4 ● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編― 配当課税の仕組み ●非居住者に対する課税関係の概要 非居住者の区分 国内に恒久的施設を有する者 支店その他 事業を行う 一定の場所 を有する者 国内源泉所得 の種類 1年を超える建設作業 国内に恒久的施設を 等を行いまたは一定の 有しない者 要件を備える代理人等 を有する者 ①事業から生じる所得※1 非課税 総合課税 〔税率は、15%★〕 ゴルフ会員権・不動産に関する 権利等の譲渡による所得 総合課税 総合課税 (源泉徴収あり) ⑥人的役務の提供の対価 ⑨定期積金の給付補填金等 ⑩配当、 株式投資信託の収益分配金 源泉分離課税 ※2 ⑪貸付金の利子 ⑫工業所有権、著作権、機械等の 使用料 ⑬給与、賞与、公的年金、退職手 当等 ⑭事業の広告宣伝のための賞金 ⑮生損保契約等による年金等 ⑯匿名組合契約に基づく利益の分 配 ⑰割引債の償還差益 総合課税 (源泉徴収あり) ︵国内事業に帰せられないもの︶ ⑧公社債・預貯金の利子、公社債 投資信託の収益分配金 ︵国内事業に帰せられるもの︶ ⑦不動産等の賃貸料等 〕 ― 14税金読本_p061-116_04.indd 86-87 ■ 上場株式等の配当 分離課税、残りの部分を総合課税にする %(所得税15.315%・住民税5%)の源 ことはできません。 泉徴収が行われます(配当所得の収入す 申告分離課税を選択した場合、上場株 べき時期は、配当を支払う法人の株主総 式等の譲渡損との損益通算ができます 会や取締役会などの決議があった日とな が、配当控除の適用はありません。 ります。くわしくは88ページ参照) ただし、未公開株式等(上場株式等以 源泉徴収の後、上場株式等の配当所得 外の株式等)の配当等や大口株主が受け について確定申告をする場合には、総合 取る上場株式等の配当等について総合課 課税または申告分離課税のいずれか一方 税が適用されている場合でも、上場株式 を選択します。確定申告をしない場合に 等の配当等(大口株主の受取配当等を除 ※3 は、源泉徴収のみで課税関係が終了する く)については、申告分離課税を選択で 20.42% 申告不要制度を選択することができま きます。 す。 ◆申告不要を選択した場合 20.42% 10.21% 20.42% 20.42% 15.315% 15.315% 20.42% ただし、上場株式等の配当等であって 申告不要を選択した場合、源泉徴収の 20.42% も、大口株主(内国法人の発行済株式数 みで課税が終了するため、実質的に源泉 20.42% の3%以上を保有している個人株主)が 分離課税と同じといえます。申告不要の 支払いを受けるものについては、課税上 利用に手続きは必要ありません。単にそ は未公開株式等の配当と同様の扱いとな の配当を確定申告しなければよいので り、源泉徴収税率は20.42%(所得税のみ) す。 で原則として総合課税となります。 申告不要については、銘柄ごと、1回 ◆確定申告する場合 に支払いを受ける配当等の額ごとに選択 確定申告をする場合、申告する上場株 できます。源泉徴収口座内に受け入れた 式等の配当等の全額について、総合課税 配当等については、口座ごとに選択でき と申告分離課税のいずれかを選択しなけ ます。 源泉分離課税 20.42% 20.42% 18.378% ※4 ※1 ④∼⑰に該当するものを除きます。 ※2 申告不要の選択も可能です。ただし、上場株式等の配当等については、申告分離課税の選択も可 能です。 ※3 「上場株式等の配当および公募株式投資信託の収益分配金等」以外のものについては20.42%で す。 ※4 東京湾横断道路建設事業者等が発行する割引債など一部のものは16.336%です。 86 源泉徴収と課税方法 上場株式等の配当に対しては、20.315 ― 非課税 ⑤不動産等の譲渡による対価 ― 買い集めた株式等の 一定の譲渡、事業譲 渡類似等に係る株式 等の譲渡は申告分離 課税 申告分離課税 ④組合契約に基づく事業からの利益 配分 ― 式 〔 原則非課税 株式等の譲渡による所得 ― 総合課税 ③資産の譲渡による所得※1 源泉 徴収 株 ②資産運用等による所得 ※1 −3 ればならず、配当等のうちの一部を申告 87 14.6.27 6:24:33 PM ● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編― ●配当の課税方法と源泉徴収 平成26年1月1日∼平成49年12月31日 上場株式等 ※2 所得税・住民税 申告不要か総合課税・申告分離課税の選択制。