情報ネットワーク学基礎 1 演習問題解答 (6 月 11 日出題分) 問題 1 (2) の解答 : 公理 (1) より P (A) ≥ 0 であるから,P (A) ≤ 1 を示す.上の性質 (1) より P (A) + P (Ac ) = 1 で,公理 (1) より P (Ac ) ≥ 0 であるから,P (A) = 1 − P (Ac ) ≤ 1 が成り立つ. (3) の解答 : 上の性質 (1) で A = Ω とすると,Ωc = ϕ であるから,P (Ω) + P (ϕ) = 1.一方,公 理 (2) より P (Ω) = 1 なので,P (ϕ) = 1 − P (Ω) = 0. (4) の解答 : A ⊂ B より,B = A∪(B\A) で A と B\A は互いに素である.公理 (1) より P (B\A) ≥ 0 が成り立つことと,公理 (3) を用いると,P (B) = P (A∪(B\A)) = P (A)+P (B\A) ≥ P (A). (5) の解答 : 帰納法により示す.n = 2 のときは公理 (3) より (5) が成り立つ.n = k (k ≥ 2) のとき (5) が成り立つと仮定して,n = k + 1 のときも (5) が成立することを示せばよい. A1 , A2 , . . . , Ak , Ak+1 ⊂ Ω が互いに素であると仮定すると, P ( k+1 ∪ ) Ai =P (( ∪ k ) Ai ) ∪ Ak+1 =P i=1 i=1 = = k ∑ i=1 k+1 ∑ (∪ k ) Ai + P (Ak+1 ) i=1 [ P (Ai ) + P (Ak+1 ) ∵ 帰納法の仮定 ] P (Ai ) i=1 が成り立つ.よって (5) が示された. (6) の解答 : C = A\B, D = B\A, E = A ∩ B とおくと, A ∪ B = C ∪ D ∪ E, A = C ∪ E, B =D∪E で C, D, E は互いに素である.よって,上の性質 (5) を用いると, P (A ∪ B) = P (C) + P (D) + P (E) P (A) = P (C) + P (E) P (B) = P (C) + P (E) が成り立つ.これらの式より P (A ∪ B) = P (C) + P (D) + P (E) = P (C) + P (E) + P (D) + P (E) − P (E) = P (A) + P (B) − P (A ∩ B) 1 [ ∵ 公理 (3) ] 問題 2 問 2-1 の解答 標本空間 Ω は合計 53 枚のトランプカードから,順序を問わず 5 枚取り出す結果全体である. よって ( ) 53 = 2869685 |Ω| = 53 C5 = 5 であり,またすべての根元事象 ω ∈ Ω は等確率でおこる(つまり ∀ω ∈ Ω, P ({ω}) = 1/2869685). 事象 C を「5 枚でフルハウスが出来る」とする.今 C を以下の2つの事象 C1 , C2 に分けて 考える. – C1 : ジョーカーを含まない5枚でフルハウスが出来る – C2 : ジョーカーを含む5枚でフルハウスが出来る このとき P (C) = P (C1 ∪ C2 ) であるが,C1 と C2 は互いに素なので P (C) = P (C1 ) + P (C2 ) で求められる. 3カードを生成する数字を i,ペアを生成する数字を j で表す.C1 の要素数は,まず i と j の組 (i, j) を1= Ace から 13 = King の中から選び,次に i の4枚のカードから3枚,j の 4枚のカードから2枚順序を問わず選ぶ総数と等しい.このとき i ̸= j(3 カードの数字 i と ペアの数字 j は同じにならない),かつ (i, j) ̸= (j, i) であることに注意すると,(i, j) の総数 は 13 × 12 となる.よって ( ) ( ) 4 4 |C1 | = 13 × 12 × × = 3744. 3 2 また,C2 は, (a) C2 : ジョーカーをのぞく残り4枚において 2 ペアを生成する (b) C2 : ジョーカー以外の4枚でスリーカードが出来る (a) の事象にさらに分けて考えられる.このとき C2 (b) と C2 は互いに素である. ジョーカーをのぞく残り4枚において 2 ペアを生成する際の,2ペアを生成する数字を x と y とする.x と y の組 (x, y) において x ̸= y であるが,(x, y) = (y, x) となることに注意(例; Ace(= x) のペアと King(= y) のペアをつくることと,King のペアと Ace のペアをつくる (13) (a) ことは同じ) すると,(x, y) の総数は 13×12 = 2 2 である.よって,C2 の総数は ( ) ( ) 4 4 (a) 13 × 12 × × = 2808. C2 = 2 2 2 また,ジョーカー以外の4枚でスリーカードが出来る際の,スリーカードを生成する数字 を m, のこりのカードの数字を n とすると,m と n の組 (m, n) において m ̸= n,かつ (b) (m, n) ̸= (n, m) であるから,(n, m) の総数は 13 × 12 となる.よって,C2 の総数は ( ) ( ) 4 4 (b) × = 2496. C2 = 13 × 12 × 3 1 2 よって求める確率は (a) (b) P (C) = (C1 ) + P (C2 ) = P (C1 ) + P (C2 ) + P (C2 ) (a) = (b) |C1 | |C2 | |C2 | 696 + + = ≃ 0.00315 2869685 2869685 2869685 220745 問 2-2 の解答 Ω を 52 枚のトランプカードから1枚ランダムに選んだ際の結果全体とする.このとき |Ω| = 52 であり,またすべての ω ∈ Ω において等確率でおこる(つまり ∀ω ∈ Ω, P ({ω}) = 1/52). 今 |A|(奇数のカードの数)= 7 × 4 = 28,|B|(絵札の数)= 3 × 4 = 12,また |A ∩ B|(奇数の 12 8 カードであり,かつ絵札の数)= 2 × 4 = 8 なので,P (A) = 28 52 ,P (B) = 52 ,P (A ∩ B) = 52 となる.よって求める条件付き確率 P (B|A) は P (B|A) = 8 2 P (A ∩ B) = = P (A) 28 7 また P (A ∩ B) ̸= P (A)P (B) なので,A と B は独立ではない. 問 2-3 の解答 各大学に合格するを 1,不合格を 0 とすると標本空間は Ω = {0, 1}5 となる.各根元事象を ω = (a, b, c, d, e),ただし a, b, . . . , e ∈ {0, 1} とすると,確率測度は各大学の合否から積に よって定義される.例えば,(1, 0, 0, 1, 0) ⇔A 大学と D 大学のみ合格する事象を考えると, その確率は P ({(1, 0, 0, 1, 0)}) = PA (1 − PB )(1 − PC )PD (1 − PE ) となる.同様に,全ての ω ∈ Ω に対して P ({ω}) を書き下すことができるが(全部で 25 通 りもあるので)省略. 今,全ての大学に不合格となる事象を AF とし,その確率を PF とすると, AF = {(0, 0, 0, 0, 0)} PF = (1 − PA )(1 − PB )(1 − PC )(1 − PD )(1 − PE ) と計算される.したがって,この学生が少なくとも1つの大学に合格する確率は AF の余事 象をとることによって, P (AcF ) = 1 − PF = 1 − (1 − PA )(1 − PB )(1 − PC )(1 − PD )(1 − PE ) と求まる.ここで具体的な数字を代入すると 1 − PF ≃ 59.3% となり, (以外にも?)大学生 になれる確率の方が高いことになる. 3
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