確率論1,確率と統計期末試験 (2014 年度) 森 真 1. 確率変数 X と Y が独立でともに幾何分布 Ge(p) (0 < p < 1, p + q = 1) P (X = k) = P (Y = k) = pk q (k = 0, 1, 2, . . .) にしたがうとします.すなわち,値を 0, 1, 2, . . . にとり, 値 k をとる確 率は pk q で与えられるとします.このとき,Z = X − Y の期待値,分 散を次の 2 つの方法で求めてください. (a) P (Z = k) を求め (k = 0, ±1, ±2, . . .),それを用いて期待値と分散 を求める. (b) Z のモーメント母関数を求めて期待値と分散を求める. 解 中間試験の解答参照,ただし,モーメント母関数は X と Y の独立 性を用いると MZ (t) = E(etZ ) = E[et(X−Y ) ] = E[etX ]×E[e−tY ] = MX (t)×MY (−t) かつ MX (t) = MY (t) = q 1 − et p 2. X1 , X2 , . . . は独立で同分布とします.E(Xi ) = m, V (Xi ) = v と表す します.標本平均に対応する確率変数を ¯ = X1 + · · · + Xn X n で表すとき,不偏分散 1 ∑ ¯ 2 (Xi − X) n − 1 i=1 n Sˆ = の期待値が v に等しいことを証明してください. 解 ¯ − m)2 ] E[(X ( )2 n ∑ X − m i = E n i=1 = = = n n 1 ∑∑ E[(Xi − m)(Xj − m)] n2 i=1 j=1 n 1 ∑ E[(Xi − m)2 ] n2 i=1 v n 1 これより E n [∑ ¯ 2 (Xi − X) ] = i=1 n ∑ ¯ − m)}2 ] E[{(Xi − m) − (X i=1 = n ∑ E[(Xi − m)2 ] − 2 i=1 = n ∑ n ∑ ¯ − m)] + nE[(X ¯ − m)2 ] E[(Xi − m)(X i=1 ¯ − m)2 ] E[(Xi − m)2 ] − nE[(X i=1 = (n − 1)v 3. X は [−1, 1] の一様分布,Y は [0, 1] の一様分布で独立とします.この とき,Z = Y − X 2 の密度関数を求めてください. 解 長方形 [−1, 1] × [0, 1] の中の Y ≤ x2 + z の面積 × 12 を求めればよい のだから FZ (z) = P (Z ≤ z) 0 2 ∫√1 (x2 + z) 1 dx 2 −z = ∫ √1−z 2 √ 1 2 × (1 − 1 − z) + 2 (x + z) 12 dx 2 0 1 0 z < −1 √ 2z 1 +z− −z −1 ≤ z < 0 3 3 = √ √ 1 − 23 1 − z + 2z 1−z 0≤z <1 3 1 z≥1 z < −1 −1 ≤ z < 0 0≤z<1 z≥1 密度関数は fZ (z) = 0 1 − √ 2 −z 3 √1 + 3 1−z 0 √ −z 3 √ 2 1−z − 3√z1−z 3 − z < −1 1≤z<0 0≤z<1 z≥1 4. 100 人の学生に試験をします.期待値が 60 点とします. (a) 学生の成績は正規分布にしたがうとして,50 点以下の落第する学 生が 9.68%になるように標準偏差を設定します.標準偏差はいく つでしょうか. 2 (b) 試験の標準偏差が 10 のとき,学生の成績の標本平均の 91.08%の 範囲はいくつからいくつでしょうか. (c) 実際に試験をしたところ,標本平均が 62 点でした.例年の学生が 平均 60 点,標準偏差 10 点だとして,今年の学生は優秀かどうか を 5%有意水準で検定します.まず,帰無仮説をきちんと述べてか ら片側検定をしてください. 解 (i) 落第が 9.68%だから,合格は 90.32%, したがって,正規分布表で √ 0.4032 を探すと,より 1.3 であるので,それが 60 − 50 = 1.3 v であ るので.