申告不要は支払いを受ける配当ご とに選択可能※1。確定申告をする場合には、その申告をする配当のすべてについ て、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択。 源泉徴収 (特別徴収) ※3 ◇1銘柄1回10万円(年1回配当の場合) 以下 ・・・・・総合課税と申告不要の選択 ※3 ◇1銘柄1回10万円(年1回配当の場合) 超 ・・・・・総合課税 源泉徴収 所得税20.42% 総合課税 特別徴収 なし ※1 源泉徴収口座に配当を受け入れる場合は、口座ごとに申告不要を選択できます。 ※2 大口株主が受ける国内上場株式等の配当は、未公開株式等の配当への課税と同じ扱いになります。 ※3 配当額の計算方法については下記(注1)を参照して下さい。 ■ 未公開株式等の配当 未公開株式等の配当に対する税金は、 のときにのみ申告不要を選択できます。 20.42%(所得税のみ)の源泉徴収が行わ 住民税の特別徴収は行われず、総合課税 れます。未公開株式等の配当は、所得税 となります。所得税において確定申告を について1銘柄あたり1回に受ける配当 行っていない場合には、住民税について (注1) 額が10万円 (年1回配当の場合) 以下 確定申告が必要となります。 ◆配当所得の計算 ◆配当所得の収入とすべき時期 株式の配当による配当所得の金額は、 配当所得の金額は、配当を支払う法人 原則として、その年に受け取った配当金 の株主総会その他正当な権限を有する機 額がそのまま配当所得の金額となります。 関の決議があった日に収入があったもの ただし、株式を取得するために要した とすることとされています。 借入金の利子 (譲渡した株式等を取得す ◆配当の受取りと本人確認 るために要した借入金の利子は除きま 1銘柄1回の配当が10万円(年1回配 す)がある場合には、その借入金の利子 (注1) 当の場合) 超である場合には、配当 のうちその年に元本を有していた期間に の支払確定日までに株式事務代行機関で 対応する金額を控除した額が、配当所得 ある信託銀行などに対して住民票の写 の金額となります(確定申告する場合)。 し・健康保険証・運転免許証などの公的 が基準となります。 配当の計算期間(直前の配当に関する基準日の翌日から今回の配当に関する基準日 10万円 ×までの期間)の月数(12ヵ月超の場合は12とし、1ヵ月未満の場合は1とする) 12 88 14税金読本_p061-116_04.indd 88-89 本人確認を行う必要はありません。 ただし、名義変更等の際に本人確認を 総合課税と配当控除 配当所得(源泉徴収される前の配当金 (注3) が1,000万円を超えている部 額等(注2) 額、負債利子がある場合は負債利子控除 分は所得税5%・住民税1.4%)です。 後の金額)について総合課税を選択した 例えば、配当所得以外の課税所得金額 場合、配当金額に応じた税額控除を受け が950万円の人に150万円の配当所得が ることができます。これを配当控除とい あるとすると、1,000万円以下の部分に います。 対応する配当所得50万円についてはその 配当について源泉徴収された所得税と 12.8%の6.4万円、それを超える部分に 配当控除額が、納付税額の計算上、控除 対応する配当所得100万円についてはそ されます。 の6.4%の6.4万円、全体で12.8万円を算 配当控除額は、配当所得の12.8%(所 出税額から差し引くことができます。 得税10%・住民税2.8%。課税総所得金 ●配当控除額の計算例 1,000 万円 課税所得金額 1,000 万円以下 配当所得の計算と収入時期 (注1)配当額は、次の算式により計算した金額 要があります。 式 住民税 行っている場合は、配当を受け取るつど 株 未公開株式等 所得税 所得税15.315%・住民税5% 書類を提示し、本人確認手続きをとる必 配当所得を 加えると 1,000 万円超 1,000 万円超 その他の所得 800 万円 配当 150 万円 その他の所得 950 万円 ⓐ=50 万円 ⓑ=100 万円 その他の所得 1,050 万円 (注2)課税総所得金額等が1,000万円を超えるか どうかは、土地・建物等の課税譲渡所得、 株式等にかかる課税譲渡所得等、申告分 離課税を選択した上場株式等にかかる課 税配当所得の金額、先物取引にかかる課 税雑所得等の金額を課税総所得金額に加 えた合計額によることになります。