてみんなが困っているこ
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とを分かりやすく明確に見せたということだと思う。