大学入試 実戦国語 現代文・随想

大学入試
実戦国語
現代文・随想
さくらの個別指導(さくら教育研究所)
4
想
随
到倒副ヨ
、
。
城西大 ・経済︶
次 の文章を読 ん で 後 の問 いに答 えよ ︵
、
西郷隆盛 には どうしても敵 わな いと思う大人物 が いたと い
う。 司馬遷 であ る。 司馬遷 は何時も心 にあるも のを包 み隠す こ
となく、す べてを相手 に話したと いう。
、
普通 の人間 は相手 に対し包 み隠す と ころが多く 本心を話す
、
とホ ンネ であろう。自
こと な 。 も
タ
い
な
は
テ
エ
が
マ
端
最
極
例
、
己 の行動は衝動的欲求 に支配されて いながら それに理屈を こ
、
1
って いるよう に見 せかける。
じ
し
け
て
て
に
み
が
つ
筋
巧
粉
飾
通
、
世 の中 に理論家 と いわれる人達 が いて いつも理路整然と筋を
、
通し て物事を決めてゆくよう に見えるが よく整理しながら聞
I
、
、
A□ し 実 は最初 に
いてゆくと そ のたびそ のたびに結論 は同I
、
結論を決めるとき大 いに感情的 であり あとはそれに理論武装
をす る のが巧 みだと いうような例を数多く見 てきた。 ︵ア ︶
、
そ こま でいかなく ても いささか話したくな い部分が人間 に
、
。
はあ る しかし 考え てみればそう い った部分は誰 でもある の
、
、
で それは劣情 とし て残り 他人に話し得な い部分として自分
口
を隠す ことになる。したが って、自分 の心 の中を 2園 なく ひら
解答 ・解説←別冊2ページ
、
いて見 せられると いう ことは 自分 の心 の中 にあ るどろ どろし
。
たも のが整理され て いると いう こと であ る 修養 を積 むと いう
、
。
ことは 小我を捨 てて大我 に つく と いう こと であ る な にか無
、
理矢 理自我を殺す と考え る人が多 いが 決し てそ んな ことはな
。
い ︵イ ︶
、
、
。
つまり 我 と いう 点 から いえ ば 大きく成功し た のであ る
と ころ が大抵 の凡俗 は、小我 を見 切 る ことも殺す ことも嫌う か
ら、大我 に つく ことが出来 な い。最も強 い欲求 であ る大我 を満
、
、
足さ せる ことを考え ると これは大抵万人 に共通 な ので ここ
ら、
きる
ま
よく
で
い
中 のす べ
で
ゆ
だ
に
は
け
ば
お
の
ず
か
互
心
理
解
、
。
てを語 っても 争 いを生 む ことはな いはず な のであ る ︵ウ ︶
と ころが、世 の中 には 3我儘 な小 人 が沢山 いる。相手 の4頼
、
を打 っても そ の相手 が打ち返す ことは怪し から んと考 え る。
、
小欲を満足さ せると そ の結果 どう な る のかを全 く考え て いな
、
。
。
い ただただ ﹁やり た いから や ら せろ﹂ だけ であ る そ の結
、 っ
や たあ とに自分 のう ち に起 こる であ ろう 心象的 な感情 の
果
私 の ロマン と科学」
西沢潤一「
5
。
誘発す ら予想出来 な いで いる ︵ 工 ︶
、
これ では心 の中 のも のを包 み隠 さず話 し聞 かせても 話 が通
。
じ るはず はな いし、話す だけ馬鹿 馬鹿 し いと いう こと にな る
、
現 の司馬遷 は 敗戦 し て敵 に降 った李陵 将軍 のそれま で の勇猛
、
な る軍功を たたえ て弁護し たとき に罪を問われ 5恥辱 にま み
。
れ て 一生を過 ごす ことにな った のであ る ︵オ ︶
、
、
ここで考え直し てみると a人間 の価値 の 一つは b自己を
t
t
、とでつ点と、何か
慶こ至至刷颯堺憩鶴菜鍛鵠穂船譜毬成疫力
、
を行 ったときは そ の帰結を見通す力 がどこま であ るかと いう
I
、
。
点 であろう 両者 が揃えば 耐︲D
日日 で やろう と思う ことは
。
何 でも思う通り にやれると いう修養 の極致 に達す る ことになる
西沢潤 一 ﹁
私 の ロマンと科学し
︵
、
。
。
、
間一
次 に示す 一文 は 空欄 ア∼オ の いず れか の所 に入 るも のであ る 最も適当 と思う も のを 記号 で答 えよ
、
、
、
﹁
西郷隆盛 は自分 の能 力 の限界を知り 小我 の無価値を見切り 他 人 のオ能 を花開 かせる こと によ って大西郷 となり 小我 を
。
活 かし た のであ る ﹂
、
。
間 二 傍線部 1∼5 の漢字 の読 み方を 平仮名 で記 せ
、
。
、
間 三 空欄 A ・Bを補う のに最も適当 と思 われ る語句 を 次 に示す も のの中 からそれぞれ 一つず つ選 び 記号 で答 えよ
一
矛盾 ホ 固定
A⋮イ 空転 回 発展 ハ 反転 〓
一
B⋮イ 伝家 の宝 刀 口 天下無敵 ハ 唯我 独尊 〓
一事 が万事 ホ 百事如意
、
。
、
。
問 四 波線部 a ﹁人間 の価値 の 一つ﹂ の指 示範囲 は 次 のう ち のどれ か イ∼ハ の中 から 一つ選 び 記号 で答 えよ
イ 自己を ど こま で見抜 いて欲望 の整理 が出来 て いるかと いう 点
、
ど こま
る と う
を っ とき
を
回
で
あ
い
そ
た
に
の
力
か
点
が
帰
見
す
結
通
か
何
行
、
、
ハ 自己を ど こま で見抜 いて欲望 の整理 が出来 て いるかと いう 点 と 何 かを行 ったとき に そ の帰結 を見通す力 がど こま であ
るかと いう 点
、
、
、
自己を ど こま で見抜 いて欲望 の整理 が出来 て いるか﹂ とほぼ同じ意 味 の箇所を 本 文中 から抜 き出 し て 十五
問 五 波線部 b﹁
。
年以内 で記 せ
6
想
随
、
。
次 の文章を読 んで 後 の問 いに答 えよ ︵
桜美林大 ・文︶
市
ぎ口ふ 、
。
由来 ぼく の最も嫌 いなも のは 善意 と純情 と の二 つに尽き る
︱
、
、
こ刷
考え てみると およそ世 の中 に L司司q司州田倒剰対 ,
るも のはな いのであ る。 ぼく自身 の記憶から言 っても、 ぼくは
、
、
善意 純情 の善人から 思わぬ迷惑をかけられた苦 い経験は数
︲
、
、糾 を嘗めさ られた
限りなくあるが 聡明な悪人からク aノ
せ
覚
、 I
A□ ほとんどな いから であ る。悪人と いうも のは、 ぼ
えは 同I
く にと っては案外始末 のよ い、付き合 い易 い人間な のだ。と い
、
と いう は概し て聡明な人間 に決ま って いるし、
う
は
味
の
意
人
悪
、
それに悪 と いうも の自体 に な るほど現象的 には無限 の変化を
、
示し ているかもしらぬが 本質的 にはお のず から にして基本的
グ ラ マーとでも いう べきも のがあ るから であ る。 2悪は決して
。
、
無法 でな い そ こでまず ぼく の方 で 彼ら のグラ マーを 一応心
、
、
﹁
得 てさえ いれば 決し て彼らは ムb判 ドウに 下手な剣術使 い
。
、
のような手 では打 ってこな い むしろ多く の場合 彼らは彼ら
、
のグ ラ マーが相手 によ っても心得られ て いると気 づけば そ の
。
相手 に対し ては仕掛けをしな いのが常 のよう である
、
、
それにひきかえ 善意 純情 の犯す悪 ほど困 ったも のはな い。
I
。 I
、
B
も
い
な
第 一に退屈 であ る 同I
いのは 彼らはただそ の
け
扇
I
、
動機 が善意 であると いう だけ の理由 で 一切 の責任 は解除され
︲︲
c︱ぼ くがあ る不当 の迷惑
るも のとでも考え て いるらし い。同十
を被 ったと仮定す る。開き直 って詰問す ると、彼らはさも待 っ
解答 ・解説←別冊3ページ
、
、 I
I
て いまし たと でも言 わんばかり に 切 々 同I
□ とし てそ の善
、
、
、
。
意 を語り 純情 を披 涯す る 驚 いた こと に 途端 にぼく は 結
、 I
I として忍ばなければな
I
果 であ ると ころ の不当な被害を 同I
□
らぬばかりか、おまけ に底知れぬ彼ら の善意 に対し、逆 にぼく
、
、
は深く 一揖して 深甚な感謝をさえ示さなければなら ぬと いう
ま ことに3奇怪な義務を負 って いることを発見す る。驚く べき
にしき み はた
4錦 の御旗な のだ。
、
、
それ にし ても世上 な んと善意 純情 の売 り物 の彩し いこと
、
。
、
か ひそ かに思う に ぼく は *オ セ ロととも に天国 にあ る のは
、
そ の退屈 さ加減を想像 し ただけ でも たまら ぬが それ に反し て
、
、
イ アゴー ととも にあ る地獄 の日 々は それ こそ最も新鮮 な 尽
き る ことを知ら ぬ知的 エンジ ョイ メ ント の連続な のではあ るま
。
いか
、
善意 から起 こる近所迷惑 の最も悪 い点 は 一にそ の無法 さ に
。
。
。
あ る 招 鶏漂ぼあ る 警戒 の手 が利 かぬ のだ 悪 人 におけ る始
、
、
、
末 のよさ は 彼 ら のゲー ムに ルー ルがあ る こと し たが って
I
、
D
ルールに従 って警戒をさえしていれば 彼らは同I
巴きわめて
、
、
。
付き合 い易い 後くされのない人たちばかりなのだ ところが
。
善人のゲームにはルールがない どこから飛んでくるか分から
、
ぬ 一撃を 絶えずぼくは同団□として恐れていなければならぬ
。
のである
悪 人礼 賛 」
中野好 夫 「
7
、
そ の意 味 から言えば ぼく は聡 明な悪 人 こそ は 5地 の塩 であ
、
り、 世 の宝 であ る とさ え 信 じ て いる。狡 知 と か、奸 知 と か
︲
、
c
と
と 、
ン
ウ
ボ
は
およそ世 の道学的価値 観念 から
引
か
か
数
術
、
し ては評判 の悪 いも のであ るが むしろ ぼく は これら *マキ ア
、
ベリズ ムの名 ととも に運想 される 一切 の観念 は それ によ って
、
欺 かれ る愚 かな善 人さえ いなくな れば す べて得難 い美徳 だと
、
。
さえ思 って いる のだが どう だろう か
、
。
近来 のぼくは6郷割判 として悪名高 いそう である だが も
しさ いわ いにしてそれが真実ならば、 ぼくは非常 に嬉し いと思
、
。
っ
っ
く
う
も
よ
る
た
い
だ
の
業
て
やく齢 7知
ぼ
念
来
善
年
願
修
偽
、
制 に近づ いてほぼそ こま で到達しえ たかと思う と いささかも
って嬉し いのであ る。
、
も っとも、 これはな にも ぼく だけ が 一人悪人となり 偽善者
。
たる ことを念願す る のではな い ぼくはむしろ世上 一人 でも多
く の聡明なる悪人、偽善者 の増加す ることを、 どれだけ希求し
、
。
て いるかしれぬのであ る 理想を言えば もし この世界に 一人
とし て善意 の善 人は いなくなり、
一人 の純情 の成人小児も いな
くなれば、人生 はどんなに楽し いも のであろう か、考えるだけ
、
、
。
でも胸 のときめきを覚える のだ そ の時 こそは誰 一人 不当
、
不法な ルー ル外 の迷惑を被 るも のはなく す べて整然 たる ルー
ルを守る フ ェアプ レド のみの行われる世界となるだろう から で
。
ある
、
されば 世 のす べての悪人と偽善者 と の上 に祝福あれ!