標準偏差は 7.7 (ii) 91.08%の範囲は正規分布表で 0.4554 を探すと 1.7 であり,その √10 ,なので 58.3 から 61.7 になる. 100 範囲は 60 ± 1.7 × (iii) 帰無仮説は「同じである」すなわち「平均は 60, 標準偏差は 10 である」.5%点は片側検定で 1.645 であるので,100 人であれば 95%の 範囲は 10 60 + 1.645 √ 100 以下である.62 点はこれより大きいので,今年の学生は優秀であるとい える. 3 確率論1,確率と統計中間試験 (2014 年度) 森 真 1. 確率変数 X と Y が独立でともに幾何分布 Ge(p) (0 < p < 1, p + q = 1) にしたがうとします.すなわち,値を 0, 1, 2, . . . にとり, 値 k をとる 確率は pk q で与えられるとします.このとき,Z = X − Y の確率分布, 平均,分散を求めてください. 解 k ≥ 0 のとき P (Z = k) = = ∞ ∑ n=0 ∞ ∑ P (X = n + k, Y = n) = ∞ ∑ P (X = n + k) × P (Y = n) n=0 p2n+k q 2 n=0 k = p q 1+p k < 0 のときも同様に P (Z = k) = = ∞ ∑ n=0 ∞ ∑ P (X = n, Y = n − k) = ∞ ∑ P (X = n) × P (Y = n − k) n=0 p2n−k q 2 n=0 −k = 確率の合計は p q 1+p ∞ ∑ pk q q +2 =1 1+p 1+p k=1 E(X − Y ) = E(X) − E(Y ) = 0 V (X) = p q2 なので,V (X − Y ) = 2p q2 2. 確率変数 X と Y は (i = 1, 2, 3, j = 1, 2, 3) P (X = i, Y = j) = C × i × j と表されるとします.定数 C を求めてください.X と Y は独立ですか. また,Z = min{X, Y } の確率分布,期待値,分散を求めてください. 解C= 1 36 Y \X 1 2 3 和 1 2 3 1 36 2 36 3 36 6 36 2 36 4 36 6 36 12 36 3 36 6 36 9 36 18 36 6 36 12 36 18 36 和 4 Z の値 1 2 3 確率 11 36 16 36 9 36 独立である.ちゃんと i , 6 P (X = i) = P (Y = j) = j 6 を計算して, P (X = i, Y = j) = P (X = i) × P (Y = j) を示すこと. E(Z) = 35 , 18 V (Z) = 179 324 3. D = {(x, y) : x ≥ 0, y ≥ 0, x + y ≤ 1} とする.確率変数 X と Y は密度 関数 Cxex+y (x, y) ∈ D f(X,Y ) (x, y) = 0 その他 をもつとする.この C を求めてください.この X と Y は独立ですか. さらに,Z = min{X, Y } とおくとき,Z の密度関数を求めてください. 解C= 2 e−2 P (Z ≤ z) = = P (min{X, Y } ≤ z) ) ∫ z (∫ 1−x ∫ f(X,Y ) (x, y) dy dx + 0 = x z (∫ ) 1−y f(X,Y ) (x, y) dx 0 y 2e2z (1 − z) − 2 e−2 これを微分して fZ (z) = 2e2z (1 − 2z) e−2 4. X, Y, Z は独立で一様分布 U(0, 1) にしたがうとする.このとき,W は X, Y, Z の真ん中の値に対応する確率変数とする.このとき,W の密度 関数,期待値,分散を求めてください. 解 FW (w) = P (X ≤ z, Y ≤ z, Z ≤ w) + P (X ≤ w, Y ≤ w, Z > w) × 3 = w3 + 3w2 (1 − w) これを微分して fW (w) = 6w(1 − w) が密度関数,したがって, E(W ) = 12 , V (W ) = 5 1 20 dy 4 月 11 日 1. D = {(x, y) : x ≥ 0, y ≥ 0, x + y ≤ 1} とするとき ∫ ex+y dxdy D を求めてください. 解1 2. ex のマクローリン展開を求めてください. 