高分子化学Ⅱ 平常テスト⑥(H25.05.22)標準解答 1 次のポリマーに関し

高分子化学Ⅱ 平常テスト⑥(H25.05.22)標準解答
1 次のポリマーに関し、構造式、IUPAC 英名、慣用英名を示せ。
(1) ヘキサメチレンジアミンとヘキサメチレンジイソシアナート
(2) ブタン-1,4-ジオールとヘキサメチレンジイソシアナートの
の重付加ポリマー
重付加ポリマー
−[NH(CH2)6NH-CONH(CH2)6NHCO]n−
−[O(CH2)4O-CONH(CH2)6NHCO]n−
IU poly(iminocarbonyliminohexamethylene)
慣 poly(dihexamethylene diurea) 正しくは
poly[bis(hexamethylene) diurea]
IU poly(oxytetramethyleneoxycarbonyliminohexamethyleneiminocarbonyl]
慣 poly(tetramethylene hexamethylene#-
dicarbamate)
(1)の慣用名については、IUPAC 的に構造式の半分を対象として、poly(hexamethylene urea)とす
る例も見受けられる。これも正解とする。
2 40.00(g)のブタン-1,4-ジオールとχ(g)のアジピン酸から、p→1 の条件で Xn=25.00 の両末端
アルコール型オリゴエステルy(g)を得た。このオリゴエステルの両末端基をちょうど満足する量
のヘキサメチレンジイソシアナートz(g)を反応させてポリマーを得た。次の小問に答えよ。
(1) このオリゴエステルの構造式を、有効数字に留意して正確に示せ。
−R1− ≡ −(CH2)4−と定義する。⇒こうやって定義すると楽
HOR1O−(COR1CO-OR1O)12.00−H
:
小数点の無い数字は全て整数
(2) ポリマーの構造式を、有効数字に留意して正確に示せ。
−R1− ≡ −(CH2)4−,−R2− ≡ −(CH2)6− と定義する。
−[CONHR2NHCO−OR1O−(COR1CO-OR1O)12.00]n− : 小数点の無い数字は全て整数
もっと簡単にしたければ、
上記(1)のオリゴマー:HOR1O−(COR1CO-OR1O)12.00−H ≡ HO-R-OH,−R2− ≡ −(CH2)6−
と定義する、とすれば、−[CONHR2NHCO−ORO]n−で良い。
(もっともここまで簡単にすると、
次の(3)を解くときに C,H,C,O の数を数えなおさないと・・・・)
(3) χ,y,zを求めよ。
Mw(Bd)=12.01×4+1.01×10+16.00×2=90.14
Mw(AA)=12.01×6+1.01×10+16.00×4=146.16
(40.00/90.14)×(12.00/13.00)×146.16=59.8699≒59.87
χ=59.87
Mw(oligomer)=(12.01×10+1.01×16+16.00×4)×12.00+90.14=2493.26
2493.26×{(40.00/90.14)/13.00}=85.1073≒85.11
y=85.11
Mw(HMDI)=12.01×8+1.01×12+14.01×2+16.00×2=168.22
168.22×{(40.00/90.14)/13.00}=5.74218≒5.742
z=5.742
3 A-A と B-B の組み合わせのような二官能性分子同士の重縮合では、r→1 およびp→1 の条件
が整わないと重合度の大きなポリマーが得られない。次のポリマー合成において、r→1 およびp
→1 に相当する条件を達成するために行われている工夫を述べよ。必要に応じて反応式等を利用し
てよい。
【注意!】
「・・・述べよ。」と指定しているのであるから、文章説明必須であり、説明補助である「反
応式のみ」とか「図のみ」はダメです。
(1) PET
[ここまで詳しくなくても良いが・・・]
生成してくるポリマーの溶融状態を保ち、副成する水を除去してp→1 を満足するために高温反
応とすると、テレフタル酸(TPA)が昇華してしまい、r→1 を実現できない。そこで、TPA に対し
て大過剰のエチレングリコール(EG)を Ca(OAc)2 などの弱塩基性触媒存在下で 180℃程度で反応さ
せて中間物である bis(2-hydroxyethyl) terephthalate (BHT)へ導き、単離した BHT に Sb2O3 など
の弱酸性触媒を加えて PET 融点以上の 280℃程度で脱 EG による「自己重縮合」を行う。したが
ってr→1 となり、減圧による脱 EG を続ければp→1 も満足できるため Xn を大きくできる。
HOOCφCOOH+excessHOC2H4OH−[180℃,Ca(OAc)2,−H2O]→HOC2H4O-COφCO-OC2H4OH
−(280℃,Sb2O3,−EG の自己重縮合)→ −[OC2H4O-COφCO]n−
BHT
ただし、φは p-フェニレン基
(2) ナイロン-6,6[2 通り述べよ]
[自分で文章を組み立ててみよ]
a) ヘキサメチレンジアミンは潮解性なので、r→1 とする仕込みができない。そこで・・・・ナイロ
ン塩・・・・
b) ****と????の界面重縮合を行うと、d[P]/dt=−d[M]/dt が最大となる・・・・が・・・・