中 野好 夫 ﹁
悪 人礼賛じ
︵
。
*オ セ ロ=シ ェー ク スピア の悲劇 ﹃オ セ ロ﹄ の主 人公 副官 イ アゴ
ー の策略 によ って、 貞淑な妻 を疑 い、 嫉妬 に狂 って殺 害 し たあげ
く、真相 を知 って自殺す る。 マキ ア ベリズ ム =イ タリ ア の ルネ
。
サ ンス期 の マキ ア ベリ の思想 国 家 の政治的目的 のため には道徳
。
を無 視 し ても よ いとし た
イ 敗 北
イ 企画
イ 露顕
一
一
冒険
ハ 封建
回 研修
C ケ ン ボ ウ
回 軌跡
一
一
法規
ハ 珍奇
円
回 脩︻
北
ハ 拝 礼
b ムキ ド ウ
、
、
問一
文中 の片仮名書 き の a∼ Cの傍線部 に当 たる漢字を含 んで いる語句 を 次 の各 群 のイ∼ホ のう ちから それぞれ 一つず つ
、
。
選 び 記号 で答 え よ
a ク ハイ
一
一
乾杯
ホ 権 限
ホ 岐路
ホ 廃 止
、
。
、
間 二 空欄 I∼Ⅲ に当 たる語句 とし て それぞれ最も適当なも のを次 の各 群 のイ∼ホ のう ち から選 び 記号 で答 えよ
回 遅 々
イ 朗 々
二 漠 々
口 m
回々
ふ
。
粛々
、
、
。
間六 傍線部 3 ﹁
奇怪な義 務﹂ と筆者 が考 え る理由 とし て 最も適当 なも のを次 のイ∼ホ のう ち から選 び 記号 で答 えよ
、
イ 相手を詰問し たために 純情 披涯 の絶好 の機会を与 え てしま ったから。
、
。
一
一
悪 は秩序 を破 壊す る スリ ルを楽 し みな がら 自ら の秩序 を構築す るも のだから
、
。
ホ 悪 は道徳 とは無関係 に それ自体 のルー ルに従 って フ ェアに展開される のだから
ハ 法律 を犯す にし ても
、
イ 悪 は法 に従 いな がら そ の裏 を か いて成果をあげ る知的な行為 であ るにすぎな いから。
、
。
ー
っ
と
口
も
ど
き
る
え
い
グ
ラ
る のだから
に
人
間
で
な
は
い
悪
逸
ず
に
て
通
す
的
共
法
基
マ
則
理
脱
本
、
。
悪 は悪 独自 のルー ルに従 って洗練し たやり方をす るから
卜
。
ー
く、
〓
うと
と
る
一
る
な
ろ
こ
に
な
あ
人
の
ル
ル
で
に
ない
人
間
が
す
的
非
が
他
接
場
意
す
合
介
行
為
、
。
ホ
てであ って
が 意 に し て いる ことが
に して
は 除さ る
れ
す
動
機
善
発
果
結
対
べ
責
任
解
、
、
問 五 傍線部 2 ﹁
悪 は決し て無法 でな い﹂ と筆者 が言う 理由 とし て 最も適当なも のを次 のイ∼ホ のう ち から選 び 記号 で答え
イ むしろ 回 それゆえ ハ さら に ≡
一
およそ ホ かえ って へ かり に
、
。
問 四 傍線部 1 ﹁
善意 の善 人 ほど始末 に困 るも のはな い﹂と言う 筆者 にと って ﹁
善意 の善 人﹂とはど のよう な人間 な のか それ
、
、
。
に当 たるも のとし て最も適当 なも のを 次 のイ∼ホ のう ち から選 び 記号 で答 えよ
、
、
。
イ 善意 純情 を売 り物 にし て 他 人 にと っては退屈極 ま るも のとは少しも思 わな い
り、
田
も
ど ころ
を
をま も
る。
に
て
で
そ
で
人
け
直
れ
か
強
惑
気
平
か
す
迷
居
謝
他
感
要
、
。
ハ 自分 が退屈をも て余すあ まり おせ っか いをし て何 とか退屈を紛らわそう とす る
ホ 揚 々
ホ 黙 々
ホ 陰 々
、
、
。
間 三 空欄 A ∼D に当 たる語句 とし て それぞれ最も適当なも のを次 のイ ∼ へのう ち から選 び 記号 で答 えよ
一
一
嚇 々
ハ 喜 々 Ⅲ 一ハ 胸 々
回 諾 々
易 々 一イ
8
心々
ハ 液
とつ
とつ
二 咄 々
イ
想
も んも ん
随
悪 人礼 賛 」
中野好 夫 「
0
。
、
回 相手 の善意 の結果 ます ます不当な被害を忍ばなければならな いから
。
、
ハ 不当な被害を受けな がら 逆 に相手 の善意 に感謝す るほかな いから
。
っ
し 、
さ る こと にな るから
一
さを
を
さ
え
そ
れ
て
の
の
聞
か
て
一
意
深
は
の
か
難
か
非
善
手
浅
相
。
、
ホ 底知 れ ぬ相手 の善意 に恐怖 しな がら つき合 わされる羽目 に陥 ったから
、
。
、
問七 傍線部 4 ﹁
錦 の御旗﹂ の意 味 とし て 最も適当なも のを次 のイ ∼ホ のう ち から選 び 記号 で答 えよ
イ 効果的な社交術 回 必勝確実な戦法 ハ 華麗な外交手腕
一
一
虚辞麗句 の見本 ホ 大義名分 の源泉
、
。
、
問 八 傍線部 5 ﹁
地 の塩﹂ の意 味 とし て 最も適当 なも のを次 のイ ∼ホ のう ち から選 び 記号 で答 えよ
イ 社会 を浄化す る媒体 回 退屈 を紛らわ せるも の ハ 隠 れた貴重 な物質
︼
一
人類を固く結合す るも の ホ 一見無 用な有 用品
、
。
、
問九 傍線部 0 ﹁
偽善者﹂ は 筆者 にと ってど のよう な人間 と考えられ て いるか それ に当 たるも のとし て最も適当なも のを
、
。
次 のイ∼ホ のう ち から選 び 記号 で答 えよ
。
、
イ 善 人 であり た いと願 いな がら 結果的 に相手 に不利 や不幸 を与 え てしまう 人間
。
、
口 根 は人 が善 いく せに悪 人らしく振 る舞 い 結 局 は善 人 であ る ことが露見す る人間
。
、
ハ 相手を傷 つけ破 減さ せるため に 善 人らし い顔 つき で近寄 って策を弄す る人間
。
、
ニ ルー ルを無 視し た よりをし いざとな ると ルー ルを持 ち出 し て相手を陥 れよう と図 る人間
。
、
ホ 悪 人 であ る ことを相手 に悟 ら せず う わ べは いかにも善 人らしく振 る舞 おう とす る人間
、
。
、
問十 傍線部 7 ﹁
知命﹂を指す年齢 とし て 最 も適当なも のを次 のイ∼ホ のう ち から選 び 記号 で答 えよ
一
ハ十歳 ホ 七十歳
イ 一
一
二十歳 回 四十歳 ハ 五十歳 一
10
想
随
、
。
次 の文章を読ん で 後 の問 いに答 えよ ︵
成城大 ・経済︶
繭タニツ 、
、
、
神護寺仙洞院 に奉 安 され たと いう 後白河院 重盛 頼朝 光
、
、
、
能 業房 の五 つの影像 ︵
今 日残 って いる のは重盛 頼朝 光 能
、
の三影像 に過ぎな いが︶ に ついて考 え て いるう ち に 私 は当時
人物評価 の基準 とし て考えられ て いた ﹁a刺封u引 ﹂ と ﹁b剖
え﹂ と に ついて思 いを めぐ ら さ ざ るを えな か った。 ﹁ざえ﹂ と
、
、
は オ と書 き 漢学 を主 とし て のブ ッキ ツシ ュな知識を指す。
、
鎌倉 期 に近 づく と ﹁からざえ﹂ ︵
漢オ︶ と いう熟語 とし て現れ
夕
0。
それに対し て ﹁たまし ひ﹂ は、平安中期 にす でに ﹁
やまとだ
、
、
まし ひ﹂︵
和魂︶の熟語 が現れ またほぼそれに近 い意味 で ﹁
や
まとごころ
!﹂
ろだまし
ひ
T
﹂
﹁
世間 だまし ひ﹂などとも言わ
﹂
。
、
れて いる それは大雑把 に言えば 上流貴族 が世間 で働く こと
。
の出来 る能力 の根源 である それは多く の人を統率し、指導し
、
て行く力 であるととも に 多く の女 に心を向け てそ の何れをも
不幸 に1対引利 ら せること のな い広 い包容力をも含 んでいる。
、
、
そ のような いろご
の
﹁
み
の
心も 大国主 や倭建命以来 大人
﹂
。
物 の具えるべき要件 であ った
、
、
藤 原 隆信 が後白河院 の下命 により ある いは遺志 に従 って
、
、
五柱 の影像を試 みた時 最も苦心した のは 画像 に魂 を入れる
解答 ・解説←別冊5ページ
、
っ 。
こと
で
あ
た
え
い
を
る こと
言
ば
に
か
れ
え
の
画
生
動
気
韻
与
像
。
、
。
であ る それ は かれ る
画
人
の
に
な
い
高
貴
は
関
だ
物
下
が
嬢
係
、
。
c
っ
き
と
そ
え
を
に
る
れ
て
品
こ
の
人
加
で
け
あ
た
上
下
書
が
必
分
要
、
、
﹁
やまとだまし ひ﹂を具え た大貴族 と そ のよう なも のを欠き
そ の駆使 に甘 んず る下級官僚 とを同じ 2引川引 で書 くわけ には
。
、
行 かな か った 当時 の人物評価を支配し た基準 に 肖像画家も
ま た従 った。
、
神護寺仙洞院 の五画像 のう ち 後 白河院 のよう な尊貴を描く
、
には それ相応 の心構 え があ ったはず であ った。 それ は別格 と
︱刊
しても、 d劃劇刊刺到劇刊刈制H封劇劇 よ
← 剰割列州引糾利州
︲
、
、
、
一
判剣射刊判ず重盛 頼朝 は 当代第 一級 の人物 であ って 当時
、
、
まと まし
の言 を い ば
れ
だ
ひ
葉
用
の
﹁
や
﹂
具
備者 とし て 威厳と
。
沈着 とを具えた画像 が要望されたであろう それに対して e淵≡
、
、
能 は 院 の側近 の使われびとであ って 重 みよりもあ る種 の軽
。
みが求められた あま つさえ晩年 の不幸を暗示す るかなし みの
男が眉目 のあ いだに漂う ことが願われたであろう。それは肖像
、
の注文主 であ った院 の願 いで 仙洞院 に光能 の画像を 3刈川 げ
、
ることも 院 の光能 へのあわれみから発す ることであれば、そ
、
のかなし み あわれ みこそ画像 のモチー フな のだと言 ってもよ
山本健 吉 「い の ち とか た ち一 一 日本 の 美 の 源 を探 る一 一 」
11
、
。
が
院
﹁
業
房像﹂を隆信 に描かせた気持 は相当 に複雑 で かなし
か った
︲
、
、
、
み あわれみの上 に 宮鋼 の剖訓すら加わ って いたかと思われ
失われた ﹁f封周像﹂ に ついて言えば 彼 は光能 のような院
、
、
、
。
、
る
房の影 に
光能 の影 に かなし みの場を添えた隆信 は 業一
の側近 であ ったと いう以上 に 皇 子時代 の遊 び仲間 の取巻連 の
。
、
、
、
。
う
ど
よ
を
よ
な
た
わ
だ
の
色
せたか この影像 が失われたことはま
一人 であ った そ の今様狂 い 遊女 白拍子 仇儡女狂 いの 一
。
、
。
、
ことに残念と いう外な い
人 で 院 の ﹁*御寵人﹂とさえ言われた そ の上 そ の妻女 の
、
、
き り ゅう と﹂ と読 む。 ︵
ネ
主 君な ど に気 に入られ た︶
御寵 人 H普 通 ﹁
高階栄子は院 のお気 に入り で 業房 が非業 の最後を遂げ て後
。
、
、
切れ者
栄子は院 の後宮 に入 って 無類 の寵愛を受け 内親王宣陽門院
山本健 吉 ﹁いのち とか たち︱ 十 日本 の美 の源を探 る︱ ︱ じ
︵
、
。
、
を生 んで 権勢をほし いまま にした そ のことを頭 に入れると
。
問一
傍線部 1∼3 の片仮名 を漢字 に改 めよ
、
ざえ﹂ とあ るが 日本 の古代 には この両者 を具備す る理想を い った慣 用的 な四年 の熱 語 があ
問 二 傍線部 a ﹁たまし ひ﹂・b ﹁
。
る。 それを正確 に記 せ
。
。
それ﹂ とは何 を指す か 指示す る部分を本 文中 から抜 き出 し て記 せ
問 三 傍線部 c ﹁
、
、
、
問 四 傍線部 d ﹁
重盛 頼朝 と⋮⋮必要 があ った﹂ とあ るが 筆者 によれば 具体的 には画像 にど のよう な印象 を与 え る ことに
、
、
、
。
ら ると え ら れ て いるか の ﹁
き
よっ
光能 業 房像 ﹂ の各 々にお いて共通す る語句 を本 文中
重 盛 頼朝 像 ﹂ ω ﹁
て
け
れ
考
描
分
、
。
から抜き出し 各 々九年以内 で記 せ
。
、
、
業房﹂両者 の画像 には 共通 し た印象 と共 に相違 も求 めら れ たと筆者 は述 べて いる そ の相違 の
問 五 傍線部 e ﹁
光能 ﹂ f ﹁
。
各 々の特徴を象徴的 に述 べた語句 を本 文中 から抜 き出し て記 せ
。
、
罪 の意 識﹂ とあ るが な ぜ この意 識を持 つこと にな ると想定 されるか そ の理由を示す 一文を本 文中 から抜 き
問六 傍線部 宮 ﹁
。
、
、
ただし 句 読点 は含まな い︶
出 し そ の最初 と最後 の五字 で示 せ ︵
12
想
随
去年
解答 ・解説←別冊6ページ
.