課税 退職所得や課税山林所得の金額は含まれ 配当 150 万円 ⓐ 配当控除額 配当控除率 所得税 10% 住民税 2.8% 所得税 ⓐ について ⓑ について 10% 5% 住民税 ⓐ について 2.8% ⓑ について 1.4% ⓑ 配当 150 万円 所得税 住民税 5% 1.4% 所得税 住民税 合計 所得税 ⓐ について ⓑ について 15 万円 4.2 万円 19.2 万円 5 万円 5 万円 住民税 ⓐ について 1.4 万円 ⓑ について 1.4 万円 12.8 万円 合計 所得税 住民税 合計 7.5 万円 2.1 万円 9.6 万円 ません。本書では、これらを「課税所得 金額」といいます。 (注3)所得税と住民税では、扶養控除などの人 的控除額に差があることから、同じ収入 金額でも住民税の方が、通常、課税所得 金額は大きくなりますが、ここでは、便 宜的に同じ金額として取り扱っています。 89 14.6.27 6:24:34 PM ● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編― 総合課税と申告不要の選択 は、上場株式の配当の場合と同額の ては、総合課税・申告分離 配当控除を受けられますので、総合 課税・申告不要の選択制になってい 課税と申告不要の選択基準も上場株 ます。 申告分離課税を選択した場合、 式の配当の場合と同じになります。 その年や過年度の株式等の譲渡損と いずれの適用も受けない場合は、 ◆公募株式投資信託、REIT 、 日本株以外に投資するETFの分 配金の場合 総合課税か申告不要のいずれかを選 公募株式投資信託の分配金につい 択するのが有利になるものと考えら ては、その商品の非株式割合および れます。ここでは、総合課税と申告 外貨建割合によって、配当控除を適 不要の2つについて商品別にどちら 用できる金額が変わってきます 損益通算をすることができます。 が有利かを検討します。 (186ページ参照)。申告分離課税を なお、ここでは単純な税率の比較 選んだ場合の正味税率は変わりませ を紹介しますが、申告不要を選択し んが、総合課税を選んだ場合の税率 た配当等が合計所得金額などに含ま は、非株式割合および外貨建割合に れないのに対し、総合課税を選択し よって表[2]∼表[4]のように た配当等はこれに含まれる点にも注 異なります。 意が必要です(104ページ参照)。 REITや 日 本 株 以 外 に 投 資 す る ◆上場株式の配当、日本株の ETFの分配金の場合 ETFの分配金は、配当控除を受け 上場株式の配当について、総合課 のようになります。 税と申告不要を選んだ場合の正味税 もっとも、これらの商品について 率を比較すると、概ね右ページの表 の総合課税と申告不要のいずれが有 [1]のようになります。平成26年 利かの判断基準は、表[2]∼表[4] 分所得においては、課税所得金額が のどの場合でも同じです。平成26年 695万円以下ならば総合課税が有利、 分所得においては、課税所得金額が 695万円超ならば申告不要が有利と 330万円以下ならば総合課税が有利、 なります。 330万円超ならば申告不要が有利と 日本株に投資するETFの分配金 なります。 90 14税金読本_p061-116_04.indd 90-91 課税所得金額 所得税(復興特別 住民税 所得税除く) 復興特別所 正味税率 課税 得税込みの の合計 方法の 正味 配当 正味 所得税の正 配当 税率 税率 税率 (①+②) 選択 控除率 税率 味税率(①) 控除率 (②) 195万円以下 5% 0% 0% 7.2%※1 195万円超 330万円以下 10% 0% 0% 7.2% 330万円超 695万円以下 20% 10% 10% 10.21% 695万円超 900万円以下 23% 13% 13.27% 900万円超 1,000万円以下 33% 23% 23.48% 30.68% 1,000万円超 1,800万円以下 33% 28% 28.59% 37.19% 35% 35.74% 1,800万円超 40% 5% 2.8% 7.2% 10% 17.41% 総合課税 が有利 20.47% 1.4% 8.6% 式 上場株式等の配当等につい [1]上場株式の配当、日本株ETFの分配金 株 上場株式の配当について、総合課税とすべきか申告不要 とすべきか迷っています。どのようにして判断すればよ いのでしょうか? また、投資信託やETFの分配金は、 上場株式の配当の場合と同じと考えてよいのでしょう か? ●総合課税と申告不要の比較(平成26年分所得) 申告不要 が有利 44.34% ※1 配当所得に係る税額から控除し切れない分は、他の所得に係る税額から控除する形となり ます。 [2]公募株式投資信託(非株式割合・外貨建割合がともに50%以下) の分配金 課税所得金額 所得税(復興特別 住民税 所得税除く) 復興特別所 正味税率 課税 得税込みの の合計 方法の 正味 配当 正味 所得税の正 配当 (①+②) 選択 税率 (①) 税率 控除率 税率 控除率 税率 味税率 (②) 195万円以下 5% 0% 0% 8.6% 195万円超 330万円以下 10% 5% 5.11% 13.71% 330万円超 695万円以下 20% 5% 15% 15.32% 695万円超 900万円以下 23% 18% 18.38% 900万円超 1,000万円以下 33% 28% 28.59% 30.5% 31.14% 37.5% 38.29% 1,000万円超 1,800万円以下 33% 1,800万円超 40% 2.5% 1.4% 8.6% 10% 23.92% 26.98% 37.19% 0.7% 9.3% 総合課税 が有利 40.44% 申告不要 が有利 47.59% [3]公募株式投資信託([2]・[3]以外)の分配金 られませんので、正味税率は表[4] 課税所得金額 所得税(復興特別 住民税 所得税除く) 復興特別所 正味税率 課税 得税込みの 方法の 正味 の合計 所得税の正 配当 正味 配当 (①+②) 選択 税率 (①)税率 控除率 税率 控除率 税率 味税率 (②) 195万円以下 5% 2.5% 2.55% 11.85% 195万円超 330万円以下 10% 7.5% 7.66% 16.96% 330万円超 695万円以下 20% 2.5% 17.5% 17.87% 695万円超 900万円以下 23% 20.5% 20.93% 900万円超 1,000万円以下 33% 30.5% 31.14% 31.75% 32.42% 38.75% 39.56% 1,000万円超 1,800万円以下 33% 1,800万円超 40% 1.25% 0.7% 9.3% 10% 27.17% 30.23% 40.44% 0.35% 9.65 % 総合課税 が有利 42.07% 申告不要 が有利 49.21% 91 14.6.27 6:24:35 PM ● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編― [4]公募株式投資信託(非株式割合・外貨建割合のいずれかが75%超)、 日本株以外のETF 、REITの分配金 課税所得金額 所得税(復興特別 住民税 所得税除く) 復興特別所 正味税率 課税 得税込みの の合計 方法の 正味 配当 正味 所得税の正 配当 税率 税率 税率 (①+②) 選択 控除率 税率 味税率(①) 控除率 (②) 5.11% 15.11% 195万円超 330万円以下 10% 10% 10.21% 20.21% 330万円超 695万円以下 20% 20% 20.42% 30.42% 695万円超 900万円以下 23% 0% 23% 23.48% 10% 0% 10% 33.48% 900万円超 1,000万円以下 33% 33% 33.69% 43.69% 1,000万円超 1,800万円以下 33% 33% 33.69% 43.69% 1,800万円超 40% 40.84% 50.84% 40% 総合課税 が有利 申告不要 が有利 ※2 [1]∼[4]の表において、配当控除以外の税額控除はないものとして計算しています。 ※3 [1]∼[4]の表において、0.01%未満の端数が出る場合は四捨五入により0.01%単位で 表示しています。 ◆課税所得金額別のまとめ ては総合課税を選択し、公募株式投 課税所得金額別にまとめると、表 資信託やREIT、日本株以外に投 [5]の通り、 330万円以下であれば、 資するETFの分配金については申 すべての商品の配当等について総合 告不要を選択した方が有利です。た 課税を選択した方が有利、695万円 だし、源泉徴収ありの特定口座に配 超であれば、すべての商品の配当等 当・分配金を受け入れている場合 について申告不要とした方が有利と は、特定口座単位で申告の有無を選 なります。 択することとなり、1銘柄・1回の 悩ましいのが、課税所得金額が 配当・分配金ごとに申告の有無を選 330万円超695万円以下の場合です。 択することはできないので注意が必 この場合は、上場株式の配当や日本 要です。 株に投資するETFの分配金につい 課税所得金額 上場株式の配当、 日本株ETFの分配金 195万円以下 195万円超 330万円以下 330万円超 695万円以下 695万円超 900万円以下 900万円超 1,000万円以下 1,000万円超 1,800万円以下 92 14税金読本_p061-116_04.indd 92-93 配当・公募株式投資信託の収益分配金等 損益通算が可能な範囲を示すと、以下 については、上場株式等の譲渡損と通算 の図表のとおりです。 