2014年度 東京医科大学 一般 化学 解答

2014 東京医科大学 化学
第 1 問【解答】
問1
1
④
問2
2
⑥
問4
4
⑤
問5
5
④
問3
3
①
【解説】
問1
1
①正
He は 18 族,Pb は 14 族,Zn は 12 族の元素で,いずれも典型元素である。
②正
P は原子番号 15(第 3 周期,15 族)の元素で,その原子の電子配置は
K(2)L(8)M(5)である。
第 2 周期に属する,最外殻電子数 3 の原子は 13 族の B,最外殻電子数 7 の原
③正
子は 17 族の F である。同一周期の元素の原子では,原子番号が大きい(周期表
で右に位置する)元素の原子ほどイオン化エネルギーは大きい。
④誤
Be と Mg を除く 2 族元素をアルカリ土類金属元素という。
⑤正
原子番号 19 の元素は第 4 周期,1 族の K である。H を除く 1 族元素をアルカ
リ金属元素という。
族
周期
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18
1
問2
He
2
Be
3
Mg
4
K Ca
5
Sr
6
Ba
B
F
P
Zn
Pb
2
14 族元素の水素化合物 CH4,SiH4,…は正四面体形の無極性分子であり,分
①正
子量が大きくなるほど,ファンデルワールス力が強くなり,沸点が高くなる。
ドライアイス(固体の CO2)は,CO2 分子(直線形の無極性分子)がファンデル
②正
ワールス力により規則正しく配列した分子結晶である。
③正
ダイヤモンドと黒鉛はどちらも炭素の単体であるが,その結合状態が異なって
いるので性質に違いが生じる。
1
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ダイヤモンド
④正
黒鉛
面心立方格子と六方最密構造は,いずれも原子が空間に最も密に詰まった構造
(最密構造)をしており,その充填率は 74%,廃位数は 12 である。
固体の CsCl や NaNO3 はイオン結晶である。イオン結晶は,結晶のままでは
⑤正
電気を導かないが,水溶液にしたり,高温で融解したりすると,イオンが自由に
移動できるようになるので電気を導く。
問3
3
①誤
AgF は水溶性,AgCl(白色),AgBr(淡黄色),AgI(黄色)は沈殿。
②正
塩素は,実験室では,酸化マンガン(Ⅳ)に濃塩酸を加え,加熱して発生させる。
発生した気体中の塩化水素を除去するために水に通し,さらに乾燥させるために
濃硫酸に通す。
③正
フッ素は水と激しく反応して,酸素を発生する。
2F2+2H2O → 4HF+O2
④正
フェノールはベンゼンよりも置換反応が起こりやすく,フェノールの水溶液に
臭素水を加えると,2, 4, 6-トリブロモフェノールの白色沈殿が生じる。
NO2
OH
+ 3Br2 →
O2N
OH
+3HBr
NO2
⑤正
陽極に白金または黒鉛を用いたとすれば,電極反応は次の通り。
陽極: 2I- → I2+2e-
陰極: 2H2O+2e- → H2+2OH-
問4
4
①正
溶液中のすべての溶質粒子のモル濃度を等しくすればよい。水に溶かす
K2SO4(式量 174)を w〔g〕とすると,K2SO4 は K2SO4 → 2K++SO42-のよう
に電離するので,
2
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w
174
×3
0.10=
1.0
w=5.8〔g〕
20℃に冷却したとき,析出する CuSO4・5H2O を w〔g〕とすると,
②正
50 160

