岐阜県 キュウリ黄化えそ病の根絶への取り組み (PDF:729KB)

キュウリ黄化えそ病の
根絶への取組
活動対象 JAにしみの海津胡瓜部会
岐阜県 西濃農林事務所 農業普及課
産地の概要
海津市の概要
・県内の最南端に位置する。
・主な農業
●米、麦、大豆を中心とした大規
模な土地利用型農業
●冬期の温暖な気候を活かした
施設野菜(トマト、きゅうり等)
●露地野菜(甘長ピーマン、なば
な等)
海津市
キュウリ黄化えそ病とは
・国内では平成8年に高知県が初めて発
生を報告
・岐阜県では平成20年に関市で初めて発
生を確認
・きゅうりの主要害虫であるミナミキイロア
ザミウマが媒介するウイルス病
キュウリ黄化えそ病の感染経路
・ミナミキイロアザミウマの幼虫がウイル
スに感染した植物を吸汁することにより
ウイルスを保毒し、成虫になると伝搬能
力を持つ
・保毒虫が健全な植物を吸汁
することにより、ウイルスを
伝搬する
ミナミキイロアザミウマ成虫
キュウリ黄化えそ病の症状
新葉のモザイク症状
斑点状に黄化した葉
果実の奇形
ハウス全体に被害が蔓延
海津市での被害の経過
・平成21年の秋(22年産抑制栽培)、数件で疑わし
い株が散見された。
・ウイルス検定の結果、キュウリ黄化えそ病と診断
・次作以降、被害が急激に拡大
22年産半促成栽培
被害発生農家 半数以上
23年産抑制栽培
被害発生農家33戸/農家数33戸
発病株率20%以上の農家数11戸
キュウリ黄化えそ病はなぜ深刻か
1.治療は不可能
ウイルスによる病気であり、発病すると治らない
2.収量の減少
生育抑制により減収 果実に発生すると出荷不可
症状が進むと枯死
感染拡大を防ぐには、株を抜く必要がある
被害の試算
100株廃棄すると 売り上げは、約47万円減少
3.苗代の増加
発生が初期なら、植え直しを行う
被害例
H22年 多い人は1300株の植え直し
苗は1本約200円 被害額は約26万円
4.ミナミキイロアザミウマの防除が困難
・成虫の体長は約1㎜と小さく、また、新葉への寄生
が多く、微小なため肉眼での観察は難しい
・薬剤抵抗性を獲得しやすく、高い防除効果を示す
農薬が少なくなっている
ミナミキイロアザミウマの防除対策の徹底
侵入率の低い0.4㎜防虫ネットの利用推進
平成22年 1㎜以上が50%
ハウスサイド
0.4㎜
1㎜ネット
黄化えそ病発生前
0.4㎜ネット
黄化えそ病発生後
侵入率の低い0.4㎜防虫ネットの利用推進
天窓
ハウスの真ん中からも黄化えそ病が発生
天窓からアザミウマが侵入
4㎜
1㎜
ネットなし
黄化えそ病発生前
0.4㎜
0.4㎜ネット
黄化えそ病発生後
薬剤だけでは、
ミナミキイロアザミ
ウマの防除は困難
天敵(スワルスキー)の
利用推進
天敵農薬「スワルスキー」とは
・アザミウマ類、コナジラミ類、チャノホコリダニなどを
捕食する天敵のスワルスキーカブリダニを使った
製剤
・雌成虫の体長は約0.3㎜
・平成20年に農薬登録
天敵(スワルスキー)の利用推進
約2万5000頭入りのボトル製剤
250頭/パック
10a当たり100~200パック使用
赤色ネットの実証
赤色ネットとは
・商品名 サンサンネットeーレッド(0.8㎜目合い)
・アザミウマにとって赤色は、黒っぽい幕を張った
ように見え、内部を認識できず、侵入を防ぐと言
われている
チーム活動の成果
県機関が一丸となって対策を講じるため、平成23年4月
に研究機関、指導機関で対策チームを結成
チーム活動で分かったこと
ミナミキイロアザミウマに
効果のある薬剤が、ハウ
スによって異なる
薬剤選定の見直し
黄化えそ病は多数の病徴
がある
見分け方の指針を提示
し、発病株を早期抜根
平成24年6月
黄化えそ病対策マニュアルの作成
黄化えそ病対策マニュアルの活用
海津胡瓜部会で、黄化えそ病対策研修会を開催
ハウス周囲への防虫ネットの設置
ハウス出入り口に前室を設置
黄色粘着板を設置し、アザミウマを誘殺
この他、栽培期間中の作物残さの隔離や、栽培後のハウス密閉によるアザミウマ防除を徹底
活動の成果
0.4㎜の防虫ネットの利用拡大
ハウスサイド 0.4㎜ネットの被覆率
(海津胡瓜部会)
71%
73%
H23
H24
50%
29%
H21
H22
活動の成果
天窓
0.4㎜の防虫ネットの利用拡大
0.4㎜ネットの被覆率
(海津胡瓜部会)
32%
23%
15%
2%
H21
H22
活動の成果
(ha)
3
H23
天敵の利用拡大
天敵利用者数と面積
9人 2.3 ha
面積
2
利用者
3人 0.7ha
1
0
H23
H24
H24
(人)
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
活動の成果 黄化えそ病の被害の減少
黄化えそ病の発病株率 (海津胡瓜部会)
15%
H23年産
H24年産
13%
11%
8%
約1万株
6%
7%
約4千株
抑制栽培
半促成栽培
促成栽培