東アジアのビジネスに関心のある方のための情報誌

New!『東アジア・ニュースレター』
2015 年 4 月 3 日号
――東アジアのビジネスに関心のある方のための情報誌――
(毎週金曜日配信 計 4 回総集編)
執筆:前田高昭
(国際金融ジャーナリス)
中国関係では、中国が主導するアジアインフラ投資銀
行(AIIB)に欧州主要 4 か国が参加を決定し、西側陣営
内に新銀行を巡る見方に亀裂が生じた。同時に日米同
盟にとってもひとつの試練になっている。主要メディ
アの意見も分れているが、環太平洋経済連携協定
(TPP)の早期締結の必要性が高まったとの主張でほぼ
一致している。
台湾では来年 1 月に総統選挙が予定されており、昨年
の統一地方選挙で圧勝した野党民進党が総統選でも優
勢とみられている。民進党は伝統的に台湾独立を党是
としており、これを警戒した中国政府が最近、
「1 つ
の中国」の原則を守るよう警告のメッセージを発した。台湾の世論も割れており、総統選ま
でに紆余曲折が予想されている。
韓国政府が最大の経済パートナーである中国と、北朝鮮の核の脅威から韓国を守る米国との
間で綱渡りの外交を強いられている。韓国は現在米政府から「戦域高高度防衛ミサイル
(THAAD)」の導入を迫られているが、これには中国が反対している。また中国からは米国主導
の世界銀行と競合する中国主導の AIIB への参加を求められている。この 2 つの問題をめぐり
米中との外交的 3 角関係におかれていると指摘されている。
北朝鮮市民がシンガポールにある NGO 主催の教育機関で起業について学習している。学生の
数は今のところ小規模だが、すでに 800 人程度の北朝鮮民間人が政府公認の下で研修を済ま
せている。北朝鮮の体制を揺るがすような影響力はないとしても長期的には注目すべき動き
である。
東南アジア関係では、インドネシアの通貨ルピアの下落が止まらない。今年に入り 5%も下落
した。要因として経済成長の鈍化、米連邦準備理事会による短期金利引き上げの可能性とそ
れを見越したインドネシアからの大量の資金流出などが挙げられている。このため中央銀行
も現在 7.50%の政策金利を据え置いている。こうした情勢のなか、ウィドド大統領が日中歴
訪を手始めとする投資呼び込みの外交攻勢に出て、その成果が注目されている。
インドのモディ政権は中国の軍事的脅威に備えるため国防支出の増加と国防部門への外国投
資の自由化を進めている。新予算で軍事支出を 11%増やし、国防関連産業への外資の投資制
限を 26%から 49%へ引き上げた。背景としてヒマラヤ国境地帯での中国との紛争、インド洋に
おいて高まる中国海軍の脅威などが指摘され、モディ首相は国防面での日米との関係強化を
進めている。
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