、
く
もし
と
ま
ま
き
こ
あ
の
で
な か ったら わ たし の これ から
歩
が
。
の日 々は どう な って いた ろう
だ
、
。
八月 の終 わ り に ふし ぎ な 怪 我 を し た 高 い崖 を 跳 ん で
。
の間 に紛 れ日 にも とまらな か った 何 があ った のかと電線 の方
を見上げ て いるとき、す でに精憚なわ たし の大 は ムササ ビを唆
。
み殺 し て いた ムササ ビは身 悶え る余裕もなく斃 れ てしま い、
、
犬 はかす かな呻きすらあげ る ことなく 一瞬 の狩猟 の後 には再
び憂鬱 そう にじ ぶん の体を試 め て いた。 二十年も昔 のこと であ
2
つ。
。
神秘 で殺気す ら感 じられる
。
一度 だけ失敗し た ムササ ビ の飛行を偶然庭先 で目撃 し た あ
く飛 んだために、母屋 から離 れ へ引 いてあ る電線 にぶ
まり
に
低
、
ち当 たり わ たし の突 っ立 って いるそば に落 ちた。むろ ん、電線
、
に何 かが当 た った のはわか ったが 庭 に堕ち た ムササ ビは樹 々
。
と
ち
た
に
土
手
落
、
栗鼠よりやや大き いそ の体を 一体 の布 のよう に痛平 にし て
。
、
夜 の間をえ いとばかり に ムササ ビは跳 ぶ そ の魔障 の飛行 は
きなく て
。
、
がし いよう だ 庭木を剪定してもら っていたら 溺が 葉の茂 っ
、
た梢 にも巣く っており 日白昼な ので調 子 が悪 いの勾=洲封q
、
次の文章を読んで 後 の問 いに答えよ。 ︵
関西学院大 ・経済︶
、
人 家 の 屋 根 裏 な ど の a剣 目 到 倒 刻 州 に
く つき よ う
申
ネ醐瘤 、
、
明け方 紅葉した落葉を眺めて いると 鈍く屋根を揺す るあ
︲
。
、
の音 がした 離れ の1洲 ョ引糾 から 寝床 のある母屋 へ一
戻る の
︲
が2判ガ ンのよろし いときは夜 明け前 になる。わたし のし のの
、
めに近 い就眠 に合わせるよう に ムササ ビも帰還す る。夜す が
ら樹林 の間 の中 で活躍し、昼はしず かに木 の空洞 で睡 る。安全
な 木 の空 洞 が無 く な る と
。
忍 び込 む
。
顔をあわ せた こともな い苦 々し いこの同居者 と の歳月も長 い
、
家族 を お こさな いよう に主 のわ たし は 息を ひそめ て寝床 へ入
、
る のに ムササ ビは つし ︵
屋根裏 の物 置︶ の板間を b悠 々と潤
︲
ず
。
羽引 利 爪 の音 が板間 に響 いて 3利 ガ ンがあ る どちら が主 人
。
な のか
、
百年近く にな る山家 の隅 々のどんな小 さな隙間も 大 工さん
、
は丁寧 に二度 も封じ てくれたが どう も今も巣く って いるらし
。
い 以前 の奴 のよう に のんびりと爪音 を た てる のではなく、 ま
さ に び も で る。 こ A魔障も、高 み の樹 々から屋根 の
の
あ
忍
の
の
、
庇 に飛 朔し て着 地し たとき は どう し ても かす かな響 みがお こ
、
。
る
し
う
で
の
ま
同
の
に
は
永
ば
て
年
れ
居
者
、
谷間 の竹藪 の棒 の大木数本 があ る ので そ の欅 へ飛 ぶ のは、
山家 の庇 から適当な距離 と思 われ る。喉 の肉を絞り上げ るよう
、
にし て 欅 の梢 の間 の中 で鳴 き交 わす。春 の夜 に いちばんさわ
前登 志 夫 「
森 の 時 間」
13
、
尻併 を ついた のだから何も ふしぎ がる ことはな いのだが 気軽
く ひょ いとそ こを跳 んだ瞬間 が微妙 におかし いのであ る。 C誰
ー
州洲酬 ベ引引剖判幻囲瑚判劇川日樹増﹁倒剰劉引岬 第 一腰椎
。
、
が潰 れ 左足 の睡 の骨 に環 のよう に ひびがは い った
。
入院し て数 日間 は食事も禁 じられリ ンゲ ル注射 です ごし た
、
そ の上 脊髄神経 の影響 が下半身 に出 てはとり かえし が つかな
、
、
いので 医師も看護婦も慎重 であ り 一日に何回も足 の指 の触
。
覚 を たし かめ にき た な にか紙 一重 のよう な所を助けられたよ
う に う 、 そ ではな そんな危 険な崖 を跳 んだ のかと言わ
れ
が
思
ぜ
。
れれば絶句 せざ るをえな い
、
吉 野山 の如意輪堂 へ詣 でる中 千本 の道す がら Dたし かに誰
︱
、
、
力剰園酬刻q刻剖田洲剰掛掛岬 天狗 のよう に黒 い影 が 夜 明け前
。
のみず みず し い星空 をさ っと過ぎ た
。
そ のときわ たしも ひょ いと気軽く小 さな崖を跳 んだ と ころ
、
。
が意外 にそ の崖 は高 く 着地し た所 が岩床 だ った 天狗 と見 た
。
のは ムササ ビだ ったかもしれな い ムササ ビ の飛行 の気合 がわ
。
たし に乗りう つり でもした のか
、
廻 り道を避け てす こし高 い土手を跳 ぶ のは 山住 み の習慣 で
、
。
あ る あ の4引明封が 怪我 をす る半 ヵ月前 お盆 に大阪 のお寺
。
に立 てる大きな槙 の梢を ほし いと友 人 が言 ってき た もう 槙花
、
、
の作業も終了し 練達 の切り手も来 ておらず 残 り の花もな い
、
。
ので 仕方なくわ たし が家 の近く の古木 に のぼ った 売 る品 で
、
、
はなく お寺 へ差 し上げ る槙な のでじ ぶんを励 まし て かなり
、
。
高 い木をよじ のぼ って梢 の芯を数本剪り落 とし た 下り るとき
、
﹃
徒然草﹄の コ向名 の木 のぼり﹂な どを思 い出しな がら 枯枝 で
、
も たより にし て下り はじ めたが つい面倒 にな ってしま いぱ っ
と飛 び下り た。 むろ ん、斜面 の岸側 に岩 や古株 のな いのを たし
。
、
かめ 全身 をそ の斜面 に同時 に寝 かせるよう に飛 び降り る
、
わ たし の木登りを心配し て覗き に来 て いた細君 は c年寄り
なじ
、
の冷 や水 だと言 って それ以後 たびたび詰り たしな め てやまな
。
い
、
本当 の紙 一重 の所 で助け てもら ったが 去年 の晩夏 の怪我以
、
。
確実 に老 いの世界 へ押 し出 され てしま った 気持 ちを どん
来
、
な に若 々しく持 とう とし ても 体 がぴち ぴちと バネ をも って動
。
かなけ ればどう しよう もな い
銀河系 そら のま ほらを堕ち つづく夏 の雫 とわれ はなり てむ
、
、
樹 下集﹄のそ の
一昨年 十年 ぶり に出版し たわたし の歌集 ﹃
。E
あ の怪我からいつもその歌 が不吉 な光亡を
一音 を思 い出す
、
も ってわ たしを脅 かす。 お のれを空しう し て 宇宙 と 一体化す
とな ろう と
う いのネおぎろなさ。 わ たし の身 に
る
が
の
ね
思
夏
雫
、
は過ぎ たる内容 の 一音な ので そ のあ がな いは何ら か の形 でせ
。
ねばならな いよう に思え てく る
F空 のま ほら はかぎりなく浪漫的 であ るが、実際 には無間奈
、
。
落 な のだ そ の暗黒 の深淵 は いくら骨をく だ いても足り るも
。
の で はあ る ま い
*おぎろなさ =呆 てしな い深遠さ。
、
、
。
傍線部 a∼ cの語句 の意 味 とし て 適当なも のを 一つず つ選 び 記号 で答 えよ
﹂せ こせせず いば って歩く こと ハ ゆ ったり とおおまた で歩く こと
安心し て歩きまわる こと 口 >
前登志夫 ﹁
︵
森 の時間じ
な んども同じと ころを歩 く こと ホ 平気 で大きな音 を立 てて歩く こと
老 人 が滝 に打 たれ て身 心 を鍛え る こと 一
一
老 人 が若者 の行為 に水をさし て嫌 われる こと
老 人 が を れ て元 な る いを る こと
年
気
忘
振
舞
す
、
、
問 工 本文 は前半 と後半 に分 かれ ており 前半 には後半 のため の いく つか の伏線 が敷 かれ て いる。傍線部 A ﹁
魔障 ﹂ は 後半 の
。
、
。
何 と対応す るか 次 のイ∼ホ の中 から当 てはま るも のを 一つ選 び 記号 で答 えよ
老 人 が神仏祈願 のため冷水を浴 びる こと 回 老 人 が健康 のため冷水を飲 ん で胃腸を こわす こと
年寄り の冷 や水
イ
悠 々と潤歩す る
フす暗 いと ころ ハ 頑丈なと ころ
舞屈 な と ころ 日 ヽ
目立 たな いと ころ ホ 好都合なと ころ
究党 な場所
イ
エ
ニ
イ
問
一
a
b
ら 一つ選 び、記号 で答 えよ。
イ 山
一
庄 回 如意輪堂 ハ 天狗 一
星空 ホ 奈落
、
。
間 三 傍線部 Bは後半部 のど の部分 と つな がるか 内容上 対応す る本 文を抜 き出し て記 せ。 ︵
十五年以内︶
、
、
Dで、誰 かが筆者 に ﹁
問 四 傍線部 C・
跳 べ﹂ と囁 いたり ﹁
今翔 ぼう ﹂ と呼 びかけ たりしたよう に思 え て仕方 がな い と いう の
、
、
は 筆者 の心 の中 に どう いう 気持 ちがあ ったためと、筆者 は考 え て いるか。本 文中 の表現を 用 いて、五十年以内 にまとめて
。
答 えよ ︵
句 読点も字数 に入れ る︶
、
問 五 傍線部 E の ﹁
あ の怪我﹂ と ﹁そ の歌﹂を つなぐ接点 は 歌 のど の語句 にあ るか。 そ の語句 を含 む句 を、次 のイ∼ホ の中 か
ホ ハ
14
想
随
森 の時間」
前登志夫「
15
一
第 四句 ホ 第 五句
イ 初句 回 第 二句 ハ 第二句 ︼
、
。
問六 傍線部 Fの解 釈 とし て適当 なも のを 一つ選 び 記号 で答 えよ
。
イ 底知 れ ぬ奈落 に墜落す る恐怖 は人間を暗闇 の世界 に引きず り込 む不安 と同等 であ る
。
日 銀河系 の果 て への憧憬 は無間 の地底 を通 過し たそ の暗 い淵 の彼方 に実現す る
。
ハ 底無 し の地獄 に堕ちる覚悟 なくし て自己を宇宙 の透 明体 と化す こと の実現 はな い
。
一
一
宇宙 の空洞 への憧憬 は ムササ ビ の失墜 にも似 た粉骨砕身 の覚悟 によ って実現す る
。
ホ 銀河系 の放 つ不吉な光と の魅 力 に取り つかれ た人間 の骨折 りを軽 んじるも のではな い
、
。
、
問 七 次 の文 の中 から 本 文 の主旨 に合致す るも のを 二 つ選 び 記号 で答 えよ
。
、
イ 骨折体験を通し て出家生活 の魅力 と限界を再 認識し 脱出先 は宇宙 し かな いことを自覚す る
。
、
ロ ムササ ビと筆者 と の 一体感 はそ の住居 だけ ではなく 暗黒世界 への飛 初 の共有 に及 ん で いる
。
、
ハ 夜 明け前 の山 の星空 が人間 に呼 びかけ る浪漫性 に接し たとき 人は自然 への回帰 のとり こにな る
。
、
、
、
一
一
紅葉 し た落葉 初冬 の山 夏 の銀河系 そ の いず れも が歌 人 の感性をゆさ ぶる自然 と の合 一であ る
。
、
ホ 天 への感 謝 の気持 ちは天と の 一体化願望 とな って筆者 を襲 い そ のため の骨折を苦痛 とはしな い
。
、
へ 雫 と化 し て宇宙を落下し た いと いう 思 いと 森 の実生活 とが切り結 ぶ接点を歌 人 が模索し て いる
。
問 八 傍線部 1∼4 の片仮名 を漢字 に改 めよ
16
想
随
、
次 の文章 を読 んで 後 の問 いに答 えよ。 ︵ 治大 ・商︶
切
繭鷹願四 、
旧制中学 のころ に スケ ッチブ ックを片手 に近所 の山野をう
ろ つき始 めた。 そ の後 この習慣 は断続 しな がらも絶え てしまう
、
、
ことなく ここ
て
来
へ
や
︵つまり a四十千覆土品V→Lこ 必
今
。
須 の日課 とな ってしま った ことわ っておかなけ ればならな い
、
、
が そ の間私 は住居を ほとんど変 えず 今も生家 に寝起きし て
、
、
いる のだから この四
わ が散歩 の コー スも ま た判 で
間
十
五
年
。
捺し たよう な こと にな って いる
、 ︲
。
幸 いにわが家 の周辺 には 1■切判緑も少なくな い な だら
、
。
かな丘 に囲まれ て 一周千五百 メート ルほど の池もあ る 周遊
