1章 (5)範囲(R) 「範囲」 なので、負の値にはなりません。 [例] {6, 7, 5, 4} の範囲Rは、R=7-4=3 (6)平方和(S) 個々の測定値と平均値との差の2乗の和を 「平方和」といい、大文字のSで表 します。 2 平方和S=∑ ( x i- x ) 2 (x1+x2+……+xn) ― = ( x 12+ x 22+……+ x n2) -― n n (Σx i)2 =∑ x i2- ― ― ※ Σxi を 「Σxi」 と表しています(以下同)。 n i=1 この式が成り立つ 「証明」 は次の通りです。 2 S=Σ ( x i- x ) =Σ ( x i2-2・ x i・ x + x 2) =Σ x i2-2・Σ x i・ x +Σ x 2 ( ) ( Σx i Σx i =Σ x i2-2・Σ x i・ ― ― +n・ ― ― n n ) 2 2 (Σx i) (Σx i) (Σx i) ―+― ― =Σ x i2- ―― =Σ x i2-2・ ― n n n 2 2 [例] {1, 2, 3, 4, 5} の平方和は、 (1+2+3+4+5)×(1+2+3+4+5) ― ― ― S= (1+4+9+16+25) -― 5 15×15 =55-―=55-45=10 5 右のような計算補助表を作成すると平 方和の計算がミスなく簡単にできます。 表1. 2 計算補助表 表内の、赤色の数字だけで、 15×15 S=55-―=10 5 と求めることができます。 データ数 x x 2 4 合計 5 15 1 2 3 1 4 9 16 25 55 21 基本統計量 一組の測定値の中の最大値と最小値との差を「範囲」といい、Rで表します。 52-20 ①工程能力指数Cp=―=1.78 6×3 ②偏りの考慮した工程能力指数Cpkは、それぞれの片側規格である 上限-平均 平均-下限 いずれか小さい値をとるので、 ―、― で求めたとき、 3×標準偏差 3×標準偏差 52-50 ―=0.22※ 3×3 50-20 ―=3.33※ より、 3×3 Cpk=0.22 ※正確には(52−50)÷9=0.222…、 (50−20)÷9=3.333…となるが、 QC検定試験では答えに端数が出る 場合は概数処理でかまわない(以下 同) 。詳しくは74ページを参照。 (3)工程能力指数の判断基準 工程能力指数の判断基準は下記の通りです。 表1. 3 工程能力指数の判断基準 Cp≧1.67 十分すぎる 1.67>Cp≧1.33 十分満足している 1.33>Cp≧1.0 まずまずである。十分な状態に改善する 1.0>Cp≧0.67 不足しているので、1.33となるよう改善処置をとる Cp<0.67 非常に不足している。原因を究明し、是正処置をとる では、なぜCp=1.33になるとよいのでしょうか。 一般的に、N (μ,σ2) において、μ±aσの範囲に入る確率は次の通りであ ることが知られています(ここでNは、平均値=μ、分散=σ2の正規分布を表 しており、詳しくは第2章の 「確率分布」 で学習します)。 a=1のときは μ±σ≒68% a=2のときは μ±2σ≒95% a=3のときは μ±3σ≒99.7% です。 これを図示したものが、次の図1. 7です。 24 3章 工程 (母集団) からランダムに5個を抜き取ったところ,その測定結果 測定データ (単位:㎜) 8, 5, 5, 7, 6 このとき,次の設問の①~④に入る最も適切な語句を下の選択肢からそれぞれ ひとつずつ選べ (t表を使用すること) 。 ^= (1) 母平均の点推定を求めよ。 μ ① (2) 母平均の信頼度95%の信頼区間を求めよ。 下限: ① - ② √③ ×― 上限: √④ ① + ② √③ ×― √④ 【選択肢】 ア. 1.7 イ. 2.571 ウ. 2.776 エ.5.0 オ.6.2 正解 ①オ ②ウ ③ア ④エ 工程 (母集団) からランダムに5個を抜き取ったところ,その測定結果 [問6] は下記の通りである (母分散は未知とする)。 測定データ (単位:㎜) 8, 5, 5, 7, 6 このとき,次の設問の①~⑥に入る最も適切な語句を下の選択肢からそれぞれ ひとつずつ選べ (Χ2表を使用すること) 。 ① ^2=―= (1) 母分散の点推定を求めよ。 σ ② ③ 【選択肢】 ア.S (平方和) イ.μ (母平均) ウ.n (データ数) 2 エ.φ (自由度) オ.σ(母分散) カ. 1.7 キ.1.36 (2) 母分散の信頼度95%の信頼区間を求めよ。 ④ ④ ⑤ ⑥ 下限:― 上限:― 【選択肢】 ア.6.8 イ.7.2 ウ. 0.484 エ. 11.14 オ.14.05 正解 ①ア ②エ ③カ ④ア ⑤エ ⑥ウ 65 検定・推定 [問5] は下記の通りである (母分散は未知とする)。 (2) 母分散は未知なので, √1.7 母平均μの上限=6.2+t (4, 0.05) ×― √5.0 √1.7 母平均μの下限=6.2-t (4, 0.05) ×― √5.0 ここでt表より,t (4, 0.05) =2.776 よって,答えは②=ウ,③=ア,④=エ (Σx)2 ちなみに,平方和S=Σ x 2-―なので,S=6.8 n S 不偏分散V=―なので,V=1.7 n−1 母平均μの上限=6.2+2.776×0.583=7.82 母平均μの下限=6.2-2.776×0.583=4.58 【問6】 S 6.8 ^ 2 =― ^ 2=― (1) σ なので,σ =1.7 より, φ 4 答えは①=ア,②=エ,③=カ (2) 母分散σ2の信頼度1-αの信頼区間は, S ― 上限=― α Χ2 φ, 1-― 2 S ― 下限=― α 2 Χ φ, ― 2 ( ( ) ) 2 Χ2表より, X(4, 0.975) =0.484 2 X(4, 0.025) =11.14 6.8 上限=―=14.050 0.484 6.8 =0.610 下限=― 11.14 答えは④=ア,⑤=エ,⑥=ウ 68 7章 (5)p管理図の作り方 の中の不良個数pnを調査します。各群の不良率pを計算します。そ の公式は次の通りです。 pn p= ―― n pn:サンプル中の不良個数 n:1群のサンプルサイズ 手順2 中心線 (CL) の計算をします。その公式は次の通りです。 Σpn p=― Σn Σpn:不良個数の総和 Σn:検査個数の総和 手順3 管理限界線の計算をします。その公式は次の通りです。 √ p(1−p) 上方管理限界線 UCL=p+3 ― n √ p(1−p) 下方管理限界線 LCL=p−3 ― n 手順4 管理図用紙への記入と安定状態の確認を行います。 (6)c管理図の作り方 手順1 データを採取します。c管理図では、大きさ一定のサンプルを約20 群とり、各群の中での欠点数cを調査します。 手順2 中心線 (CL) の計算をします。その公式は次の通りです。 Σc c=― k c:工程平均欠点数 Σc:欠点数の総和 k:群の数 手順3 管理限界線の計算をします。その公式は次の通りです。 上方管理限界線 UCL=c+3√ c 下方管理限界線 LCL=c-3√ c 手順4 管理図用紙への記入と安定状態の確認を行います。 153 管理図 手順1 データを採取します。p管理図では、サンプルを約20群とり、各群
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