Type Thesis or Dissertation Title Improvement of trapped magnetic flux density in melt-textured RE-Ba-Cu-O bulk superconductors Author(s) 周, 迪帆 Citation Date 2013 URL http://oacis.lib.kaiyodai.ac.jp/dspace/handle /123456789/1408 Rights Tokyo University of Marine Science and Technology [課程博士](博士論文審査及び最終試験の結果要旨) 氏 名: 論文題目: 周 迪 帆 (ZHOU, Difan) Improvement of trapped magnetic flux density in melt-textured RE-Ba-Cu-O bulk superconductors 「溶融凝固 RE-Ba-Cu-O バルク超電導体の捕捉磁束密度の増大」 博士論文審査: 高温超電導酸化物を溶融凝固法により結晶化して得られるバルク超電導体は、磁場中で冷却する か超電導臨界温度以下で瞬間的に強磁場を印加することにより超電導体内に侵入した磁束が内部 のピン止め中心に捕捉され、低温で磁石として利用できる。超電導線材をコイル化した磁石では対 応できない比較的小さな体格で大きな磁束密度と磁場勾配を実現するバルク超電導磁石は幅広い 機械システムへの実用の可能性をもつ。バルク超電導磁石材料として、高温超電導体 RE-Ba-Cu-O (REBa2Cu3O7-d, RE: Gd, Nd, Y 他)ではコヒーレンス長が短く、構造に大きな異方性をもつことか ら、溶融成長結晶の小傾角粒界などが臨界電流を低下させており、結晶組織の改善による臨界電流 の向上や体格の大型化に向けた結晶成長領域の均一性の確保が重要な課題となっていた。 著者は、90 K 級高温超電導体である RE-Ba-Cu-O の均一かつ傾角粒界を抑制した単一の成長領域 を獲得し、磁場中臨界電流や捕捉磁束を増大させることを研究の目的とした。まず、溶融凝固法に よる Gd-Ba-Cu-O の結晶化過程において、酸化マグネシウム種結晶と酸化銀を含む従来の前駆体と の間に、酸化銀を含まない異なる融点の前駆体を置くことによって2段階の成長プロセスを構成し、 結果として磁束ピン止めに有効な常磁性添加粒子である RE2BaCuO5 の分布を改善し、磁束捕捉に 優れた Gd-Ba-Cu-O 材の作成に成功したばかりか、Nd-Ba-Cu-O のバルク材作成への適用もできる ことを実証した。著者はさらに、酸化マグネシウム基板上に NdBa2Cu3Oy を成長させた薄膜を種結 晶として、YBa2Cu3Oy を液相源とする浸透法による Gd-Ba-Cu-O バルク材の新たな作成プロセスを 考案して捕捉磁束の増大を見出した。その理由として、成長過程において十分な液相を供給して鉛 直方向の成長速度を制御し、成長バルク材の体格増大に関わる水平面内の成長を促した結果、ピン 止め中心となる Gd2BaCuO5 常磁性粒子の凝集や小傾角粒界の生成を抑制できたため、良質のバルク 材を得たと結論した。バルク材前駆体を多孔質にしたり、磁性粒子を追加で添加する等、従来から ある捕捉磁束量を増加させるプロセスを組み込んだ結果、捕捉磁束のさらなる増大が確認され、今 回の著者の考案の有効性が実証されている。本研究は、良質かつ大きな体格のバルク実用材の製造 に有効であるばかりか、前駆体の上に種結晶を加熱前に置くコールドシード法によって結晶作成を 行なうものであり、バッチ処理による量産の実現にも貢献する。以上の内容から、提出された論文 は、十分博士の学位に値することを審査委員一同確認した。 最終試験の結果要旨: 最終試験は 8 月 19 日に行われた。審査委員一同出席の下、まず、学術論文は 4 編が第 1 著者と して公表済み(D. Zhou, S. Hara, B. Li, K. Xu, J. Noudem and M. Izumi, “Significant improvement of trapped flux in bulk Gd–Ba–Cu–O grains fabricated by a modified top-seeded melt growth process”, Supercond. Sci. Technol., 26, 015003 (2013) 他 3 編)であるとともに、論文1編は当該国際学術雑誌の 2012 年ハイライトに選抜されており、学会発表では 2012 年応用超電導国際会議(ASC2012)で口頭 選抜講演をしていることを確認した。以上から著者は当該専門分野に対し十分な研究能力と英語に よる発表の資質を有すると評価できる。合同セミナーへの出席回数も 60 時間を越えていることを 確認した。学術論文は英語で書かれ、論文内容について最終確認のための質疑応答を行い、専門知 識については公開発表会(8 月 19 日)当日の質疑や予備審査時でのディスカッションを含め十分であ ると審査委員一同確認した。以上から、本学生について論文審査、最終試験とも合格と判定した。
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