講義予定 (1) 2014年10月 7日(火) 信頼性と信頼性工学(イントロダクション) (2) 2014年10月14日(火) 信頼性解析の基礎数理1(確率論の基礎) (3) 2014年10月21日(火) 信頼性解析の基礎数理2(信頼性の基本量) (4) 2014年10月28日(火) 信頼性解析の基礎数理3(故障率と確率分布) (5) 2014年11月 4日(火) 信頼性データの統計解析1(統計データ処理) (6) 2014年11月11日(火) 信頼性データの統計解析2(最尤法と確率紙) (7) 2014年11月18日(火) 中間試験 (8) 2014年11月25日(火)システムの信頼性1(直列・並列システム) (9) 2014年12月 2日(火) システムの信頼性2(一般システムと信頼性設計) (10) 2014年12月 9日(火) 故障モードの同定(FMEA, FTA, ETA) (11) 2014年12月16日(火) 構造物の信頼性工学1(破壊確率と信頼性指標) (12) 2015年 1月 6日(火) 構造物の信頼性工学2(信頼性解析モデル) (13) 2015年 1月13日(火) モンテカルロ・シミュレーション (14) 2015年 1月20日(火) 期末試験 信頼性工学 第2回 2014.10.14 千葉大学 工学部 都市環境システム学科 山崎 文雄 http://ares.tu.chiba-u.jp/ [email protected] 1 2 2.信頼性の基礎数理 2.1 確率論の基礎 確率変数 確率変数 random variable 離散確率変数 (discrete random variable) 連続確率変数 (continuous random variable) ある不確定量のとりうる範囲全体が実数軸Rに写像できる 場合,その不確定量を確率変数Xを用いて表す. 事象 event Ei E1 = ( a < X ≦ c) E2 = ( b < X ≦ d) E1 標本空間 Sample Space Ω E2 確率変数X a b c d R 確率変数には,定義範囲内で,ある領域の値をとる可 能性を表す確率が付随する. 3 4 離散確率変数と確率質量関数 確率分布関数(probability distribution function) 確率変数Xが離散値x1, x2, x3, ・・・ , xnをとる場合, 確率変数Xの確率分布関数(累積確率) FX (x) その確率を表すために確率質量関数(probability mass function) pXを定義する. p X (x) 0 p X ( x) 1 n p i 1 X 離散確率変数に関しては次の関係がある。 (x= x1, x2, x3, ・・・ , xn) (2.1) X:確率変数,x:その実現値 ( xi ) 1 FX ( x) p X ( xi ) P[・]:確率(probability) FX (x) (2.3) x1 x2 x3 xn 0 確率質量関数と確率分布関数の例 x1 = 0 x2 = 1 x3 = 2 x4 = 3 p(x1) = 1/8 p(x2) = 3/8 p(x3) = 3/8 p(x4) = 1/8 FX(x1) = FX(x2) = FX(x3) = FX(x4) = (2.5) x 5 x1 = 0 x2 = 1 x3 = 2 x4 = 3 x xi 1 (2.2) コインを3回トスした場合 の表が出る回数 (2.4) x xn 6 連続確率変数と確率分布関数 確率質量関数 0.4 x1 x2 x3 連続確率変数Xは,実軸上の特定の区間内におけるす べての値をとり得る.連続区間内の値の数が無限である ため,個々の値のとる確率は0になる. 0.3 0.2 0.1 連続確率変数Xの確率分布関数(累積確率) 0 0 1 2 3 x FX ( x) P[ X x] (2.4) 確率分布関数 1 FX (x) 1.0 FX(x)の性質 0.8 FX () 0.6 0.4 FX (x) FX () 0.2 0 0 1 2 3 x 単調増加(非減少)関数 7 x 0 x 8 確率密度関数と確率分布関数 確率密度関数(probability density function) x FX(x)の導関数が存在する場合,それを確率密度関数と 定義する. (2.6) f X ( x) lim FX ( x xx) FX ( x ) FX ( x x) f X (x) fX (x)x 1.0 0 x x x X f X ( x)dx f X (x) FX (x) x f X (x) x x x x x 0 f X ( x)x FX(x) とfX(x)を用いた確率の計算 b FX (x ) FX(x) ,fX(x),またはpX(x)の うち1つが決まれば,不確 定量の確率的性質が完全 に定まる. 連続確率変数Xの平均値(mean) f X (x) FX (x ) x f X ( x)dx a 0 b n E[ X ] xi p X ( xi ) X i 1 x a b 0 a X b x 離散確率変数Xの平均値 確率変数Xの中央値(median) ~xm F (~ x ) 1.0 0 f X (x) E[(・)]は(・)の期待値(expectation) FX (x ) 1 ba 10 0 x 確率分布の例:均一分布(Uniform distribution) f X (x) x 0 E[ X ] FX (a) a f X ( x)dx x 確率変数の平均値,中央値 P ( a X b) 0 1.0 9 確率密度関数と確率分布関数(2) (2.7) ( x' )dx' FX (x) FX (x) f fX(x)の性質 x 0 FX (x) FX ( x) (2.6)より x X 11 m FX (x ) 1.0 0.5 0 ~ xm x 12 分散,標準偏差,変動係数 確率変数の期待値,モーメント 分散(variance):確率変数Xの平均値回りの2次モーメント 連続確率変数Xのn次モーメント E[ X ] n x n Var[ X ] X2 E ( X X ) 2 (2.8) f X ( x )dx (2.9) 確率変数の関数g(X)の期待値(mathematical expectation) 標準偏差(standard deviation) X :分散の平方根 連続確率変数に対して: E[ g ( X )] 離散確率変数に対して: 分散,標準偏差は,確率変数の平均値回りのばらつき を表す. E[ g ( X )] 変動係数(coefficient of variation):相対的なばらつき 無次元量 X (2.10) 連続確率変数Xのn次中央モーメント E [( X X ) ] n (x X ) n f X ( x )dx 13 多次元確率変数(multiple random variable) 平均値,分散,変動係数の例 多次元確率変数=確率ベクトル X X 1 , X 2 , X 3 , , X n T f X (x) 均一分布の場合 1 ba 0 a 平均値 分散 変動係数 14 b 結合確率分布関数(joint probability distribution function) n FX (x) FX1 , X 2 ,, X n x1 , x2 , , xn P ( X i xi ) (2.11) i 1 x FX(x)の性質 X X2 少なくとも1つのxiが xi なら FX (x) 中立軸周りの 断面2次モーメント 全てのiについてxiが xi なら FX (x) FX(x)は全てのxiについての非減少関数 X 15 16 結合確率密度関数 (joint probability density function) 多次元確率分布の例 確率ベクトルが連続分布の場合,結合確率密度関数 fX(x) が定義できる. n FX (x) (2.12) f X (x) f X 1 , X 2 ,, X n x1 , x2 , , xn x1x2 xn f X1 , X 2 ( x1 , x2 ) 1 2 X1 X 2 x 1 1 X1 exp 2 2(1 ) X1 1 2 (2次元正規分布) 2 x X1 2 1 X 1 x2 X 2 X 2 x2 X 2 X 2 2 FX1,X2 (x1, x2) fX1,X2 (x1, x2) fX(x)の性質 f X (x)dx 1 n fold 全てのxについて f X (x) 0 FX(x)はfX(x)のn重積分で求まる x FX (x) f X (x)dx x2 xn x1 f x' , x' X 1 2 , , x'n dx'1 dx'2 dx'n n fold (2.13) 17 周辺確率分布 条件付き確率分布 周辺確率密度関数(marginal probability density function) f X i ( xi ) f X x1 , x2 , , xn dx1 dxi 1dxi 1 dxn (2.14) ( n 1) fold 条件付き確率密度関数(conditional probability density function): 確率ベクトルの中の一部分の確率変数が特定の値をとると いう条件下で、残るほかの確率変数の確率密度関数 2次元分布の場合 周辺確率分布関数(marginal f X1 X 2 ( x1 x2 ) probability distribution function) FX i ( xi ) FX , , , xi , , f X i ( xi ) 18 (2.15) 条件付き確率分布関数(marginal probability distribution function) FX1 X 2 ( x1 x2 ) FX i xi f X1 X 2 ( x1 x2 ) 19 FX1 X 2 ( x1 x2 ) x1 20 結合分布,周辺分布,条件付き分布 統計的に独立(statistically independent) もし2つの確率変数が独立なら条件付き確率密度関数は, 周辺確率密度関数 f X 1 X 2 ( x1 x2 ) f X 1 ( x1 ) 周辺確率密度関数 (2.16) f X 2 X 1 ( x2 x1 ) f X 2 ( x2 ) f X1 , X 2 ( x1 , x2 ) 同様に,条件付き確率分布関数は, FX1 X 2 ( x1 x2 ) FX1 ( x1 ) 結合確率密度関数 FX 2 X1 ( x2 x1 ) FX 2 ( x2 ) x=aに固定したとき結合 確率密度関数 FX1 , X 2 ( x1 , x2 ) 21 22 共分散と相関係数 相関係数の値と散布図 2つの確率変数の共分散(covariance)は,平均値回りの 結合中央モーメントで表される. CovX 1 , X 2 E[( X 1 X1 )( X 2 X 2 )] (2.17) 1 2 (2.18) 相関係数の値は 1 X1 , X 2 1 の範囲 の値 相関の目安 0.5以上 0.5未満 非常に強い相関 やや強い相関 やや弱い相関 非常に弱い相関 X1とX2が独立なら無相関 0.9以上 X1とX2が無相関でも独立とは限らない 0.7以上 X , X 0 ならX1とX2は無相関 1 相関係数(coefficient of correlation):規準化した共分散 X ,X 2 23 24
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