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SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2014 年 8 月 6 日号ハイライト
新薬は出血を増加させずに血栓を破壊する
新薬は出血を増加させずに血栓を破壊する
New Drug Busts Blood Clots, Without Increased Bleeding
新薬は過度の出血を起こすことなく血栓を破壊できる。過度の出血は、心臓への通路をふさ
ぐ血栓の治療に現在使われている薬剤でよくみられる副作用である。クロピドグレルなどの
血栓破壊薬は、血小板と呼ばれる血液細胞を阻害することにより作用する。抗凝血剤は、血
小板がくっついて固まらないようにする。残念ながら、このために制御できない出血のリス
クも増加してしまう。Douglas Moeckel らは、血小板の重要な活性化受容体を分解するが血
小板そのものには直接的な影響がない酵素を作成した。この受容体がないと、過度の出血を
起こすことなく血小板は抑制される(固まらない)。Moeckel らは、心臓発作を起こす血栓
のあるイヌとマウスで、APT102 と呼ばれるこの酵素を試験した。最高用量を投与すると、
出血することなく心臓損傷が約 80%減少した。対照的に、対照群のクロピドグレルは動物の
心臓損傷を抑える効果が低く、出血を引き起こした。APT102 はタンパク質の注射剤であり、
クロピドグレルやその他の抗凝固薬のように消化器官を通過して肝臓で活性のある抗血小板
薬に変換される必要がなく、閉塞した血管の血栓部位に直接到達する。Moeckel らは、心臓
発作動物モデルを用いた APT102 の長期試験を計画している。また、ヒトの臨床試験を行う
前に、この新薬と、心臓発作時に使用する可能性のある他の薬剤とを組み合わせて試験する
ことも計画している。
Article: "Optimizing human apyrase to treat arterial thrombosis and limit reperfusion injury without
increasing bleeding risk," by D. Moeckel; A. Nguyen; D. Abendschein at Washington University
School of Medicine in St. Louis, MO; S.S. Jeon; R. Chen at APT Therapeutics Inc. in St. Louis, MO;
X. Sun; S.C. Robson at Beth Israel Deaconess Medical Center in Boston, MA; X. Sun; S.C. Robson at
Harvard Medical School in Boston, MA; M.J. Broekman; J.H.F. Drosopoulos; A.J. Marcus at
Veterans Affairs New York Harbor Healthcare System in New York, NY; M.J. Broekman; J.H.F.
Drosopoulos; A.J. Marcus at Weill Cornell Medical College in New York, NY.