ビニールハウスの雪害対策 1.倒壊のメカニズム 徳島県立農林水産総合技術支援センター ・パイプのひずみは,ハウス肩部,屋根中央部,天井部の順に起こる。 ・屋根中央部では,内側方向(対策1),肩部では,外側方向(対策2) に力がかかる。 片側日照または風向きにより天井 部の片側だけに偏って積雪がある と主骨に予想外の大きい力が加わ る。 2.ハウスの強度を上げるための対策 ・積雪の影響を受けやすい部分の構造やパイプの接合部を強化することにより、ハウス全体の強度を上げる。 ・補強の組み合せや部材の選択によりコストを抑えながら、効果を上げることが重要である。 (1)今すぐできる対策(既存のハウスの補強) ア 雪の滑落を妨げない ・雪が落ちることで、積雪による影響が少なくなる。 ・降雪前に被覆資材のたるみが出ないように,ビニペットスプリング,マイカ線等でピンと 張り直しておく。 イ 中柱の設置(対策1) ・・・3m間隔に設置すると耐雪性が25kg/㎡向上する。 ・中柱は,パイプや木材,竹等を3~4m間隔で設置する。外れないように棟パイプに確実 に固定する。 ・中柱の下には、板やブロックなどの台石を敷き,雪の重みで中柱が土中に沈み込むのを防ぐ。 ・竹を使用する場合は,直径10~12cmのものを準備する 。 ウ 横梁の補強 (対策2) ・・外側方向への拡がりを防止する。(耐雪性4割向上) ・使用する部材はパイプ・木材・竹等が良いが、ワイヤー等でも補強効果が期待できる。 ・水平引張線の設置も積雪荷重による肩部の広がりを抑え倒壊防止に有効。 番線の太さは,8~10 番線(3㎜程度)の針金を2m間隔で張り引きつけておく。 (2)シーズンオフに行う対策 ア ダブルアーチ(2重パイプ)による補強 1.5m間隔で補強すると耐雪性が50kg/㎡になる。 ・既存のハウスの内側に,アーチ構造の骨材を組み入れて 補強する。(耐風性約3倍向上) イ 筋交い等 ・筋桁方向及び間口方向の倒れを防止し、さらに不均等な 積雪によるパイプアーチの横面外への横倒れを防止する などハウス全体の耐力上昇につながる。 (耐雪性2割向上) (3)新設時に行う対策 ア 屋根勾配を大きく ・アーチパイプの連結部は,ジョイント式にする。差し込みのスエッジ式は, 屋根形状が扁平な形となり,強度が低下する。 但し,屋根勾配を大きくすると耐風性が低下する。 イ パイプ径・パイプピッチ ・パイプ径が太くてもピッチが広いと強度が大きく劣る場合がある。 ・パイプピッチ45cm以下が望ましい。 (50cm→45cmで,約1.5倍の強度) 3.ビニールの切断 ・除雪が追い付かず,倒壊の危険が迫っている場合は,やむを得ない処置として,被覆資材を切断する。天井パ イプに対して左右対称に行うとともに、肩部だけでなく、天井部まできちんと行わないと、倒壊する場合がある。 特に連棟ハウスは倒壊の危険が大きいので早めに行う。その際には,落雪や倒壊の恐れがないか細心の注意を払 いながら,安全を十分に確保した上で作業すること。また、2年目以降の古ビニールは、滑性が劣り倒壊の危険 性が高い。 ※注意! ハウスの積雪状況を見て、倒壊のおそれがある場合はハウス内に入らないこと。 復旧・再建の負担を減らすため、NOSAIの園芸施設共済に加入しましょう! 復旧・再建の負担を減らすため、NOSAIの園芸施設共済に加入しましょう!
© Copyright 2024 ExpyDoc