モニタPD内蔵型可変光減衰器

モニタ PD 内蔵型可変光減衰器
Variable Optical Attenuator with Monitor Diode
任意の値に減衰させる構造となっており,モニタリングは,内
はじめに
1.
部に配置した BS(Beam Splitter)及び PD(Photo Diode)に
昨今の急激な通信容量拡大に伴い,波長多重通信方式
より行われます。モニタ機能としては,減衰膜前後での光強度
(Wavelength Division Multiplexing; WDM)が急速に普及して
を調整する機能をもち,入力用,出力用,入力/出力用と用途
います。WDM 通信では,光アンプや OADM(Optical Add
に応じて選択が可能です。
Drop Multiplexer),DMUX など,信号強度の調整が必要とな
なお,VOA 内部の光路上には,一切エポキシ樹脂を用いて
る箇所が増加しており,これに対応した機能部品が不可欠とな
いないため,光アンプ内部のような高強度な入力光が入射され
ってきています。今回,我々はこのような強度調整用途として
る環境でも信頼性の高いモジュールとなっております。
図 2 に外観写真を,また図 3 に外観構造図を示します。
最適なモニタ内蔵型可変光減衰器(VOA)を開発したので紹
介いたします。
3.
2.
VOA の原理
仕様(代表値)
環境条件仕様,光学仕様(メインポート),メカ部,外観部
WDM 通信においては,通信帯域の信号は信号間の品質を一
仕様,減衰量プロファイル例,モニタ波長特性,ハイパワー特
定にするため,各波長の強度はある範囲内に平坦化されていま
性(300 mW)を,表 1,表 2,表 3,図 4,図 5,図 6 にそれぞ
す。しかしながら伝送路においてスパンロスが変動した場合や,
れ示します。
OADM 等により,光アンプへの入力強度が変化した場合,固
定式の利得等価器では十分な平坦性を保証できない場合があり
ます。光アンプの内部に VOA を配置すると,光アンプから出
射される信号光を任意の強度に調整することができます。図 1
に VOA の使用例を示します。
図 1 に記載する EDFA の構成例を考えると,VOA に求められ
る性能としては,①波長平坦性に優れる,②高強度入力光に対
する信頼性が高い,ことなどが挙げられます。また,③モニタ
機能を搭載することにより,高精度で減衰量を制御できるばか
りでなく,光アンプ内でのタップモニタモジュール数量を削減
図2
することができ,配置スペース及びコストの削減につながると
外観写真
Appearance of VOA
いったメリットがあります。今回開発致しました VOA では,
面内に減衰量分布を持たせた ND(Neutral Density)フィルタ
Min. 3.5
50.0
28.0
11.2
ーをステッピングモーターを用いて移動させることで入力光を
13.2
20.2
Top View
φ4.0
φ3.0
7.0
GEQ
1
3
3.3
3.3
Pump LD
monitor
2
monitor
図1
2.0
Bottom View
25.0
Pump LD
3.4
43.2
図3
VOA の使用例
Application of VOA
103
3-0.086(#2)-56 UNC DEP3.8
外観構造図
Dimension of VOA
8.0
Side View
Min. 5.5
EDF
13.5
VOA with monitor diode
12.0
EDF
0.5
2.7
OUT
IN
表1
第 110 号
古 河 電 工 時 報
環境条件仕様
Specifications for environmental conditions
60
6
Attenuation
50
仕様
備考
保存温度
−40℃∼85℃
動作温度
−5℃∼70℃
300 mW
最大入力光強度
表2
Attenuation (dB)
項目
光学仕様(メインポート)
Optical specifications of main port
波長領域
仕様
備考
1525 nm∼1575 nm
Cバンド
1565 nm∼1610 nm
Lバンド
4
30
3
20
2
10
1
0
100
200
300
400
500
600
0
700
Step
図4
減衰量プロファイル例
Typical attenuation profile
dB※
最大減衰量
>30
波長平坦性
<0.2 dB
C(L)バンド
<0.6 dB
モニタなし
<1.2 dB
in / out モニタ
<1.6 dB
dualモニタ
挿入損失
40
0
反射減衰量
>45 dB
PDL
<0.2 dB
減衰量分解能
<0.1 dB
0.5
0.4
Monitor Current (dB)
項目
5
Potentiometer
Potentiometer (V)
平成 14 年 7 月
C-Band
0.3
L-Band
0.2
0.1
0
-0.1
-0.2
-0.3
-0.4
※ 図 4 以外のプロファイルにも対応可能です。(例:シャッター機能を
有するプロファイル等)
-0.5
1520
1540
1560
1580
1600
1620
Wavelength (nm)
項目
図5
メカ部,外観部仕様
Mechanical and dimensional specifications
仕様
備考
駆動方式
ステッピングモーター
2相タイプ
印加電圧
3.3 V
寸法
50×25×12 mm
ブーツ部除く
ファイバ
SMF(250μm)
SMF以外も対応可能です
モニタ波長特性
Wavelength dependence of monitor port
0.4
Attenuation change (dB)
表3
パッケージ 気密封止パッケージ
0.2
0
-0.2
-0.4
4.
0
特徴
100
200
300
400
500
Time (hour)
今回開発した VOA の特徴は以下の通りです。
図6
・ VOA 内部に入力用,出力用,入力 & 出力用にモニタ PD を
ハイパワー特性(300 mW)
High-power performance
内蔵しております。(モニタ無しも対応可能です。
)
・波長平坦性に優れます。
・ Latching(自己保持)特性を有しております。
・気密封止パッケージを採用しております。
化が実現でき,モジュール,装置設計の自由度を広げることが
・光路にエポキシ樹脂を使用していないため,耐入力パワー
可能です。
(最大 300 mW)に優れています。
5.
<製品問合せ先>
終わりに
ファイテル製品事業部 技術部
TEL: 03-3286-3444
今後,WDM システムは長距離系からメトロリング系へと展
開していくと予想されます。それに伴い装置内の部品に関して
も小型化,集積化が不可欠となります。今回開発した VOA は
50 × 25 × 12 mm の中に,モニタ機能を内蔵することができる
ため,光アンプ,OADM 等において構成する回路基板の小型
104
FAX: 03-3286-3708