数学 B 演習 第 4 回 2014 年 7 月 9 日 (水) 担当: 田中 冬彦1 事前に担当者を割り当てて, 演習当日に黒板で解答してもらう. 講義ノートを参照して解答を準 備してくること. ただし, 難しい場合はオフィスアワーなどで質問に応じるので, 担当者は責任を もって解答を準備する. また, 担当者以外も解答を考えてくるのが望ましい. 問 1. I 以下の積分を計算しなさい. I 1 sin z (a) dz, (|a| ̸= 1/6), (b) dz, 1 − az (z − a)3 |z|=6 |z−a|=1 I e−z (c) dz, (0 < |a − b| < 2.) |z−a|=2 (z − a)(z − b) 問 2 (コーシーの不等式). 原点中心, 半径 R の開円板 U0,R 上で f (z) は正則, かつ有界 M n! |f (z)| ≤ M , ∀z ∈ U0,R とする. このとき, |f (n) (z)| ≤ , n = 1, 2, . . . が成立する (R − |z|)n ことを示しなさい. (ヒント: たとえば 0 < ϵ < R − |z| を任意にとり, Uz,R−|z|−ϵ の円周上 で不等式を示したのち, ϵ → 0 とせよ.) 問 3 (リウヴィルの定理). f が (無限遠点をのぞく) 複素平面全体で正則な時, 整関数とい ∞ ∑ f (n) (0) n う. 従って, 整関数 f は任意の定数 R > 0 について f (z) = z , |z| < R のよう n! n=0 にテーラー展開が可能である. このこととコーシーの不等式を用いて, 整関数 f が有界な らば f は定数関数であることを示しなさい. 問 4 (代数学の基本定理). Qn (z) を n 次多項式とする. (i) 少なくとも一つ Qn (z) = 0 を満たす根 z = α が存在することを示しなさい. (ヒント: 仮に根が存在しない場合 1/Qn (z) についてリウヴィルの定理を用いてみよ.) (ii) z = α が多項式 Qn (z) の根の時, Qn (z) = (z − α)Rn−1 (z), (Rn−1 (z) は n − 1 次多項 式)のようにかけることを利用して, 代数学の基本定理を証明しなさい. 代数学の基本定理: f (z) が n 次多項式の時, 重複度をこめてちょうど n 個の根をもち, それを α1 , . . . , αn とかけば, f (z) = c(z − α1 )(z − α2 ) . . . (z − αn ), c ̸= 0 のように必ずかける. 問 5. f (z) = e1/z について以下の問に答えなさい. (a) z = 0 まわりでローラン展開しなさい. 1 たなか ふゆひこ, 基礎工学部 J 棟 J612 号室, [email protected] 1 (b) 0 < r1 < r2 < ∞ を任意に固定する. (a) で求めた展開において, r1 ≤ |z| ≤ r2 で一様 n ∑ 1 収束することを示しなさい, (ヒント: fn (z) := aj j とおくとき sup |f (z) − z r1 ≤|z|≤r2 j=0 ∞ ∑ 1 fn (z)| ≤ aj j → 0 を示せばよい.) r1 j=n+1 (c) 0 < r2 < ∞ を任意に固定する. (a) で求めた展開において, 0 < |z| ≤ r2 では一様収束し n ∑ 1 ないことを示しなさい. (ヒント: fn (z) := aj j とおくとき sup |f (z)−fn (z)| = z 0<|z|≤r2 j=0 ∞ を示せばよい.) 問 6. 1 について以下の問に答えなさい. − 2) z 2 (z (a) 0 < |z| < 2 で z = 0 のまわりでローラン展開しなさい. (b) 2 < |z| < ∞ で z = 0 のまわりでローラン展開しなさい. (a) の結果と一致するか. I 1 dz 問 7. を計算しなさい. ただし, ϵ は十分小さい正の定数とする. |z|=ϵ sin z 2πi sin z sin(z − 1) とおく. z = 0, z = 1 での極の位数について答え, 留数を求 z 2 (z − 1)3 a−1 a−2 めなさい. (ヒント: たとえば z = 1 の近傍では f (z) = (z−1) 2 + z−1 + . . . とかけることが ただちにわかる. そこで, a−2 が 0 かどうか確認すれば位数がわかる.) 問 8. f (z) = 問 9. f (z) = e1/z について, 以下の問に答えなさい. ただし, k > 0, 0 ≤ δ < 2π とする. (i) rn := 1 , 2nπ−δ (ii) lim ei( n→∞ sin θn rn θn := π 2 cos θn = k を示しなさい. n→∞ rn − krn , n = 1, 2, . . . , の時, lim ) = e−iδ を示しなさい. (iii) 複素数 α(̸= 0) に対して limn→∞ zn = 0, limn→∞ e1/zn = α を満たす複素数の列 {zn } を構成しなさい. 問 ∫10. 複素積分を利用して次の定積分を計算しなさい . ただし, a > 0 は定数とする. ∫ ∞ ∞ cos ax x sin ax dx, (b) dx, (a) 4 x2 + 1 0 ∫ 0 2π x + 1 1 (c) dθ. 1 − 2a cos θ + a2 0 類題や定義・定理のまとめ, 講義の補足, 参考情報は Web 上に置く. (特に重要な事項は講義でも アナウンス.) URL: http://bayes.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/ftanaka/T/304.html 2
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