I
。 I
AI一 散歩 に出 た私 は、知ら
に適 し た地形 と言え るだろう 同I
、
ぬ間 に日ごと のサイ ク ルを終え フト気 が つく と玄関 に戻 って
。
いると い った具合 な のだ
、
。
前記 の池 に関 し て こんな ことを思 ったりす る 私 は生涯 に
。
何周 この池を回 る ことにな る のだろう か 現在ま でを ざ っとか
、
えり みると 四千五百周 乃至五千周 とす る根拠 が私 にはあ る。
そし て現在以降 六千六百周す る であ ろう と見積も る根拠もあ る。
どう し てそんな根拠 があ ると言え る のか、 と反論す る b日 割 が
。
、
あ るかもしれな い 過去 のことはとも かく 私 に残 され た日数
、
、
。
は 当然 のことな がら 2サ ンテイ不可能 な のだから⋮⋮ 願
。
望 と言う のが正し いのかもしれな い し かし私 が根拠 と いう 語
を ここであえ て使 いた いのは、 私 の祖 父 がか つて この池 のまわ
解答 ・解説←別冊8ページ
リを る ことを 二十年間 の日課 とし て、 3齢八十五歳 に及 んだ
回
、
ことを 彼 が孫 に示し た先例 と考え て いるから だ。
、
彼 は c今も わ が家 に残 る杖を片手 にし て 季節 のめぐり に つ
。
れ て芽吹き繁 り枯 れ る葦 の間を歩き続 け た そ の頭 はま る で移
。
動す る 4杭 であ った
、
、
。
今 や私 は そ の幻を追 い続け る こと にな った 遺 伝 か 血 が
、
。
、
呼 ぶ のかも な どと言わな いでほし い 私 は現在 のこの状態 は
I
も っと具体的 に説 明 でき る ことな のだ。同I
B□ 私 は、 この祖 父
、
を 5ジクとし た
ヴ ィジ ョン︶を追 って 家族 を素材 とし た
幻
︵
。
物語 を書 き た いのだ
、
気持 ち のこのよう な持 って行き方 は 小説家 だから仕方 がな
。
りを
い つまり目 に れ るも のをよ がとし て、
触
す
の
想
手
が
か
発
、
。
掴もう とし て ま る で水鳥 の足 のよう に心 が働き続 け て いる
、
そし て
そ を んだと感 じ ると ︵
れ
旦
一
掴
手応え があ ると︶ 今度 は
、
そ こから深 入りし て 展開 や増幅 を考え る。 そ の経過 でもま た
目 に触 れるも のは、 二次、二次 の手 がかりを与 え てくれ る こと
︲
もある。つまり、私の散歩には、d剣到の利制引幻胡州刃州割
。
職業意 識 が つきま と って いる
、
。
私 は時 々誇張し て ナイ ルデ ルタ で見 た牛を思 い浮 か べる
、
あ の牛 は汲 みあげ井 戸 のまわりを生涯回り続け る のだろう か
自分 の行動様式もあ れ に似 て いなく はな い、 と。
小川国夫「
藁 をも個 もうとす る散歩」
17
、
し し、
し も、
を り し
そ
い
に
い
いると
て
て
れ
囲
か
範
返
歩
狭
繰
、
。
退屈す る反面 観察 がくわしくな ると いう 利点 があ る 一つの
。
物 の変遷を見 てとる ことが でき る そ の発生 や消滅も心 に留 め
、
る こと でき る。
る
そ
に
に
は
が
れ
関
第
の
更
す
れ
二
点
連
利
馴
親ん
、
。
だ単調 さ に浸 って いると そ の無 風状態 の中 に幻想 が育 つ そ
、
れ が育 つため には まわり の刺激 に目を奪 われ て いてはならな
l
、 l
。
cl一 と い った セザ ンヌ の感 じ方 に通じ る状態
い いわば 同l
。
が必要な のだ
、
ここま で書 いてき て読 み返し て いると 疑念 と恐れ が心 に湧
きあ が ってき た。 き っと明敏な読者 は反論し てく る に違 いな い、
と思 え てき たから だ。
。
彼 は言う であ ろう ⋮⋮君 が散歩 の果実 とし て誇 った いく つ
、
、
か の収穫 は そ のほとんどが散歩しなく ても得 られ るも のだ
l
l
く し
a と
b日 の醸成 が散歩 と切 っても 切れな い関
わ
い
か
ロ
□
ロ
l
l
、 。
係 があ る のだろう か と
。
彼 は更 に言う であ ろう ⋮⋮君 の散歩 には第 二 の本能 と でも
、
、
いう べき職業意 識 が つきま とう と言 って いる のは いいとし て
、
君 の日吻 だと そ の職業上 の悩 みにも散歩 が解 決を与 え て いる
。
よう じ ゃあな いか 散歩 はそんな に万能 薬な のだろう か。違う
。
。
違う 僕 には君 の散歩す る姿 が見え る 外見 が移動す るミイラ
、
のよう な のは 君も池水 に映 るわ が影を見 て自覚 し て いるらし
、
、
いが 内 面 に ついて どう し て eそんな錯覚 を抱く ことができ
る のだろう か。 ん の りそう に、 をも
た って間雲 に
つ
め
み
が
藁
掴
、
。
枯 れ野を行く男 それ だけ が散歩中 の君 の実情 な のだ
︵
小川国夫 ﹁
藁をも姻もうとする散歩じ
、
、
。
間一
傍線部 aの意味 に最も近 いと思 われ るも のを 次 のイ∼ホから 一つ選 び 記号 で答 えよ
イ 今ま で毎 日 の日課を忘 れ る ことなく 回 四十五年 と いう 長 い時間を経 て
一
ハ 四十五年間も人生 の苦労を重 ね て 一
四十五年間もじ っと耐え て
ホ 実 に長 い問 この コー スを歩 き続け て
。
問 工 傍線部 1 ・2 ・5 の片仮名 の部分を漢字 に直 せ
、
、
間 三 空欄 A ・B に入れ る のに最も適当なも のを 次 のイ∼ へからそれぞれ 一つず つ選 び 記号 で答 えよ。
イ このよう に 回 それ に対し て ハ 実 は
一
ら
も っ
一
し し
ど
な
る
そ
い
あ
な
が
か
ホ
の
て
ほ
へ
せ
、
、
問 四 傍線部 b の ﹁
向 き﹂ と同じ意 味 で使 われ て いる例を 次 のイ∼ホから 一つ選 び 記号 で答 えよ。
18
想
随
。
、
イ 御面倒 です が 御 用 の向 き は勝手 口にお回り下さ い
。
、
回 表向 き は普 通 のサラリー マンだが 彼 にはもう 一つの顔 があ る
、
。
ハ 子供向 き の本 だとば かり思 って いたら とん でもな い代物 だ った
り方 だろう か。
一
き
どっ
を とる
ち
い
賢
一
向
の
が
国
の
が
が
策
や
政
我
今
。
ホ だれ にでも向 き不向 き があ る のは当然 のことだ
。
問 五 傍線部 3 ●4 の漢字 の読 みを平仮名 で書 け
、
。
。
問 六 傍線部 c ﹁
今も﹂ は後 のど の部分を修飾 し て いるか 次 のイ ∼ホから 一つ選 び 記号 で答 えよ
一
イ 残 る 日 片手 にし て ハ めぐ り に つれ て ︼
芽吹き繁 り枯 れる ホ 歩き続け た
。
、
第 二 の本能 と でも いう べき職業意 識﹂ とは ど のよう な意識を いう のか 本文中 の語句 を用 いて三十五年以内
問七 傍線部 d ﹁
。
句 読点を含 む︶ で説 明せよ
︵
、
、
。
問 八 空欄 C に入れる のに最も適当 な文を 次 のイ ∼ホから 一つ選 び 記号 で答 えよ
イ 美 は幻想 の中 に育 つ 回 絵 には光 と影 の調和 が大 切 だ ハ 曇り 日には物 がよく見え る
一
一
人間 の目 は いつも錯覚しやす い ホ 外 界 のまばゆさ の中 に こそ美 は存在す る
。
、
二年以内︶を それぞれ本 文中 から抜き出 し て記 せ
問九 空欄 a ・b に該当す る語 ︵
、
。
、
問十 傍線部 e ﹁そんな錯覚﹂ に含 まれる内容 とし て最も適当 なも のを 次 のイ∼ホから 一つ選 び 記号 で答 えよ
イ 散歩す る ことによ って祖 父 の幻 が現 れ てく る こと
回 慣れ親し んだ単調 さ の中 に幻想 が見え てく る こと
ハ 筆者 の散歩 に本能的な職業意 識 が つきまとう こと
一
一
散歩 が小説を書 く上 で不 可欠なも のと考え る こと
ホ 池水 に映 る自分 の影を ミイ ラ のよう だと思う こと
へ っぽ こ先生 その他」
小川国夫「
藁 をも掴 もうとす る散歩」/永 井龍 男「
19
、
。 一
立正大 。文︶
次 の文章を読ん で 後 の問 いに答 えよ ︵
かぎ ぐ る ま
、
風 車を立 てる のは これは案外効き目 があ るかも知 れ
。
ぬと思 った
、
よ い天気 だ った ので 散歩 がてら八幡 さまま で出 かけ る こと
、
。
くさ がり の癖 が出 る ので、すぐ仕度
を くと
にし た
間
置
面
倒
。
、
をし た 八幡 さま の鳥居 の脇 に 昔 から土産物屋 があ って風車
を つとに差 し て売 って いた覚 え があ ったから だが、行 ってみる
と間違 いな か った。
、
店 番をし て いた中年 の主 人 が よくまわる のを探 しまし ょう
と立 ってき た。 私 は赤 いのを 二 つ頼 んだ。主 人 は赤 いセ ル ロイ
ド製 の風車 に息を吹きかけ、 これなら いいでし ょう と、満足そ
。 り
く
り
し
う
し 。
ら
き
こ
に
た
て
で
い
円
た
は境
渡
二
百
が
か
寄
帰
釣
、
、
内 を抜け て帰 ろう と思 って 一歩踏 み出す と そ の主 人 が
I
A□ です﹂
コ
日I
と、 を
き 。
た
て
け
か
声
II
、
。
、
BI一
な のか あ
④私には それが不思議 であ った なにが同I
る いは別 の人に云 った挨拶 かと思 って、身辺を ふり返 ったが、
。
主人 の相手は私ばかり であ った
、
。
道 々考えたが 納得 は行かず仕舞 であ った
。
、
②庭 に 一坪半 ほど の池がある 昨年も卵 がかえ って 金魚 は
、
。
、
大小三十尾余 にな った 馴れてくると 餌をやる のが楽し みで
、
一尾 一尾 の顔も模様も覚え これと これは親子と いう ような血
早エ
0ページ
解答 ・解説←別冊1
。
、
統も知れ てき た どれも 駄金魚 ばかり だが 馴れれば可愛 いも
。
のであ る
、
、
買 ってきた風車を 私はそれぞれ植木鉢 の上 に差し込 み 池
l
、 l
。
cl露 い音をたてて風
の中 へ沈めた 沈 めて いるう ちにも 同l
。
、
車 はまわり出した 静 かな日な のに 池 の上を渡る風 の道 が幾
。
、
筋 かあるらし い 底も側面も コンクリート の池だが 二十年経
ってみると、周囲 の草木や、水草 が繁 って、 いくらか自然 の水
らしくな った。何代 か棲 み ついた蛙も出来 たし、それを眼当 て
、
。
の山カガシも 確 かに睡蓮 の葉 の上 で日向 ぼ っこをす る
、
、
○ ところが 昨年 の春過ぎから白さぎや五位さぎ かわせみ
ま で金魚をねら いにくるよう にな った。
、
一番最初 に私が見 つけたのは 鳥類図鑑を調 べてみると五位
、
さぎ の幼鳥らしく 羽根 の色 は茶褐色 で磨 せており、脚も嘴も
、
異常 に長く a劇鋼鳳関盟糾到刻引綱引瑚列州矧g 芝生 から池面
を見詰めて いた。地 に下りた白さぎはすぐわかるが、かわせみ
、
、
は大きな木 の小枝 にひそみ そ こから池をねらう ので なかな
。
、
か限 に入らな い 飛 んでいる時 は美し い羽色 だが 枝 から水面
、
を呪 んだ正面 に出逢う と な んとも 1キ ョウ アクな表情 であ る。
、
これら の鳥 は 庭 のすぐ外を流れ る滑 川と いう 小 川 の上を往き
、
。
来 し この池 に寄 り道 し て行く 滑 川 の水 が ここ数年 少しず つ
きれ いにな って、 みんな二十年 か二十年振り にど こかから戻 っ
2 0
想
随
、
。
てき た のであ る 細 い流れ だが 二十年前 には稚鮎 が上 ってき
、
。
たし オイ カワ ︵
はや︶も いた
、
。
二度 三度 と この運中 が池 に近 づ いて金魚を ねらう 時 には
︲
。
D□ 夢 い て い る こ と す ら あ る こ れ で は 金 魚 が 全 滅
池 の中 二 日 ︲
。
。