w
150 250 = 20 ×3
100 90
100
300 

w
150 250
300 
③正
w=105.6≒106〔g〕
(NH2)2CO は非電解質,NaCl は NaCl → Na++Cl-のように電離するので,
(NH2)2CO 水溶液,NaCl 水溶液の溶液中のすべての溶質粒子の質量モル濃度を
それぞれ m1,m2 とすると,
3.00
m1= 60 =0.0500〔mol/kg〕
1.00
5.85
m2= 58.5 ×2=0.100〔mol/kg〕
2.00
m1<m2 なので,NaCl 水溶液の方が,凝固点降下度が大きく凝固点は低い。
④正
純水にスクロースのような不揮発性の溶質を溶かすと,蒸気圧は純水の蒸気圧
より低くなる。これを蒸気圧降下という。
⑤誤
KNO3 は KNO3 → K++NO3-,CaCl2 は CaCl2 → Ca2++2Cl-のよう
に電離するので,KNO3 水溶液,CaCl2 水溶液の溶液中のすべての溶質粒子の質
量モル濃度をそれぞれ m1,m2 とすると,
1.0
1.0
m1= 101 ×2=
〔mol/kg〕
1.0
50.5
1.0
1.0
111
×3=
〔mol/kg〕
m2=
1.0
37.0
m1<m2 なので,CaCl2 水溶液の方が,沸点上昇度が大きく沸点は高い。
問5
5
①正
フルクトースは,結晶中では下図ⓐの六員環の環状構造をしているが,水溶液
中ではⓐとケトン基をもつ鎖状構造ⓑおよび五員環の環状構造ⓒとの平衡状態
で存在している。図中の*C は不斉炭素原子を表す。また,環状構造はβ型のみ
を示している。
3
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H
H
H
C⑥
*C ⑤
H
H
C*
OH
*C
③
OH
H
OH
O
④
ⓐ
H
OH
*
C②
→
←
CH2OH
①
⑥
C⑥
OH
*C ⑤ H
H
OH C*
OH
*C
③
④
OH
→
←
C②
CH2OH
*C ⑤
H
C*
H
①
④
H
ⓑ
O
CH2OH
O
OH
OH
*C ②
OH
CH2OH
*C
①
③
H
ⓒ
グルコースは,下図(図中の*C は不斉炭素原子を表す)に示すような 2 種類の
②正
環状構造(α-グルコース,β-グルコース)と 1 種類の鎖状構造の合計 3 種類が
平衡状態で存在する。鎖状構造に 4 個の不斉炭素原子が,環状構造には 5 個の
不斉炭素原子がある。
⑥CH
*C
⑤
H
*C ④
OH
H
OH
*
C
③
H
⑥CH
⑥CH
2OH
2OH
O
H
*C
②
H
H
*
C①
*C
⑤
*
→
← C④
OH
OH
H
OH
*
C
③
OH
H
α-グルコース
2OH
OH
H
*C
②
H
H
C
①
*C
⑤
*
→
← C④
O
OH
H
OH
*
C
③
OH
H
鎖状グルコース
O
H
*C
②
OH
*
C①
H
OH
β-グルコース
デンプン(C6H10O5)n(分子量 162n) 1mol を完全に加水分解すると,グルコース
③正
C6H12O6(分子量 180) n mol が得られる。
(C6H10O5)n+nH2O → nC6H12O6
81g のデンプンを加水分解して得られるグルコースは,
81
×n×180=90〔g〕
162n
pH が小さい(酸性)水溶液中では,アラニンは主に下図に示す陽イオンになっ
④誤
ているので,陰極に移動する。
CH3 CH COOH
NH3+
グリシン,アラニン,フェニルアラニンを 1 列に並べる順列は,3!=6 種類で
⑤正
ある。
第2問【解答】
問1
6
⑤
問2
7
問4
9
①
問5 10
①
問3
8
⑥
②,④
4
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【解説】
問1
6
[OH-]=0.10×1.3×10-2=1.3×10-3〔mol/L〕
問2
7
NH3 水のモル濃度を C〔mol/L〕,電離度を とすると,変化量は次のように整理で
きる。
+
-
NH3 + H2O →
← NH4 +OH
C
はじめ
0
変化量 -C
平衡時 C(1-)
0
+C
+C
C
C
したがって,
Kb=
問3
C 2
C C
=
≒ C 2 =0.10×(1.3×10-2)2
C (1   ) 1  
=1.69×10-5≒1.7×10-5〔mol/L〕
8
Kb
C
=
[OH-]=C=C
[H+]=
Kw
[OH  ]
=
Kb
= CK b = 0.10  1.69 10 5 =1.3×10-3〔mol/L〕
C
1.0  10 14
1.3  10 3
=
10 11
1.3
pH=11+log101.3=11.11≒11.1
問4
9
Kb
より,
C
K
1.69  10 5
C= 2b =
=0.169〔mol/L〕

