発行日 2015.10.20 Medical partners みなさんこんにちは。大垣徳洲会病院 医療情報誌Medical partnersです。 臨床工学科が発行する 今回のテーマは「経腸ポンプ」です。 経腸栄養ポンプとは? 意識が清明でなかったり、ご自分で口から食事を摂る事が難しい患者様の場合 に、鼻からカテーテルを通して直接胃や腸まで栄養剤を送り込む「経腸栄養療 法」に用いられる注入ポンプです。 重力による自然滴下でも可能ですが、ポンプを用いた方が正確な注入量が測 定できる他、経腸栄養の合併症である嘔吐・下痢・誤嚥などの頻度が低下する というデータがあります。また、誤嚥の防止により誤嚥性肺炎の発症リスクも下 がると考えられています。 経鼻カテーテルの他にも、胃瘻や腸瘻を作ってそこからカテーテルを挿入する 場合もあります。 経腸栄養療法の中でもポンプの適応 ①経腸栄養治療中に下痢・嘔吐などを回避したい場合 ②持続投与が必要な場合 ③手術侵襲の大きい術後の経腸栄養治療(低流量から開始したい場合) ④腸瘻からの在宅経腸栄養治療 ⑤意識障害・嚥下反射の低下がある患者に対して行う場合 などが一例として挙げられます。 Medical partners 経腸ポンプの使い方 本体を付属のポールクランプにより、輸液スタ ンドあるいはベッドの支柱等に固定する。 電源コードをコンセントに接続する。 使用する栄養セットに経腸栄養剤等を満たし、 チューブクランプ部を開きAFFクリップをアンチフ リーフロー機構部に装着、及びチューブ装着部に チューブを確実に装着してからドアを閉める。 ドアを開き電源を入れる。このとき、表示 ランプ、表示部及びブザー等のチェック機 能が作動するので、これを確認する。 流量設定スイッチを押し、流量表示部 が点滅した状態で設定スイッチにより 流量を設定する。 予定量設定スイッチを押し、積算量・ 予定量表示部が点滅した状態で設定ス イッチにより予定量を設定する。 次のページに続きます。 Page 2 Medical partnersが医療機器と職員を繋げます 栄養セットを患者に取り付 けた後、開始スイッチを押 し、注入を開始する。 経腸栄養の禁忌 <絶対禁忌> ・完全腸閉塞 ・消化管での栄養吸収が全くできな い場合 <相対禁忌> ・短腸症候群 ・著しい消化管瘻 ・重篤な下痢 ・消化吸収力の低下 ・重篤な膵炎の急性期 ・炎症性腸疾患の急性期 ・重篤な消化管出血 ・ショック状態 ・逆流による嘔吐・誤嚥が著しい場合 注入が終了すると完了の表示が点滅してブザーが鳴るの で、停止・消音スイッチを2度押し、消音及び停止後、電源 を切り、クレンメを閉じてから栄養セットを患者及び装置か ら取り外す。 プラスアルファ アドバイス ・経腸栄養剤のプライミングや早送りは、停止・消音 スイッチを押して注入を停止した後、早送りスイッ チを押しながら行います。 ・積算クリアは、注入を停止した後、積算量スイッチを長 押しして行います。 ・警報時は点滅する警報ランプで警報内容を確認し、 原因を取り除きます。ブザーを停止するときは停 止・消音スイッチを押します。 ・運転中に、電源の供給が停止すると、バッテリ電源 に切り替わり、注入が継続される。このとき、AC/ DCランプが消灯します。 問い合わせ先 「静脈注射に用いられる輸液ポンプ」と「経腸栄養 ポンプ」は、メーカーによってはユーザーがすぐ馴染 めるように形を似たものにしている場合がある。し かし、「経腸栄養ポンプには気泡検知機能が存在し ない」ため、経腸ポンプを静脈内輸液に用いる事は 絶対禁忌である。 2015年10月号 臨床工学科 内線 2038 制作・編集担当 中野 路子 平田 太郎 久富 俊宏
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