す る どう し ても 一工夫必要 にな ってき た 買物包 みをしばる
、
金色 や銀色 の紐を蔵 ってあ る ので あ れ で2シメ飾り様 の縄 の
、
。
れ んを作り 精円形 の池 の上 へ左右 に張 る ことにし た 風 でゆ
、
。
れれば キラキラと光を放 つ筈 であ る な るほど これ はう まく
、
、
行 って 終 日池 の辺り が賑やか であ ったが 半月 ば かりす ると
︲
E□ が出 た。来客 があると、必ずあれ
家 の者 から思 いがけ ぬ同︲
。
は何 かと質問される これから正月 の客 に 一々返事をす るのは
b周潤嗣附斜側岬 他人さま の眼から みれば異様な眺めに相違な
、
、
。
いから 撤去し て欲し いと いう ことである 来客 の質問 には
、
私も応じてきたが 異様な眺めと いう家人 の言葉遣 いは腹立た
しか った。金銀 の3封川縄を捨 てて、風車を立てた のはそ のた
︲
、
。
めで これなら文句 はあるま いと 4刻利 コ引ぎ 識 が強か った
、
、
② 風車 は二本 が競うよう に 軽快 に廻 ることもあ ったし 一
。
方 が 一息入れて休 む こともあ った 今年 は氷 の張る日もま こと
。
にすくな い
﹁これなら文句 はあ るま い﹂
、
、
そう です ね 赤 でなければ も っとよか ったと思うけど﹂
﹁
嗣田円四 あ いつら が驚くんだ﹂
、
、
そんな会話をした ついでに 土産物屋 の親父が 耐関円口 と
、
云 った のはどう いう 意 味 だろう と 家 の者 の意見を聞 いてみた
、
、
。
が ︱︱ さあ と云 った切り だ った
、
、
、
② そ の後 親 しくし て いる友 人 が 久 し振り に訪 ね てき て
、
。
早速池 の中 の風車を見 つけ た 私 は前後 のいきさ つを 説 明し
。
なけ ればならな か った
、
、
﹁
昔 田合 で 緋鯉 の養 殖をし て いた男 の話 では 稚鯉を ねら っ
、
、
てく るカワ セミを かす み網 で引 っかけ て 嘴を針金 でしば っ
、
。
て逃 がし たも んだそう だ 気持 はわ からな いことはな いが ひ
、
ど いことをし たも んさ。白 さぎ のことは知らな いが 五位 さぎ
、
は夜行性 の鳥 で し かも群 れ て飛 ぶと いう話 を聞 いた ことがあ
、
、
る。 それ が本当なら 君 の工夫も残念な がら 五位 さぎ だけ に
は通じそう もな いぞ﹂
、
。
友 人 は ニヤリと笑 って 来 る早 々から年長 の私を から か った
。
残念 でな いことはな い
、
、 I
H
春 め いた風をう け て 風車 は相変 わらず 同 I
□ よく廻 って
、
、
。
いた ふと私 は 土産物屋 の主 人 は私 の風車 の用途を察知 し て
。
それとなく ひや かし た のではな いかと思 った
、
さら に数 日し て
、
。
﹁お土産屋 さん の云 った意味 がわ かりまし たよ お爺 さんが
、
わざわざ孫 のため に風車を買 いにき たと思 って そう 云 ったん
、
。
です﹂ と 家 人 は自信ありげ に告げ た
、
、
かんじ ん の金魚 だが 今年 の暖冬 のせ いか 二月 の末 に十尾
。
ばかり が水藻 のかげ に寄り添 った のを見 た これ で全部 かどう
へ っぽ こ先生 その他」
永井龍 男「
21
か
。
、
、
そ んな に集 ま って は いけ な い のだ がと こ の時 も はら はら
した
永井龍 男 ﹁へっぽこ先生そ の他じ
︵
、
、
問一
空欄部 に入れる のに最も適当なも のを それぞれ次 の語群 の中 から 一つだけ選 び 記号 で答えよ。
空欄 A ・B ・G
イ お楽 し み 回 いいお天気 ハ 結構な こと 〓
﹂
一
本
苦労 さま ホ いいお爺 さん
空欄 C ・H
イ グ ルグ ル ロ スイ スイ ハ カラカラ 一
ゴトゴト ホ ヒラ ヒラ
一
空欄 D
イ い
泳ぐよう に 回 人間 のよう に ハ 忍 び足 で ↓
一
わ がも の顔 で ホ 遠慮 がち に
空欄 E
イ 苦情 回 報告 ハ 誤解 二 放言 ホ 一工夫
空欄 F
イ とにかく風車 で 日 馬 でな いから ハ ヽ
ンメ縄 よりも
フるさ い客 たち
二 あ の色 だから こそ ホ ヽ
、
、
問 工 傍線部 aの表現 に 一致す るも のを そ の喩法 のはたらき から見 て 一つだけ選 び 記号 で答えよ。
イ まる で童話 の妖精 のよう な姿をし て 回 それ は記録 映画 の野鳥 の生態 そ のも ので
ハ 高校野球 のピ ッチ ャー と同じ動作 で 一
一
彼女 は いかにも お婆 さんく さ い所作 をし て
ホ 魔法使 いの超能 力を発揮 し て
、
、
2 ●3は同 一のも の︶。
間 三 傍線部 1 ・2 ・3 ●4 の片仮名 に該当す る漢字を それぞれ 一つず つ選 び 記号 で答えよ。 ︵
1 イ 強悪 回 狂悪 ハ 狭悪 一
一
恐悪 ホ 凶悪
2 ・3 イ 占 回 締 ハ 湿 一
一
示ロ ホ 注連
4 イ 対向 田 大巧 ハ 対校 〓
一
対抗 ホ 退行
2 2
想
随
、
、
。
問 四 傍線部 b の意 味とし て 正し いも のを 一つ選 び 記号 で答 えよ
イ 舌も焼け るほど辛 い 回 腹立 たしく疲 れ る ハ わず らわしく てかなわな い
一
一
とても恥ず かし い ホ 思 っても頭 が重 い
、
、
。
。
問五 ﹁
家人 ︵
家 の者と は 具体的 にだれを暗示す るか 最も適当なも のを 一つ選 び 記号 で答 えよ
イ ﹁
私﹂ の家 のお手伝 い 回 ﹁
私﹂ の妻 ハ ﹁
私﹂ の娘
一
一 ﹁
私﹂ の孫 ホ ﹁
私﹂ の家 によくく る友 人
、
、
、
、
。
H
間六 本 文中 ﹁
の
者
作
気 質 が 最もよくう かがえ る箇所 とし て 適当 と思 われるも のを 一つ選 び 記号 で答 えよ
私 ︵
と
、
イ どれも 駄金魚 ばかり だが 馴れれば可愛 いも のであ る
日 これ では金魚 が全滅す る。 どう し ても 一工夫必要 にな ってき た
ハ 異様 な眺 めと いう 家 人 の言葉遣 いは腹 立 たし か った
、
一
一
生産物屋 の主 人は私 の風車 の用途を察知し て それとなく ひや かし た のではな いかと思 った
、
ホ そんな に集 ま っては いけ な いのだがと この時も はら はらし た
、
、
。
問七 全 文 の構成 を大きく三 つに分け れば どう 分けられ るか 改行部分冒頭 に付け た②④②O②② の記号を 構成分割箇所 の
し るし と考 え、 それら の組合 わ せ例 の中 から 一つを選 び、記号 で答 えよ。
一
回
一
イ
ホ ⑦②②
ハ
⑦
④
②
⑦
O
②
⑦
④
②
②
②
②
、
、
。
問 八 この随想 の主 題とし て 最も適当なも のを 一つだけ選 び 記号 で答 えよ
、
、
、
イ 池 の金魚 を野鳥 の襲撃 からまも るため 風車 の利 用を思 い ついた得意 さ のい っぽう 友人 にはから かわれ ま た土産物屋
、
にひや かされ た自分 に気 づき 苦笑す る心境
、
回 土産物屋 のひやかし に気 づかず、鳥 類図鑑をしら べたり、金魚 の全減を案 じ たり さんざん苦労 し 友人や家 人 に馬鹿 にさ
れる自分 の愚 かさと 口惜 し さ
、
、
、
ハ セ ル ロイ ド の風車を安く買 い シメ縄 のおどしよりも効果をあげ る のに成功 し 以来毎 日 自信 た っぷり に暮らし て いる
こと
、
、
、
。
一
一
面倒く さ がり屋 の ﹁
私﹂ にし ては てきぱき と行動し 池 の金魚 たち のため に大活躍 し かも な おたえず金魚 の心配を
へ っぽ こ先生その他」
永井龍 男「
23
し たり、五位 さぎ の襲来 を気 づか って いる、苦労性 の告白
、
、
、
ホ 風車を買 った ﹁
私﹂ が 店 の主 人 に言われ た ことを い つま でも気 にし 金魚 のために 一工夫し たが失敗し くよくよし残
念な思 いにふけ って いる こと
、
、
。
問九 この随想 の題名 とし て 最も適当 と考 えられ るも のを 一つ選 び 記号 で答 えよ
イ 金魚 口 野鳥 ハ 風車 ︼
一
池 の話 ホ 一工夫
き こまれると い った暮 し で、今 の教育論議 から いえば、ぐ れ て
、
出掛け る二時間前 に き て で を き 夕方 はとん で帰 って
起
薪
飯
炊
、
、
一家 の夕飯 を つくり 仕事 の手伝 いをし 父と継母 の争 いにま
子供 のころ の私 には ﹁
悪 い事﹂をす る同 1ネ ンパイ の連中 に
、
。
は かなわな いと いう思 いがあ った 自分 が ﹁
悪 い事﹂ が出来
、
、
な いのは 先生 に叱られる のが怖 いから で 他 に理由 がな いこ
とを って いた。 いた らを ると、 された人 が こう いう 2メ
ず
す
知
、
イ ワクをす るからし ては いけな いのだ と いう よう な頭 の働 き
、
、
はなく ただ ﹁いけな い﹂ と いわれ て いるからしな い と いう
、 、
、
だけ のこと で 小 中学生な がら それは意気 地 のな いことだ
と いう思 いがあ った。
、
小学生 の頃 に母を亡くし 中学 へ入 ると家庭 は 3引舛引切だ
、
、
、
なり 金銭的 にも逼迫し 伊豆 の温泉場 で 三度 目 の母 の稼ぎ
、
で食 わせて貰う と いう よう な時期もあ り ズ ツク靴も靴下も買
、
、
えず 4スア シに下駄 で冬 の学校 へ通 い 継母 の連 れ子 の裏表
、
、
、
四 五歳 の子供 では a無 理もなく 恨 みな どま ったくな いが
︵
、
。
継母 の前 では いい子 で かげ では悪餓鬼 たまり かね てひ っぱ
、
、
たく と 大げ さ に泣き叫 び 継母 は中学生 が幼児を いじ めた、
と ひと騒ぎと いう 具合︶ に悩 まされ、 ガ スな どな い頃 で、朝 は
、
。
の ﹁子供 のころ の事 など﹂ の全文 であ る 読ん で 後 の問 いに
2ぺ︲ジ
解答 ・解説←別冊1
も不思議 はな いはず だが、 そう いう こと にはならな か った。 そ
な どと いう も のの いでは
れはし かし し て b克己 の
﹁
決
精
神
﹂
せ
、
。
なく ヨ いい事﹂ に対す る私 の臆 病 さ気 の弱 さ だ った と思う
し し、もう
も った、 と この頃思う のだ。 それ
あ
由
か
の
一
つ
理
、
、
、
は 今 のよう に新聞 テ レビが 子供 に ついて細 かな議論をし
、
。 う う
、
﹂ い 環境 で モ つで つ親なら そり
な か った こと であ る >
ゃ子供 はぐ れます よ、 と いう よう な ことを、 ほとんど いわな か
った。 少なく とも 子供 の耳 には入らな か った。
、
私も当時 ﹁お前 はぐ れ て当 たり前 だよ﹂ と いう 議論を 今 の
、
よう に絶えず 耳 にし て いたら ち が った生き方をし たかもしれ
、
。
な い と思う
、
、
今 は 一人 の子 が金属 バ ット で親を殺す と 忽 ち ﹁
受験生 の
、
おかれ て いる状況﹂ と いう よう な議論 がひろ がり 出来 の悪 い
、
、
、
受験生 たち が 親 の前 で 俺 だ って殺す かもしれな いんだから
、
。
扱 いに気を つけ てくれよね と い った顔をす る 少しぐら いは
、
。
乱暴す る権利 があ る のではな いか と いう気 にな る ああし た
︲
、
特殊な事件を す ぐ 5d ン引利引封ぼ はど の受験生 の家庭 にも
、
、 6 封︲
酬 ョ引 に人
る
あ る問 だ と いう よう に
が
す
題
一
般
化
議
論
。
人 の現実を見 る目をあ やまら せて いると いう気 がし てならな い
も
も
い
い
著﹃
太
の
で
踏
一
つ
つ
の
雑
場
所
﹄
投
線
拘
脚
却
諄
却
市
レ
欝
ゎ答
2 4
想
随
山 田大 一 「いつ もの雑 踏 いつ もの場 所 で」
25
、
、
。
、 う う と、
であ る も っと生き生きした ﹁
﹂ い