(1.0  10 2 )2
=
0.50mol/L の NH3 水を V〔mL〕加えるとすると,
混合前後の NH3 の物質量について,
0.10×
V
100
100 V
+0.50×
=0.169×
1000
1000
1000
V=20.8…≒21〔mL〕
問5 10
①正
[OH-]が小さくなるので,[H+]は増加する。
②誤
NH4Cl 水溶液は弱酸性であるから,pH は 7 より小さい。
5
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③正
弱塩基とその塩の混合水溶液は緩衝作用があり,緩衝液とよばれる。
④誤
NH3 は弱塩基なので,0.10mol/L の NH3 水中では[NH4+]≪0.10mol/L である。
010mol/L の NH4Cl 水溶液中では[NH4+]≒0.10mol/L である。
12
10
(mol)<0.10×
(mol)なので HCl が過剰で酸性を示す。
1000
1000
⑤正
0.10×
⑥正
過不足なく反応して NH4Cl 水溶液となり,酸性を示す。
第 3 問【解答】
問1イ: 11
⑦
エ: 12
問2 15
③,⑤,⑦
問3 16
④
問4 17
②
問5 19
①
18
②
カ: 13
③
キ: 14
⑤
②
【解説】
問1 11 ~ 14
1) 室温で水と反応して,強い塩基性を示す化合物を生成するのは,アルカリ金属と
アルカリ土類金属である。
2Na+2H2O → 2NaOH+H2
Ba+2H2O → Ba(OH)2+H2
Ca+2H2O → Ca(OH)2+H2
NaOH,Ba(OH)2 は水によく溶ける。Ca(OH)2 の溶解度はやや小さく,水に少し
溶け,その水溶液を石灰水という。
⇒ オ・カ=Na・Ba,エ=Ca
2) ア・イ・ウ・キ=Al・Fe・Mg・Zn である。これらのイオンを含む水溶液に NaOH
水溶液を加えたときの変化は,次の通りである。
水溶液
水溶液


 Al(OH)3↓白 NaOH


 [Al(OH)4]-
Al3+ NaOH
水溶液
水溶液
Zn2+ NaOH


 Zn(OH)2↓白 NaOH


 [Zn(OH)4]2-
水溶液
水溶液
Mg2+ NaOH


 Mg(OH)2↓白 NaOH


 溶けない
6
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水溶液
水溶液


 Fe(OH)3↓赤褐 NaOH


 溶けない
Fe3+ NaOH
Fe(OH)3 を加熱すると Fe2O3(赤褐色)に変化する。
⇒ ア=Fe,X=Fe2O3,イ・ウ=Al・Zn,キ=Mg
3) ア=Fe,イ・ウ=Al・Zn の水酸化物に NH3 水を加えたときの変化は,次の通
りである。
3水
Al(OH)3↓白 NH