解 3. ∑∞ xn n=0 n! ∑∞ n=0 npn を求めてください. p 解 |p| < 1 のとき, (1−p) 2 4 月 18 日 サイコロを投げて 2 回目の裏が出るまで投げ続けるときの表の回数に対応 する確率分布 (負の 2 項分布) を求めてください. 解 n 回表が出た後に裏が出る確率は n+1 Cn pn q 2 である. 値 0 確率 q 2 1 2pq 2 2 ··· 2 2 ··· 3p q ··· n n 2 n+1 C1 p q ··· この確率の合計が 1 になることは n+1 Cn p に注意する n 2 q = ∞ ∑ (−2) · · · (−n − 1) (−p)n q 2 = −2 Cn (−p)n q 2 n! −2 Cn (−p) q = q 2 (1 − p)−2 = 1 n 2 n=0 とわかる. 4 月 25 日 確率変数 X の分布が X の値 27 確率 1 4 6 27p 9p p q かつ E(X) = 11 のとき,p, q を求めてください. 解 1 +p+q =1 4 27 + 27p2 + 9pq = 11 4 を解いて,p = 13 , q = 5 12 17 を得る. p = − 24 は不適 5月2日 確率変数 X, Y が次の確率分布にしたがうとき,a, b, c を求め,E(X + Y ), V (X + Y ) を求めてください. Y \X 1 1 2 1 9 b 2 3 和 a c 1 18 2 9 1 3 1 2 和 解 Y \X 1 2 3 和 1 2 1 9 1 9 2 9 1 6 1 3 1 2 1 18 2 9 5 18 1 3 2 3 和 なので これより,E(X + Y ) = X +Y 2 3 4 5 確率 1 9 5 18 7 18 2 9 67 18 , V (X + Y ) = 281 324 5月9日 [−1, 2] に値をとる確率変数 X の確率密度関数は Cx2 x ∈ [−1, 2] fX (x) = 0 otherwise とするとき,C を求め,さらに Y = X 2 の密度関数 fY を求めてください. 7 解C= 1 3 y ≥ 0 とする.それ以外は FY (y) = 0 FY (y) = P (Y ≤ y) = P (X 2 ≤ y) √ √ = P (− y ≤ X ≤ y) ∫ √ y √ 1 x2 dx y ≤ 1 ∫−√ y 3 y 1 2 = x dx 1 < y ≤ 4 −1 3 1 y>4 密度関数は fY (y) = √ y 3 √ y 6 0 0≤y≤1 1<y≤4 otherwise 5 月 16 日 Cx2 y f(X,Y ) (x, y) = 0 x ≥ 0, y ≥ 0, x + y ≤ 1 otherwise とするとき,X ,Y の密度関数を求めてください.X と Y は独立ですか. 解 C = 60, fX (x) fY (y) = 30x2 (1 − x)2 = 20y(1 − y) 3 0≤x≤1 0≤y≤1 5 月 23 日 X と Y は [0, ∞) 上の指数分布で互いに独立かつ密度関数は fX (x) = Ce−x , fY = Ce−y とします.X + Y の密度関数を求めてください. 解 C = 1 である. FZ (z) = P (X + Y ≤ z) 8 を考える.D = {(x, y) : x + y ≤ z} として ∫ FZ (z) = e−x−y dxdy D であるので,u = x + y, v = x と変数変換すると ) ∫ z (∫ u FZ (z) = e−u dv du 0 0 −z = 1−e (1 + z) 微分して,密度関数は fZ (z) = e−z z 6月6日 値 −1 1 確率 1 2 1 2 にしたがう独立な確率変数 X1 , X2 , . . . を考えます.Y = X1 +···+Xn n とすると き,そのモーメント母関数 MY (t) を求め,さらに n → ∞ の極限を求めてく ださい. 解 et + e−t 2 tY MY (t) = E[e ] = E[et(X1 +···+Xn ) ] ( ( )) t = MX n ( t/n )n e + e−t/n = 2 MX (t) = n → ∞ ととるために,テイラー展開をして )n ( t2 MY (t) = 1 + 2 + · · · 2n なので,極限は 1 に等しい. 6 月 13 日 X1 , X2 , . . . , Xn は k ≥ 0 について P (X = k) = e−λ 9 λk k! のポアソン分布にしたがい独立とする.Y = X1 +···+Xn n とするとき,Y の値 の 95%の範囲を求めてください.N[0, 1] では,(−1.96, 1.96) の確率が 95%で あることを用いてよい. 