悪 い事﹂をす る追中 が 周囲 に
いや テ
私 がバカに真 面目 に生 き て いたよう だが
、
。
。
いくら でも いた そ の中 で 私はどう し て自分は ﹁
悪 い事﹂ が
振 り かえ るとそう でもな いのであ る 裏 山 へ友人数 人 と のぼ っ
。
、
出来な いのだろう と自分 の気 の小ささに7レットウカ ンを抱
て木 の上 で煙草をす った こともあ るし 大きな旅館 の露 天風呂
。
、
いて いたのだ
へ染粉を ほう り こんだ こともあ るし 隣 の町 の子供達 と殴り合
、
、
。
いの喧嘩をし た こともあ った
今 の中学生 の現実 がよく分からな いが 当時 の事を思う と
、
、
。
、
。
ひどく窮屈な のではな いか と いう気 がす る 他愛な いこと
非行﹂ かもし れな い
今 の基準 で考 え ると そ の 一つ 一つが ﹁
、
、
、
非行﹂ときめ つけられ ただテ スト の成績 の
一時的な行動が ﹁
周囲を見 ると 今 の中学生 は塾 へ行 く のが忙 しく そんな こと
、
。
、
。
いい生徒ばかり栄え て いる と いう気 がす る
は 一向 にしそう もな い子ばかり であ る そんな彼 ら の中 で 煙
、
、
c誤解 される ことはな い、 と思う が、 私 が小、中学生 の頃 に
草 をす い 喧嘩をし 人 の家 へいたず らをし かけ る中学生 が い
、
たら き っと目立 ったろう し忽 ち ﹁
非行少年﹂ と呼 ばれ てしま
︱
、 うし
︱︱ 。
﹂
う かもしれな い。 と ころ がな んと私 は テ
た ことが大人 に
社 会 は 失 っ て は い け な い と 思 う のだ が
、
真面目な生徒﹂ の部類 に属 し て いた の
依然 とし て ﹁
ばれ ても
。
問一
傍線部 1∼7 の片仮名 を漢字 で記 せ
、
。
、
間 二 傍線部 aは 何 が無 理もな いのか 十五 ∼二十年 で記 せ
。
克己 の精神﹂ と いう語句 の意 味を分 かりやす く記 せ
問 三 傍線部 b の ﹁
。
、
問 四 傍線部 cで 筆者 が言 おう とし て いる ことを八十年以内 にま とめて記 せ
ヽ
2 6
想
随
、
。
次 の文章を読ん で 後 の問 いに答 えよ 曇 橋大︶
。
京都は堀川に金八と いう聞 こえた道具屋 があ った この金八
、
まれ、自 も
が若 い時 の で
父にも
の
事
親
込
み
の功を積
仕
心
分
励
、
、
、
んだ ので 大分 に限 が利 いて来 て 自分 ではもう内 々 仲間 の
、
者 にも ヒケは取らな い 立派に 一人前 の男にな った積もり でい
る。実際また何 から何ま でにわた って、随分 に目も届けば気も
、
、
働 いて もう親父から店を譲られても 取りしき って 一人でや
って行かれるほどにな っていた のであ る。しかしどこの老人も
、
同じ事 で 親父はそ の1君劇 の2列割剰州 の心から、且 つは有
り余 る親切 の気味から、まだ/ヽ ぐら いに思 って いた事 であろ
う、依然として金八 の背後 に立 って保護し て いた。
。
、
金八があ る時大坂 へ下 った そ の途中深草を通ると 道 に 一
。
、 ょ っと 卜
あ った そ こは
軒の
ち
古
道
が
で
屋
の
商
具
売
事
一 眼見
あぶみ
、
。
渡す と 時代蒔蒔絵 の3結構な鑑 がチ ラリと眼 に ついた 舎アよ
、
、
い鑑 だナ と立ち留 ま って見 ると いかにも時代 と いい、出来
と いい、な かな かめ ったにはな いよ いも のだが、残念 な ことに
。
、
は 一方し かな か った 揃 って いれば もちろん こんな店 にあ る
、
べきも のではな いはず だが それ にし ても いくら と いう だろう
、
と、価を聞 く と、 ほん の端 金 だ った。ア ゝ、
一対なら おれ の
、
腕 で売 れば確 か に二十両 にはな るも のだが 片方 では仕方 がな
、
い 少し の金 にせよ売物 になら ぬも のを買 った ってどう にもな
ら ぬと、何 とも いえな いそ の鑑 のよ い味 に心 は引 かれな がら、
1べ︲ジ
解答 ・解説←別冊3
。
振り返 っては見 つ ゝも思 い捨 て ゝ買 わず に大坂 へと下 った い
.
くらよ
っ と ころ は 4剖
も
ら も
を
で
い
な
に
な
た
商
ぬ
の
わ
物
売
買
か
。
、
、
す がによ か った と ころが それ から道 の程を経 て 京橋辺 の
、
、
道具屋 に行く と 偶然 と いおう か天 の引き合 わ せと いおう か
っ 。 ン、 こ
と じ
/ヽ て
たし に
か
の
同
あ
た
前
が
片
鑑
が
方
れ
れ
鑑
別
、
、
、
両方 5後家 にな って いた のだナ し めた これを買 って 深草
、
、
のを買 って 両方合 わ せれば二十両 と早くも腹 の中 で笑 みを
、
、
含 ん で 価を問う と片方 の割合 には高 いことを言 って これほ
ど の物 は片方 にせよ稀有 のも のだから と、な か/ヽ 安 くな い。
、
し た ない ら
ども、
目
る で
に
い
が
か
中
か
け
に
高
れ
の
あ
割
の
的
が
腹
、
。
先 方 の言 い値 で買 って 我 が家 へ帰 るとすぐ に この話 をし た
。
も
ち
ろ
ん
に
父
悦 ばれ る つもり であ った す ると親 父 は悦 ぶど
親
、
ころ か大怒 り で ﹁たわけ づら め、欲 に気 が急 いて、鐘 の左右 に
も心を付けず に買 いお ったナ﹂ と罵 られた。金 八も馬鹿 じ ゃな
。
、し っ 。
ま た 向 後気 を つけ ます。御
か った ハッと気 が付 いて ﹁
、
免 な さ いまし﹂ とお辞儀し たが それ から ﹁
片鑑 の金 八﹂ と揮
、
。
名 を付けられ たと いう こと であ る これ は も とより片方 しか
、
、
な か った鐙を 深草 で値を付けさ せて置 いて 捷径 のまわり道
をし て同じそ の鑑を京橋 の他 の店 へ埋 めて置 いて金 八 に掘り出
。
、
さ た
さえ
ら る
の
だ
な
ば
ね
い
は
急
が
れ
心
せ
謀
訳
が
他 人 にし て
、
、
やら れぬ前 にと いう のと なまじ前 に熟視し て いて テ ッキリ
幸 田露伴 「
骨董」
27
、
同じ物 だと思 った心 の虚と いうも のと のニ ツから 金八ほどの
、
。
得 にな った のであ る 昔 と今 とは違う が 今 だ って信州 と名古
、
、
屋 とか 東京 と北京 とか の間 でこの手 で謀られたなら 欲気満
。
満 の者 は 一服頂戴 せぬとは限 るま い
、
ろん深草を尋 ね ても鑑 はなく って 片鐘 の浮名 だけ が金 八 の利
骨童し
幸田露伴 ﹁
︵
、
。
者も左右を調 べる ことを忘れて 一杯食わせられた のであ る
、
親父はさす がに老功 で 後家 の鑑を買 い合わせて大き い利を得
、
る そんなうま い事 が有 るも のではな いと いう と ころに勘を付
、
、
け て すぐ に右左 の調 べに及ばな か ったナと 紙燭をさし出し
。
て欲心 の暗間を破 ったところは親父だけあ った のであ る もち
。
。
問一
老成﹂ は ここではどう いう意 味 で使 われ て いる のか 簡潔 に答 えよ
傍線部 1 ﹁
。
。
間 二 傍線部 2 ﹁
大事取り﹂ とはどう いう意 味 か 簡潔 に答 えよ
。
。
間 三 傍線部 3 ﹁
結構な﹂ は ここではどう いう意 味 で使 われ て いる のか 簡潔 に答 えよ
。
。
問 四 傍線部 4 ﹁さす がに﹂ は ここではどう いう 気持 ちを こめ て使 われ て いる のか 本 文中 の語句 を適宜利 用し て簡潔 に答 えよ
、
。
問 五 傍線部 5 ﹁
後家﹂ は今 ではほとんど つかわれなくな った意 味 で使 われ て いる 話 の内容 から推し て ここではどう いう意
。
。
味 で使 われ て いると思う か 簡潔 に答 えよ
2 8
想
随
、
。 鹿児島 ・
大 教育︶
次 の文章を読 ん で 後 の問 いに答 えよ ︵
申
ギ螂願 、
、
左翼 でなけ れば右翼 進歩主義 でなければ反動主義 平和 派
、
でなければ好戦派 ど っちとも つかぬ意見を抱 いて いるよう な
、
。
者 は日和見主義者 と言 って も のの役 には立たぬ連中 であ る
、
そう いう考え方を 現代 の政治主義 ははやら せて いる。も っと
も、 これを、考え方 と称す べき かどう かははな はだ疑 わし い。
︲
︲
、
刊
な かと言う と a召引劇
封召
川 劇
川
封
引
刻
ぜ
閃
削
の
の
刻
判
判
ぶ
︲︲
︲
。
こ
創倒□ョ劇引胡 の,
洲
利
引
州
引
刈
侮難劇創川幻州利 から であ る
、
、
現代 の政治 が も のの考え方な ど 権 力行為 と いう 獣を養う食
、 ︲
糧ぐら いにし か考 え て いな いことは 1判封引判角 の見 ると こ
。
ろ であ る
、
、
、
、
昔 孔子 が 中庸 の徳 を説 いた ことは 誰も知 ると ころ だが
、
彼 が生き た時代もま た 政治的 に紛乱し た恐 る べき時代 であ っ
、
た ことを 2ネ ントウ に置 いて考えなけ れば 中庸 な どと いう 言
。
、
、
葉 は死語 であ ると思う おそらく 彼 は 行動 が思想 を食 い散
︲
口
らす様を、到るところに見 たであろう。行動を 3引 ョ引州羽 し
︲
やす いあらゆる極端な考え方 の4刈引 コ引す る のを見たであろ
う。行動主義、政治主義 の風潮 のただ中 で、 いかにし て精神 の
。
権威を打ち立 てよう かと悩 んだであろう そ の悩まし い思索 の
、
中核 に 自ら中庸 と いう観念 の生まれ てくる のを認めた、そう
、
いう よう に 私には想像される。そう いう ふう に想像し つつ、
、
、
彼 の言葉を読 むと まさにそう いう よう にしか 中庸 と いう言
1ベージ
解答 ・解説←別冊4
。
葉 は書 かれ て いな いことがわ かる
、
、
b
く
っ
を
し
も
中
は
た
い
説
の
い
庸
子
で
言
ん
あ
孔
の
て
烈
葉
へ
。
c
も
る
し
を
ど
い
中
わ
ゆ
た
い
な
の
の
て
は
いな いのであ る
言
庸
方
得
、
、
﹁
天下国家 モ均 シク ス可 シ 爵禄 モ辞 ス可 シ 白 刃 モ踏 ム可
、
シ 中庸 ハ能 ク ス可 カラザ ルナリ﹂
、
つまり 中庸 と いう 実践的な知恵を得 ると いう ことに比 べれ
、
。
、
ば 何も かも皆 易し いことだと言う のであ る な ぜ 彼 には こ
。
、
んな言 い方 が必要 だ った のだろう か むろ ん 彼 の言う中庸 と
、
、
は 両端 にあ る考 え方 の間 に 正し い中間的真理 があ ると いう
、
よう な 簡単 な考 え方 ではな か った のであ って、上 のよう な言
、
、
い方 は 彼 が考え抜 いた果 てに到達 し た思想 が いかに表現し
。
難 いも のであ ったかを示す さまざまな種類 の正し いと信じら
、
れ た思想 があり そ の中 で最上を判定す るも のを選 ぶ ことな ど
。
よそ しく え ると う
自
が問 な のではな い
お
い
題
人
間
の
正
力
考
能
、
。
体 の絶対的な価値 の救 助とか 回復 とかがめざされ て いる のだ
︲
そう いう希 いが中庸 と名 づけられ て いる のであ る。 d例 の剃訓
、
。
。
的 な表現 は この希 いを示す 私 はそう思う
中庸 ハ其 レ至 レルカナ﹂
﹁
、
、
と ころ で、
中 と 小 人 の中庸 とを区別 し て記
が
の
彼
君
子
庸
︲ ︲
、
。
入し て いる のは 果味あ る ことだ 君子 の中庸 は﹁e嘲 二引 ス﹂
。
と言 い、小人 の中庸 は ﹁
忌憚ナ シ﹂ と言う こんな ことは空想
小林秀雄「
常識について」
29
、
、
。
家 には言えな いのであ る 中庸 と いう 過不 及 のな い 変 わら
、
。
ぬ精神 の尺度 を 人 は持 たねばならな い と いう よう な ことを
、
。