 溶けない
3水
Zn(OH)2↓白 NH

 [Zn(NH3)4]2+
3水
Fe(OH)3↓赤褐 NH

 溶けない
⇒ イ=Zn,ウ=Al
4) エ=Ca,オ・カ=Na・Ba,キ=Mg のイオンを含む水溶液に希硫酸を加えたと
き,白色沈殿が生じるのは Ca2+,Ba2+のときだけであるから,エ・カ=Ca・Ba
である。
Ca2++SO42- → CaSO4↓白
Ba2++SO42- → BaSO4↓白
Na2SO4,MgSO4 は水溶性
⇒ オ=Na,カ=Ba
問2 15
族
周期
1
2
オ
キ
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18
1
2
3
Na Mg
4
Ca
ウ
Al
エ
ア
Fe
イ
Zn
5
6
カ
Ba
問3 16
イオン反応式:
化学反応式:
Zn(OH)2+2OH-
→ [Zn(OH)4]2-
Zn(OH)2+2NaOH → Na2[Zn(OH)4]
7
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問4 17 ・ 18
1
8個
単位格子中に含まれる原子の数は,
1
×8+1=2〔個〕
8
密度は,
23
2
6.0  10 23
=0.964…≒0.96〔g/cm3〕
(4.3  10 8 )3
1個
4.3×10- 8cm
問5 19
アルミニウムの粉末と酸化鉄(Ⅲ)との混合物はテルミットとよばれる。テルミット
にマグネシウムリボンをさし込んで,それに点火すると,融解した鉄の単体が遊離す
る。この反応は,鉄道のレールなどの溶接に利用される。
2Al+Fe2O3 → Al2O3+2Fe
X
Y
第 4 問【解答】
問1 20
③,⑦
問2 21
①,③
問3 22
③
問4 23
⑥
【解説】
問1 20
②正・⑥正
直流電源の正極につないだ電極を正極,負極につないだ電極を陰極とよぶ。電
子は,陽極から正極に向かって流れる。
正極
負極
e-
e-
陰極
陽極
電解液
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①正・④正
流れた e-の物質量は,
2.00  (32  60  10)
9.65  10 4
=4.00×10-2〔mol〕
流れた電気量は,9.65×104×4.00×10-2=3860〔C〕
③誤・⑤正・⑦誤
SO42-は H2O より酸化されにくいので,陽極では H2O が酸化されて O2 が発
生する。このとき,H2O は陽極に e-を与える。
2H2O → O2+4H++4e-
発生した O2 の体積(標準状態)は,
4.00×10-2×
1
×22.4=0.224〔L〕
4
である。
⑧正
陰極では Cu2+が e-を受け取って Cu が析出する。
Cu2++2e- → Cu
問2 21
⑤正・⑥正
銅の電解精錬では,粗銅板を陽極(したがって,粗銅板を直流電源の正極と接
続する)に,純銅板を陰極に用いて,約 0.3~0.4V の低電圧で硫酸銅(Ⅱ)の希硫
酸溶液を電気分解する。
①誤・②正・③誤・④正
陽極では,Cu よりイオン化傾向の小さい Ag,Au は,約 0.3~0.4V の低電圧
の電気分解であれば陽イオンにならないので,粗銅板からはがれ落ちて,陽極の
下に沈殿する。これを陽極泥という。Cu よりイオン化傾向の大きい Fe,Ni は,
Cu とともにイオンになって溶け出す。
Fe → Fe2++2e-
Ni → Ni2++2e-
Cu → Cu2++2e-
陰極では,最も還元されやすい Cu2+のみが e-を受け取って Cu が析出する。
したがって,Fe2+,Ni2+はそのまま溶液中に残る。
Cu2++2e- → Cu
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問3 22
12.7
×2×9.65×104=3.86×104〔C〕
63.5
問4 23
Pb は Cu よりイオン化傾向が小さいので Cu とともにイオンになって溶け出すが,
電解液中の SO42-と結合して水に難溶な PbSO4(白色)となり,陽極の下に沈殿する。
Pb+SO42- → PbSO4
第 5 問【解答】
問1 24
④,⑤
問2 25
⑤
問3 26
②,⑥
問4 27
⑥
【解説】
☆ リード文の第 1 段落
○
酸化
カルボン酸F
A(組成式C3H6O)
酸化
アルコールG
C(組成式C3H6O)
B(組成式C3H6O)
カルボン酸H
D(組成式C3H6O)
*C あり
E(組成式C3H6O)
アルコール I
*C あり
H2
付加
K
酸化
H2SO4
J
Aの異性体
カルボン酸F
☆ リード文の第 2 段落
○
A,D の分子式を(C3H6O)n とすると,その完全燃焼の化学反応式は,
(C3H6O)n+4nO2 → 3nCO2+3nH2O
である。A,D のそれぞれ 1 mol を完全燃焼させるためには,いずれも 8 mol の O2 が必
要なので,
10
