情報ネットワーク学基礎 1 演習問題解答 (6 月 18 日出題分) 問題 3 問 3-1 の解答 : P (∩ n ) Ai = P (A1 ) i=1 n ∏ P (Ai |A1 ∩ A2 ∩ · · · ∩ Ai−1 ) i=2 が任意の n ≥ 2 で成り立つことを示す.n = 2 のとき条件付き確率の定義より成立. 今,n = k のときに Chain rule が成り立つ,つまり P ) (∩ k = P (A1 ) Ai k ∏ P (Ai |A1 ∩ A2 ∩ · · · ∩ Ai−1 ) (1) i=2 i=1 と仮定する.このとき P ( k+1 ∩ ) Ai =P i=1 ( (∩ k ( =P ) Ai ) ∩ Ak+1 i=1 k ∩ i=1 = P (A1 ) = P (A1 ) ) ( ) k ∩ Ai P Ak+1 Ai i=1 k ∏ i=2 k+1 ∏ ( P (Ai |A1 ∩ A2 ∩ · · · ∩ Ai−1 ) × P k ) ∩ Ak+1 Ai i=1 P (Ai |A1 ∩ A2 ∩ · · · ∩ Ai−1 ) i=2 となるので n = k + 1 でも成立.よって任意の n ≥ 2 で Chain rule が成り立つ. 問 3-2 の解答 : P (B|A) = P (B) ⇔ P (A ∩ B) = P (B) P (A) [ ∵ 条件付き確率の定義 ] ⇔ P (A ∩ B) = P (A)P (B) ⇔ P (A ∩ B) = P (A) P (B) ⇔ P (A|B) = P (A) 問 3-3 の解答 : ((2) ⇔ (3)) 全確率の公式より,A, B ∈ F に対して P (A ∩ B) + P (A ∩ B c ) = P (A), P (A ∩ B) + P (Ac ∩ B) = P (B) が成立.この式の両辺を引いて P (A ∩ B c ) − P (Ac ∩ B) = P (A) − P (B) 1 (2) を得る. • ((2) ⇒ (3)) A と B c が独立であることの式,P (A ∩ B c ) = P (A)P (B c ) を (2) に代入して, P (A)P (B c ) − P (Ac ∩ B) = P (A) − P (B) ⇔ P (Ac ∩ B) = P (A)P (B c ) − P (A) + P (B) = −P (A)(1 − P (B c )) + P (B) = −P (A)P (B) + P (B) = (1 − P (A))P (B) = P (Ac )P (B) 従って,(2) ⇒ (3) が成立. • ((3) ⇒ (2)) Ac と B が独立であることの式,P (Ac ∩ B) = P (Ac )P (B) を (2) に代入して, P (A ∩ B c ) − P (Ac )P (B) = P (A) − P (B) ⇔ P (A ∩ B c ) = P (Ac )P (B) + P (A) − P (B) = P (A) − P (B)(1 − P (Ac )) = P (A) − P (B)P (A) = P (A)(1 − P (B)) = P (A)P (B c ) 従って,(3) ⇒ (2) が成立. • ((1) ⇔ (4)) について 今度は,P (A ∩ B) と P (Ac ∩ B c ) の関係に注目すると,全確率の公式より同様にして P (A ∩ B) − P (Ac ∩ B c ) = P (A) − P (B c ) (= −P (Ac ) + P (B)) が成立する.(1) ⇒ (4) はこの式と P (A ∩ B) = P (A)P (B) を使うことにより示すことが出 来る.(4) ⇒ (1) も同様にして示すことができる. 他にも (1)∼(4) の同値性を示すやり方はいろいろある.例えば,(1) ⇒ (2) ⇒ (3) ⇒ (4) ⇒ (1) もその1つ.もちろん,この補題の場合は授業でコメントしたように,(1) ⇒ (2) を示すだ けで,残りは全てこの関係から証明できるが,練習問題だと思って手を動かして下さい. 問 3-4 の解答 : P ((A ∩ B) ∩ C) = P (A ∩ B)P (C) と P ((A ∪ B) ∩ C) = P (A ∪ B)P (C) が成り立 つことを示せば良い. 今, P ((A ∩ B) ∩ C) = P (A ∩ B ∩ C) [ ∵ 条件式の4番目 [ ] = P (A ∩ B)P (C) ∵ 条件式の 1 番目 = P (A)P (B)P (C) 2 ] が成り立つ.よって A ∩ B と C は独立であることが示された. また, [ P ((A ∪ B) ∩ C) = P ((A ∩ C) ∪ (B ∩ C)) ∵ 分配法則 ] = P (A ∩ C) + P (B ∩ C) − P ((A ∩ C) ∩ (B ∩ C)) = P (A ∩ C) + P (B ∩ C) − P (A ∩ B ∩ C) = P (A)P (C) + P (B)P (C) − P (A)P (B)P (C) [ [ ∵ 確率測度の性質 (6) ∵ 条件式より ] = P (C)(P (A) + P (B) − P (A)P (B)) [ ] = P (C)(P (A) + P (B) − P (A ∩ B)) ∵ 条件式の1番目 [ ] = P (C)P (A ∩ B) ∵ 確率測度の性質 (6) が成り立つ.