孔 子 は言 って いる のではな い い つも過不 及 があ り い つも変
、
わ って いる現実 に即し て 自在 に誤 たず 判断す る精神 の活動を
。
。 う つ
一っ
る
ではな い
そ
で
は
い
だ
の
恵
の
て
の
君
子
言
活
生
特
知
権
一
、
。
誠意 と努 力 とさえあ れば 誰 にでも 一様 に開 かれ て いる道 だ
、
。
、
ただ この知恵 の深 さ だけ が問題な のであ る 君子 の中庸 は
、
、
、
事 に臨 み 変 に応 じ て 命中す るが そう いう 判断 の自在を得
、
、
、
る ことはむず かしく 小人 の浅薄な中庸 は 一見自由 に見え て
。
実 は無定見 にすぎな いことが多 い 考え に自己 の内的動機 を欠
、
いて いるがために かえ って自由 に考え て いるよう な格好 にも
。
。
忌憚なし﹂ であ る
見え る つまり ﹁
、
、
孔 子は 一生涯 俗まず説教し通 し たが 説教者 の特権 を頼 む
、
。
こと の最も少な か った人 であ る ついに事成らず舞 死し たが
、
君 子回 ヨリ窮 ス﹂ と嘆 いただけ で 殉教者 の感 傷 のごときも
﹁
。
問一
傍線部 1∼5 の片仮名 を漢字 に直 せ
、
、
。
のは 全く見られな い 深 い信仰 を持 って いたが 予言者 め い
、
。
たと ころは少しもな か った それど ころ か f彼 の知恵 には常
、
。
に健全 な懐疑 の裏 打ち があ ったよう に思 われる 彼 は 誰 の心
、
、
のう ち にも 予言者 と宣伝家 とがひそ ん でおり これ が表 に現
、
れ て生長す ると 世 の中 にはろくな ことは起 こら ぬ ことを 5カ
、
。
ンパし て いたよう であ る 真理 の名 の下 に どう あ っても人 々
、
、
を説得し た い 肯 じな い者 は殺 し ても いい 場合 によ っては自
、
、
。
。
分 が殺 され ても いい ああ 何 たる狂人 ども か そ こに 孔子
、
の中庸 と いう 思想 の発想 の根拠 があ ったよう に 私 には思 われ
。
フ
つ
、
。
むろん 私 は説教な どし て いる のではな い 二千余年も前 に
、
志を得ず し て死 んだ人間 の言葉 の不減を思 い あ わ せて人間 の
、
。
暗愚 の不滅を思 い 不思議 の感をなし て いる のであ る
常識についてし
︵
小林秀雄 ﹁
、
、
。
。
問 工 傍線部 aに ついて どう し て ﹁そう いう 考え方﹂ は ﹁ひど い侮蔑を含 ん で いる﹂ こと にな る のか 五十年以内 で答 えよ
、
。
。
中庸﹂ ︵
間 三 傍線部 b の ﹁
孔 子 の説く中庸︶ とは どんなも のだと筆者 は言 って いるか 七十五年 以内 で答 えよ
。
問 四 傍線部 cの ﹁いわゆる中庸﹂ とほぼ同じ内容 の書 かれ て いる部分を抜 き出 せ
、
、
問 五 傍線部 d ﹁
彼 の逆説的 な表 現﹂とは ﹁天下国 家 モ均 シク ス可 シ⋮⋮﹂の文を指 し て いるが な ぜ これ が逆説的な表現な の
。
、
白刃 モ踏 ム可 シ 中庸 ハ能 ク ス可 カラザ ルナ リ﹂ の部分 で説 明 せよ。 ︵
か ﹁
五十年以内︶
。
時 工中 ス﹂を筆者 はど のよう に解 し て いるか
間六 傍線部 e ﹁
3 0
想
随
、
。
。
問七 傍線部 f ﹁
彼 の知恵 には⋮⋮あ った﹂ とは どう いう ことか 筆者 の考え に即し て答 えよ ︵
五十年以内︶
小林秀雄「
思ひ出す事など」
常識について」
/夏 目漱石「
31
、
。
千葉大︶
次 の文章 を読ん で 後 の問 いに答 えよ ︵
い つ
じ
ね
、
跳載 寺 に いる間 は艇配 に寝 たままよく俳句 を作 っては それ
。
を 日記 の中 に記け込 んだ 時 々は面倒な 1平 仄を合 し て漢詩 さ
。
え作 って見 た そう し てそ の漢詩も 一つ残らず未定 稿 とし て日
。
記 の中 に書 き付け た
。
余 は年来俳句 に 2疎くなりま さ った者 であ る 漢詩 に至 って
II
、
、
。
AI覆 と い ってもい い 詩 にせよ 句
は 殆 んど当初 から の同I
、
、
にせよ 病中 に出来上 が ったも のが 病中 の本 人 にはどれ ほど
、
こと に現代的 に
得意 であ っても それ が車畷家 の眼 に整 って ︵
。
整 って︶映 るとは無 論思 わな い
︱
︲
、 自
こ
州
引
刺
は
身
の
けれども a斜洲凋判 ,
例
劇
訓
網
余
制
側
側
個
、
。
から いう と 全くそ の出来不出来 に関係しな いのであ る 平生
、
は如何 に心 持 の好くな い時 でも いやしくも塵事 に堪え得 るだ
、
け の健康を有 って いると自信す る以上 また有 って いると人か
、
日
ら
ら る
に
わ
は
に
れ
め
れ
存
立
つ悪戦
以
夜
生
争
認
上
常
共
競
裏
住
、
。
の人である 仏語 で形容すれば絶えず 火宅 の苦を受け て 夢 の
、
。
中 でさえ焦 々し て いる 時 には人から勧 められる事もあり 偶
、
、
には自ら進む事もあ って ふと十七文字を並 べて見 たり または
I
B日の四句位組み合わせないとも限らないけれどもb刺嘲胡
同I
ど
し 、 も残さず心を引き包
るよう
こ
な
に
あ
て
問
が
が
隈
隙
か
心
持
、
。
んで 詩と句 の中 に放り込む事 が出来な い それは c歓楽を嫉 む
、
ま たは句 に熱し
ま つわ
実生活 の鬼 の影 が風流 に纏 るためかも知 れず
6
解答 ・解説←別冊1べ︲ジ
、
、
詩 に狂す る のあ まり かえ って句 と詩 に 3翻弄 され て いら い
、
らす まじき風流 に いら いらす る結果 かも知 れな いが それ では
、
いくら佳句 と好詩 が出来 たにし ても 扇 ち得 る当 人 の愉快 はた
、
、
、
だ二 三同好 の評判 だけ で そ の批評を差 し引く と 後 に残 る
も のは多 量 の不安 と苦痛 に過ぎな い事 に帰着 し てしまう。
って来 る。病気 の時 には自
と
と
こ
を
る
ろ
が
が
す
気
大
趣
違
病
分
。
分 が 一歩現実 の世を離 れた気 にな る 他も自分を 一歩社会 から
。
遠 ざ か ったよう に大目 に見 てく れる 此方 には 一人前働 かなく
、
ても済 むと いう 安心 が出来 向う にも 一人前 とし て取り扱う の
。
が気 の毒 だと いう 遠慮 があ る そう し て健康 の時 にはとても望
。
めな い長閑 かな春 がそ の間 から湧 いて出 る この安ら かな心 が
、
、
。
即ちわ が句 わ が詩 であ る 従 って 出来栄 の如何 は先ず措 い
、
て 出来 たも のを太平 の記念 と見 る当 人 にはそれ がど の位貴 い
、
、
。
か分 からな い 病中 に得 た句 と詩 は 退屈を紛らす ため 閑 に
、
。
強 いられ た仕事 ではな い 実生活 の圧迫 を逃 れたわ が心 が 本
、
、
来 の自由 に跳 ね返 って む っちりとし た余裕を得 た時 油然 と
4波り浮 かんだ天来 の彩紋 であ る。 われともなく果 の起 こる の
。
れを句 な
が既 に嬉 し い そ の果を捉 え て横 に咬 み竪 に砕 いてゴ ﹂
り なり に仕立 て上げ る順序過程 がま た嬉し い。漸く成 った 暁
詩
、
には 形 のな い趣 を判然 と眼 の前 に創造し たよう な心持 がし て
。
更 に嬉し い 果 たし てわが趣 とわ が形 に真 の価値 があ るかな い
3 2
想
随
か え り いと ま
。
かは顧 みる追 さえな い
。
問一
傍線部 1∼4 の漢字 の読 みを平仮名 で記 せ
、
。
問 工 破線部 ﹁
専門家﹂ の対語 とな るよう に 空欄 A に適当な漢宇 二文字を入れよ
、
。
。
間 三 空欄 B に入る最も適当 な言葉 は 次 のイ∼ 二のう ち のどれ か 記号 で答 えよ
夏目漱石 ﹁
思 ひ出す事などじ
︵
イ 諸行無常 回 春夏 秋冬 ハ 序破 転急 二 起承転結
、
。
。
問 四 本 文中 の ﹁
余﹂ は 平生 の自己を ど のよう なも のとし て認識し て いるか 該当す る表現を本 文中 から抜 き出 せ
、
問 五 傍線部 b ﹁
何時も ど こか に間隙 があ るよう な心持﹂ がす る理由 の 一つとし て 傍線部 c ﹁
歓楽 を嫉 む実生活 の鬼 の影 が風
。
。
流 に纏 る﹂と いう ことがあ る ﹁
歓楽を嫉 む実生活 の鬼 の影 が風流 に纏 る﹂とはど のよう な ことか 五十年以内 で説 明 せよ ︵
句
。
読点を含 む︶
、
。
問 六 傍線部 aにおけ る ﹁
余﹂は ﹁
病中 に作り得 た俳句 と漢詩 の価値﹂を ど のよう な と ころ に見 いだし て いるか 六十年 以内 で
。
記
句 点を む
︵
読
含
︶
せ
、
、
問 七 次 の作 品群 イ∼チ のう ち から 夏目漱 石 の作 品を三 つ抜 き出 し 成 立順 に記号 で記 せ。
イ 和解 回 行 人 ハ 羅生門 一
一
舞姫
ホ 明暗 へ 春 卜 一
向野聖 チ 吾輩 は猫 であ る
夏目漱石「
思ひ出す事など」
/幸 田文「
木」
33
、
。 践 子 ・
実 女 大 文︶
次 の文章 を読 ん で 後 の問 いに答 えよ ︵
繭圏螂四 解答 ・解説←別冊帽ページ
、
、
。
そ のころ町 にはよく縁 日がた って 人 々は植木 や鉢も のを ひ
け 小さ い山椒 の木 を取 った お職 の藤 から 一度 に大下落 の山
、
。
、
。
、
やかす のが好き だ った 父は私 に 娘をそ こ へ連 れ て いけ と
椒 だ った ほし いも のが買 ってもらえなく て わざ と安値 のも
。
、 日
。
を み ておく の
いう 町 に育 つおさな いも のには
としらす
の
さ しょ
のを と
に
た で な
は
い
縁
木
味
ね
の
は
す
植
せ
ん
の
嫌
彼
女
美
、
、
も、草木 へ関心をも たせる、 かぼそ いな がら の 一手段 だ、 と い
ぼしを 醤油 で いり つけ た のを ごはんにぱらぱら とまき お菜
、
う のだ った。水を打 たれた枝 や葉 は、 カ ンテラ の灯 にう つくし
に玉子焼を つけ たお弁当 が 大好き だ ったからな のであ る。藤
、
く見え、私 は娘 の手を ひ いて、植木屋 さんとはなしをし た。フ﹂
でなく ても 山椒 でも 子供 は無邪気 に喜 んで いた。 ︵
A︶
、
、
と ころ が夕方書斎 から でてき た父 が、 みるみる不機嫌 にな っ
れ だけし ゃべら せて な んだ 買 ってくれねぇ のか﹂ と いわれ
、
。
、 と う。
たり ると は の を たく って 引 っ った。
まち っ
す
か
た
手
は
娘
張
の
い
な
い
私
握
て
い
で
藤
択
が
の
選
市
花を選
一
番
、
、
。
、
、
んだとは 花を見 るたし かな目をも って いたから のこと な ぜ
春 植木市 がた つ お寺 の境内 へ かなりな商 品 が運 び こま
、
。
、
、
れ ち ょ っとし た市 な のであ る 父 は私 にガ マロを渡し て 娘
そ の確 かな目 に応じ てやらな か った のか 上啓は当然買 ってや
、
、
。
る きも のだ った のに、 と いう 。 そう いわれ てもま だ私 は気 が
の好 む木 でも花 でも買 っち ゃれ と いう 汗 ばむよう な 晴 れ
べ
。
、
、
、
た午後 だ った 娘 がほし いと いいだし た のは 藤 の鉢植え だ っ
つかず それ でも藤 は バカ値 だ ったから と弁解す ると父は真
。
、
1
った。 ごと ち ょ
っ
った。好 む草なり木なりを買 ってやれ、 と いい
た そ は
では
な
れ
の
の
だ
で
封
な
花
市
か
に
て
物
お
酬
鉢
顔
こ
、 I
I
う ど私 の身 長 と同じくら いの高 さ があり、老木 で、あすあ さ っ
つけ た のは自分 だ 同 I
□ わざと自分 用 のガ マロを渡し てや っ
、
、 I
、
I な
I
た 子は藤を選んだ 同I
□ ぜ買 ってやらな いのか 金 が足