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4n=8
よって,n=2 なので,A,D の分子式は C6H12O2 である。
PdCl2+CuCl2 を触媒に用いたエチレンの酸化で製造される化合物はアセトアルデヒド
である。
CH2=CH2+
1
O2 → CH3CHO
2
H はアセトアルデヒドを酸化して合成されるので,酢酸である。
酸化
CH3 C H
O
CH3 C OH
O
カルボン酸H
☆ 化合物 A,B,C,F,G は,次のように確定する。
○
カルボン酸F
酸化
CH3 CH2 C H
CH3 CH2 C OH
O
酸化
アルコールG
CH3 CH CH3
A(C6H12O2)
C(C3H6O)
O
B(C3H6O)
CH3 C CH3
O
OH
A: CH3 CH2 C O CH CH3
O
CH3
☆ 化合物 D,H,I,J は,次のように確定する。
○
カルボン酸H
CH3 C OH
O
アルコール I
*C あり
D(C6H12 O2)
*C あり
酸化
酸化
CH3 CHO
酸化
CH2=CH2
J
アルコール I の分子式=C6H12O2+H2O-CH3COOH=C4H10O
アルコール I は不斉炭素原子をもつので,2-ブタノールに確定する。よって,
I: CH3 *CH CH2 CH3
J: CH3 C CH2 CH3
O
OH
B: CH3 C O *CH CH2 CH3
O
CH3
☆ 化合物 E,K は,次のように確定する。
○
化合物 E は炭素間二重結合 C=C をもち,H2 が付加する。
11
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化合物 K は-OH をもち,化合物 F(CH3CH2COOH)とエステル化して化合物 A
と同じ分子式 C6H12O2 をもつ化合物に変化するので,
K の分子式=C6H12O2+H2O-CH3CH2COOH=C3H8O
E の分子式=C3H8O-H2=C3H6O
化合物 K が-OH をもつので,化合物 E も-OH をもつ。リード文の冒頭にある
ように化合物 E は安定な有機化合物であるから,エノール型(C=C-OH のように
二重結合を形成する C に-OH が結合した構造)は考えなくてよい(☞○
注 参照)。
したがって,化合物 E,K は,次のように確定する。
H2
付加
E(C3H6O)
K
CH2 CH CH2
CH3 CH2 CH2 H SO
2
4
Aの異性体(C6H12O2 )
OH
OH
CH3 CH2 C O CH2 CH2 CH3
カルボン酸F
O
CH3 CH2 C OH
O
問1 24
CH3-CO-X または CH3-CH(OH)-X(X は H または C)の構造をもつものを選
ぶ。B,G(④),I,J(⑤)が該当する。
問2 25
I は分子式 C4H10O であるから,4 種類のアルコール(①~④),3 種類のエーテル(⑤
~⑦)の合計 7 種類の構造異性体がある。
C
-⑤- -⑥↓
↓
C
C
C
①
②
C
C
-⑦C ↓C
③
④
問3 26
酢酸カルシウム(H の Ca 塩)を熱分解するとアセトン(B)が得られる。これを
①正
脱炭酸反応という。
中和反応: 2CH3COOH+Ca(OH)2 → (CH3COO)2Ca
脱炭酸反応: (CH3COO)2Ca → CH3COCH3+CaCO3
②誤
E は第一級アルコール,I は第二級アルコールである。
③正
J は B より分子量が大きいので,ファンデルワールス力が強い。そのため,J
は B より沸点が高い。
④正
鎖状ポリマーであるから,熱可塑性樹脂である。
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CH3 CH CH3
分子内
脱水
OH
2-プロパノール
CH2
CH CH3
付加
重合
プロピレン
CH2
CH
n
CH3
ポリプロピレン
C はアルデヒド基をもつので,フェーリング液を還元して酸化銅(Ⅰ)Cu2O の
⑤正
赤色沈殿を析出させる。
⑥誤
K の分子式と分子量は C3H8O=60,F の分子式と分子量は C3H6O2=74 であ
る。
問4 27
混合物中の A を x〔mol〕,D を y〔mol〕とする。
C6H12O2(A)+H2O → C3H8O(G)+CH3CH2COOH(F)
(分子量 116)
x〔mol〕
(分子量 60)
x〔mol〕
C6H12O2(D)+H2O → C4H10O(I)+CH3COOH(H)
(分子量 116)
y〔mol〕
(分子量 74)
y〔mol〕
A と D の混合物の質量について,116x+116y=6.96〔g〕…①
G と I の質量について,60x+74y=4.30〔g〕…②
①,②を解いて,y=0.0500〔mol〕
混合物中の D の質量は,116×0.0500=5.80〔g〕
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