することができます。 申告不要や総合課税を選択した場合は 申告分離課税を選択した場合も、総合 控除できません。 課税を選択した場合と同様に、上場株式 未公開株式等の譲渡損を株式等の配当 等の配当等は、「合計所得金額」(35ペ から、上場株式等の譲渡損を未公開株式 ージCheck Point ! 参照)に含まれるこ 等の配当から控除することはできませ とになります。損益通算が行われる場合、 ん。 損益通算後の金額(利益の場合に限りま ●損益通算の範囲(平成27年分所得まで) 利益 損失 上場株式等 未公開株式等 公募株式投資信託 譲渡益 配当等 譲渡益 配当等 期中分配金 解約・償還損 譲渡益 上場株式等の譲渡損 ○ ○ ○ × ○ ○ ○ 未公開株式等の譲渡損 ○ × ○ × × ○ ○ 公募株式 解約・償還損 投資信託 譲渡損 ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ◆(2)損益通算の順序 上場株式等の譲渡損失の損益通算を行 株式等の配当等があるときには、次の① う場合に、同じ年に、上場株式等の譲渡 →②の順序で控除の対象とすることとさ による所得、未公開株式等の譲渡による れています。 所得および申告分離課税を選択した上場 [5]まとめ表 1,800万円超 す)が合計所得金額に含まれます。 申告分離課税を選択した上場株式等の 式 5% ◆(1)損益通算の範囲 株 195万円以下 5% 譲渡損失と配当所得との損益通算・繰越控除 総合課税が有利 申告不要が有利 投資信託、 REITの分配金、 日本株以外のETFの分配金 ①株式等の譲渡による所得 ②申告分離課税を選択した上場株式等の配当等 総合課税が有利 ◆(3)繰越控除 申告不要が有利 上場株式等の譲渡損については、同じ 算することが認められます(注)。 年の上場株式等の配当等だけでなく、翌 繰越控除の順序については、95ページ 年以降3年間の上場株式等の配当等と通 Check Point ! を参照して下さい。 93 14.6.27 6:24:36 PM ● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編― ◆(4)損益通算・繰越控除と適用税率 上場株式等の譲渡損失を繰越控除する場合の取扱い (平成26∼27年分) 繰越控除の適用がある場合、つまり、 課税)が年150万円あり、他に上場株式 前年以前から繰り越されてきた上場株式 等の譲渡損が60万円ある場合、控除後の 等の譲渡損失がその年の株式等の譲渡所 平成26年分の未公開株式等の譲渡所得等や上場株式等の譲渡所得および配 配 当90万 円 に 対 し て20%( 所 得 税15 得等や上場株式等の配当等から控除しき 当所得等があり、平成23年分から平成25年分の各年から繰り越された上場株 % ・住民税5%)の税率が適用されま れた場合には、その控除後の金額に対し 式等の譲渡損失を控除する場合の取り扱いについては以下のようになりま す。税負担は18万円(=90万円×20%、 て、所得税15%★・住民税5%の税率が す。 他に復興特別所得税)となります。 適用されます。 この場合、平成23年に発生した損失から順次控除にあてていきます。また、 ★ 株 例えば、上場株式等の配当(申告分離 式 繰越損失を控除する際には、譲渡益に限らず、上場株式等の配当からも控除 することが可能です。その際、繰り越した損失は、次の①→②の順に控除し 総合課税、申告分離課税、申告不要の比較 (上場株式等の配当等) ます(注)。 ●平成26年分の計算例 確定申告をする 総合課税 負債利子控除 税率 超過累進税率 あり 上場株式等の譲渡 損失との損益通算 なし 源泉徴収税率 申告分離課税 平成23年発生分 平成24年発生分 平成25年発生分 なし 500,000円 200,000円 100,000円 20%(所得税15%★・ 下記源泉徴収税率と 住民税5%) 同じ なし あり 特定口座の場合は口座 内で損益通算可能 合計所得金額に含ま 合計所得金額に含ま 合計所得金額に含ま れる れる※ ●繰り越された各年の上場株式等の譲渡損失の金額 (申告不要制度適用) あり 配当控除 扶養控除等の判定 確定申告をしない れない 所得税 15.315% ●平成26年分の株式等の譲渡所得等および申告分離課税を選択した上場株式 等の配当所得等の金額 ①株式等の譲渡所得等 ②申告分離課税を選択した上場株式等の 配当等 700,000円 