中間テスト問題

2014 年 化学熱力学中間テスト(2014.6.6)
1.下記の問いに答えよ。
(1)下記空欄を埋めよ(2 点×2)
モルあたりギブズエネルギー(化学ポテンシャル)に関する熱力学の基本式
dµ =Vm dp − Sm dT
と、dµ の全微分
! dµ $
! dµ $
dµ = # & dp + # & dT
" dT % p
" dp %T
を比較することにより、下記の関係が得られる。
! dµ $
# & =
" dp %T
a
! dµ $
# & =
" dT % p
b
(2)上記関係式を用い、水において圧力上昇により(a)沸点上昇、(b)凝固点降下が起こる理
由を、図を描きながら説明せよ。(5 点×2)
2.下記の問いに答えよ。
(1)大気圧下におけるベンゼンの融点は 5.5℃である。融点における液体の密度は 0.879
[g·cm-3]、固体の密度は 0.891 [g·cm-3]である。1000 [atm]における融点を求めよ。ただ
し、ベンゼンの融解エンタルピーはΔH=10.6 [kJ/mol]である。
(10 点)
(2)クラウジウス-クラペイロンの式
d ln p Δ vap H
=
dT
RT 2
は、蒸発エンタルピーが温度に依存しないと仮定すると簡単に積分可能であり、
∫
ln p2
dln p =
ln p1
Δ vap H
R
∫
T2
T1
1
T2
dT
#p &
ln % 2 ( =
$ p1 '
が得られる。上記空欄を埋めよ。(4 点)
(3)ある物質の液体状態における蒸気圧は、85.8℃で 1.266 [kPa]、119.3℃で 5.065 [kPa]で
ある。ただし、気体定数は R=8.31 [J·K-1·mol-1]、ln 2=0.693、ln 5=1.609 である。
(a) モル蒸発エンタルピーを求めよ。(6 点)
(b) 通常沸点を求めよ。(6 点)
3.25℃において、1-プロパノール/2-プロパノール混合系はほぼ理想溶液として振る舞う。
純粋な 1-プロパノール、2-プロパノールの 25℃における蒸気圧は、それぞれ、20.9 Torr、
45.2 Torr である。
この系の 50/50(モル分率)混合物における全蒸気圧および気相の組成を求めよ。
(10 点)
4.ある電解質を水に溶解したところ、質量モル濃度が 9.6 mmol·kg-1 において 0.0703K の凝
固点降下が観測された。この電解質の化学式量単位あたりのイオンの数は何個か(水中
で何個のイオンに解離するか)。
ただし、水の凝固点降下定数は、Kf=1.86 [K·mol-1·kg]である。(10 点)
5.下記の語句について説明せよ。いずれもエントロピーという語句を用いること。
(a) 理想溶液と正則溶液(10 点)
(b) 束一的性質(10 点)
6.下記の問いに答えよ。
(1)大気圧を 1.013×105 [Pa]、大気中の酸素のモル分率を 21%と仮定した時、酸素の分圧 pO2
を求めよ。完全気体を仮定して良い。(5 点)
(2)水中で生物が生息するためには、1.2×10-4 [mol·L-1]以上の酸素濃度が必要と言われてい
る。水中の酸素に関してヘンリーの法則が成り立つと仮定し、酸素の分圧 pO2 の値から
水中の酸素濃度を求め、その値は生物が生息可能な濃度であることを確かめよ。
ただし、水の密度は 1.00 [g·cm-3]とし、水中には酸素以外の物質は溶けていないと仮定
する。また、水に対する酸素分子のヘンリーの法則の定数は、7.92×104 [kPa·kg·mol-1]
である(298 K)。(15 点)