[人と防災未来センター] ○ 防災対策について/災害対応の現地支援について 1.公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 当該機構は、兵庫県神戸市を拠点として、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、防災・ 減災の社会づくりに資するとともに、21 世紀文明のあり方について研究し、国内外の 政策形成に情報発信していくことを目的として設立された。これまでも創造的復興や 新たな地域づくりに先導的な役割を果たしている。職員数は約100名。 組織の基本財産は10億円で、管理部、研究調査部、人と防災未来センター(今回 の視察対象) 、こころのケアセンター、学術交流センターから構成されている。 2.阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 阪神・淡路大震災の経験と教訓を後世に継承し、災害被害の軽減に貢献するととも に、いのちの尊さや共に生きることの大切さを伝えていくため、兵庫県が国の支援を 得て平成 14 年4月に設置した「人と防災未来センター」の運営を行っている。 当該センターでは、阪神・淡路大震災についての展示をはじめ、実践的な防災研究 や人材育成などを行うとともに、兵庫県が定める「ひょうご安全の日」関連事業を実 施・支援している。職員数は約 30 名。 ある日突然発生し、甚大な被害をもたらす自然災害に対して、世界が減災社会実現 のために何をしなければならないかが問われる中で、その答えのひとつとして位置づ けている。 (1)人と防災未来センターの6つの機能 《災害対応の現地支援》 《災害対策専門員の育成》 《展示》 《資料収集・保存》 《実践的な防災研究と若手防災専門科の育成》 《交流・ネットワーク》 ○機能1:災害対応の現地支援 大規模災害時に、災害対応の実践的・体系的な知識を有する人材を災害対策 本部等に派遣し、災害対応を統括するものに適切な情報提供や助言を行い、被 災地の被害軽減と復旧・復興に貢献する。 本年度は 8 月豪雨や御嶽山噴火など。 ○機能2:災害対策専門員の育成 阪神・淡路大震災の経験を具体的に伝えるとともに、最新の研究成果を踏ま え、防災に関する実践的な知識や技術を体系的・総合的に提供することにより、 地方自治体の防災担当職員など災害対策実務の中核を担う人材を育成する。 ○機能3:展示 被災者・市民・ボランティアなど、多くの人々の協力と連携にもと、阪神・ 淡路大震災の経験と教訓をわかりやすく展示し、特に子どもたちなどに効果的 に情報発信することにより、防災の重要性やいのちの尊さ、共に生きる素晴ら しさを伝える。近隣に限らず遠方からの小中学生、高校生の社会見学の場とし ても選定されており、災害教育の拠点として大きな役割を果たしている。展示 資料は約 18 万点に及ぶがうち展示されているのは 800 点程度。活用が課題。 ○機能4:資料収集・保存 阪神・淡路大震災の記憶を風化させることなく、被災者の想いと震災への教 訓を次世代に継承するため、震災や防災に関する資料を継続的に収集・蓄積し、 防災情報を市民にわかりやすい形でデーターベース化等で整理し、発信する。 ○機能5:実践的な防災研究と若手防災専門科の育成 阪神・淡路大震災の経験と教訓、学術的な知見や蓄積された研究成果に基づ き、我が国の防災上の課題を的確にとらえ、政府・地方自治体・コミュニティ・ 企業などの防災政策や災害対策の立案・推進に資する実践的な防災研究を実施 する。そして、知の新たな体系化と、その学術的価値の確立を先導する。 ○機能6:交流・ネットワーク 阪神・淡路大震災や防災に関する行政実務者、研究者、市民、企業など多様 なネットワークの形成や、国内外の連携の場となることを通じて、社会の防災 力向上のための取り組みを推進する。国際防災・人道支援協議会(DRA)事 業等の支援や防災・減災啓発事業の実施をしている。 3.具体的な災害対応の現地支援の流れ 大規模災害が発生した場合、都道府県等からの要請に基づき豊富な災害対策の経験 と実践的なノウハウを有するセンターの専門員等を被災地の災害対策本部等に派遣 し、助言等を行う。 被 災 地 人と防災未来センター 《支援チーム》 《専門的な助言》 ・チームリーダー(正副センター長) ・意思決定の際の判断材料の提供 ・上級研究員/客員研究員 派遣 ・情報の分析/判断 ・センター研究員 助言 ・被害全容の予測 など ・連絡調整要員 ・その他必要な専門分野 (専門家ネットワーク) ○若手研究者の雇用と活動はどうなっているか。 >若手研究員を常勤で 10 名(H26.10現在 9 名)雇用している。任期付が多く、その任期 も3~5年雇用となっており、期間満了後は大学や研究機関に戻っている。研究員の定着と身 分の問題は課題として認識している。 ○展示に関しての詳細を知りたい。 >常設的に展示されているのは約800点になるが、保存されている展示品は約 18 万点にも及 ぶ。今後、この貴重な提示資料をどのように活用していくかは大きな課題として捉えている。 ○研修について自治体を対象としたものがあるのか >首長や防災危機管理監などをブースに招いて行ったケースがある。最近の研修では 64 名の参 加があった。 ○国内における防災・減災拠点はこちらだけか。 >内閣府所管防災施設として、平常時には訓練や研修する施設として首都直下地震を想定した拠 点としても活用する立川広域防災基地及び災害対策本部予備施設、東京湾臨海部基幹的広域防 災拠点(有明の丘地区、東扇島地区)がある。 ○被災地支援としての現地派遣・助言での課題は何か。 >被災地にはあらゆる機関の防災・医療団体が活動しており、現地支援活動においてはその連携 が大変重要になる。被災自治体との信頼関係の構築はその中でももっとも重要視しなければな らない。世界規模では国連機関ではそれらを集積して共同事業とするセンター機能を持った組 織がセンターとして存在している。
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