解 E(X) = λ, V (X) = λ であるので,E(Y ) = λ, V (Y ) = Y√−λ λ λ n なので, は平均 0, 分散 1 であり,n が大きければ正規分布とみて 95%の範囲は √ [λ − 1.96 √ λ λ , λ + 1.96 ] n n 6 月 20 日 X1 , X2 , . . . を独立で同分布の確率変数で期待値 m,分散 v とする.この とき, [ ∑n ] 2 i=1 (Xi − m) v=E n および [ ∑n v=E ¯ 2] − X) n−1 i=1 (Xi を示してください.ただし, ¯ = X1 + · · · + Xn X n です. 解 ¯ − m)2 ] = E[(X = = = ( )2 n ∑ X − m i E n i=1 n n 1 ∑∑ E[(Xi − m)(Xj − m)] n2 i=1 j=1 n 1 ∑ E[(Xi − m)2 ] n2 i=1 v n 10 これより E n [∑ ¯ 2 (Xi − X) ] = i=1 n ∑ ¯ − m)}2 ] E[{(Xi − m) − (X i=1 = n ∑ E[(Xi − m)2 ] − 2 i=1 = n ∑ n ∑ ¯ − m)] + nE[(X ¯ − m)2 ] E[(Xi − m)(X i=1 ¯ − m)2 ] E[(Xi − m)2 ] − nE[(X i=1 = (n − 1)v 6 月 27 日 あるデータをとったところ 1, 3, 1, 5, 2 だった.この母平均を信頼係数 95%で推定してください. 解 x ¯ = 2.4, sˆ2 = 2.8, s2 = 2.24 なので,データ数が 5 では無理があるが,中心極限定理より確率 95%で ¯ −m X −1.96 < √ < 1.96 v/n なので, 2.4 − 1.96 √ √ 2.8/5 < m < 2.4 + 1.96 2.8/5 0.93327 < m < 3.86673 7月4日 工場の品質管理を考えたい.平均 100g,標準偏差 20g で生産を行うことに する.標本平均が母平均 ±5g になったときに,データを棄却するようにする にはデータ数をいくつにすればよいでしょうか. 解 データ数を n として,両側検定を行う.帰無仮説:正しく生産されてい る,で検定を行うと,母へ緯錦 m = 100,母分散 v = 202 となる.そこで確 率 95%で ¯ − 100 X −1.96 < √ < 1.96 400/n 11 であるから, √ ¯ = 100 ± 1.96 X 400 n したがって,問題に合うようにするには √ 400 ≤5 1.96 n であるから. n ≥ 64 1 7 月 11 日 2 社の製品があるどちらも同じ値段で同じような飲料を作っています.両 者のサンプルをとって,どちらがよいかを検定したい.A 社のデータを 100 個とったところ,標本平均 520cc,標本分散 50g,B 社のデータを 200 個とっ たところ,標本平均 500cc,標本分散 70g だった.A 社の方が良いだろうか. 有意水準 5%で検定してください. 解 帰無仮説は母平均は同じである.平均を m とする. X1 , . . . , X100 , Y1 , . . . , Y200 ¯ は N(m, vA ), をそれぞれのデータに対応する確率変数とする.帰無仮説より X 100 ¯ − Y¯ は N(0, vA + vB ) にしたがうと考え Y¯ は N(m, vB ) と考えてよいので X 200 100 200 てよい.A 社の方がデータがよいので,片側検定を行う.データより vA = 502 , vB = 702 とみなしてよいので確率 95%で √ ¯ − Y¯ X 502 /100 + 702 /200 < 1.645 これを解くと,採択域は 11.6 以下なので帰無仮説は棄却される. 12
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