News Release

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2014 年 12 月 2 日
新規経口プロテアソーム阻害薬 ixazomib の再発・難治性の全身性 AL アミロイドーシスに対する
米国食品医薬品局による Breakthrough Therapy の指定について
当社は、このたび、新規経口プロテアソーム阻害薬 ixazomib(一般名、開発コード MLN9708)について、
再 発 ・ 難 治 性 の 全 身 性 AL ア ミ ロ イ ド ー シ ス の 効 能 に お い て 、 米 国 食 品 医 薬 品 局 ( FDA ) よ り
Breakthrough Therapy の指定を受けましたのでお知らせします。本薬は、他社製品を含め、プロテアソー
ム阻害薬および AL アミロイドーシス治療薬として同指定を受けた最初の薬剤となります。
本 効 能 に お け る ixazomib の 開 発 で は 、 臨 床 第 1 相 試 験 の 終 了 後 、 臨 床 第 3 相 試 験 の
「TOURMALINE-AL1 試験」を開始し、再発・難治性の AL アミロイドーシスを対象に本薬とデキサメタゾン
を併用した際の有効性・安全性を検討しています。本試験は、再発・難治性の AL アミロイドーシスを対象
とした唯一の臨床第 3 相試験かつグローバル試験です。
Breakthrough Therapy の指定制度は、重篤もしくは致命的な疾患の治療のため、新薬の開発および審
査を加速することを目的としています。同指定を受けるには、臨床試験の予備的結果において、重要な
評価項目について既存の治療を超える本質的な改善が示されることが必要です。同指定を受ける根拠
となったデータは、2014 年 12 月 6 日から 9 日にかけて米国サンフランシスコで開催される米国血液学会
年次総会において発表する予定です(抄録番号 3450:再発・難治性の全身性 AL アミロイドーシス患者
に対する経口プロテアソーム阻害薬 ixazomib の臨床第 1 相試験における第 3 相試験推奨用量での長期
結果)。
AL アミロイドーシスは、タンパクの折りたたみの異常を原因とする希少かつ進行性の疾患であり、米国で
は毎年 3,000 名に満たない方々が AL アミロイドーシスと診断されています。本疾患は、臓器や組織への
アミロイド沈着を特徴とし、患者さんによって影響を受ける臓器が異なる一方、心臓、腎臓、肝臓、脾臓、
神経系、消化管に影響を及ぼすことが多い疾患です。また、本疾患に対する治療薬は、米国をはじめ全
世界でも承認されておらず、アンメットメディカルニーズの高い疾患です。
Blood Bank and Stem Cell Processing Laboratory の Director でありタフツ大学医学部教授の Raymond L.
Comenzo 氏は、「再発・難治性の AL アミロイドーシスの患者さんを対象とした本薬投与による予備的評価
データが良好であったことを大変心強く思います。AL アミロイドーシスでは、患者さんの臓器や組織が影
響を受け、衰弱していきます。本薬が Breakthrough Therapy の指定を受けたことにより、希少かつ進行性
の疾患と闘っている患者さんに対する新たな治療オプションの開発が承認に向けて大きく前進しました」
と述べています。
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イタリア パヴィア大学 全身性アミロイドーシス研究治療センター教授の Giampaolo Merlini 氏は、
「ixazomib は、複数の前治療歴を有する多くの AL アミロイドーシスの患者さんに対して効果と臓器障害の
改善を示す画期的な薬剤です」と述べています。
当社の Oncology Therapeutic Area Unit Head である Michael Vasconcelles は、「本薬が Breakthrough
Therapy の指定を受けたことは、当社のがん領域の開発プログラムの強みが証明されたということであり、
従来は研究開発の対象とされていなかった疾患について、プロテアソーム阻害の可能性を広げようと取
り組んできた結果です。治験に参加いただいた患者さん、医師、医療関係者の皆さんの支援により同指
定を受けることができ、心より感謝いたします」と述べています。
Breakthrough Therapy の指定を受けた新薬の審査は、効率的に開発プログラムを進めるための FDA ガ
イダンスが適用されるとともに、審査には経験豊富な FDA の審査担当が直接携わるなど優遇策が図られ
ます。
<Ixazomib について>
Ixazomib は、多発性骨髄腫や全身性軽鎖(AL)アミロイドーシスなどの悪性腫瘍に対する新規経口プロ
テアソーム阻害薬です。本薬は米国および欧州で 2011 年に多発性骨髄腫について、2012 年に AL アミ
ロイドーシスについてオーファン指定を受けました。本薬は臨床第 3 相試験を開始した最初の経口プロ
テアソーム阻害薬であり、現在、4 つの国際共同臨床第 3 相試験が実施されています。再発・難治性の
多発性骨髄腫を対象に本薬・レナリドミド・デキサメタゾン併用群とプラセボ・レナリドミド・デキサメタゾン
併用群を比較した TOURMALINE-MM1、再発・難治性の AL アミロイドーシスを対象に本薬とデキサメタ
ゾンの併用を検討した TOURMALINE-AL1、未治療の多発性骨髄腫を対象に本薬・レナリドミド・デキサ
メタゾン併用群とプラセボ・レナリドミド・デキサメタゾン併用群を比較した TOURMALINE-MM2、未治療
の多発性骨髄腫を対象に導入療法および自家幹細胞移植後の維持療法としての本薬とプラセボを比較
した TOURMALINE-MM3 を実施しています。詳細については、www.tourmalinetrials.com もしくは
www.clinicaltrials.gov をご覧ください。
<アミロイドーシスについて>
アミロイドーシスは、体内の抗体を産生する細胞が、正常に機能せずにアミロイドとして知られる異常なタ
ンパク繊維を産生することを原因とする疾患です。産出されたアミロイドは、体内のあらゆる臓器に沈着し
ます。このことから、アミロイドーシスにより受ける影響は患者さんによって異なります。様々なタイプのアミ
ロイドーシスがあり、その中のいくつかは遺伝性です。AL アミロイドーシスは、軽鎖・原発性・全身性のア
ミロイドーシスとして知られ、最も一般的なタイプです。AL アミロイドーシスにより腎臓と心臓に影響を受け
る頻度が最も高いものの、肝臓、神経系、軟組織など他のあらゆる組織も影響を受けます。
以上
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