センター試験の問題と解答 2014本試験 H=1.0 S=32 C=12 N=14 Cl=35.5 O=16 Cu=64 Ne=20 Ba=137 第1問.次の問い(問1~問6)に答えよ。 問1. 次のa.bに当てはまるものを、それぞれの解答群の①~⑥のうちから一つずつ選べ。 a.1gに含まれる分子の数が最も多い物質 [1] ① 水 ② 窒素 ③ エタン ③ ネオン ⑤ 酸素 ⑥ 塩素 b.放射性同位体14C中の陽子の数と中性子の数の比(陽子の数:中性子の数) [2] ① 1:1 ② 2:3 ③ 3:2 ④ 3:4 ⑤ 4:3 ⑥ 6:7 問2. 次の周期表では、第2・第3周期の6種の元素を記号A,D,E,G,J,Lで表してある。これらの 元素からなる物質の分子式または組成式として適当でないものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。 [3] 族 1 2 3~12 13 14 15 16 17 18 周期 2 A 3 E ① AL4 G ② E2D D J ③ EL2 L ④ GD ⑤ GL2 ⑥ J2D3 問3. イオンに関連する記述として下線部に誤りを含むものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。[4] ① イオンからなる物質の化学式は、組成式で表される。 ② イオン化エネルギーの小さい原子は、陽イオンになりやすい。 ③ イオン結晶である塩化ナトリウムは、固体状態で電気を通じやすい。 ④ イオン結晶では、陽イオンの正電荷と陰イオンの負電荷の総和がゼロになる。 ⑤ 0.1mol/Lの硫酸ナトリウム水溶液1Lには、0.3molのイオンが存在する。 問4. 質量パーセント濃度が36.5%の塩酸50gを純水で希釈して、希塩酸500mLをつくった。 この希塩酸のモル濃度は何mol/Lか。[5]mol/L ① 0.10 ② 0.27 ③ 0.50 ④ 1.0 ⑤ 1.4 ⑥ 2.7 問5. 水素とメタンの物質量の比が2:1の混合気体が標準状態で3.0Lある。これを完全燃焼させるには、 標準状態の空気は何L必要か。最も適当な数値を、次の①~⑥のうちから一つ選べ。 ただし、空気に含まれる酸素の体積の割合は20%とする。 [6]L ① 2.0 ② 3.0 ③ 4.0 ④ 12 ⑤ 15 ⑥ 23 問6. 身のまわりの事柄とそれに関連する化学用語の組み合わせとして適当でないものを、次の①~⑤のうち から一つ選べ。 [7] 身のまわりの事柄 化学用語 ① 澄んだだし汁を得るために、布巾やキッチンペーパーを通して、煮出した鰹節を取り除く。 ろ過 ② 茶葉を入れた急須に湯を注いで、お茶を入れる。 蒸留 ③ 車や暖房の燃料となるガソリンや灯油を、原油から得る。 分留 ④ 活性炭が入った浄水器で、水をきれいにする。 吸着 ⑤ アイスクリームをとかさないために用いたドライアイスが小さくなる。 昇華 第2問.次の問い(問1~問6)に答えよ。 問1.メタノール、炭素(黒鉛)および水素の燃焼熱をそれぞれQ1[kJ/mol] ,Q2[kJ/mol] およびQ3[kJ/mol]とする。このとき、メタノールの生成熱Q[kJ/mol]を求める式とし て最も適当なものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。 [8] ① Q=Q1-Q2-Q3 ② Q=Q1-2Q2-Q3 ③ Q=Q1-Q2-2Q3 ④ Q=-Q1+Q2+Q3 ⑤ Q=-Q1+2Q2+Q3 ⑥ Q=-Q1+Q2+2Q3 問2.エタンとプロパンの混合気体1molを完全に燃焼させたところ、2000kJの発熱があった。 この混合気体のエタンとプロパンの物質量の比(エタンの物質量:プロパンの物質量)として最も適当な ものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。ただし、エタンとプロパンの燃焼熱をそれぞれ 1560[kJ/mol]および2220[kJ/mol]とする。 [9] ① 1:3 ② 1:2 ③ 1:1 ④ 2:1 ⑤ 3:1 問3.図1は、ある酸の0.1mol/L水溶液20mLを、ある塩基 の0.1mol/L水溶液で中和滴定したときの滴定曲線である。 下の問い(a,b)に答えよ。 a.この酸と塩基の組み合わせとして最も適当なものを 次の①~④のうちから一つ選べ。 [10] ① 酢酸と水酸化ナトリウム ② 酢酸とアンモニア水 ③ 塩酸と水酸化ナトリウム ④ 塩酸とアンモニア水 b.指示薬を用いてこの滴定の中和点を決めたい。その指示薬に関する 記述として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。[11] ① メチルオレンジを用いる。 ② フェノールフタレインを用いる。 ③ メチルオレンジとフェノールフタレインのどちらを用いても 決められる。 ④ メチルオレンジとフェノールフタレインのどちらを用いても決められない。 問4.次の化学反応式①~⑤のうち、下線で示した原子が還元されているものを一つ選べ。[12] ⑦ SiO2 + Na2CO3 → Na2SiO3 + CO2 ⑧ Al(OH)3 + NaOH → Na[Al(OH)4] ⑨ 4HNO3 → 4NO2 + 2H2O + O2 ⑩ K2Cr2O7 + 2KOH → 2K2CrO4 + H2O ⑪ 2KI + Cl2 → I2 + 2KCl 問5.ある1種類の物質を溶かした水溶液を、白金電極を用いて電気分解した。電子が0.4mol流れた とき、両極で発生した気体の物質量の総和は0.3molであった。溶かした物質として適当なものを、 次の①~⑤のうちから二つ選べ。 [13] ・[14] ① NaOH ② AgNO3 ③ CuSO4 ④ H2SO4 ⑤ KI 問7. 図2に示すように、ダニエル電池を0.50Aで 193秒放電させた。銅電極の質量変化に関する記述 として、最も適当なものを、下の①~⑥のうちから一つ 選べ。ただし、ファラデー定数は、 9.65×104C/molとする。 ① 0.064g減少する。 ② 0.032g減少する。 ③ 0.016g減少する。 ④ 0.016g増加する。 ⑤ 0.032g増加する。 ⑥ 0.064g増加する。 2014本試験(解答とヒント) 第1問 問1.答 [1]① [2]④ a.①~⑥のモル質量は、 ① H2O(18g/mol) ② N2(28g/mol) ③ C2H6(30g/mol) ④ ⑤ O2(32g/mol) ⑥ Ne(20g/mol) 分子の数= Cl2(71g/mol) 質量 1 アボガドロ数= アボガドロ数 であるから、 モル質量 モル質量 モル質量の最も小さいH2Oの分子数が最も多い。 b.陽子の数は6、中性子の数は、14-6=8なので、陽子の数:中性子の数=3:4となる。 問2.答 [3]③ AはC(炭素) 、DはO(酸素) 、EはNa(ナトリウム) 、GはMg(マグネシウム)、 JはAl(アルミニウム) 、LはCl(塩素)である。 ① CCl4 ② Na2O ④ MgO ⑤ MgCl2 ⑥ Al2O3 となり、分子式、組成式と しても適当である。しかし、③はNaCl2となるので、組成式としては不適当である。 問3.答 [4]③ ① 正しい。 (イオンからなる物質は、組成式で表す。 ) ② 正しい。 (イオン化エネルギーの小さい原子は、陽イオンになりやすい。 ) ③ 誤り。塩化ナトリウムは固体状態では電気を通さないが、融解したり、水溶液にすると電気を通す。 ④ 正しい。 (陽イオンの正電荷と陰イオンの負電荷の総和はゼロで電気的に中性である。) ⑤ 正しい。 (下の電離式より、1molの粒子が電離して3molの粒子になる。 ) Na2SO4 → 2Na+ 問4.答 + SO42- [5]④ 物質量(モル) 溶液の体積(L) モル濃度= 物質量= 質量 50 0.365 = モル質量 36.5 50 0.365 36.5 モル濃度= 1.0mol / L 0.5 問5.答 [6] ⑤ 2H2 + O2 → 2H2O 2.0L 1.0L CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O 1.0L 2.0L 「O2は、3.0L必要なので、空気はその5倍の15Lとなる。 