7.建設局建設技術マイスター制度について(平成 25 年度実績)

平成 26. 都土木技術支援・人材育成センター年報
ISSN 1884-040X
Annual Report
C.E.S.T.C., TMG 2014
7.建設局建設技術マイスター制度について(平成 25 年度実績)
Track Record in fiscal 2013 of the Construction Bureau Construction Technology Meister System
技術支援課 田村理恵、木島郁夫
1. はじめに
(2) 指導技術者の定義
官民問わず、技術力の維持・向上ならびにスムー
建設局建設指導技術マイスター制度規定(平成 21
ズな技術継承は組織の持続的な活動かつ効率的な運
年 3 月 31 日付 20 建総技第 820 号)の第 2 条により
営をする上で非常に重要な課題である。東京都建設
『指導技術者とは、建設局の職務に係る各分野にお
局においても大量退職時代の中にあって、建設局職
いて一定の経験及び知識を有し、審査を経て建設局
員一人ひとりの業務量は増加し、その質は高度化し
長の認定を受けた技術職員をいう』と定義されてい
ている。業務の実施においては、職員一人ひとりが
る。
その使命を果たすために必要な技術力を有し、都民
(3) 認定分野
ニーズや社会経済情勢の変化等に的確な対応ができ
認定分野は以下に示す 8 分野である。
1 道路
5 測量・調査
2 河川
6 構造・材料
力の維持・継承および能力向上に向けた取組等を
「建
3 公園・緑化
7 地盤・防災
設局におけるインハウスエンジニアの今後について」
4 橋梁
8 計画・調整・環境
る公務員(インハウスエンジニア)が望まれる。
このため建設局では、
平成21年3月に局職員の技術
としてとりまとめた。これをもとに建設局では、土
(4) 認定要件
木技術支援・人材育成センターが(以下センターと
以下の要件を、原則としてすべて満たす技術職員
を対象としている。
いう。)平成21年度に建設局建設技術マイスター制
A 当該認定分野における技術に関して特に優
度の運用を開始し、局長が指導技術者を認定してき
1)
れた見識・経験等を有する。
た 。平成25年度は制度開始から5年目を迎え、建設
局内で制度は概ね定着してきている。そこで本報告
B 当該認定分野における職に原則として通算
は、建設局建設技術マイスター制度の今までの経緯
で 10 年以上携わり、
かつ当該分類上の技術
とともに、
平成25年度の実績を紹介するものである。
に関する職務経験を 5 年以上有する。(被
災現場や期間の限定された事業での経験は
2. 建設局建設技術マイスター制度概要
5 年未満であっても認める)また、電気・
(1) 目的
機械・建築の設備系職種については各分野
建設局の職務に係る、特定の優れた技術力を局全
の当該職種における通算経験年数で 10 年
体で共有し活用することによって、
OJTを横断的に行
以上とし、最も経験が長い分野について推
う環境を構築し、組織として技術を効率的かつ効果
薦を認める。
C 後進の指導育成に熱意を持って取り組んで
的に継承するための仕組みとして、
平成21年度に
「建
いる。
設技術マイスター制度」が創設された。
- 247 - 247 -
(4) 認定のながれ
③研修講師等
図-1 に指導技術者として認定されるまでの流れ
専門分野に関する研修を行うに当たり、講師等を
担当して技術継承に努める。
を示す。
④暗黙知の形式知化
①センターが各部・所に推薦依頼
推薦理由書
(候補者と面談の上、
所属課長が記入)
推薦理由書
(部・所長名で作成)
各部・所ごとに候補者を取りまとめ
(自薦・他薦は問わない)
○自薦(個人の課長への申請によるもの)
○推薦(所属課長の推薦によるもの)
経歴書
(本人が記入)
指導技術者は、センターと協力して暗黙知の形式
知化作業を行う。
(6) 制度運用のながれ
図-2 に制度運用のながれを示す。指導技術者と
相談者が直接やりとりをすることが多く、アンケー
ト調査を実施して内容等を把握している。
建設局建設技術マイスター制度の運用
相談者
指導技術者
建設局の職務に係る各分野に
おいて一定の経験及び知識を
有し、審査を経て建設局長の
認定を受けた技術職員
・詳しい情報が欲しい。
・職場内で議論したが、
解決策が見出せない。
など
②部・所から候補者を推薦
③センターが推薦を受け付け、
指導技術者候補認定審査委員会に付議
回答
回答
④指導技術者候補認定審査委員会
依頼
図-1 認定のながれ
(5) 指導技術者の業務
アンケート調査
情 報 検 索
④指導技術者候補認定審査委員会
依頼
認定分野
1 道路
2 河川
3 公園・緑化
4 橋梁
5 測量・調査