200,000円 住民税 5% ※上場株式等に係る譲渡損失と上場株式に係る配当所得との損益通算の特例の適用を受けている場合にはその適用 後で、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用を受けている場合にはその適用前の金額 ①株式等の譲渡所得等 700,000円 平成23年分の損失 500,000円 平成24年分の損失 200,000円 ②申告分離課税を選択した 上場株式等の配当等 200,000円 平成25年分の損失 100,000円 申告分離課税を選択した 上場株式等の配当等 100,000円 (注)この順での控除は、平成26年分および平成27年分の配当等について認められます。平成28年分 以後においては、繰越控除の対象が改正されます(170ページ参照) 。 (注)通算する前の上場株式等の配当等の金額が 「合計所得金額」(35ページCheck Point ! 参 94 14税金読本_p061-116_04.indd 94-95 照)に含まれます。 95 14.6.27 6:24:36 PM ● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編― みなし配当 ②発行している株式が2種類以上の場合 自己株式取得等の直前に 自己株式取得に応じた株主等が おける自己株式取得等に 有していた取得を行う株式と (A)= 係る株式と同じ種類の × 同じ種類の株式に係る株式数 株式に係る資本金等の その種類の株式の総数 (注) 額(種類資本金額) みなし配当は、法人に留保されていた みなし配当に対する課税方法は、通常 利益が、企業組織再編や自己株式取得な の配当と基本的に同じです。ただし、みな ど一定の事由を契機として、その法人の し配当に関しては、その計算期間は12ヵ 株主に移転したと考えられる場合に発生 月と取り扱われます。したがって、大口株 します。具体的には、以下の事由に伴い 主が保有する上場株式等に係るみなし配 株主に対して交付される金銭等の額が、 当や、未公開株式等に係るみなし配当に その交付の基因となった株式に対応する 関しては、1回当たりのみなし配当金額 (2)株式譲渡益の算出方法 式の譲渡代金となります。この譲渡代金 資本金等の額を超える場合の、その超え が10万円以下である場合に限り、申告不 株主が発行法人から交付される金銭等 が、譲渡した自己株式の取得価額を超え る部分の金額をいいます。 要を選択できることとなります。 のうち、みなし配当以外の部分、すなわ る場合には、その超過額が株式の譲渡益 ち資本金等の額から支払われる金額が株 となります。 ③資本の払戻し(剰余金の配当のうち分割型分割によるもの以外のもの) または解散による残余財産の分配 ④自己の株式の取得(金融商品取引所の開設する市場における購入によ る取得等を除く) 例えば、以下のような資本構成のA社(発行済株式数4,000万株。全て普通株) が1株1,000円で600万株の自己株式を取得した場合、自己株式の取得に応じた株主 の1株当たりのみなし配当額および譲渡損益は次のようになります(自己株式の取 得に応じた株主の取得価額は500円とします)。 A社の純資産の部の株主資本 ⑤社員の退社又は脱退による持分の払戻し ⑥組織変更(組織変更をした法人の株式以外の資産が交付されるものに限る) 1資本金 2資本剰余金 ⑴資本準備金 ⑵その他資本剰余金 3利益剰余金 ⑴利益準備金 ⑵その他利益剰余金 任意積立金 繰越利益剰余金 4自己株式 ◆ みなし配当と譲渡益の計算方法 (1)みなし配当の算出方法 交付された金銭 その法人の資本金等の額のうち、 みなし配当額 = その他の資産の − 金銭等の交付の基因となったその 法人の株式に対応する部分(A) 価額の合計額 上記計算式の(A)は、株式発行法人 2種類以上の株式を発行しているかによ が1種類のみの株式を発行しているか、 り、次のように計算方法が異なります。 式 ②分割型分割(適格分割型分割を除く) 株 ①合併(適格合併を除く) (注)当該価格が0以下の場合は0 株主資本合計 自己株式取得直前 200億円 自己株式取得直後 200億円 80億円 20億円 80億円 20億円 40億円 40億円 160億円 0 160億円 ▲60億円 500億円 440億円 (注)設例の簡素化のため、当期利益や配当の支払は考慮していません。 ◇みなし配当額の計算 ・取得資本金額=(200億円+80億円+20億円)÷4,000万株=750円 ①発行している株式が1種類のみの場合 自己株式取得に応じた 自己株式取得等の直前に (A)= おける発行法人の資本金等 × 株主等が有していた株式数 (注) の額(取得資本金額) 発行済株式等の総数 96 14税金読本_p061-116_04.indd 96-97 ・1株当たりのみなし配当額=1,000円−750円=250円 ◇譲渡損益の計算 ・1株当たりの譲渡代金=1,000円−250円(みなし配当額)=750円 ・1株当たりの譲渡損益=750円−500円=250円 97 14.6.27 6:24:37 PM (250円) ●個人株主に対して資本の払戻し (資本剰余金の減少) があった場合の課税関係 みなし配当=250円 取得資本金額 750円 譲渡益=250円 ◆ 相続した未公開株式のみなし配当課税の特例 相続等により取得した未公開株式を発 渡所得として課税(申告分離課税)され 行会社へ譲渡し、かつ、次のすべてに該 ます。 C 株式等に係る 譲渡所得等の金額 A 株式等に係る譲渡 所得等の収入金額 とみなされる金額 B 取得価額 式 資本金等の 金額から なる部分 ① 交 付 を 受 け る 金 銭 等 ② みなし配当の金額 株 自己株式の 取得価額 500円 資本金等の 金額以外の 金額から なる部分 1442443 1444444444244444444443 1,000円 144444444442444444444443 自 己 買株 取式 価の 格 1442443 1442443 ● 株式投資と税金 ―譲渡益・配当編― ○ 株式等に係る譲渡所得等の金額 当する場合には、 みなし配当ではなく、譲 ・相続または遺贈により取得した株式で相続税があること ・相続開始日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経 過する日までの間に発行会社に譲渡するものであること ・平成16年4月1日以後に相続等により取得した株式であること A株式等に係る譲渡 ①資本の払戻しにより 所得等の収入金額 = 交付を受ける金銭等 − ②みなし配当の金額 とみなされる金額 の価額の合計額 B取得価額 = 旧株の従前の取得価額の合計額 × 純資産減少割合 C株式等に係る A株式等に係る譲渡所得等の = − B取得価額 譲渡所得等の金額 収入金額とみなされる金額 ◆ 資本剰余金を原資とする配当(資本の払戻し)があった場合の課税関係 資本剰余金を原資とする配当( 「みな 戻しがあった場合、その払戻しがあった し配当」部分を除く)については、株式 日(その払戻しに係る剰余金の配当がそ 等に係る譲渡所得等の収入金額とみなさ の効力を生ずる日)以後の当該株式に係 れます。 る取得価額については、当該株式を発行 当該資本の払戻しの金額から取得費を した法人の純資産減少割合に基づき、取 控除して譲渡所得等が発生する場合、確 得価額の調整(減額)を行います(99ペ (注) 定申告が必要になります 。 98 14税金読本_p061-116_04.indd 98-99 ※この純資産減少割合は、資本の払戻しを行った法人(株式の発行法人)から、そ の払戻しを受けた株主に対して通知されます。 2 Cの金額は、Bの金額がAの金額を上回る場合は、譲渡損失の額となります。 ージ参照)。 また、保有する株式について資本の払 (注)ただし、例えば、特定口座(源泉徴収選択口 座)のみで株式の取引を行っている給与所得 者(給与を1か所から受けていて、その給与 の収入金額が2,000万円以下である者等に限 る)が、当該源泉徴収口座での取引につき申 (注)1 資本の払戻しに係る「純資産減少割合」は、次の算式により算出した割合(小数点 以下3位未満は切上げ)をいいます。 《算式》 その法人の資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額 純資産減少割合= その法人の負債(新株 その法人の資産 − 予約権に係る義務を の帳簿価額 含む)の帳簿価額 ○ 取得価額の調整 (資本の払戻しがあった後のその有する株式 (旧株) の取得価額の調整) 告不要制度を選択し、かつ、資本の払戻しに よる株式等に係る譲渡所得等の金額を含む所 得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計 額が20万円以下の場合などは、確定申告を行 う必要はありません(44ページ参照) 。 〔 〕 旧株1株当た 旧株1株の従前 旧株1株の従前 純資産 = − × りの取得価額 の取得価額 の取得価額 減少割合 99 14.6.27 6:24:38 PM
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