本科 / 実戦演習期 / Z Study 解答解説編 / 東大コース 理系数学

 本科 / 実戦演習期 / Z Study 解答解説編 /
東大コース 理系数学
見 本
YMARNA-Z1C4-01
n 0 をみたす 実数とする。x の 2 次方程式 x2 + ax + a2 = 0 の 2 つの解を ®,¯ と
aをa=
し,自然数 m,n に対して
¯m
®m
f(m,n) = n + n
®
¯
n 0) に対して
とする。1 · m · 20,1 · n · 20 のとき,任意の実数 a (=
f(m,n) = 2a10
が成り立つような m,n の組 (m,n) をすべて求めよ。
(25 点)
f(m; n) を a の式で表すのが第一歩。もちろん解と係数の関係を利用することになるが,これ
だけで式を整理するのは難しい。ここでは,®,¯ が 2 次方程式 x2 + ax + a2 = 0 の解であること
から,この 2 次方程式の形に着目して,®,¯ がもつ性質を見抜きたい。あとは,a の式で表した
n 0)に対して 2a10 と等しくなるための条件を考えれ
f(m; n) の形を見て,これが任意の実数 a( =
ばよい。
® + ¯ = ¡a,®¯ = a2
………………………………… ①
また
x3 ¡ a3 = (x ¡ a)(x2 + ax + a2 ) = 0
であるから
®3 = ¯3 = a3
…………………………………………… ②
が成り立つ。
ここで,① より
®m+n + ¯m+n
®m+n + ¯m+n
=
(®¯)n
a2n
と変形できる。さて,①,② を用いて,f(m,n) を a で表すことを考
f(m,n) =
える。
m + n = 3M (M = 1,2,Ý) のとき
®3M + ¯3M
(®3 )M + (¯3 )M
f(m,n) =
=
2n
a
a2n
2a3M
2am+n
=
= 2am¡n
a2n
a2n
m + n = 3M + 1 (M = 1,2,Ý) のとき
=
f(m,n) =
®3M+1 + ¯3M+1
(®3 )M ® + (¯3 )M ¯
=
2n
a
a2n
ここがポイント。
▲
の関係より
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
② より,m + n を 3 で割った
余りによって分類することに
気づきたい。
▲
x の 2 次方程式 x2 + ax + a2 = 0 の 2 解 ®,¯ に対して,解と係数
= am+n¡1 ¢ (¡a) ¢ a¡2n = ¡am¡n
m + n = 3M + 2 (M = 0,1,2,Ý) のとき
f(m,n) =
=
®3M+2 + ¯3M+2
(®3 )M ®2 + (¯3 )M ¯2
=
2n
a
a2n
a3M (®2 + ¯2 )
am+n¡2 (®2 + ¯2 )
=
2n
a
a2n
= am¡n¡2 f(® + ¯)2 ¡ 2®¯g
= am¡n¡2 (a2 ¡ 2a2 )
= ¡am¡n
, , より任意の実数 a に対して
f(m,n) = 2a10
が成り立つためには,自然数 m,n について
m + n = 3M
Tm ¡ n = 10
が成り立てばよく,これを m,n について解くと
3M + 10
,n = 3M ¡ 10
2
2
となるから,m,n が自然数であることより
m=
M は偶数
がわかる。
そこで,M = 2N とおくと
m = 3N + 5,n = 3N ¡ 5
…………………………… ③
となり,1 · m · 20,1 · n · 20 より
1 · 3N + 5 · 20,1 · 3N ¡ 5 · 20
Ú
6 · 3N · 15 すなわち N = 2,3,4,5
よって,③へ代入すれば,求める組 (m,n) は
(m,n) = (11,1),(14,4),(17,7),(20,10)
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
YMARNA-Z1C4-02
任意の a が 2 を素因数にも
つわけではなく,(i) の場合,
すなわち,m + n = 3M の場
合に限られる。
▲
a3M (® + ¯)
am+n¡1 (® + ¯)
=
=
a2n
a2n
・周期性を利用する
本問では,®3 = ¯3 = a3 が成り立つことから,f(m; n) の値に周期性が生まれ,それを利用して
n 0)についての恒等式になるような m; n の組を求めた。数列の問題でも,
f(m; n) = 2a10 が a( =
いきなり一般項を求めようとすると難しいが,周期性に気づけば一般項が求められることがある。
n = 1; 2; … の場合を具体的に調べて,周期性を見つけるところがポイントである。
以下の問題の (3) のように,次数が高い場合,直接答えを求めるのが難しい場合がある。ここで
も”周期性”に着目してみよう。
YMARNA-Z1C4-03
(例)2 次方程式 x2 ¡ 4x ¡ 1 = 0 の 2 つの実数解のうち大きいものを ®,小さいものを ¯ とする。
® = 1,2,3,Ý に対し,sn = ®n + ¯n とおく。
(1) s1 ,s2 ,s3 を求めよ。また,n ¸ 3 に対し,sn を sn¡1 と sn¡2 で表せ。
(2) ¯3 以下の最大の整数を求めよ。
(3) ®2003 以下の最大の整数の 1 の位の数を求めよ。
(解答)(1)® + ¯ = 4,®¯ = ¡1 だから,
s1 = 4,s2 = (® + ¯)2 ¡ 2®¯ = 18,
s3 = (® + ¯)3 ¡ 3®¯(® + ¯) = 76
そして,®2 = 4® + 1,¯2 = 4¯ + 1 より
®n = 4®n¡1 + ®n¡2 ,¯n = 4¯n¡1 + ¯n¡2
だから,辺々たして
sn = 4sn¡1 + sn¡2
p
(2)¯ = 2 ¡ 5 だから,¡1 < ¯ < 0 より
¡1 < ¯3 < 0
だから,¯3 以下の最大の整数は ¡1 である。
(3)¡1 < ¯ < 0 より
¡1 < ¯2003 < 0
であり,sn は整数だから,
®2003 = s2003 ¡ ¯2003
において,®2003 以下の最大の整数は s2003 である。
ここで以下の合同式を 10 を法として書くと
s1 ´ 4,s2 ´ 8,s3 ´ 6,s4 ´ 2,s5 ´ 4,s6 ´ 8
だから,4,8,6,2 を繰り返す。2003 = 4 Þ 500 + 3 だから
s2003 ´ 6
よって,求める値は 6 である。
(東大)