」 問8. 答 ① [7] ② 適当。液体とそれに溶けない物質をろ紙などを用いて分離する操作をろ過という。 ② 不適当。この操作は蒸留ではなく抽出とよばれている。特定の物質を溶かす溶媒を用いて目的の物質を 分離する操作を抽出という。 ③ 適当。2種類以上の物質を含む液体を、沸点の違いを利用して蒸留で各成分に分離する方法を分留という。 ④ 適当。多孔質の活性炭は、特定の物質を吸着する能力があり、水の浄化などに用いられる。 ⑤ 適当。ドライアイスはCO2の固体であり、固体から直接気体(昇華)になるとき、熱を奪うので、冷却材に 使われる。 第2問 問1.答 [8] ⑥ メタノールの燃焼熱を表す熱化学方程式 CH3OH(液)+ 3 O2(気)=CO2(気)+2H2O(液)+Q1[kJ] ―――(a) 2 C(黒鉛)+O2(気)=CO2(気)+Q2[kJ] H2(気)+ ―――(b) 1 O2(気)=H2O(液)+Q3[kJ] ―――(c) 2 -(a)式+(b)式+(c)式×2より C(黒鉛)+2H2(気)+ 1 O2(気)=CH3OH(液)+Q[kJ] 2 したがって、Q=-Q1+Q2+2Q3 問2.答 [9] ② 混合気体のエタンC2H6の物質量をxmol,プロパンC3H8の物質量をymolとすると、 混合気体の物質量が1molであるから、x+y=1 ―――(a) また、混合気体を完全燃焼させると、発熱量が2000[kJ]であったことから、 1560x+2220y=2000 ―――(b) 1 3 (a)式と(b)式より、x= mol 問3.答 [10] ① [11] y= 2 mol 3 エタンの物質量:プロパンの物質量=1:2となる。 ② a.1.①~④は、すべて1価の酸と1価の塩基の組み合わせである。中和反応が20mLで終了していること から、塩基も、0.1mol/L水溶液であることがわかる。 2.最初のpHの値が約3であることから、酸は弱酸。 3.中和点が塩基側にあるから、塩基は強塩基で酸は弱酸。 b.中和点が塩基側にあることから、指示薬はフェノールフタレインが適当。メチルオレンジは酸性側に変色域 があるので、不適当である。 問4.答 [12] ③ ① Si +4→+4 ②Al +3→+3 ③N +5→+4 ④Cr +6→+6 ⑤I -1→0 *還元されているのは、酸化数が減少している③のN* 問5.答 [13] ・ [14] ①、④ ① NaOH水溶液の電気分解(水の電気分解) 陽極:4OH-→2H2O+O2+4e- 陰極:2H2O+2e-→H2+2OH- *(陽極と陰極の反応式より)4molの電子が流れると、水素2molと酸素1molが発生する* ④ H2SO4水溶液の電気分解 陽極:2H2O→4H++O2+4e- 陰極:2H++2e-→H2 *(陽極と陰極の反応式より)4molの電子が流れると、水素2molと酸素1molが発生する* <参考> ② AgNO3水溶液の電気分解 陽極:2H2O→4H++O2+4e- 陰極:Ag++e-→Ag *4molの電子が流れると、酸素1molが発生する* ③ CuSO4水溶液の電気分解 陽極:2H2O→4H++O2+4e- 陰極:Cu2++2e-→Cu *4molの電子が流れると、酸素1molが発生する* ⑤ KI水溶液の電気分解 陽極:2I-→I2+2e- 陰極:2H2O+2e-→H2+2OH- 問6.答 [15] ⑤ 1.193秒間に流れた電気量は、0.50×193[C] 2.0.50×193[C]の電気量は、電子 0.50 193 1.0 10 3 mol 9.65 10 4 3.ダニエル電池の銅(正極)での反応は、 Cu2+ + 2e- → Cu 4.析出する銅(Cu=64) モル質量=64g/mol 64 1.0 10 3 1 0.0 3 g2 2 0.032g増加する。 の物質量になる。
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