P61 化学平衡の法則(質量作用の法則) 第13回化学概論 物質の変化と平衡 化学平衡 緩衝液 化学平衡の状態において、反応物と生成物の濃度 の間に、一定の関係が成り立っている。 sS + tT + ...... aA + bB + .... [S]s[T]t.... [A]a[B]b.... 平衡移動の原理 (ルシャトリエの原理) P61 アンモニアの合成 平衡状態のとき、濃度、温度、圧力などの条件を変 えると、その影響を打ち消す方向に平衡が移動する。 H2 + I2 K= 2HI [HI] = Kc 平衡定数(温度によって決まる定数) N2 + 3H2 =2NH3 + 92 kJ 生成したNH3を速やかに取り出す 発熱反応なので、低温にする 圧力が減少する反応なので圧力を高くする 触媒 2 [H2][I2] 温度一定ならばKの値は一定である。 H2あるいはI2加える→平衡が右に移動→2HI生成する HI取り除く→平衡が右に移動→2HIがたくさん生成する HI加える→平衡が左に移動→2HIが減少、H2とI2生成する P61 P61 弱酸の電離 緩衝液 大量の弱酸と大量のその塩、もしくは大量の弱 塩基とその塩を溶かした溶液。少々の酸や塩基を 加えてもpHの変化しない溶液→生体の体液 CH3COOH CH3COO- CH3COOH = [H+] [CH3COOH] H+ H+ + CH3COO- Ka= [CH3COO-][H+] [CH3COOH] 血液 H2CO3 (弱酸性)-NaHCO3(弱塩基性) NaH2PO4(弱酸性)-Na2HPO4 (弱塩基性) 正常な血液 pH 7.4 アシドーシス:正常値より酸性側 アルカローシス:正常値よりアルカリ性側 1 酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液に酸を P62 加える 酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液にアル P62 カリを加える pH変化せず pH変化せず P62 P62 緩衝液 血液中のCO2とpH 大量の弱酸と大量のその塩、もしくは大量の弱塩 基とその塩を溶かした溶液のこと。 CO2 + H2O H2CO3 CH3COO- + H+ 0 0 CH3COOH C1 - CH3COONa 0 CH3COO + Na C2 C2 - pH = pKa + log + [CH3COO ][H ] [CH3COOH] [CH3COOH] + [H ]= Ka [CH3COO-] Ka= = Ka C1 C2 緩衝液のpHの算出 = 6.1 + log [HCO3-] [H2CO3] 共役塩基 (弱酸の塩) 弱酸 正常な血液 [HCO3-]=0.023 mol/L, [H2CO3]=1.16 x 10-3 mol/L pH=7.40 ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式 HA :酸 A − :酸の共役塩基 Ka:酸解離定数(電離定数) [HCO3-] [H2CO3] ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式 pH = pKa + log C2 C1 [A−] pH = pKa + log [HA] Ka =7.9 x 10-7 mol/L pKa =6.1 [H+][HCO3-] [H2CO3] Ka= + H2CO3 H + HCO3+ P62 問題 血液のpHを求めよ。ただし、血液中の[H2CO3]=1.16 x 10-3 mol/ℓ, [HCO3-]=0.023 mol/ℓ, Ka=10-6.1とする。 [H+][HCO3-] [H2CO3] [H+]= Ka[H2CO3]/[HCO3-] pH=-log [H+]=-log Ka[H2CO3]/[HCO3-] pKa = -logKa [HCO3-] [HCO3-] pH = pKa + log = 6.1 + log [H2CO3] [H2CO3] Ka= =6.1 + log (0.023/1.16 x 10-3) = 7.40 2 第 13回化学概論 平衡定数 2NH3 になる反応が平衡に達しているときに成立する関係式(平衡定数 K の式)を示せ 1. 3H2 + N2 2. H2 + I2 2HI になる平衡定数 K を示せ。 3. H2 + I2 2HI の平衡定数を K=49 とする。[H2]=[I2]=1.0 mol/L のとき、HI の濃度を求めよ。 4. 次の反応式について濃度平衡定数の式を記せ。 A) N2O4 2NO2 B) Br2 + Cl2 2BrCl C) 2H2O O2 + 2H2 D) 2O3 E) Cu2+ + F) 3O2 4NH3 CH3COOH [Cu(NH3)4]2+ CH3COO- + H+ 緩衝液(緩衝溶液) 5. 血液は炭酸/炭酸水素イオン緩衝液である。水素イオン濃度[H+], 炭酸水素イオン濃度[HCO3-], 炭酸濃度[H2CO3] を用いて炭酸の酸解離定数(電離定数)Ka の定義式を示せ。 6. 1 の Ka の定義式を変形し、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式(pH)で記せ。 7. 血液の pH を求めよ。ただし、血液中の[H2CO3]=1.16 x 10-3 mol/L, [HCO3-]=0.023 mol/L, Ka=10-6.1 とする。 8. 次の溶液の pH を求めよ。 ただし、酢酸の電離定数は Ka=10-4.8 とする。有効数字 2 桁 (1) 0.20 mol CH3COOH と 0.10 mol CH3COONa を含む 1 L の水溶液の pH (2) 0.20 mol CH3COOH と 0.20 mol CH3COONa を含む 1 L の水溶液の pH (3) 0.10 mol CH3COOH と 0.20 mol CH3COONa を含む 1 L の水溶液の pH 9. 次の溶液の pH を求めよ。 ただし、炭酸の電離定数は Ka=10-6.1 とする。有効数字 2 桁 (1) 0.20 mol H2CO3 と 0.50 mol NaHCO3 を含む 1 L の水溶液の pH (2) 0.20 mol H2CO3 と 0.80 mol NaHCO3 を含む 1 L の水溶液の pH (3) 0.30 mol H2CO3 と 0.20 mol NaHCO3 を含む 1 L の水溶液の pH 第 13回化学概論解答 5. 6 7. pH=7.40 8. (1) pH=pKa + log[CH3COO-] / [CH3COOH] = 4.8 + log (0.1/0.2) =4.5 (2) pH=pKa + log[CH3COO-] / [CH3COOH] = 4.8 + log (0.2/0.2) =4.8 (3) pH=pKa + log[CH3COO-] / [CH3COOH] = 4.8 + log (0.2/0.1) =5.1 9. (1) pH=pKa + log [HCO3-]/ [H2CO3] = 6.1 + log (0.50/0.20) =6.5 (2) pH=pKa + log [HCO3-]/ [H2CO3] = 6.1 + log (0.80/0.20) =6.7 (3) pH=pKa + log [HCO3-]/ [H2CO3] = 6.1 + log (0.20/0.30) =5.9
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