6 構造・材料
7 地盤・防災
8 計画・調整・環境
依頼
研修講師
など依頼
回答
土木技術支援・人材育成センター
指導技術者の業務は以下のとおりとし、業務を行
・メールを活用した相談・回答
・電子掲示板を活用した指導技術者の議論
う際には指導技術者章を着用する。
①業務の取扱い
データベース化と
情報管理
指導技術者としての業務は、通常業務の一環とし
て扱う。
建設局ナレッジマネジメントシステム
②相談への技術的助言
相談情報データベース
・相談事例の蓄積
・暗黙知→形式知データ
指導技術者は、センターが仲介する局職員からの
技術的相談について、自らの専門的知見、経験等に
指導技術者情報
データーベース
・認定分野の情報
・保有する技術、経験
照らして助言を行う。指導技術者が助言に当たり必
要と判断する場合は、現場確認や追加情報を求める
図-2 制度運用のながれ
ことができる。
相談への助言は、
センターに報告し、
センターが記録する。
- 248 - 248 -
3. 平成 25 年度の認定状況と活動実績
② 平成 25 年度の電話・面接等による相談業務
(1) 平成 25 年度認定の概要
(平成 25 年 4 月~平成 26 年 3 月)は 486 件で
平成 25 年度に認定した指導技術者の概要は次の
あった。
(表-2、図-3 参照)
表-2 分野ごとの相談件数と主な相談事例
とおりである。
分野
①30 名を認定
(合計 163 人、
重複認定 1 名を除く)
②道路、河川、公園・緑地、橋梁、測量・調査、
計画・調整・計画の6分野で認定
件数
事 例
1.道路
190
交差点排水処理、単価契約について
2.河川
110
ブロック護岸経験式、事業説明について
③認定緩和により設備系職種が3名増
3.公園・緑化
37
公園の外来生物、冬季剪定について
④50 歳以上が約5割強
4.橋梁
34
歩道橋、仮設時航行規制の周知について
⑤課長補佐・係長級が約8割
5.測量・調査
39
地歴調査事例、3 級基準点移設について
6.構造・材料
13
擁壁の変形、橋台のひび割れについて
7.地盤・防災
1
表-1 平成 25 年度認定状況
合
算
合
算
(
人
移転工法の検討、補償事例の考え方につ
いて
92
%
)
(
8.計画・
調整・環境,
7.地盤・防災,
62 件, 13%
1件 , 1%
(
)
)
1.道路
14
44
58
35%
2.河川
6
23
29
18%
3.公園・緑化
5
9
14
9%
4.橋梁
2
11
13
8%
5.測量・調査
2
15
17
10%
6.構造・材料
0
6
6
4%
7.地盤・防災
0
13
13
8%
8.計画・調整・環境
1
13
14
9%
30
134
164
100%
合計
8.計画・調整・
環境
災害防除工事について
)
指平
導成
技2
術5
者年
数4
月
人
(
分野
指平
導成
技2
術5
者年
数度
認
人定
6.構造・材料,
13 , 3%
5.測量・調査,
39件 , 8%
分野ごとの
相談件数
4.橋梁,
34件 , 7%
486件
3.公園・緑化,
37件 , 7%
※)164 名には、1 人で道路と河川の 2 分野で重複認定を受
けた指導技術者 1 名が含まれる。
1.道路,
190件 , 37%
2.河川,
110件 , 23%
図-3 分野ごとの相談件数
(2) 制度の広報活動
① 主に新規採用職員、局間異動者を対象として
③ 指導技術者にヒアリング等を実施し、代表的
マイスター制度の説明会を年2回実施した。
な技術的助言を、
「課題解決事例」
シートにし、
② 指導技術者の技術情報を建設局ナレッジマネ
建設局ナレッジマネジメントシステムに掲載
ジメントシステムに公開した。
(累計 54 件)した。
③ 他局および国、地方自治体、マスコミ等から
のマイスター制度に関する問い合わせに情報
提供や対応をした。
(3) 技術的助言に関するヒアリングとまとめ
① 質問・相談に対する技術的助言の件数の調査
を年3回実施し、内容の把握をした。
- 249 - 249 -
(4) 研修講師等の活動
以下にアンケート意見欄の主な内容を示す。
① 局実施の技術研修の講師(施工管理基礎科な
1)基礎的な内容から少し応用まで学ぶ事ができた。
2)実体験を聞けて大変貴重な内容であった。
ど、のべ 64 名)
3)事務所まで出向いての講義はありがたい。
② 技術管理委員会への参画(事業部会 道路工
4)内容を更新しつつ継続してほしい。
事設計基準分科会座長など、のべ 16 名)
③ 災害復旧の技術支援の為、指導技術者が大島
に派遣された。
(13 名)
研修内容の
満足度
(5) 暗黙知の形式知化
150
人数
100
暗黙知の形式知化の活動の一環として以下の事例
を実施した。主に指導技術者による説明などをテキ