よって A ∪ B と C は独立であることが示された. 問題 4 問 4-1 の解答 : ある被験者が選ばれたもとでの,標本空間は Ω = {(x, y)|x, y ∈ {0, 1}} である. ここで,x はその被験者が実際の発病,y は検査結果であり,1 が発病しているまた,0 は発 病していないことをあらわしている.この被験者が発病しているという事象を A とすると A = {(1, 0), (1, 1)} である.また,検査の結果が陽性であるという事象は + = {(1, 1), (0, 1)} となっている. 今求めたい条件付き確率は, P (A ∩ +) P (+) [ ] P (A)P (+|A) = · · · (1) ∵ ベイズの定理 c c P (A)P (+|A) + P (A )P (+|A ) P (A|+) = 題意より, – P (A) = 1 1000 = 0.001 – P (+|A) = 0.95 – P (−|Ac ) = 0.99 よって – P (Ac ) = 1 − P (A) = 0.999 – P (+|Ac ) = P (−c |Ac ) = 1 − P (−|Ac ) = 0.01 これらを (1) に代入して P (A|+) = 0.0868 を得る.この値はかなり小さく,この場合には検 査結果からすぐに発病しているという判断はできないことになる.なお,問題を 1000 人中 5 人の割合で発病するとすると,答えは P (A|+) = 0.323 とかなり大きい値になるが,それ でも検査結果が正しい確率は3割程度である. 3 ] 問 4-2 の解答 : 標本空間 Ω を「車が入っている部屋 x」と「司会者が k 回目にあけた部屋 yk (1 ≤ k ≤ n − 2)」として Ω = {(x, y1 , y2 , . . . , yn−2 )| x, yk ∈ {R1 , R2 , . . . , Rn }, yk ̸= yk′ if k ̸= k ′ } と設定する(ただし,あり得ないような事象の確率は 0 とする). 今,Ch (h = 1, 2, . . . n) を部屋 Rh に車がある事象,Uj を司会者が最後まで部屋 Rj を開けないまま残す事象とする. 車が入っている部屋はランダムなので P (C1 ) = P (C2 ) = · · · = P (Cn ) = 1 n 以下において,車がある部屋が分かった状況で, ある部屋が最後まで残る条件付き確率を示す. 1. 部屋 R1 は(ゲストが選んだ部屋なので)最後まで残さないといけない. よって,車が どこの部屋にあるかどうかによらず P (U1 |Ch ) = 1 for each h = 1, 2, . . . , n 2. 車が Rt , t ̸= 1, にあるとき,司会者は必ず部屋 Rt を残さないといけないので, P (Ut |Ct ) = 1 for each t = 2, . . . , n また,上記は車が Rt , t ̸= 1, にあるとき,t′ ̸= t を満たす t′ ∈ {2, 3, . . . , n} において Rt′ は最後まで残ることができないことを意味する(残る2部屋は R1 と Rt のみ). よって P (Ut′ |Ct ) = 0 for each t′ = 2, . . . , n, t′ ̸= t 3. 題意より,車が R1 にあるとき Ri (i ̸= 1) が最後まで残る確率は P (Ui |C1 ) = 1 n−1 1 n−1 , つまり, for each i = 2, . . . , n よって部屋 Rm , m ̸= 1, が残っている際に R1 に車がある条件付き確率 (Rm が残っていたと きに,部屋を R1 のまま変更せず車が当たる確率)は, ベイズの定理より (C1 , C2 , . . . , Cn は 互いに素,かつ Ω = ∪ni=1 Ci になっていることに着目して) P (C1 )P (Um |C1 ) P (C1 |Um ) = ∑n i=1 P (Ci )P (Um |Ci ) P (C1 )P (Um |C1 ) = P (C1 )P (Um |C1 ) + P (Cm )P (Um |Cm ) 1 · 1 1 = 1 n1 n−11 = n n · n−1 + n · 1 [上記の条件付き確率の考察 2 を分母に用いる] また j = 2, 3, . . . , n に関し,j ̸= m のとき P (Cj |Um ) = 0(Rj はすでに開けられているので ∑ Rj に車があることはありえない)かつ nr=1 P (Cr |Um ) = 1 であるから, Rm が残っている 際に Rm に車がある条件付き確率 (Rm が残っていたときに,部屋を Rm に変更して車が当 たる確率)は n−1 P (Cm |Um ) = 1 − P (C1 |Um ) = n よって,部屋を変更したほうが当たる確率が n − 1 倍になることがわかる. 4
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