りな いのなら、ガ マロごと手金 にう てばそれ で済むも のを、お
まえは親 のいいつけも、子 のせ っかく の選択も無 にし て、平気
︱
。
、
でいる なんと浅はかな心か 同団︱一 藤 がたか いのバカ値 の
と いう が、 い った い何を物差 にし て、価値をきめて いる のか、
、
多少値 の張る買物 であ ったにせよ そ の藤を心 の養 いにし てや
、
、
ろう と なぜ思わな いのか そ の藤をき っかけ に、 ど の花をも
、
、
。
てには咲 こう と いう 替 2房がど っさり付 いて いた 子供 は
、
てんから問題 にならな い高級品を 無 邪気 にほし が った のであ
、
る。 子供 だから こそ おめず臆 せず ねだるが、聞 かず とも知 れ
。
る
ロの小銭 で買え るも のではな い。も
であ る と も
高
ガ
て
マ
価
、
ちろ ん私 は買う気 な どなく て 小銭 と藤 の不釣合 いな おかしさ
、
を笑 ってす ま せ 藤 の代り に赤 い草花を どう かとすす めた。 子
、
供 はそれら の花 は 以前 にもう 買 った ことがあ るから としりぞ
3 4
想
随
、
えな い処置 には あ きれ ても のも いいえな い︱︱ さ んざんにき
。
め つけられた
、
藤 の代り に買 い与 え た山椒 が 叱られ たあ と の感情 をよけ い
、
、
、
子 のから だに 心 に いい養 いを つけ る ことができ るか とそ
、
、
れば かり思う も のだ 金銭を先 に云 々し て 子 の心 の栄養 を考
、
杉 へと関心 の芽を伸 ばさな いとは限らな い そう なればそれは
もう 、 3そ の子 が財産をも ったも同じ こと、 これ以上 の価値 は
、
、
な い 子育 て の最中 に いる親 が誰 しも思う ことは どう したら
、
いとおし む ことを教 え てやれば それは この子 一生 の心 のう る
、
、
お い 女 一代 の目 の楽 し みにもなろう 同団 日 ま たも っと深 い
aキ エンがあ れば、 子供 は藤 から蔦 へ、蔦 からも みじ へ、松 へ
、
、
、
。
。
年 々四季 はめぐ る 芽立ち 花咲き みのり 枯 れおち る
。 、
そ のことあ るたびに心 は いたんだ が そ のまま娘 は人 のも と
、
カイす る ことが度 々あ った のだが 今更な がら この4責任 は自
、
、
。
分 にあ る と つら い思 いをし た いくら辛く思 っても もう お
。
そ か った
、
、
ぬ女 が どんな に味気な いも のか 子な がらう とましく思う時
。
もあ った。 し も い も、
な いよう った それ
て
て
だ
説
が
か
話
心
動
、
、
ま でも私 は あ の時 の藤 でチ ャンスを失 ったらし いと cコウ
この春
。
柄 と いう かがい や っと形 にな って現れ はじめた のであ る 意外
、
、
な感 じ がし た のだが も っと意外 だ った のは そう いう 夫 に つ
、
れ て娘もし みじ みと花を み つめ 芽を いとおし む気 をも った こ
とだ った。 ︵
D︶
、
、
そ のころから しきり に 一度 はど こか へ藤 の花を たず ねた
、
、
。
い と思う よう にな った 追憶 でもあり あ の藤 のとき の詫 び
、
、
心 でもあり 改 め て藤 に見参 しよう と いう気もあ って の 思 い
。
たち だ った
、
、
。
東京 に近 い地域 の 古藤 と いわれる花を見 て歩 いた
、
。
へ縁付 いた 孫 がう まれ た時 この子 は草木 を いとおし む子 に
、と
。
な
ひそ に った C
れ
か
祈
︵
︶
、
。
け れども 私 のおも わく はがらり と外 れ た いいほう に外 れ
、
、
。
た のであ る 思 いがけな いこと に 娘 の夫 は花を好 み 木を育
、
。
。
てよう とす る人 だ った 上を いじり 種をま いて喜 ぶ のであ る
、
、
子 がう まれ 結婚生活 が落 ち付 いてから そ の趣味 と いう か心
、
。
せ つなくし た 一尺五寸ほど の貧 弱な木 だが 鮮緑 の葉 は操 め
、
、
ば高 い香気を はなち 噛 めば鋭 い味を ひろげ 棘 は b ヨウ シ ャ
、
。
。
なく刺し た 誰 のためにあ がな った木 だろう と 思 わされた
、 ら
、
だ
が
叱
れ た のは身 にし みたが さればと い ってそ の後私 が
、
心を改 め 縁 日 のたびに子 に花 のた のしさを コーチし た のでは
。
B︶
ない ︵
、
、
。
子は大きくな って い った 花を見 ても きれ いだと いう だけ
、
、
木を見 ても 大 きな木 ねと いう だけ 植物 にはそれ以上 は心 が
、
。
。
動 かな いよう だ った 世話をし て花を咲 かすな どは 面倒 そう
、
。
庭木 の枯 れ枝を 一本 切 るにさえ し ぶり がち であ る ほかには
、
、
優 し い心をも つほう な のだが 野良 大 にふみ倒 され た小菊を
。
お こし てやろう ともしな い回さな のであ る 草木を いとおしま
ト ハ
だ も
か し
ら
しばられ た のだろう か。
︼
一
と ころ で
幸田文 ﹁
木じ
︵
、
、
い藤 の 花も根も見 せてもら おう とも心 づもりし て いる ので
、
。
、
あ る こんな ことを思う のは 橋をも吊 ると いう 藤 の強さ に
。
しく
る。
し 、と つ
こ
に
は
た
の
び
た
で
印
度
根
面
が濃 い
今
対
象
新
、
、
、
いず れ ま だ この次も そ の根 に逢 いに いく だろう と いう気
、
、
、
があ るし ま た 一方 今度 は山 に谷 に生 き る自然 の古 い藤 若
、
。
美 し さを どう しよう とおろおろし てしまう だが それなら と
、
、
もしな った。 こ
も
い って
れ
わ
い
立
の
の
か
去
押 さえ つけ
つ
持
、
、
てく る力 があ って 連 れ の人 にう な がされるま で 私 は待 ん で
。
いた
どう考 え て いいか、 いまも って納得 は ついて いな い。 ただ、
、
、
花 にむか っては 追憶も詫 びも済 ま せてき た と いう思 いがあ
、
、
、
。
野や山 に自然 のまま にあ る藤 でなく 人 に培われ かばわれ て
の形状 のおどろおどろし いのには 目 が圧迫 され た う ねり合
、
。
。
、
、
、
、
いる藤 であ る みな 美事な花を つけ て いた 一枝 に ついて い
い から み合 い 盛 り上り 這 い伏し それ は強大な力を感 じ
、
、
、
、
る花 でも 花房 に長短 があり 花色 も 早く咲 いたも のはうす
さ せるととも に ひどく素直 でな いも の、我 の強 いも の、複雑 、
.
、
。
。
、
5
e
く
さ りな
よう
を じ
て いたし
え
シ ュウ
い
は
た
さ
の
に
カ
イ
め
か
劇
が
濃
み
た
程
紫
今
感
花 はど こま でも やさしく美 しく
せ
︲
、
。
、
のがじし 咲くも ののよう であ る 花 はど の花も お のがじし咲
足もとは見るもこわらしく L引q側劉別召刊割側酬倒刊刺の
、
っ
く 、
と う と、
と
ら
さ
国
い
ひ
な
が
の
の
に
の
て
藤
藤
面
つ
一
幕
棚
、
、
。
、
がる よう に思 いち がえ る 遠見 はそ の通り だが 近く みれば
よく似 てし かも それぞれだ った。 長 塗房はメート ルを越し て、
、
、
d ウ
る。
で
あ
ガ
い
そろ って さざ めくよう に揺
は
同
ユ
一
勢
短
房
、
、
。
れ これも美 し い 藤 波 と いう が 風 がわ たればまさ に波 と み
。
え る な んと いう こともなく この花 に ﹁
情緒﹂ と いう 言葉 を思
。
、
い当 てた 植木市 のな かで幼 い目 が捕え た のも あ る いは情緒
、
、
であ ったかと察 し 亡 父があ の時あ んな にお こ って 心浅 い女
、
、
だと私をきめ つけ た のも 花 が藤 だ ったから のせ いもあ ろう か
︱
︱
こ引割 つ叫
と思 い、ま た、 いや いや待 てよ、 Lq刻倒割側胡列 ,
、
、
、
て 収支計算 し たがる こと こそ よ こしま だ とも思 いな おし
。
つし た
し かし、花よりも そ の根 に、 おどろ いた。 千年 の古藤 と いう
、
、
から には 根まわり何十尺と数え る太 さもさ る ことな がら そ
だ た
の だ
に し
、
、
。
本 文中 の空欄 I∼Ⅳを埋 める のに最も適当 なも のを 次 の中 から そ れ ぞ れ 選 び 記 号 で答 え よ
な し
ぜ か
も
問 一
イ
ホ
回
へ
木」
幸田文「
35
3 6
想
随
、
、
。
間 二 段落未尾 の空欄 A ∼Dに位 置さ せる のによさわし いも のを 次 の中 からそれぞれ選 び 記号 で答 えよ
、
。
。
イ 子 に怠 った ことを 孫 で つとめた いと思 った 日 私 は父をう ら んだ
、
。
、
。
ハ 私 はそれ でよ い と思 ってう たがわな か った 二 ほ っとし て 私 はもう 孫 のことも安心し た
、
。
。
孫 は孫 と観念し た へ とかく ルーズな のであ る
ホ 娘 は娘
。
間 三 傍線部 1 の語 の意 味 と最も近 い五年以内 の語句 を抜 き出 せ
、
、
。
問 四 傍線部 2と判断し た理由 に つな がるも のを 次 の中 から 二 つ選 び 記号 で答 えよ
イ 浅 はかな心 のな せるわざ だから 回 物差 は固定 さ せては いけな いから
多 少値 の張 る買物 だから
一
ハ 花を見 るたし かな目 が育 つから 一
ホ 関心 の目 が伸 びるから へ 親 のいい つけ は絶対 のも のだから
、
。
間 五 傍線部 3 の ﹁
財産﹂を具体的 に説 明し て いると思 われる箇所を 句 読点 とも二十年以内 で抜き出 せ
、
。
。
4の
は ど のよう なも のであ ったか 句読点 とも四十年以内 で具体的 に記 せ
が じ る ことにな った
問
線
六
﹁
生
背
傍
部
責
任
﹂
景
、
。
問七 傍線部 5 の意 味とし て最も適当なも のを選 び 記号 で答 えよ
イ てん でんばら ばら に咲くも の 回 自分勝手 に好 み の花を つけ るも の
一
ハ 各 自 おも いおも いに咲くも の 一
放 っておかれ た方 がよ い花を咲 かすも の
ホ 花 はす べてあな たま かせで咲くも の
。
問 八 傍線部 S のよう に筆者 が思 いな おす き っかけ とな った考え はど のよう なも のか 次 の中 から最も適当 と思 われ るも のを選
、
。
び 記号 で答 えよ
、
。
イ 花 の美し さ はあくま で花自体 の美 とし て 純粋 に味わう べき であ る
□ 過去 の自分 の失敗ま で花 のせ いにし てしまう のは、卑 怯な態度 だ。
、
。
ハ 追憶 や詫 び心 と い った ふう に な にごとも わ が身 にひきよ せて考え る のがよ い
一
し さま で
どう と う。
る
一
の
は
に
の
花
美
算
す
か
金
換
思
、
。
ホ 花 の美も身 近 に感 じ て こそ 計算 できな いねう ち が生まれ るも のだ
、
。
問九 傍線部 7 の意 味とし て最も適当なも のを次 の中 から選 び 記号 で答 えよ
幸 田文 「
木」
37
、
イ この根 のみにくさとあ の花 の美 しさは ど こか で激しく争 って いるよう だ。
日 根 と花 と の 一見矛盾し た つな がりを、 どう 理解 し たらよ いかとま どう。
、
。
ハ 根 の状態 を見 せられたら 花 であ る ことを止 めてしま ったよう だ
、
。
一
一
にとらわ そう だ
藤 は と花 とがじ つは つな が って いな いのでは と いう
根
れ
妄
想
、
。
ホ 花 はす べてが美し い と いう先 入観念 のむなしさを つき つけら れ たじろぐ
、
。
問十 傍線部 a∼ eの片仮名 を 正し い漢字 に改 めよ