有効回答数
スト化、映像化することに取り組んだ。
217
50
0
人数
① 指導技術者が講師を務めた説明会、見学会に
おける質疑応答の記録
研修内容の
理解度
2)
・ 実物大構造物モデル を用いた説明会
145
72
0
大いに満足
大いに満足
概ね満足
概ね満足
不満
不満
150
人数
100
・ 事務所主催のモデル見学会(部署研修)
② 指導技術者が行った技術研修の記録
有効回答数
・ マイスター出前講座から 3 講座のビデオ撮
217
50
0
人数
影を行い、編集して DVD を各部・所に配布
153
64
0
充分理解できた
理解できなかった
十分理解できた
概ね理解できた
理解できなかった
1
2
(OJT に活用)
研修内容の
必要性
(6) マイスター出前講座(試行)
200
人数
150
100
①概要
平成 25 年 7 月 31 日付、25 建総技第 256 号にて、
「技術系新規採用職員(土木職)に対する職場内研
有効回答数
217
50
0
人数
修の充実について」に基づき、各事務所で「技術系
195
22
0
どちらともいえない
必要性が高い
どちらともいえない
必要性が低い
必要性が高い
必要性が低い
1
2
3
若手職員(土木職)育成計画書」が作成された。
本来業務
への活用
その取り組みの一環として、
平成 25 年度はセンタ
200
人数
150
100
ーによるマイスター出前講座(試行)を実施した。
マイスター出前講座とは、若手職員を対象に「事
有効回答数
務所業務の基本となる設計及び工事監督業務の遂行
216
に必要な基礎的知識を学ぶ」ため、センター所属の
50
0
人数
171
43
充分活用できる 概ね活用できる
指導技術者(以下マイスターと呼ぶ)が各事務所に出
図-4 アンケート結果の一例
向き実施した講座である。
その概要は以下のとおりである。
51 講座、のべ 17 事務所、受講者ののべ人数 263
名、講義時間累計 75.75 時間
② アンケートの結果
アンケート結果は、全ての講座で好評で、特に講
座の満足度、理解度で好評を得られた。
(図-4 ア
ンケート結果の一例参照)
- 250 - 250 -
2
活用できない
活用できない
4. 指導技術者の構成分布
(3) 職種別
現在、建設局に在席する指導技術者の構成分布に
土木が 138 名(85%)であり、ついで造園が 12
ついて示す。
名(7%)で、この 2 職種で 9 割を超えている。
(1) 分野別
道路が 58 名(35%)と一番多く、ついで河川が
29 名(18%)で、この 2 分野で半数を超えている。
8.計画・
7.地盤・ 調整・環境,
防災,
14名, 9%
13名 , 8%
6.構造・材料,
5名 , 3%
林業, 1名, 1% 理工技術, 2名,
1%
機械, 2名, 1%
建築, 2名, 1%
電気, 6名, 4%
造園, 12名,
7%
1.道路,
58名 , 35%
職種別
分野別
5.測量・
調査,
17名 , 10%
163名
のべ164名
4.橋梁,
13名 , 8%
3.公園・
緑化,
14名 , 9%
2.河川,
29名 , 18%
土木, 138名,
85%
図-7 職種別の分布状況
図-5 分野別の分布状況
(4) 役職別
(2) 年齢別
係長・次席が 65 名(40%)と一番多く、ついで課
55 歳~59 歳と 60 歳以上が 39 名(24%)と一番多
長補佐が 46 名(29%)で、係長級以上で約 7 割にな
い。50 歳以上が 116 名(71%)であり、全体の 7 割
る。
を超えている。
35歳~39歳,
3名, 2%
40歳~44歳,
16名, 10%
45歳~49歳,
28名, 17%
一般,
14名, 9%
課長補佐,
46名, 28%
60歳以上,
39名, 24%
主任,
38名, 23%
年齢別
163名
50歳~54歳,
39名, 24%
役職別
163名
55歳~59歳,
38名, 23%
係長・次席,
65名, 40%
図-6 年齢別の分布状況
図-8 職種別の分布状況
- 251 - 251 -
6. おわりに
建設局建設技術マイスター制度により認定された
指導技術者も163名と技術系職員の一割を超えた。
今
後は更なる制度の局内における定着化を目指し、適
時改善しながらよりよい制度になるよう取り組んで
いきたい。
参 考 文 献
1)松村真人、河重貴之、林芙美子(2010):土木技術支援・人材育成センターにおける「人材育成」の取組、平22.都土木技
術支援・人材育成センター年報、271-274
2) 松村真人、荒井千夏、加藤直継(2011): 実物大構造物モデルの活用、平23.都土木技術支援・人材育成センター年報、
255-262
- 252 - 252 -